鑑賞法は無限大!「未来の博物館」へようこそ!
[総合]10月29日(土)前10:30〜11:15
再[総合]11月3日(木)前2:00~2:45 ※水曜深夜
[BS8K]11月13日(日)後7:00〜7:45
8Kの超高精細画像を用いて、国宝や重要文化財を360度、自由な視点で細部まで鑑賞できる実験的な特別企画「未来の博物館」。空間を越えて法隆寺の秘仏に出会う視覚体験、さらにコントローラー操作で縄文の土偶を内部の空洞まで鑑賞したり、文化財を「動かす」「光を当てる」など、これまでにかなわなかった夢の鑑賞法を、俳優の黒島結菜さんが体験します。
最新テクノロジーで、文化財を鑑賞!黒島結菜とめぐる「未来の博物館」
鑑賞法は無限大!未来の博物館へようこそ
オススメ!2022.10.24
10月29日(土)[総合]前10:30〜11:15
再11月3日(木)[総合]前2:00~2:45 ※水曜深夜
11月13日(日)[BS8K]後7:00〜7:45
150周年を迎えた東京国立博物館では、収蔵する国宝のすべてを公開する「国宝 東京国立博物館のすべて」が行われています。同時に開催されているのが、まったく新しい特別企画「未来の博物館」です。
ここでは、8Kの超高精細3DCGを用いて、文化財を360度、自由な視点で鑑賞することができるなど、最先端のデジタル技術と組み合わせた未来の鑑賞法を味わえます。体験するのは、俳優の黒島結菜さん。黒島さんが「未来の博物館」を堪能する様子とともに、テクノロジーによって不可能が可能となった、さまざまな鑑賞法を紹介します。
特別企画「未来の博物館」では、東京国立博物館とNHKが共同研究として、文化財を最新テクノロジーで3DCGにして、これまでにない活用方法を考えていく「8K文化財プロジェクト」で可能になった鑑賞法も紹介しています。
プロジェクトのメンバーで番組を制作した、鈴木伸治ディレクターに、プロジェクトの内容や番組の見どころなどを聞きました。
鈴木伸治ディレクター(以降、鈴木D):「8K文化財プロジェクト」は、2020年から始まりました。そのきっかけは、2020年に東京国立博物館で行われる予定だった「百済観音」(法隆寺所蔵)が見られる展覧会が、新型コロナウイルスの影響で中止になったこと。そのときに、『至宝をデータ化しておけたら、別の方法で展示ができるのではないか』という発想につながりました。コロナ禍で休館してしまった博物館が世界各地にある中で、このようなデジタルアーカイブは展示・保存の両面から非常に価値があり、この技術の将来性に対して私たちと東京国立博物館側のモチベーションが一致したため、2020年9月から共同研究のプロジェクトを立ち上げました。東京国立博物館の方々も、150周年という大きな節目に向けて、新しい鑑賞の形を模索したいという想いがあったそうです。また、この研究では、展示以外にも、文化財のデータを活用してもらうことを見据えた活動にも取り組みました。NHK for School「ものすごい図鑑」では、文化財をパソコンやタブレットで見ることができ、教育の現場でも活用いただいています。
まさに無限大!さまざまな鑑賞法
作品保護の観点から、展示では細部まで見ることがかなわない文化財を自由に鑑賞できる方法を紹介。実物の展示では気付かなかった先人たちの息吹やぬくもりが感じられるかも!?
空間を超え、秘仏を体感
1400年前に聖徳太子が創建したと伝わる奈良・法隆寺。聖徳太子の住居があった場所に建つ、国宝の建築物「夢殿」。あらゆる角度から撮影し、建物の丸ごと3Dモデル化に成功。360度どんな角度からも鑑賞可能に。また、夢殿の厨子にまつられる、秘仏「観音菩薩立像 救世観音」まで見ることができます。
鈴木D:建物を丸ごと3Dモデル化できたことで、奈良にある建築物自体を体感することが可能になり、東京にいながら全く同じものが見ることができます。さらにポイントとしては、研究者さえも目にすることができない貴重な秘仏、救世観音像まで見られること。番組では黒島さんが鑑賞します。
自由な視点で鑑賞!重要文化財「遮光器土偶」「樫鳥糸肩赤威胴丸」
文化財の形を3Dスキャナーで正確に計測し、そこに、あらゆる角度から撮影した超高精細画像を合成した3Dモデルを制作。通常の展示では、ガラスケース越しにしか見られなかった文化財を、自由な視点で見ることができます。
「樫鳥糸肩赤威胴丸」を細部まで鑑賞できる
鈴木D:甲冑をアップにしてみると、兜の裏側をのぞいて当時の武士の汗の染みまで見ることができたり、「勝負に勝つ」という願掛けの意味合いを持つ「菖蒲」の模様が描かれているのがわかります。土偶も内部をのぞけるので、当時作った人の指の痕跡を見ることができます。
普段の展示では不可能な角度からも鑑賞ができるので、土偶を作った人の思いや甲冑を身につけていた人に、今まで以上に思いをはせられるのではないでしょうか。
400年前の京都へ!国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」
400年前、江戸初期の京の都を描いた、国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」。そこには、2500人以上もの人々の、日常の暮らしの様子が生き生きと描かれています。超高精細画像を組み合わせて3Dモデルを制作。特別企画「未来の博物館」では、有識者たちが好きな場所をアップにして、自由に鑑賞する様子が映像で流れます。番組では、その一部を紹介。豊富な知識をもとに、自由に想像をふくらませて鑑賞する様子が見られます。
「洛中洛外図屏風(舟木本)」を撮影し、8K文化財を制作する風景
鈴木D:江戸時代の庶民の生活が非常に細かく、生き生きと描かれていますが、ガラスケース越しだと、描かれている人物がそれぞれ5センチぐらいなので、表情の細部まで見ることができません。しかし、未来の博物館では、各ジャンルの有識者が、自由な視点で見たいところを拡大して「洛中洛外図屏風(舟木本)」の魅力をわくわくしながら体験する様子を展示室で見ることができます。
鈴木D:描かれている2500人は、職業も含めていろいろな立場の人がいるので、食文化について語れる方や、能や歌舞伎など芸能を語れる方など、各界の著名人が鑑賞することで、この文化財のひも解き方が無限にあることが感じられると思います。「洛中洛外図屏風(舟木本)」の専門家というよりも、異なるジャンルの方々がさまざまに語ってくれることで、とっつきにくく感じていた"国宝の楽しむポイント"を噛み砕いて紹介しています。
有識者の皆さんたちは、自由にズームができるコントローラーを持ったまま、隅々までずっと見ていたい様子でした。磯田先生は、鑑賞できるコンテンツが発売されたら買いたいともおっしゃっていました。
夢の鑑賞法「触れる」
「未来の博物館」には、鑑賞者の願いをかなえる展示があります。そこでは、安全性と保管の観点からタブーとされてきた、文化財に"触れる"ことが可能に。
本物の質感を写し取ったレプリカをモニターの前で動かすと、超高精細な3DCGが全く同じ動きで連動。文化財を"触って"堪能することができます。
織田信長の弟、有楽斎が愛した寂び茶碗「大井戸茶碗 有楽井戸」の手触りを体感する黒島さん
鈴木D:ふだんの展示では触ることができない茶碗を、レプリカを通して、手触りや重さを感じたり、ひっくり返して高台を確かめるなど、自由な角度で鑑賞できます。見るだけではない、まさに体感する鑑賞法です。また、番組では、もう一つの夢の鑑賞法「光をあてる」展示についても紹介します。
さまざまな鑑賞法を体感した 黒島結菜さんからメッセージ
鈴木D:黒島さんは、未来の博物館の展示をとても面白がって、体験してくださいました。
これまで、美術品などを鑑賞するには、知識が必要で、とっつきにくいイメージがあったと思います。でもこの番組で紹介する鑑賞法は、テーマパークのアトラクションのように、鑑賞を楽しむことができ、興味の入り口が広がっていると思います。文化財の鑑賞について、もっと自由に楽しんでいいのだと改めて気付くような、自分から覗きに行く能動的な楽しさが感じられる番組になっていると思いますので、ぜひ気軽に、楽しんで見ていただけたらと思います。
ナレーションを担当するのは、津田健次郎さん。番組に登場するさまざまな文化財とともに、津田さんのナレーションもお楽しみください。
「鑑賞法は無限大!未来の博物館へようこそ」
【放送予定】
10月29日(土)[総合]前10:30〜11:15
再11月3日(木)[総合]前2:00~2:45 ※水曜深夜
11月13日(日)[BS8K]後7:00〜7:45
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