グーグル急成長の背景に「スケールフリーネットワーク」
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グーグルはウェブのスケールフリー性を加速した
スケールフリーネットワークの観点から考えて、グーグルやフェイスブックはどこが優れていたのでしょうか。
彼らが特別だったのは、意図したかどうかは別として、ネットワークのスケールフリー性を加速する仕組みが最初から組み込まれていたことです。グーグルやフェイスブックを利用する人たちが、自然とハブを形成し、スケールフリーネットワークの成長を促進する振る舞いをするような構造になっていたのです。
この点についてもう少し詳しく見ていきましょう。
グーグルにおいて、ウェブのネットワークのスケールフリー性を促進したのは、有名なページランク理論です。これは一言で言うと、「信頼性の高いページからリンクされているページほど信頼性が高い」という考え方で、ウェブページの重要性をランク付けするもの。「たくさん引用される論文ほど価値が高い」という学術論文にヒントを得て生み出された仕組みです。
例えば、気候変動に関するページが2つあったとします。一方は国際機関や研究所などから多数リンクが張られており、もう一方は個人のページから数個リンクが張られているだけとします。どちらが信頼できるかは、一目瞭然でしょう。
こうしてグーグルは、ウェブページ同士のリンク構造に着目してウェブページを評価し、ユーザーの検索に対して信頼性の高いウェブページを検索結果の上位に表示することに成功しました。
グーグルの検索エンジンは、ロボット型と呼ばれる仕組みを採用しています。インターネット上のウェブページを「クローラー」と呼ばれるロボット(ソフトウエア)が巡回し、内容をすべて読み取ってグーグルのデータベースに格納するのです。
このためページ内に使われている言葉を全文検索できるのが大きな強みです。現在は当たり前に感じますが、これは画期的なことでした。というのも、グーグル以前の検索エンジンはディレクトリー型と呼ばれるものが主流。ウェブページを人力でカテゴリー分けしてリストを作るというものでした。
人力で作るため、どうしてもヒエラルキー構造にならざるを得ません。例えば、プロサッカーチームのウェブサイトであれば、「スポーツ」「サッカー」「Jリーグ」の中にチームのページが分類されているようなイメージです。
ディレクトリー型の構造は、いわば電話帳と同じと考えれば分かりやすいと思います。サイト単位での登録となるため「うちは工務店です」と登録することはできても、「壁の補修が得意です」「オーダーメード家具も作れます」といった特徴までは登録できません。
一方、グーグルは、原則的にすべてのウェブページが登録され、ページ内の文章まで全文検索できます。「オーダーメード家具ならお任せください!」とウェブページ内にアピールする文章を入れておけば、「オーダーメード家具」で検索した人の結果に表示されます。
グーグルが登場したことにより、どんなにニッチでマイナーな情報であっても、ウェブページにアップさえしておけば検索結果に表示され、誰かが見つけてくれるようになったのです。こうして、グーグルはインターネット上のコンテンツに多様性を与え、スケールフリーネットワークのロングテール性を伸ばすことに貢献しました。
重要なページからリンクを集めるほどページの評価が上がる、というページランク理論そのものもスケールフリーネットワーク化の要因となりました。重要なページの管理人同士が連絡を取り合い、お互いにリンクを張り合うようになったのです。
こうして一部のハブが膨大なリンクを集めるようになり、もともとスケールフリーネットワークであったウェブのスケールフリー性がさらに強化されました。
すべてのウェブページをリンク数によって評価し、スケールフリーネットワークとして構造化することで、グーグルは検索エンジンとして圧倒的な地位を築きます。そして検索エンジンを利用する膨大なユーザーを基盤にして莫大な収益を上げるようになりました。
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