https://www.amazon.co.jp/ペルセポリスから飛鳥へ―清張古代史をゆく-新コンパクト・シリーズ-松本-清張/dp/4140180056/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=カタカナ&crid=1ZTEMH44LAA9A&keywords=飛鳥+松本清張&qid=1690787871&sprefix=飛鳥+松本清張%2Caps%2C162&sr=8-1
2021年4月3日に日本でレビュー済み レポート
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1978年、イラン革命勃発の日に著者(70歳)が居合わせた紀行・・・ゾロアスター教の遺跡探訪とペルシャと飛鳥の考察。大容量の内容なのですごいです。
ひと昔前を全然存じてないので、ウィキペディアと百科事典で、イラン近代化の流れをざっくり調べながら読みました。・・・湾岸戦争の前時代ですよ。今の経済封鎖からは想像出来ない世界でした。「火の路」にもハイカラなイメージのイランの女子大生が登場します。
少し昔の観光ぽくないイランの風景と遺跡の写真が沢山あり見応え充分です。ペルセポリスの有翼人面像とか列柱とかレリーフとか有名な写真も良いです。人の陰影が濃い。チャイハナの食事チェロケバブもネットで調べればあるものですね。
考察は読者も考えます。亀石は作りかけのグリフィン説は成程ですが、斉明女帝がジッグラドを作っていたなら冠石かなとか、飛鳥時代の奈良も想像出来ない世界でした。日本の古文書はいい加減なのか??
おまけ(?)の小冊子は同行メンバーなどのあとがきです。面白いです。レポート
ひと昔前を全然存じてないので、ウィキペディアと百科事典で、イラン近代化の流れをざっくり調べながら読みました。・・・湾岸戦争の前時代ですよ。今の経済封鎖からは想像出来ない世界でした。「火の路」にもハイカラなイメージのイランの女子大生が登場します。
少し昔の観光ぽくないイランの風景と遺跡の写真が沢山あり見応え充分です。ペルセポリスの有翼人面像とか列柱とかレリーフとか有名な写真も良いです。人の陰影が濃い。チャイハナの食事チェロケバブもネットで調べればあるものですね。
考察は読者も考えます。亀石は作りかけのグリフィン説は成程ですが、斉明女帝がジッグラドを作っていたなら冠石かなとか、飛鳥時代の奈良も想像出来ない世界でした。日本の古文書はいい加減なのか??
おまけ(?)の小冊子は同行メンバーなどのあとがきです。面白いです。
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5つ星のうち5.0 松本清張氏「ペルセポリスから飛鳥へ」。「火の路」で高須道子のイスファファンで途切れるイラン古跡探訪続編と、明日香の不思議な石造物へイラン探訪から得た推論が「火の路」を深化展開する。
2020年7月9日に日本でレビュー済み Amazonで購入
本書は、イランに遺された特異な宗教や古跡をたどりつつ、古代ペルシアと飛鳥の文化的関連を考察した作品「火の路」の続編である。前半2章は紀行形式で軽く記されている。「火の路」で現地女子大生案内の突っ込みの浅い珍道中的探訪よりも遥かに深化して、次々に出現する古跡の謎にダイレクトに迫り、食い込んでいる。2つの旅が旅行行程順に紹介される。旅の章1:古都レイ(アリの泉、ハルンの牢獄、拝火神殿テペ・ミル)。ハリメジヤンヘの道(カスピ海沿岸の町、ハリメジヤン村の東大調査隊発掘現場で、前10世紀から2世紀、切子ガラス碗を求めて、地下式横穴墓、盗掘の実演、青銅器文化の流路、「絹の道」・「香料の道」・「薬草の道」、7つの円文と古代イランの世界観)。エルブルズ山脈越え(「黒い小さな森」の村、アラムートの「山の老人」と暗殺団、麻薬。旅の章2:シラーズ行き(キュロスの故地・パサルガダエヘ、キュロス大王の墓、キュロスの治世、ペルシアの帝都・ペルセポリス)。ナクシュ・イ・ルスタム(アケメネス朝諸王の墓、方形建造物をめぐって、王権神授図の円盤、「拝火壇」か「祭壇」か、摩崖横穴墓、水の岩を発見、パサルガダエの拝火壇、聖なる水の女神アナーヒターとの関係、有翼の精霊、方形建造物の意味、ペルセポリスをあとに)。イスフアハンからヤズドヘ(イスフアハンヘの途上で、イザードハーストの廃墟、チエヘル・ソトーン宮殿の噴水、ナイーン近郊の絨緞の村、ゾロアスター教寺院の廃墟、アグダー村のカナート。ゾロアスター教の聖地ヤズド(不穏な状況、拝火儀式、ハオマの密儀、ゾロアスターの教理、沈黙の塔へ、戒厳令下の帰路)。どの箇所も、往かなければ知り得ぬ新鮮な驚きに溢れ、生々しくすごいが、記中ハイライトは「ハオマの密儀」であろう。勇気をもって踏み込まなければ掴めない生々しい情景が迫る。…この問答がすむと、祭司はわたしたちを別室に招じた。出入口のドアのほか3方は白壁で、調度品は1つもない。コンクリート床の、およそ20畳ばかりの長方形の部屋であった。祭司はひとりその壁際にあぐらを組んで坐った。前には正方形の白布の敷物の上に銅製の小鉢や銀製の皿のようなものが並んでいる。いずれも黒く、くすんでいた。金属製の小さな棒も添えてあったが、興味深かったのは仏教の独鈷に似たものが2個そこに並んでいることであった。その白布の敷物の外には、大きくて浅い鉢と2、3の道具、それに植物の小枝の束が置いてあった。植物はザクロである。祭司は口に「ガーター」を唱えながら、2つ並んだ独鈷の股にそのザクロの小枝を挾んで搾る。そのあと銅製の小鉢のなかに小枝を入れ、金属棒で上から叩きつぶす。つぶしながらその小さな棒で小鉢の縁をたたくので鉦のような音が鳴る。仏壇の前で鉦を鳴らすのに似ている。そのうちその液汁を小さな穴が並んだ四角い金属性の板の上に移す。濾過された液汁は下の大きな銅製の鉢に落ちる。鉢には茶褐色の液汁が満ちている。その液体の主になるものは、オーストリア放送協会の「光の神話ーザラトゥストラも散らす」にしたがうと、羊の乳かもしれない。この正方形の白布の上に並べられた小道具の配置は、密教の祈檮に用いるのとよく似ている。祭司は風化で黒くなった銀の盃に鉢に満ちた液汁を注ぎ、自分に飲めといって差し出した。濁ってどろりとした液汁をありがたく頂戴して、舌の先で味わった。かすかに薄荷の匂いがする。味はほとんどない。わずかに苦みがある。薄荷の香りがする旨をわたしが云うと、祭司はそれには香料が入っているからだと答えた。ハオマなど種々の薬草を混じたこの液汁が脳神経を麻痺させ恍惚状態になり、はては幻覚症状を起こさせるのかと思うと、少し気味悪かった。これがハオマか?とわたしが訊くと、そうだと祭司は答える。ハオマは何の本から取るのか?と訊くと、赤い色の木から取れるという。赤い木の名前は何か?と再度たずねると、祭司はくり返し「フーム」のみ答える。「フーム」とは何か、通訳にあたってくれた人にもその意味はわがらなかった。考察の章:推論は、猿石、亀石、須弥山石、酒船石、益田岩船などの飛鳥石造物。石の宝殿。法隆寺天蓋。飛鳥寺の伽藍配置から、ペルセポリスや古代インドの柱頭飾り。サザン朝期の彫刻。ローマガラスの出土分布。古代オリエントのジッグラト、など多岐にわたる。「火の路」高須道子の第2論文「飛鳥文化のイラン的要素ーとくに斉明紀を中心とする古代史考察と石造遺物について」の発表推論がより深化展開する。顔が表裏に付いた飛鳥両面石の謎。「火の路」では軽く扱っていたが、旅の章では深化させてトラキアやウラルトゥの技術を記憶していた飛鳥イラン人が石造物に応用したと考えた。その原初を、ペルセポリス、インドベナレスの柱頭飾りをもって説明する。これに触発されて、ローマ神ヤヌス、ヨルダンのアインーガザルの双頭像、天山の双頭同体大像など、清張氏が関心を示していた東北アジアの遊牧民族の双頭文化まで考察を深める。「火の路」でこれらの石造物を、斉明天皇が造営中止した両槻宮の付属物と見ていたのに対し、「ペルセポリスから飛鳥へ」では、蘇我馬子の邸宅の池周りの飾りとして製作されたと見方を変えている。斉明天皇が石上の池辺に須弥山を造り、ペルシア人やトカラ人を供応していることを見ると、清張氏が両槻宮説を放棄した理由を十分理解できなくなる。しかし、読み進めれば、清張氏のペルシア文化東進論の気魄に引きずり込まれ、それが海津信六の研究心を蘇らせ、高須道子を夢中にさせた古代への独自で強烈な憧れがわかる気がする。画像ページの美しいペルセポリスの壮大な列柱、不気味な沈黙の塔、東大寺二月堂修二会の達陀妙法、高野山真言護摩の修法の美しい炎に、ハオマが妖気をもって漂ってくるのではないか?。小さな古書ながら、斬新な編集、内容、装いは最新。すばらしい!。清張氏の古代史と推理の絡み合った余人成し得ぬ執念。取材各位の労作に畏敬を表し、5星。写真:松本清張氏「ペルセポリスから飛鳥へ」表装。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2007年11月6日に日本でレビュー済み
1 レオナルド・ダヴィンチを思わせる
旺盛な探究心に、驚きを覚える。
2 デッサンも正確である。(分陀利華)
3 ペルシアの奥の深さを感じた。
4 なお、ラムサールって、あの条約の。
5 法隆寺の天蓋の説明も巧みである。
ジッグラト(起源は、BC4000年頃?)やピラミッドは、今日では、宗教的な意義が強調されている。
しかし、当初は、。洪水等の災害の際の避難所(柱)だったのでは。「法を島とし」
また、戦争等の物見矢倉(目)だったのか。
さらに、のろし、伝書鳩等の情報伝達手段(船)でもあったのであろうか(太陽の船)。
6 また、エジプトでは、七月の青いスイレンは、避難の合図だったのか(没在於苦海、 光)。ナポレオンは、ジョセフィーヌに、青いバラをプレゼントできなかったので
あろうか。レポート
旺盛な探究心に、驚きを覚える。
2 デッサンも正確である。(分陀利華)
3 ペルシアの奥の深さを感じた。
4 なお、ラムサールって、あの条約の。
5 法隆寺の天蓋の説明も巧みである。
ジッグラト(起源は、BC4000年頃?)やピラミッドは、今日では、宗教的な意義が強調されている。
しかし、当初は、。洪水等の災害の際の避難所(柱)だったのでは。「法を島とし」
また、戦争等の物見矢倉(目)だったのか。
さらに、のろし、伝書鳩等の情報伝達手段(船)でもあったのであろうか(太陽の船)。
6 また、エジプトでは、七月の青いスイレンは、避難の合図だったのか(没在於苦海、 光)。ナポレオンは、ジョセフィーヌに、青いバラをプレゼントできなかったので
あろうか。
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2016年5月27日に日本でレビュー済み
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清張氏の推理は、他の著作でもその傾向があるのだが、形の類似から、いきなり、似た形を生んだ文化圏どうしの交流に飛躍してしまう点が、いかにも、創作を生業とする小説家らしいところだと思う。(例えば、飛鳥の「酒舟石」や「猿石」についての考察など。)
ペルシャ文化をテーマにしても、飛鳥文化とのつながりを、言語学、考古学、宗教学その他の視点から体系的に探るという学問の手続きを踏まないがゆえの、大胆な考え方が可能になるのだろう。ゾロアスター教の預言が、幻覚を引き起こす麻薬によるものであるという説を支持しているのも、清張さんの「推理」としては、おもしろい、というに過ぎない。当のゾロアスター教徒たちは、いまでも、預言を幻覚と結びつけるのを、まったくの誤りとして、厳しく退けているのである。その宗教を信仰している人にとっての真実とは何か、という、いちばん大切な問いに、気づいてほしかった。作家の眼からすれば、少しでも、センセーショナルな推理のできる状況のほうが好ましいのであろう。そもそも、預言というのは、呂律のまわらないような、幻覚症状のもとで行なわれる、無自覚なものではないのである。預言行為が幻覚によるものだったとすれば、今日まで存続する、永い伝統は築かれなかったであろう。
以上のような視点からではなく、どこから創作になるのか、わからないような、古代のロマンにひたりたい人にとって、本書には、最上のエンターテインメントになりうる、奔放さがあると思う。いわば、ロマンの幻想に包まれながら、飛鳥を旅したい人には、たのしいガイドブックとなるのではないか?
・・・ものは、考えようで、楽しみにもなるし、批判の対象にもなるわけである。・・・かくいう小生も、本書の宣伝文につられて、つい、購入してしまったのだった(笑)。
ペルシャ文化をテーマにしても、飛鳥文化とのつながりを、言語学、考古学、宗教学その他の視点から体系的に探るという学問の手続きを踏まないがゆえの、大胆な考え方が可能になるのだろう。ゾロアスター教の預言が、幻覚を引き起こす麻薬によるものであるという説を支持しているのも、清張さんの「推理」としては、おもしろい、というに過ぎない。当のゾロアスター教徒たちは、いまでも、預言を幻覚と結びつけるのを、まったくの誤りとして、厳しく退けているのである。その宗教を信仰している人にとっての真実とは何か、という、いちばん大切な問いに、気づいてほしかった。作家の眼からすれば、少しでも、センセーショナルな推理のできる状況のほうが好ましいのであろう。そもそも、預言というのは、呂律のまわらないような、幻覚症状のもとで行なわれる、無自覚なものではないのである。預言行為が幻覚によるものだったとすれば、今日まで存続する、永い伝統は築かれなかったであろう。
以上のような視点からではなく、どこから創作になるのか、わからないような、古代のロマンにひたりたい人にとって、本書には、最上のエンターテインメントになりうる、奔放さがあると思う。いわば、ロマンの幻想に包まれながら、飛鳥を旅したい人には、たのしいガイドブックとなるのではないか?
・・・ものは、考えようで、楽しみにもなるし、批判の対象にもなるわけである。・・・かくいう小生も、本書の宣伝文につられて、つい、購入してしまったのだった(笑)。
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