2023年11月26日日曜日

すぐわかる! 阿波人形浄瑠璃 「傾城阿波の鳴門」はこんなお話|文化・芸能|PICKUPニュース|徳島新聞デジタル

すぐわかる! 阿波人形浄瑠璃 「傾城阿波の鳴門」はこんなお話|文化・芸能|PICKUPニュース|徳島新聞デジタル

すぐわかる! 阿波人形浄瑠璃 「傾城阿波の鳴門」はこんなお話

徳島の伝統芸能である阿波人形浄瑠璃。その代表的な演目「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」は、「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します」のフレーズでおなじみですが、「どんなお話か知らない」という人も多いのでは?

「傾城阿波の鳴門」がどんな物語か、見どころとともに紹介します。

 ◆「傾城阿波の鳴門」(阿波鳴)とは

「傾城阿波の鳴門」は、歴史的な素材を扱う「時代物」の作品で、阿波徳島藩のお家騒動を描いています。10段で構成されていて、「順礼歌の段」は8段目です。

「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」の一場面

 ◆あらすじ

阿波徳島藩のお家騒動に絡み、主君の宝「国次の刀」が何者かに盗まれました。主の命を受けた十郎兵衛は刀を取り戻すために、幼い娘おつるを祖母に預け、妻お弓とともに名を変え、盗賊に身をやつして大坂(現在の大阪)に移り住んでいました。

順礼歌の段  大坂の家でお弓が一人でいたところ、巡礼姿の女の子が訪ねてきます。お弓は言葉を交わすうち、徳島に残してきた娘のおつるだと分かります。おつるを危険に巻き込まないために名乗らず、国元に帰るよう諭しますが、おつるが去った後に思い直し、慌てておつるの後を追います。】

一方、お弓と別れたおつるは、偶然十郎兵衛と出会います。金に困っていた十郎兵衛は、我が子とは知らず、思わず手を掛けてしまいます。お弓から、巡礼の女の子が幼い頃に別れたきりのおつるだと聞き、亡きがらを前に十郎兵衛とお弓は悲嘆に暮れます。おつるは国次の刀を盗んだ真犯人を知らせる祖母の手紙を持っていました。十郎兵衛夫妻はその手紙を読んで、急ぎ徳島へ帰参し、無事に国次の刀を取り戻したのでした。

 ◆「順礼歌の段」見どころ

「順礼歌の段」は、長年離れて暮らした母子が再開する場面を描いています。おつるから「自分を祖母に預けてどこにいるか分からない両親を探して西国巡礼している」と聞いたお弓は、両親の名を尋ねます。「ととさんの…」という有名なせりふは、その問いに答えたものです。

おつるは「同じ年頃の子どもが母親に、髪を結ってもらったり、抱かれて寝たりするのがうらやましい」「一人旅なので宿に泊めてもらえずに野山で寝たり、軒先で寝てたたかれたりすることもある。親がいればこんなつらい目に遭わないだろう」と語り、両親に会いたいと切々と訴えます。

お弓は思わず名乗ろうとするものの、主君のためとはいえ、盗賊として追っ手から逃れる身。おつるを巻き込みたくないと、悩みに悩んだ末、国元へ帰るように諭しておつるを帰し、泣き崩れます。おつるの両親を恋う気持ち、お弓の我が子を思う愛情と葛藤が、臨場感たっぷりの語りと三味線で表現され、胸を打ちます。

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