宇宙一の天才思想家 江学勤(Jiang Xueqin)の登場! 2026年3月22日 02:40
中国のノストラダムス現る 江学勤教授(Professor Jiang Xueqin)を名乗る天才的な思想家がインターネットに現れ、全世界に激震が走っている。
彼の天才性は第一に、現在のイラン戦争を予言したことにある。彼は2024年5月に「The Iran Trap」という動画をYouTubeに投稿し、11月のトランプ第2期政権の誕生と、その政権がイランに侵攻することを予言した。さらに不気味なのは、その戦争で米国が敗北すると断言したことだ。彼の動画の魅力は、地政学的な知識が広範で、説明が論理的に整理されている点にある。
しかし非常に残念なのは、彼が広東系のカナダ人の2世であって、動画が主に英語でしか提供されていないことだ。実際には、YouTubeやウェブブラウザの自動翻訳の機能を使って彼の動画や記事を読むことは可能かもしれないが、日本人に対する拡散力には劣っている。まあ、Python言語の爆発的流行についても日本では数年の遅延があったし、いずれ正当に評価されるのかもしれない。
彼は、若い頃に読んだアイザック・アシモフのSF小説である「ファウンデーション」シリーズに登場する心理歴史学(psychohistory)という空想上の学問分野に惹かれ、歴史的なそれぞれの国家や民族や文明の主観的な価値観に注目した「ゲーム理論」的な分析モデルを応用することで、「予測歴史」(Predictive History)という考え方を提唱している。
Predictive Historyとは、平たく言えば、歴史に学んで将来を予測しようというものだ。しかしそれ自体は、歴史学について新しい見方ではない。また、彼は「ゲーム理論」の適用を強調するが、実際にはゲーム理論的な視点で語るだけであり、いわゆるゲーム理論的な数理的形式化にはまったく踏み込まない。結局、彼は方法論を提唱してはいるが、その方法論を踏みおこなえば同じ精度で社会が理解できるというわけではなく、彼の議論はひとえに彼の天才的な知能指数に立脚しているとしか考えられない。
強いイランと石油の高騰 米国は実際に、2025年6月13日からイスラエルと共同でイランに対して12日間にわたる苛烈な爆撃に踏み切った。これは海外では「12日間戦争」(12-Day War)と呼ばれている。イランの大量の指導者を暗殺すると同時に地下核開発施設などを爆撃した米国とイスラエルの軍事力は圧倒的だったが、同時に、イランが100発以上の弾道ミサイルでイスラエルのテルアビブなどを攻撃し、高価なミサイル防衛網がその飽和攻撃を防げなかったことも世界的に注目された。
この12日間戦争の時点ですでに、米国のイラン攻撃を予測していた江学勤教授の名声は劇的に高まった。しかし、彼の名声をさらに劇的に高めたのは、2026年2月からの、アリー・ハーメネイー師の暗殺を起点とするイラン攻撃であった。彼は米国について、やがて地上軍を派遣し、それがベトナム戦争のように泥沼化して、米国は負けるという。ただしそれは、イランが勝つという意味とは限らないとも付言する。
彼がイランの強みとして注目している点はいくつかある。まず前提として、広大な土地と9千万という大きな人口がある。また、西側をイラクと隔てるザグロス山脈に代表されるように、持久的なゲリラ戦に有利な地形を有している。また、日中韓などへの石油の移送のための要衝であるホルムズ海峡に接しており、その対岸には世界的な石油資源が集中する湾岸協力会議(GCC)諸国が広がっている。
GCCは6か国からなり、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、クウェート、オマーンで構成される。ここから産出する石油が西側覇権の基盤だとした上で、GCCとホルムズ海峡は実際にはイランから攻撃しやすく、防衛はしにくいという。なせならイランは山がちであるため、いくら爆撃を徹底しても、弾道ミサイルやシャヘド136などの無人機を駆逐することができないからだ。
米国は第二次世界大戦後に次第に金本位制を離脱したが、金に代わる米ドルの価値の裏づけは石油と軍事力にほかならず、他国にドルの利用を強いつつも自身は自由にドルを印刷できるという事実が、冷戦後の米国一極覇権を形成してきた。だが、ローマなどの歴史的なすべての帝国と同様に、その一極覇権は次第に腐敗し、ごく一部の富裕層の利益のために、大多数の国民や同盟国を搾取する性質を強めてきたという。しかし、その傲慢さは視野狭窄を生み、GCCという足元が傷つけられ、誇張された軍事力にも実態がないと見なされると、ドルに関する事実上のポンジ・スキーム、言わばネズミ講であった米帝国のバブルは今後10年程度かけて圧壊していくという。
具体的には、石油が長期的に高騰しつづけ、再び安価になることはない。そして、安価な石油は現代の都市生活についてあまりにも基盤的に重要であったため、人類の生活は根底的な変化を迫られるという。具体的には、都市ではなく地方を重視し、グローバル経済に依存せずに食料などを自給する考え方が、個人レベルで重要になるという。そして、AIやSNS、見栄やお金に価値を感じる物質的個人主義は行き詰まると訴え、他者に親切にして信頼を築く態度や、愛し合うことそのものに喜びを感じる考え方でしか生き残れないだろうと予言する。
権力と洗脳の世界観 そういった感じで、江学勤教授の解説は広範な時事に及び、歴史的なパターンへの言及も詳しく、圧倒的な知的刺激に満ちていて、世界的に多くに視聴者を喜ばせている。
しかし、私が最も強く惹かれるのは、彼が「公正世界仮説」の外側の視点を持っていて、むき出しの真実を語るからだ。私は例えば、実際には米国製の洗脳装置であるAIに日本を含む全世界の庶民が影響されつつある現状を強く憂えるが、彼も同様にAIに洗脳の性質を見る者の一人だ。
また例えば彼は、現代の大学は事実を探求するための場所というより、権力に加担する価値観へと洗脳する施設だという。近代的な拝金主義の実態は、人類を連帯させず個人単位に分断して家畜化するための方法であり、科学と呼ばれているものの実態は、狂信的な宗教的信念にすぎず、民主主義が称揚され王権が駆逐されていったことの実態は、資本と洗脳から庶民を防衛する構造の解体にすぎなかったと断言する。
これは非常に鮮烈な立場であり、近代においてアカデミアで多少なり権威を認められた思想家であって、米欧を中心とした主流言説(mainstream narrative)の立場をここまで徹底的に相対化する存在は、並び立つものがない。一方、非主流言説において抑圧されている世界においては同様の知性がいるかというと、実際には見当たらない。江学勤教授は、世界最高峰の教育機関の一つである米国イェール大学で若年期に訓練を受けていることから、最も優れた才能が最も優れた訓練を受けることが、同等の知力を実現するために不可欠なのだろうと考えられる。
彼がどのようにして彼の特異な思想に到達したのかは、依然として不明だ。言説の裏には常に主体の意図があり、中立な言説など存在しないという懐疑心の強さとして見ることも可能だが、恐らく、知能指数が異常に高い存在にとっては、流通する多くの言説の論理的矛盾が強く可視化されているのだろう。かつて、橋本環奈という女優の美しさが「1000年に1人の逸材」と揶揄され「千年さん」と美称されたことがあったが、江学勤教授のIQは1000くらいあるのではないかと私は思っている。
陰謀論と神秘学 一方で同時に、江学勤教授の思想は、極めて陰謀論的であると同時に極めて神秘学(occult)的だ。その点は、多くの視聴者を困惑させている。
例えば、全世界の超富裕層と独自の人脈を形成しつつも不可解な死を遂げたジェフリー・エプスタインや、ドナルド・トランプの義理の息子でユダヤ系であるジャレッド・クシュナーについて、東西の諸国をまたがる利権の主体だと見なし、イスラエルや米国やロシアの政権などに独自のパイプを持つ組織としてハバド・ルバヴィッチというユダヤ教の一派に注目する。
そして、ユダヤ教的な秘密結社が経典に予言された最終戦争によってユダヤ人のための救世主の出現を狙っているほか、キリスト教シオニズムの秘密結社らは、パレスチナのガザ地区における虐殺などを深化させることで意図的に反ユダヤ主義を扇動し、イエス・キリストの再臨を狙っているとする。今回のイラン侵攻のみならず、ここ数十年で米国が行ってきた対外戦争の多くは、実は資源目的で説明しきれるものではなく、そういった終末論(eschatology)という因子を導入しなければ、モデルが現実に近似しないと彼は訴える。
私は個人的には、彼のこういった陰謀論的で神秘学的な言説の事実性や正当性について、何の確信も持てない。彼は、すでに第三次世界大戦がはじまっていて、数十年かけて人類の9割以上が死ぬことになると予言しており、彼自身が終末論的な預言者的性格を持っている。そのように極端に悲観的な世界観は、彼の内面的な世界観の投影にすぎないのではないかと疑うことはできる。
私は、彼の予言すべてが的中するのかどうか、わからない。しかし、仮に今後は何一つ的中しなかったとしても、彼の言説には世界一の価値がありつづけると深く信じている。なぜなら、主流言説の政治的性質を相対化し、近代的な利己主義が実は庶民にとって合理的ではない事実を見抜き、「無防備なほど」誠実であれと訴える彼の思想は、人類にとって最も重要な教えの一つだと確信するからである。
江学勤は親日? 驚くべきことに、世界的な名声を得ている江学勤教授は、日本に特別な関心を寄せている。というのも、東アジアにおいて将来の覇権を得るのは、中国ではなく、韓国でもベトナムでもなく、日本だろうと言うのだ。これは、ほとんどの日本人が夢にも思わない将来像だ。
彼の言説は、感情を見せない。特定の勢力への好意によって言説が歪曲されている様子がないという意味で、とても特異的な人物だ。日本の将来に関する彼の言説も、世界と世界史に関する彼の言説と強く一貫している。恐らくは、彼はまったく親日でもなんでもなく、純粋な推論によって日本の成功を結論しているのだろう。というのも、彼は国家主義(nationalism)、ひいては「ファシズム」について、絶対的に悪魔化する主流の言説を完全に相対化している。
彼は日本人以上に日本の歴史にも詳しく、1985年のプラザ合意の奴隷的性質とそれによる(米国債の税金的性格といった)現代日本の経済停滞の恣意性について常識のように語る一方、第二次世界大戦において日本が核兵器を投下されるのみならず全国の都市に爆撃を受けた事実や、明治維新で植民地化を退けた事実、かつて元寇の危機を体験して団結した歴史についても知悉している。一方で、香港人や台湾人や韓国保守派など、北京覇権の周縁部が日本に熱烈な好意を寄せる傾向はあるから、広東系の出自を持ちながら現在は北京で勤務している江学勤教授において、日本への感情的な好意がありえなくはないと空想することもできる。
ほとんどの日本人は十分に認識していないが、技術力や軍事力や経済力において日米の格差は甚大であり、日中の格差も甚大だ。技術論文の枚数でも日本は中国とすらまったく戦えていないのが現実だ。そこにおいて、東アジアの覇権の将来が中国よりも日本にあるだろうという見方は、唯一と言ったほうが正確だろう。
そしてその理由として、日本が資源に恵まれない島国である事実を彼は指摘する。中国が歴史的にも自己完結した帝国であり、天然資源にも恵まれているのに対して、少子高齢化と石油高騰の板挟みで致命的な危機に陥る日本は、グローバル経済への期待をいち早く諦め、要するに国粋主義的な全体主義と再武装に舵を切り、個人的利己主義ではない精神的自己犠牲の文化を再建するという。そして、資本主義と個人主義のまどろみにより長く浸かることで一歩目覚めの遅れる周辺諸国は、日本という狼に食われて従属させられるだろうというわけだ。彼は、自然的で野性的な利害衝突としての国際世界を予見しており、死を恐れない狼に立ち返る者達が生き残ると予言している。
つまり、彼の文明観、世界モデルは、富裕層の増長と貧困層の覚醒の終わらないサイクルであり、絶望的で救いがない。幸福であって善良である存在が持続する居場所がそこには見当たらない。一方で彼は、米国の覇権が一度は世界を覆ったために、今から数十年の危機は特別な雌雄を決する分水嶺だと見なしている。要するに、当面にわたって苦しみと覚醒のフェーズが世界的なトレンドになるという示唆であり、彼の言説は今後とも刺激に満ちた有益なものでありつづけるに違いない。