カシオの「イスラム教徒向け腕時計」、ヒットの背景に意外な事情
秒針でメッカの方角を示す
お祈りをする方角を調べるのも簡単で、時計を水平にし、右上の「QIBLAボタン」を押すだけ。キブラとは、メッカのカーバ神殿の方向のこと。ボタンを押すと秒針がいったん12時の方向を向き、その後スルスルと動いてメッカ・カーバ神殿の方向を向いて20秒間止まる。世界中どこにいても、自分がいる場所に応じて、センサーがきちんと正しい方角を計測してくれるので安心、というわけだ。
イスラム暦を表示するのも非常に簡単。PRAYER COMPASSはアナログ時計だが、デジタル表示の小窓があり、そこで普段は西暦の日付を表示している。左上のボタンを押すだけで、ここがイスラム暦の表示に切り替わるので、今がイスラム暦で何月何日なのか、すぐに分かる……という仕掛けになっているのだ。
登山者向け腕時計「PROTREK」の技術を応用
カシオの腕時計というと、「G-SHOCK」が代表的なブランドだ。1990年代に大ブームとなったころのG-SHOCKはデジタルウォッチが主流だったが、現在、G-SHOCKのハイエンドモデルの多くはアナログウォッチになっている。カシオのアナログウオッチはモーターが複数入っており、時針、分針、秒針など時計の針がそれぞれ独立して複雑に動くことができるのがポイント。礼拝の方角を秒針の動きで示す、などの機能は、アナログ版G-SHOCKの応用といえる。
また同社では、登山などアウトドア用に「PROTREK」というシリーズの腕時計も出している。こちらで使われているのが、高度計や方位計、温度計といった各種のセンサー技術。PRAYER COMPASSの自分のいる場所(緯度経度)や太陽の位置を測って礼拝時刻を算出する、といった機能には、PROTREKの方位センサー機能が生かされているのだ。
実は三宅氏は、普段はG-SHOCKやPROTREKの開発を担当している。G-SHOCKに代表される高機能アナログウォッチのノウハウと、PROTREKで磨いた各種センサー技術を融合して作られたのが、アナログ版のPRAYER COMPASSなのである。
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