超高エネルギー宇宙線の「アマテラス粒子」観測、未知の天体現象か…大阪公立大など
宇宙から地球に降り注ぐ極めて高いエネルギーを持つ「宇宙線」の観測に成功したと、大阪公立大などの国際研究チームが発表した。飛来方向に発生源となり得る天体などの候補は見つかっておらず、未知の天体現象の可能性もある。論文が24日、科学誌サイエンスに掲載される。
宇宙線は、光に近い速度で宇宙空間を飛び交う陽子などの小さな粒子。地球の大気にぶつかると新たな粒子が大量にできてシャワー状に降り注ぐ「空気シャワー」という現象が起きる。
チームの藤井俊博准教授(宇宙物理学)らは2021年5月27日の明け方(現地時間)、米ユタ州の巨大観測施設「テレスコープアレイ」で、普段の約100倍という極めて高いエネルギーを持つ宇宙線の検出に成功した。粒子1個で40ワットの電球を1秒間ともすことができ、1グラム集まれば地球を壊すほどのエネルギーになるという。チームはこの宇宙線を「アマテラス粒子」と名付けた。
発生源としては巨大な銀河の中心にある「超巨大ブラックホール」などが考えられるが、飛来したヘルクレス座の方向に見つかっていない。藤井准教授は「(銀河などの形成に関わる)暗黒物質や未知の素粒子が発生源となった可能性がある。我々が知らない宇宙の姿を解明したい」と話す。
松本浩典・大阪大教授(X線天文学)の話 「1年間で100平方キロ・メートルあたり1回以下しか来ない、極めてまれな超高エネルギー宇宙線を捉えたことに意義がある。観測の継続で、このような宇宙線が多く検出できれば、発生源がわかるかもしれない」
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