ロシアの永久凍土地帯で地表にできた7000個の「メタンの泡」が爆発する可能性
メタンガスには最大で二酸化炭素の80倍もの温室効果があるといわれており、地球温暖化が叫ばれる中でその存在は看過できないものであるとされています。ロシアの科学者による新たな論文では、ロシア北部・シベリアの永久凍土地帯にはメタンが充満した「泡」が地中に存在していることが確認され、それらがいつ「爆発」してガスが大気中に放出されてもおかしくない状態であることが判明しています。
7,000 underground gas bubbles poised to 'explode' in Arctic
http://siberiantimes.com/science/casestudy/news/n0905-7000-underground-gas-bubbles-poised-to-explode-in-arctic/
7,000 massive methane gas bubbles under the Russian permafrost could explode anytime
https://thinkprogress.org/methane-bubbles-arctic-769bf3f1b099
研究チームは現地調査と人工衛星による調査を用いて、シベリア地域の「メタンの泡」の状態を調査を実施しました。するとそこでは、地表が大きく盛り上がる膨らみがいくつも確認されたとのこと。
調査を実施したAlexey Titovsky氏は「これらの膨らみは、メタンガスが含まれた泡、現地の言葉では『bulgunyakh』と呼ばれるものです。この泡が破裂すると、メタンガスが大気中に放出されます。その際に、巨大な『ろうと』のような穴の地形が形成されます」と語っています。
実際に確認されている穴の様子はこんな感じ。
その穴は直径が100メートル規模に及ぶことも。地峡にあいた穴には雨水がたまり、巨大な湖が生まれます。
これまでにも同様の「泡」の存在は確認されていましたが、その数がここまで多かったことが確認されたのは今回が初めてとのこと。以下のムービーは過去に「泡」を撮影していた有名なものですが、地面がまるで水に浮かんでいるようにユラユラと揺れる様子がわかります。
Underground methane bubbles - YouTube
シベリア地域ではこれまで、一年を通して気温が低いことから地表が凍り付く「永久凍土」の地域となっていましたが、近年の気温の上昇の影響で凍土が次々と溶ける状況が生じています。NASAが公表している1951年から1980年までの気温の変動を記した資料では、右上にあるシベリア地帯の気温が最大でセ氏12度程度も上昇していることが確認できます。
同様の凍土地帯はロシアに限らず、カナダ北部やアメリカのアラスカ州にも存在しています。それらの地域では原油を搬送するパイプラインが敷設されており、同様に「泡」が破裂して地面が陥没すると、インフラが大きく損傷することも十分考えられます。調査チームでは2017年も同様の調査を継続して、さらなる実態の把握を目指すとのことです。
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