2020年7月31日金曜日

諸星大二郎「遠い国から」

参考:
スヌーピー最終回2000 作業中
鬼滅第17巻 作業中
NAMs出版プロジェクト: 手塚治虫『ブッダ』
http://nam-students.blogspot.jp/2015/02/blog-post_6.html
NAMs出版プロジェクト: 米澤嘉博 「コミケ」を支えた男
http://nam-students.blogspot.jp/2014/12/blog-post_16.html
NAMs出版プロジェクト: 「お金がわいて出た話」
https://nam-students.blogspot.jp/2017/08/blog-post.html
白土三平 2017
近藤ようこ

諸星大二郎「遠い国から」
https://freeassociations2020.blogspot.com/2020/07/blog-post_86.html @
諸星大二郎特選集 3 遠い世界 (ビッグコミックススペシャル)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4091857590/
「遠い国から」『コンプレックスシティー』(1980)所収バージョンと比べるとわかるのだが、本書所収の「遠い国から」(2014)は無駄な仕事を取られないために一途になる男の描写2頁分が丸々カットされている。これは出版社のミスかもしれないが改悪だ。
多分作品コンセプトに仕事の描写が不純なものとして作者が考えたと推察する。
その2頁は今日の日本の官僚制を想起させる素晴らしい描写だっただけに惜しい。

ただし冒頭カラー化は成功しているし(本書最初と最後の短編は失敗作)、諸星大二郎が近藤ようこと並ぶ現存する巨匠であることは揺るがない。宮崎駿が一目置くだけのことはある。他の漫画家とはレベルが違う。







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https://i.gyazo.com/96d5eece7078412b4e29b527286fad6a.jpg

https://i.gyazo.com/aced120005b3061c18cede6212f08876.jpg
ステラ2021/01/15

ダウンバースト発見命名者、藤田哲也

ブレイブ 勇敢なる者「Mr.トルネード~気象学で世界を救った男~」
ダウンバースト発見命名者、藤田哲也のドキュメンタリー

日本史に学ぶマネーの論理 飯田 泰之 (著) 目次

   ( 経済学リンク::::::::::
NAMs出版プロジェクト: 経済学日本人著者入門書
http://nam-students.blogspot.jp/2016/10/blog-post_9.html
NAMs出版プロジェクト: 経済学講義 (ちくま新書) 飯田 泰之 2017/9/5 目次
2017/9/5ちくま新書 飯田泰之 経済学講義
Field experiments in economics: Steven D.Levitt John A.Listab、進化する 経済学の実証分析 経済セミナー増刊2016
http://nam-students.blogspot.jp/2017/09/field-experiments-in-economics-past.html
『日本史に学ぶマネーの論理』飯田泰之 2019 目次


日本史に学ぶマネーの論理 Kindle版


http://yasuyuki-iida.hatenablog.com/entry/2019/05/09/095922
『日本史に学ぶマネーの論理』飯田泰之 目次
https://freeassociations2020.blogspot.com/2020/07/blog-post_31.html @

はじめに
第1章 国家にとって「貨幣」とは何か──律令国家が目指した貨幣発行権
1 はじまりの貨幣
日本最古の貨幣/貨幣に関する用語整理/古代貨幣の謎──富本銭の発見/無文銀銭から富本銭へ/富本銭プロジェクトの限界
2 本格的名目貨幣としての和同開珎
プロモーション戦略と改元/「つなぎ」としての和同開珎銀銭/和同開珎銅銭の受難
3 その後の和同開珎と銭のない時代
貨幣の3機能/価値尺度機能と貨幣発行益/古代貨幣の黄昏/皇朝十二銭──〈価値保蔵機能〉の喪失/貨幣発行益の本当の目的/政府貨幣の古代史の終焉

第2章 貨幣の基礎理論を知る──マネーは商品か国債
1 物々交換神話とマネーのヴェール観
欲求の二重一致/交換の要としての貨幣/貨幣は中立的か非中立的か/価格硬直性と貨幣の役割
2 負債としてのマネーと貨幣法制説
贈答関係とマネー/貨幣法制説と政府負債/貨幣発行益が生まれる条件
3 貨幣の完成と無限の循環論法
貨幣の本質はどこにあるのか/貨幣であることのプレミアム

第3章 信頼できる債務者を求めて──貯蓄への渇望が銭を求めた
1 古代から中世の日本経済
律令制と古代の高度成長/分権化する経済支配/衰退の中世と繁栄の中世
2 銭なき時代から貨幣の機能を考える
信用経済は現金経済に先行する/債権者がいない負債/資産と負債の割引現在価値/貯蓄手段の渇望
3 中世銭貨はいかにして貨幣となったのか
商品説から生まれ法制説によって成る/不足する銭とデフレーション/金融業の隆盛と室町時代の最適期/さらなる「信頼できる債務者」の登場/マネーの量は何が決めるのか/信用経済の終焉とその後の貨幣

第4章 幕府財政と貨幣改鋳──日本における「貨幣」の完成
1 三貨制度と江戸経済の260年
本位貨幣としての金・銀寛永通宝グレシャムの法則/新田開発ラッシュと江戸の経済成長
2 元禄の改鋳──名目貨幣への道
慢性化する財政赤字/名目貨幣の復活としての元禄改鋳/二朱金の発行と改鋳の進捗/改鋳による利益と改鋳への批判/貨幣発行益はどこから来るのか
3 転換点としての元文の改鋳
正徳の改鋳がもたらしたデフレーション重商主義の誤謬と根拠/享保の改革の意義と限界/そして元文の改鋳へ
4 完成する日本史の中の貨幣
田沼期の政治と金貨の銀貨化/家斉・忠成の改鋳と名目貨幣の完成/「日本の貨幣」の終焉

終章 解題にかえて──歴史から考える転換期の貨幣
税金クーポンとFTPL/信頼できる債務者としての政府/定常不況と貨幣の呪術性・神秘性/シニョリッジは誰のもの?/暗号通貨と複数通貨の可能性

おわりに
参考文献 

Van Morrison- Enlightenment ( Rehearsal) 14th November 1990

Van Morrison and Hakuin


参考:
NAMs出版プロジェクト: 白隠 隻手音声
Manual of Zen Buddhism: V. From the Japanese Zen Masters
http://www.sacred-texts.com/bud/mzb/mzb05.htm
ダブルバインド(Double bind)Bateson, G.1956


白隠慧鶴
Hakuin Ekaku (1686-1769) 禅僧

白隠云く 、 「両掌相打って声あり 、隻手(せきしゅ)に何の音声(おんじょう)かある 」 。

Hakuin said,
"I make a sound when I clap both my hands." "Then, please report what is the sound of one hand clapping."


Van Morrison- Enlightenment ( Rehearsal) 14th November 1990




Bunkamura「白隠展 HAKUIN Visual Tour
禅画に込めたメッセージ」ビジュアルツアー







白隠慧鶴
Hakuin Ekaku (1686-1769) 禅僧

Japanease Zen Buddhist
Hakuin Ekaku (1686-1769),

Sekishu no koe (The voice of one hand clapping) (隻手の声)

Sekishu no koe' or sekishuonjo (The sound of the one hand) was one of the representative Koans of Zen, invented by Hakuin. 
Hakuin was said to have stated this while addressing Zen practitioners,
"I make a sound when I clap both my hands." "Then, please report what is the sound of one hand clapping."




Japanease Buddhist
Hakuin Ekaku (1686-1769),Ant on a Stone Mill



龍雲寺コレクション
http://iriz.hanazono.ac.jp/hakuin/rekihaku/
[32]蟻磨      Gima       Ant on a Mill


磨をめぐる 蟻や世上の耳こすり

Ma o meguru ari ya sejo no mimi kosuri
An ant circling the handmilla hint for the world.

「耳こすり」は「耳もとでささやくこと、耳語」、あるいは「あてこすり」の義である。渡世であくせくするのも所詮は「磨を遶る蟻」みたいなものだ、という意。
 『荊叢毒蘂』には「題蟻遶磨図」賛があり、次のようにいう。
 
   閑蟻、鉄磨を遶る、遶り遶って休歇{きゆうけつ}無し。
  六趣の衆生に似て、輪転して出期{しゆつご}無し。
  此に{ここ}生まれ、彼{かしこ}に死し、鬼{き}と成り、蓄{ちく}と成る。
  此の患難{げんなん}を免れんと欲せば、須らく隻手の声を聞くべし。

あくせくと石うすをめぐり歩く蟻を、いつまでも六道に輪回していて、いくたびも畜生に生まれ変わって、そこから脱却できぬ衆生に譬え、その苦難から逃れるためには、何としても隻手の声を聞かねばならぬ、という趣旨である。

In his inscription Hakuin suggests that the busy-ness of the world is of no more importance than the circling of an ant on top of a handmill. In his Keiso Dokuzui Hakuin writes, “A silent ant circles an iron handmill, around and around with never a rest. Beings in the Six Paths of Existence are like this, suffering rebirth and redeath and never finding release. Born here, dying there, becoming a demon, becoming an animal. If you seek liberation from this sorrow, you should hear the sound of one hand.”


「隻手」を含む例文一覧 (5)

  • 隻手をもって敵を喰い止めた
    He checked the enemy single-handed. - 斎藤和英大辞典
  • 隻手の声(せきしゅのこえ)、隻手音声(せきしゅおんじょう)は、白隠が創案した禅の代表的な公案のひとつ。
    Sekishu no koe' or sekishuonjo (The sound of the one hand) was one of the representative Koans of Zen, invented by Hakuin. - Wikipedia日英京都関連文書対訳コーパス
  • 隻手声あり、その声を聞け」(大意:両手を打ち合わせると音がする。)
    "I make a sound when I clap both my hands." - Wikipedia日英京都関連文書対訳コーパス
  • 有名な公案として「隻手の声」、「狗子仏性」、「祖師西来意」などがある。
    Famous koan are such as 'Sekishu no koe' (the sound of one hand), 'Kushibussho' (whether a dog have the Buddha-nature) and 'Soshi Seiraii' (why the Dharma came from the west). - Wikipedia日英京都関連文書対訳コーパス
  • 中でも自らの悟りの機縁となった「隻手の声」と「狗子仏性」の問いを、公案の第一に位置づけた。
    He regarded the questions 'Sekishunokoe' (the sound of one hand clapping) and 'Kushibussho' (a question asking whether it is possible for a dog to have the Buddha nature or not), which enlightened him, as the most important of all the koan. - Wikipedia日英京都関連文書対訳コーパス


ファーウェイ

人権侵害!著作権違反!アメリカの逆鱗に触れた中国5G構想はなす術なし!?日本を含む周辺国も陣営を決める時が来た!

https://youtu.be/laUbv_9jqko






上昌広医師に新型コロナウイルス、検査・ワクチン・治療薬について聞く 2020/07/23



【上昌広医師に新型コロナウイルス、検査・ワクチン・治療薬について聞く】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#25
2020/07/23

田原舛添
https://freeassociations2020.blogspot.com/2020/09/14-20200917-httpsgendai.html


https://twitter.com/KamiMasahiro/status/1299907173074386944?s=20


サワコの朝より
岡田晴恵さん

「感染予防を伝えたい」

#岡田晴恵
#はしか
#絵本
http://twitter.com/hitomiito11/status/1297448321284337665

第三波対策には無症状の人にPCRをしなければなりません。なぜなら、その中に医療従事者などエッセンシャルワーカー、社会的弱者が含まれるからです。ところが、加藤大臣を先頭に、徹底的に抵抗しており、臨時国会はもちろん、通常国会も考えていません。終息後の一点張り。解釈拡大でやってきていると
https://twitter.com/kamimasahiro/status/1297333285807222786?s=21

法律の拡大解釈とは、厚労省の「恩恵的措置」です。特別に認めてやろうと。感染症法に明記してはじめて、日本中どこでも国民の「権利」となります。厚労省がコロナ対策で感染研と保健所に拘ることができるのは、2000年代の法改正で明記されたからです
https://twitter.com/kamimasahiro/status/1297332956839591938?s=21

上 昌広 (@KamiMasahiro)
このポイントが新型コロナ対策の本質ですが、専門家会議もマスコミも突っ込みません。
日本で第二波が拡大したのは、「無症状の人」に公費で検査をしなかったから。これは感染症法を改正しないとできません
https://twitter.com/kamimasahiro/status/1297333285807222786?s=21


報道1930まとめ20/8/20放送 [前半のみ]

4:10 感染症法に基づいて健康保険(に関する法)を規制することは違法






Runner (@PV_Runner)
【報道1930】20/8/20抜粋(1)~(12)
武見敬三と上昌広が感染症ムラ問題を論じる必見の回。
ただし、"官僚主義"や"専門家支配"という語を出すべきであったと私は思う。

(1)なんと、保健所を通さなくてもPCR検査は法律上は保険適用になるはずなのに、厚労官僚が阻止してるらしい。 pic.twitter.com/7mAacXrbAP

https://twitter.com/pv_runner/status/1296935519935270913?s=21



あらかわ (@kazu10233147)
報道1930 で上昌広さん
戦前は、軍と内務省が両輪で感染症対策を遂行した。
戦後の厚生省は陸海軍人が戦地から帰ってきてやっている。戦前の国立病院は、ほぼ軍の病院。国立国際医療センターも陸軍病院。
保健所は、健民健兵政策と徴兵制度の仕組。戦後、731部隊も帰ってきてこの枠組を主導。 pic.twitter.com/xxyosRKydd

https://twitter.com/kazu10233147/status/1296427063294005250?s=21

なぜ検査数が増えないか?
保健所を必ず通す行政検査の仕組みは保険が効くけどパンク状態で、情報を独占したい厚労省官僚と感染研の思惑が民間機関による検査の保険適用を阻んでいるという上昌広先生の解説。
これって岡田晴恵先生も春頃からずっと言ってたような🤔
#報道1930

http://twitter.com/GANAIX/status/1296411384280952833

日本で検査が増えないのは、公費でPCRができるのは、感染疑いか濃厚接触者に限定されているからです。これは感染症法によります。法改正をしないと、医師や看護師などのエッセンシャルワーカーやホームレスのような社会的弱者に公費で検査できません。そんな先進国は日本くらいです

http://twitter.com/KamiMasahiro/status/1296379030082473987



2020年7月29日水曜日

ながい窖

「ながい窖」(サンデー毎日1970年11月6日増刊号掲載)。大企業の重役を勤める在日朝鮮人(作中では帰化朝鮮人という設定で、帰化朝鮮人と在日朝鮮人は厳密には違うが、便宜上、在日朝鮮人としておく)の苦悩を描いた作品だ。

 私はこんな作品を手塚が描いていたことをまったく知らなかった。というのも本作は手塚治虫漫画全集や無数にある文庫本には収録されていない。サンミリオンコミックス『空気の底』下巻(1972年刊)にのみ収録されているが、絶版である。但し古本屋では比較的安価で買える。私も1500円程度で購入した。※付記7

 手塚プロダクションのwebサイトでも、名前は載っていても作品解説はない。インターネット上でも少数のサイトしか触れていないし、世に数多ある手塚研究書でも本作が大きく扱われたことはないようである。

 
http://gaagle.jp/gagazine/print.php?kiji_id=4805

手塚治虫が描いた「在日」

「ながい窖」(サンデー毎日1970年11月6日増刊号掲載)。大企業の重役を勤める在日朝鮮人(作中では帰化朝鮮人という設定で、帰化朝鮮人と在日朝鮮人は厳密には違うが、便宜上、在日朝鮮人としておく)の苦悩を描いた作品だ。

 私はこんな作品を手塚が描いていたことをまったく知らなかった。というのも本作は手塚治虫漫画全集や無数にある文庫本には収録されていない。サンミリオンコミックス『空気の底』下巻(1972年刊)にのみ収録されているが、絶版である。但し古本屋では比較的安価で買える。私も1500円程度で購入した。※付記7

 手塚プロダクションのwebサイトでも、名前は載っていても作品解説はない。インターネット上でも少数のサイトしか触れていないし、世に数多ある手塚研究書でも本作が大きく扱われたことはないようである。

 以下はあらすじである。ネタバレ注意。

 大企業・長浜軽金属の専務取締役である森山尚平(トップ画像の男)。部下に慕われる気風のいい男だ。娘と息子と妻に囲まれた家庭も円満。彼は元々は「趙」という姓の朝鮮人であったが、今は帰化して日本国籍を取得している。だが、差別や迫害を恐れるあまり、それを周囲には徹底的に隠している。朝鮮人であったこと(あること)は、森山の心において深いトラウマとなっており、焼肉屋に誘われるだけで眩暈を起こすほどである。また、永住権取得朝鮮人を、朝鮮人だからという理由だけで、会社の面接で落としたこともある。自分が朝鮮人だと思われたくないために、朝鮮人を差別したのだ。

 ふと夜の街で、森山は在日同胞の金文鎮トルコ風呂の主人)と再会する。金とは第二次世界大戦中、日本軍により岐阜県瑞浪の戸狩山に強制連行され、地下壕(ながい窖)を掘らされていた時以来の仲だ。終戦後、ブローカーをやり、土地の売買で金をもうけ、二人は今の地位を築いた。
auto_eBKSvw.jpg 森山と金は酒を酌み交わす。すると、金は「女房の親戚の除を匿って欲しい」と森山に持ちかける。除は、4回も日本に密入国しては強制送還された経験があり、今回は大村収容所(現・大村入国管理センター)から脱走したのだという。

森山「そんなのはきみのほうでなんとかしたれ」
金「それがやな………“北”なんで………………」
森山「そしたらよけいかんけいないやろ!」


 だが、森山は友誼に折れ、厄介者(朝鮮人という出自に苦悩している上、社長の椅子が目前になっている森山にとっては厄介者以外の何物でもない)の青年・除英進(下の画像)を暫くの間匿うことになる。
auto_wiWOFU.jpg 除が日本に密入国をした理由は「生き別れのオモニに会いたい」という一心だけであり、一目会えたら帰国していいと思っている(朝鮮民主主義人民共和国に帰りたい奴なんているか? ということは、今の我々だから考えられるのであって、1970年の手塚は朝鮮民主主義人民共和国の惨状など想像もできなかっただろう)※付記4。その除の親を想う心に、森山の娘・亜沙子は惹かれていく。森山はこれも面白くない。森山は朝鮮語が喋れない。※付記8 森山の子供も喋ることができない。その前で平然と朝鮮語を話す除に、森山は甚だしく苛立つ。

 除のオモニらしき人物は、亜沙子の協力もあって見つかる。だが、除と亜沙が「オモニ」の働く託児園に近づくと、除を捜査していた刑事が待ち構えていた。焦って逃げる二人は、トラックの前に飛び出てしまい、事故死する。

 霊安室に駆けつけた森山。
検視官「森山さん…あなたのおじょうさんですか?」

 泣き叫ぶ妻の横で、森山は涙一つ見せず言う。
森山「ちがいます………………私の友人の娘さんです」

 亜沙子の弟のは、そこまでして「自分が帰化朝鮮人であること」を隠そうとする父親が許せない。「ねえさんはきっと泣いてますよ。実の親なのに娘と呼んでくれなかったのはなぜだって……」

 逆上する森山。それが久を尚更怒らせる。
auto_fzZZIs.jpg 久は父親への反抗心と、急激に芽生えた朝鮮民族としてのアイデンティティをむき出しにし、朝鮮高校への転入を決意する。

 久は「朝鮮民族と日本人とはある程度理解しあってる――すくなくとも日本人はぼくらに遠慮があるはずだ」だからこそ正々堂々と朝鮮人だと名乗るべきだと考えている。そうして、朝鮮学校での「愛国的」な教育も受けていく。

 その結果、久はやがて日本人の不良とのケンカ(というよりも凄絶なリンチ)により、半死半生の重態に陥る。
auto_BlrFtO.jpg 森山は久が搬送された病院からの知らせに「その子は…たぶん…うちのせがれではありません……いや…そ そういうわけでもないのです 知人の子どもなのです 私の息子が朝鮮学校へいってるわけがないじゃありませんか……」と涙ながらに嘘をつく。

 森山は、久を半殺しにした不良の通う学校の校長に直談判して釈明を求める。しかし校長は森山の出自を見抜き「朝鮮人がひとりやふたりなぐられた そんなことで全校生徒をよび出してしらべられますか!」「たかが朝鮮人のことで責任もてというんですかね? 冗談じゃない」とはねつけ、「さ もうお帰り下さい なんならあなたの会社へ 電話して ぶちまけてもいいですがね つまり………………あなたの素性をだ」と脅す。

 最終ページの1コマ。
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―――――――――――――――――――――――――

 さて、全体的に話の筋が急展開の連続めいている雰囲気があって(特に後半)、本来ならばこれは単発読みきりではなく前後編あるいは3回ほどの短期連載でまとめるべきだったとは思う。手塚の短篇の中でも、純粋にマンガとしての完成度はそれほど高いものではあるまい。

 但し、そのメッセージ性は現代の我々にも強いものがある。自らの出自に誇りを持てない在日朝鮮人、出自を隠すために同じ朝鮮人を差別する弱さ。その背景にある日本人からの陋劣な蔑視。さらに日本の戦争責任さえも問いかける。

「アドルフに告ぐ」「ジョーを訪ねた男」など、ユダヤ人や黒人への差別を扱った手塚作品は知名度が高い。だが、何故朝鮮人差別を扱った本作が、全集に再録さえされず、殆ど封印作品と同じような扱いになっているのか。

 確かに、本作に登場する朝鮮人は、善男善女が好む「カワイソウな、完全被害者としての朝鮮人」とは半歩ずれている。朝鮮人が朝鮮人を差別したり、トルコ風呂のオーナーとして性的搾取をしているという描写に都合が悪い人はいるだろう。あるいは、「こんな風に日本人を悪く描くな! 悪いのは全部朝鮮人だ!」と叫ぶ方面の善男善女にも都合が悪いだろう。※付記5 そのために復刻されないのだろうか? 誰かが圧力をかけているとしたら唾棄すべきことだし、手塚プロダクションあるいは出版社の自主規制だとしたら残念なことである。無論手塚自身が「この作品は封印する」と言っていたのならばその意向は尊重すべきではあるが。

 呉智英は手塚治虫の創作姿勢を「すべての価値観への不信」としたが(『現代マンガの全体像』『サルの正義』)、手塚はステレオタイプな「気の毒な朝鮮人」という価値観にも不信の念を抱いていたが故に、このような描き方にならざるを得なかったのではないか(勿論その半面で、被差別者への同情・慈しみの心が多大にあったことなど、くだくだしく言うまでもないことである)。

 いずれにしろ、40年前の在日朝鮮人の状況を知る上での貴重な資料であり、また今なお在日朝鮮人問題が大きなしこりとなっている中、改めて復刻されて読まれるべきだと強調しておく。

「在日朝鮮人を描いたマンガ」の情報提供は今後も募集しています。よろしくお願いします。
(文責・岸本元。画像は著作権法32条に基づく引用の範囲内と考えるが、勿論手塚プロダクションから抗議があれば画像は消します)

付記1 完成度が低いから再録されなかったという意見は、私は採らない。失敗作と自身で認定した「サンダーマスク」や、なんとも陰惨で救いのないとした「ボンバ!」なども全集に収録されているからである。

付記2 1970年前後の手塚作品の絵には表現主義あるいはそれに前後する時期の美術の影響があると私は見ているのだが(特に「ボンバ!」ではマルク・シャガール、エドヴァルド・ムンクの引用がある)、これについて誰かが指摘している論文等があればご教示いただければ幸いである。本作も強制労働やリンチのような残虐なシーンを敢えてそういった美術の手法で描いている様子がある。

付記3 「徐英進」ではなく「英進」と一貫して表記されている。一般的な朝鮮姓なら「徐」であるが、誤植かどうかは不明。

付記4 この点、2つほど指摘を受けたので見せ消ち。一つは1970年の朝鮮民主主義人民共和国は大韓民国と比較して必ずしも劣悪な経済状況ではなかったので帰国はあり得るということ。もう一つは「たとえ劣悪な祖国であってもそこに帰りたいと思うのは自然な心理でありそれを否定するのはどうか」ということで、前者はその通り、私が無知でした、すみません。後者も、私はそういう心情をまったく持たないが、理解は出来る。私の誤解や内なる差別心を剔抉してくれた人には感謝している。

付記5 赤字は11月12日付追記。「右からの圧力だろう」という推理がブクマコメントにあったが、たしかにそういう説も否定は出来ない。そういうことに思いが至らなかったのは私の偏見であろう。深く反省しておく。なお、原稿紛失の可能性もある。

付記6 11月13日付でコメント欄閉鎖。まさかこんなに酷いことになるとは思わなかった。もうすっかり私は嫌になってしまった。文句があるならメールで直接言って来るように。
looksthatkillあっとmail.goo.ne.jp

付記7 閉鎖したコメント欄で指摘してくれる人がいましたが(こういう有益なことも消さざるを得なかったのは陳謝致します)、あくまでも1972年の版であり、1978年の改訂新版には未収録とのこと。この6年の間に何があったのかはまた別途調査の余地があるが、ともあれ、間違えて改訂新版を買わないように。なお、比較的安価で買えるとしたのは11月上旬に「日本の古本屋」「スーパー源氏」などで検索しての話で(私は四国の古本屋に直接注文した)、どういうわけか今では在庫が払底している模様。今後、復刻されない限り古書価の高騰が予想される。国立国会図書館には架蔵されている。

付記8 「在日1世が朝鮮語を喋れないというのはあり得るのか」という疑義の指摘を受けた。確かに、作中、森山は娘や息子が喋れないとは言っているが、自分が喋れないとは言っていない。但し頑なに日本語を使い、徐にも日本語で話すことを要求している。指摘のように「使用可能だが、決してそうしようとはしない」というような気はする。(11月17日)

付記9 作中に出てくるハングル(チョソングル)に少々誤字があるように思う。朝鮮語に堪能な人、ハングルに精通する人が読んで指摘するのを待ちたい。(11月17日)

付記10 付記ばっかり多くてごめんなさい。


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二酸化炭素貯留

二酸化炭素貯留

火力発電所から排出される二酸化炭素を、地形と環境を利用して吸収・固定する方法を模式的に表した図

二酸化炭素の貯留(にさんかたんそのちょりゅう)とは、気体として大気中に放出された、あるいは放出される直前の二酸化炭素を人為的に集め、地中水中などに封じ込めること、また、その技術のことである[1]。CO2貯留、二酸化炭素地中(水中)固定、二酸化炭素地中(水中)隔離、炭素隔離など、さまざまな名称がある。いくつかの方法があるが、現在研究が推進されている代表的なものに二酸化炭素の回収・貯蔵 (CCS[1][2]があり、代名詞的に用いられている。分離・貯留したCO2の有効利用を加えたCCUSという取り組みもある[3]

化学工学的に二酸化炭素を分離回収し、それを貯蔵・利用する手法であり、普通、光合成によるものなど、生物による二酸化炭素の吸収と貯留は、炭素固定と呼んで区別する。

二酸化炭素の貯留に関しては、二酸化炭素の回収方法と貯留方法にそれぞれいくつかの種類がある。

回収

回収方法として代表的なものの1つが、火力発電所工場などで燃料燃焼によって排出される二酸化炭素を回収するもの、つまり排出源から効率よく回収を行いそれを貯蔵する方法である[4]。二酸化炭素の回収・貯蔵 (carbon dioxide capture and storage, CCS)、二酸化炭素の回収・貯留、二酸化炭素の分離・回収、二酸化炭素隔離、炭素隔離など、さまざまな呼び方がある。

回収方法としては他にも、大気中に含まれる二酸化炭素を集めて貯留する方法、木材など将来二酸化炭素を放出するもととなる物質を集めて貯留する方法なども考えられる[4]。大気中からの回収に関しては、化学的に行わなくても植林等により行える(植林による吸収源活動は、二酸化炭素貯留・CCSとは別の活動であり、分けて考える。ただ、バイオマス技術やその二次利用技術に関しては関連性の深いものがあるため、一体的に考える場合もある)。大気中からの化学的な回収は技術的に容易ではない上、回収効率や大気中二酸化炭素濃度の削減効果が高くないので、現在のところほとんど行われていない。

回収対象

大規模排出源での回収
工場発電所ガス田油田鉱山など、二酸化炭素を大量に排出する場所で回収を行う。回収の効率は良い。
分散型排出源での回収
自動車航空機船舶発電機家庭など、少量ながら発生源が多数あるものから回収を行う。回収の効率は悪い。

回収技術

吸収法

化学吸収法
二酸化炭素を反応吸収するアミンなどのアルカリ性の溶液を用いて、二酸化炭素を分離・回収する手法[5][6][7]。吸収した溶液を加熱してCO2を分離する「再生工程」で消費する熱コストが問題となっている。化学工場プラントなどで実用化しているものもある[6]
固体化学吸収法
二酸化炭素のみを吸収するような固体に、二酸化炭素を吸収させて分離・回収する手法[5][8]。固体にはリチウムシリケート酸化亜鉛などを用いる[5]
物理吸収法
高圧でメタノール、ポリエチレングリコール等の溶解度を上げた液体に二酸化炭素を物理的に吸収させ、分離・回収する手法[5][6]。大規模化が比較的容易。化学吸収法に比べて必要な熱量が小さく、排気ガス中に含まれる硫黄酸化物の影響による吸収液の劣化程度も小さい。吸収能力が溶解度に依存する[6]。冷メタノール吸収液などが実用化されている[6]

物理吸着法

ゼオライト活性炭アルミナなどの吸着剤に、二酸化炭素を選択吸着させ、分離・回収する手法[5]。さらに、圧力を変化させて二酸化炭素を選択的に分離・回収を行う方法をPSA法といい、温度を変化させて行う方法をTSA法という[1]。その双方を組合わせた方式をPTSA法という[1]。日本国内では、電力会社に実施例がある。

膜分離法

セルロースアセテートなどの多孔質の高分子膜にガスを透過させ、透過速度の違いを利用して、二酸化炭素を選択的に分離・回収する手法[5][9]。プロセスが簡単で運転が容易であるため、将来的には期待できる技術である。二酸化炭素の回収率の低さ、膜材料の耐久性、分離膜が高価なことなどに課題がある。

深冷分離法

ガスを圧縮液化し、蒸留により他の不純物を除去し、二酸化炭素を選択的に分離・回収する手法[5]。液化二酸化炭素としての回収は実用化され実績がある[5]

酸素燃焼法

二酸化炭素が発生するボイラーや燃焼炉において、支燃ガスに空気ではなく酸素を利用する酸素燃焼が二酸化炭素回収でも利用される[10]。窒素が含まれないため、燃焼後の排ガス中の二酸化炭素成分が大きく、そのまま回収することができるからである[10]。排ガス中の窒素酸化物も抑えられ、硫黄酸化物などの耐久性への影響も考慮する必要がなく、既存の燃焼炉などの改造が容易で、なおかつ燃焼炉の燃焼効率を向上させるなどの特長がある[11]。ただし、ASU(空気分離装置)にエネルギーが必要とし、ASUのコストがかかり、分離回収する二酸化炭素の純度を確保することに課題がある[7]

水蒸気改質・水性ガスシフト反応

炭化水素燃料をそのまま利用するのではなく、水蒸気改質を利用して一酸化炭素と水素へ、さらに水性ガスシフト反応で一酸化炭素を二酸化炭素と水素に変換、二酸化炭素と水素の混合ガスを得る。

水素はパラジウムなどを利用した分離膜で精製可能であり、精製後には二酸化炭素ガスが残る。

燃料電池の使用

燃料電池は空気極と燃料極が物理的に隔絶されているため、燃料が反応してできる二酸化炭素と空気が混じり合うことがなく、これといった分離手段を用いずとも高純度の二酸化炭素ガスが得られる。

貯留

貯留方法としては、大気中へ染み出るリスクが小さい地下の帯水層、または枯渇した油田・ガス田への封入[12]、地中の油田などに封入することで採掘効率を上げる方法や、河川海洋への溶解深海底で水ハイドレートとして沈着させる方法などがある[13]。油田への封入が実用化されているほかは、多くがまだ研究段階にある。

以上のような方法で二酸化炭素を貯留する最大の目的は、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの1つである二酸化炭素の大気中濃度を下げることである。日本の二酸化炭素排出量は2017年度で11.9億トンのところ、日本近海での潜在的な貯留可能量は約1,460~2,360億トンと見込まれている[12]国際エネルギー機関の報告書によると、2060年までの累積での二酸化炭素削減量の14%(19億トン/年)をCCSが担うことが期待されている[14]

しかし、貯留に際して、どれだけ貯留が可能かは不明で[12]、二酸化炭素が十分に封じ込められるのかどうかといった問題、海中への封じ込めの際に急激な上昇流が発生し作業船が転覆するなどの危険性もある。また、二酸化炭素を数十億トン貯留可能な適地は日本近海に数か所と評価されており、大規模な排出源から距離があるため、輸送手段にも課題がある[14]

貯留手法

地中隔離法

炭層固定
石炭に吸着しているメタンをコールベットメタンと呼ぶ。石炭にメタンより二酸化炭素が吸着されやすく、メタンと二酸化炭素が置換される。この性質を利用して、地中の石炭層に二酸化炭素を封入し、メタンを回収する方法[13]
帯水層貯留
地中の帯水層に高圧の二酸化炭素を封入し、地下水に溶解させるなどして固定・貯留する手法[13]。帯水層中の二酸化炭素は超臨界流体である。長岡で実証実験が行われた[13]
油層・ガス層貯留
地中の油層ガス層に二酸化炭素を封入する手法[13]。採取が行われている油層やガス層に封入することで層内の圧力を高めて産出量の増加に利用する「石油増進回収法」[13](enhanced oil recovery, EOR) と、採取がされていない油層やガス層に封入した後密閉する手法がある。
鉱物固定
二酸化炭素を封入した地層内で反応させ、鉱物化させて固定する手法。蛇紋岩層への固定、高温の岩石への固定などがある[13]。技術的には研究段階にある。
海底下ハイドレート貯留
海底下の孔隙率の高い層で、二酸化炭素をハイドレート化(固体)させて貯留する手法[13]。ハイドレート化可能な代表的な温度・圧力は,10℃以下,4.5MPa以上。CO2ハイドレートの生成で地層が閉塞することなく,長期間・安定して注入する技術が検討されている.
ゲスト分子置換法
ハイドレート格子にメタン分子より二酸化炭素分子の方がトラップされやすい性質を用いて、メタンと置換する方法。米国やドイツで検討されている。米のConocophillips,JOGMECが,2012年にアラスカでField trialを共同で行うと報道されている.
メタンへの変換
二酸化炭素を、封入した地層内で、メタン菌を利用してメタンにして貯留する手法[13]。技術的には研究段階にある。

海洋隔離法

溶解・希釈
大規模排出源で回収された二酸化炭素を海洋に注入する手法[13]パイプラインを通して海洋の表層・中層に注入し溶解させる手法と、タンカーなどで輸送して海洋の中層・深層に注入し希釈させる手法とがある[13]。前者では気体または液体、後者では液体として注入する[13]。技術的には研究段階にあるが、パイプライン式はコストが安くなると予想されており、実現性は高いとされている。
海底貯留
大規模排出源で回収された二酸化炭素をタンカーなどで輸送して、深海底に液体として注入し貯留する手法[13]。技術的には研究段階にある。

分解法

プラズマ分解法
二酸化炭素にプラズマを照射し、炭素一酸化炭素に分離する手法[15]。温室効果ガス削減のためには電源を再生可能エネルギーとする必要がある。
金属と反応させる方法
精製した金属に二酸化炭素を触れさせた後、水素と反応させて炭素として分離する手法。金属にはマグネタイトマグネシウムを用いる[15]。温室効果ガス削減のためには、水素の精製に際して再生可能エネルギーを用いたり、再生可能な資源を用いることが必要。
メタンを利用する方法
酸化金属に二酸化炭素とメタンを触れさせ、化学反応により炭素とにして分離する手法[15]。エネルギー効率が悪い。
化石燃料の分離
化石燃料を炭素と水素に分離し、炭素は地中に封入、水素をエネルギーとして利用する手法[15]。エネルギー効率が悪い。

化学製品への利用

炭酸塩固定

二酸化炭素を炭酸塩として固定する手法[15]。アルカリ土類金属であるカルシウム塩マグネシウム塩を利用するものと、珪酸塩アルミン酸塩の風化を促進させてこれを利用するものがある[15]

化学合成への利用
二酸化炭素を、他の物質の合成に利用して工業的に炭素固定する手法。二酸化炭素と水素を触媒反応させてメタノールDMEなどを合成するもの[15]や、二酸化炭素とモノマーを共重合させるなどしてポリカーボネートなどの高分子を合成するものなどがある[15]
所要のエネルギーを再生可能エネルギーとすること、また生成物を燃料として使わないことが必要である。
しかし一方で原子力による熱化学水素製造(IS法)の進歩と天然ガス価格上昇により、CO2を排出せずに在来法並のコストで水から水素/酸素が供給できる目処が立ちつつある[要出典]が、水素は貯蔵運搬が困難なのでCO2を添加して反応熱も原子炉から供給してメタノール合成する研究が行われており、その場合は炭素固定に有効である。
二酸化炭素を超臨界状態とし、その性質を利用して炭酸ジメチルウレタン、ポリカーボネートなどの合成を行うものもあるが、これはエネルギー効率の面から有効とされている[15]
還元
二酸化炭素を還元する手法。電気化学的に行うものと、光触媒錯体を利用した光学的還元とがある[15]。電気化学的なものはエネルギー効率が悪いが、光学的なものは有効とされている[15]
バイオリアクターを利用する手法
バイオリアクターとなる生物を利用し、二酸化炭素を用いて有用な物質を生産させる手法[15]光合成を用いるものは有効とされるが、光合成を用いないものはまだ議論の途上にある[15]

脚注

  1. a b c d CO2固定技術 - 環境技術解説 環境展望台”. tenbou.nies.go.jp.  国立環境研究所2020年5月2日閲覧。
  2.  朝日新聞掲載「キーワード」の解説”. コトバンク. 2018年2月18日閲覧。
  3.  エネルギーの基礎用語~CO2を集めて埋めて役立てる「CCUS」”.  経済産業省 資源エネルギー庁. 2020年5月3日閲覧。
  4. a b CO2固定化・有効利用分野, 技術戦略マップ2009, NEDO, 2頁
  5. a b c d e f g h CO2固定化・有効利用分野, 技術戦略マップ2009, NEDO, 14頁
  6. a b c d e 次世代火力発電の早期実現に向けた協議会「次世代火力発電に係る技術ロードマップ 技術参考資料集」, 2015年7月, 14頁 
  7. a b CCUSの早期社会実装会議 資料2-3「環境配慮型CCS実証事業 CO2分離回収について」2019年3月5日
  8.  次世代火力発電の早期実現に向けた協議会「次世代火力発電に係る技術ロードマップ 技術参考資料集」, 2015年7月, 15頁
  9.  次世代火力発電の早期実現に向けた協議会「次世代火力発電に係る技術ロードマップ 技術参考資料集」, 2015年7月, 16頁
  10. a b 次世代火力発電の早期実現に向けた協議会「次世代火力発電に係る技術ロードマップ 技術参考資料集」, 2015年7月, 17頁
  11.  酸素製造に動力を要するが、全体のエネルギー効率を向上させる。
  12. a b c CCUSの早期社会実装会議 資料2-1「環境配慮型CCS実証事業 貯留技術について」2019年3月5日
  13. a b c d e f g h i j k l m CO2固定化・有効利用分野, 技術戦略マップ2009, NEDO, 15頁
  14. a b 経済産業省地球環境連携室「CCSを取り巻く状況」2018年6月11日
  15. a b c d e f g h i j k l m CO2固定化・有効利用分野, 技術戦略マップ2009, NEDO, 16頁

出典

関連項目

外部リンク