ウクライナ侵攻で進むロシアの頭脳流出──国外脱出する高学歴の若者たち
・ウクライナ侵攻をきっかけに、ロシアに見切りをつけて国外移住に踏み切る動きが加速している。
・そこにはプーチン政権の「経済的自殺」への悲観だけでなく、「強制的徴兵」への危機感がある。
・国外移住に向かう多くは高学歴の若者で、プーチン政権はウクライナや世界はもちろん、ロシアの将来にも暗い影を落としている。
ウクライナ侵攻後のロシアは、いわば「既定路線にこだわりすぎるワンマン経営者のもとから優秀な社員が次々いなくなる会社」に近づいている。
ロシアからの「避難民」
ウクライナ侵攻以来、ロシアで活動する海外メディアは次々と規制されているが、これは都合の悪いことを報じられるのを恐れているからとみてよい。そこにはプーチンのお膝元で反戦デモが広がり、すでに数千人が逮捕されていることだけでなく、ロシアから脱出を目指す動きも含まれる。
国外脱出を目指すロシア人が増えていることは、ウクライナ侵攻が始まった2月末からロシアのGoogle検索で「移住」が急増したことからもうかがえる。
A Google search spike for the word "emigration" in Russia following the invasion pic.twitter.com/pzY6VnOrE4
— Pjotr Sauer (@PjotrSauer) March 2, 2022
実際に移住する多くは若者で、さらにその行き先はいわゆる欧米と限らず、アジアや中東の新興国なども含まれるとみられる。ウクライナ侵攻後、NATO未加盟のセルビアなど一部を除き、欧米諸国の多くはロシア直行便やロシア市民へのビザ発給をストップしているからだ。
3月3日、モスクワで英語を学んでいた男性は英ガーディアンの取材に「自分の将来は奪われた」と話した。彼はスリランカへの航空券を購入したという。
「経済的自殺」「兵隊にとられる」
ロシア脱出の動きが加速する背景には、経済が極度に悪化することへの恐れがある。
ウクライナ侵攻直後、家族などに促されていち早くハンガリーに移っていた若者は、アルジャズィーラの取材に「仲間たちはこの戦争が'経済的自殺'になるといっているが、自分もそう思う」と応じている。
日本を含む西側からの経済制裁がこれまでになく強化されるなか、こうした悲観論がさらに広がることは避けられない。
これに加えて、「戒厳令が施行される」というウワサが国外脱出の動きに拍車をかけている。戒厳令は大統領に非常大権を認めるもので、いわばプーチンに全権を与えるものだ(現段階でプーチン政権は戒厳令を検討していないと強調している)。
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