関東人と関西人は遺伝子から違う?日本人は8つの遺伝的グループに分かれているという研究 - ナゾロジー
これまでの研究によって、人種間の遺伝子には少なくない違いがあることが明らかになってきました。
熱さへの耐性、寒さへの耐性、渇きへの耐性、低酸素環境への耐性など、様々です。
医薬品の効き目などもその一つであり、人種によってかなり効果が異なることが明らかになりつつあります。
しかし最近の研究により、同じ国に住む同じ民族でも、地域によって薬の効き目などが異なることがわかってきました。
そのような地域差は文化に由来するものだと考えられてきましたが、十分な科学的根拠は存在しませんでした。
そのため今回、日本人の研究者によって国内における、大規模な地域間の遺伝子の差が調べられることになりました。
予想が正しければ、地域間の遺伝子差は(人種程ではないにしても)身体的な差にも大きく影響しているはずです。
ただ地域差は人種差に比べて違いがわずかであり、これまでのような人間の認識力だけでは区別できません。分析にあたってはAIによる機械学習を応用することになりました。
その結果、日本人は遺伝的に8種類に及ぶ多様な遺伝的グループに分かれていることが判明しました。
日本人は思ってたよりずっと、単一ではないようです。
研究内容は大阪大学の坂上沙織氏らによってまとめられ、3月26日に権威ある学術雑誌「nature/communications」に掲載されました。
https://www.nature.com/articles/s41467-020-15194-z
AIによって判明した8つのグループ
私たち人類はアフリカで誕生した後に、地球上の様々な場所に移住し、その地域にあわせた遺伝的特質を獲得してきました。
そのため、ある人種に効果があった薬が別の人種では効果が薄い、ということが少なくない頻度で起こりました。
しかし近年になって、日本の中でも薬の効果が地域によって僅かに異なることがわかってきました。
これまでは、そのような些細な地域間の医療効果の差は、主に食文化をはじめとした文化的な要因のためとされてきました。
ですが今回、17万人にもおよぶ遺伝データを、AIによる機械学習を応用して調べた結果、同じ日本人の中にも8つの異なる亜集団が存在すると判明したのです。
またこれらの差を二次元の画像に落とし込んで可視化した結果、九州と北海道の一部、及び沖縄の方々の遺伝子が、特にユニークな遺伝子集団を築いていることが判明しました。
さらに遺伝的な差が身体においてどのように影響するかを測定した結果、遺伝的な地域差が平均身長の地域差とも一致することがわかりました。
地域の遺伝子の差は確かに僅かですが、それでも身長差のような明白な違いをもたらしていたのです。
このことから、疾患リスク及び薬の効き目の違いが必ずしも、文化的な影響に支配されているのではなく、地域ごとの遺伝的な差にも影響されていることが示唆されました。
日本人の起源解明:8つのグループが全て沖縄の島々に濃縮されていた
また、さらに詳細な分析を沖縄グループに対して行った結果、8つのグループの全てが、沖縄の島々に濃縮されていることがわかりました。
これは日本人の8つのグループ全てが、何らかのルーツを沖縄に持つことを示唆します。
これは既存の説、つまり、まず縄文人が南アジアを経由して日本に入り、その後、弥生人が入って全国に拡散したとの説と矛盾しません。
私たち日本人は複数のルーツと、その後の遺伝的な適応の結果、さらに複数の亜集団にわかれていきました。
これらの遺伝的な差は、地域に住む人々の気質にも影響している可能性があります。
関東人と関西人のノリが合わなかったり、旅先でアウェーになったりするのも、遺伝子の違いによる気質差が混じっているのかもしれませんね。
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