中世においてワルド派を創始したピエール・ワルドーはリヨンの大商人とされているが、本当の出身地はロンバルディア地方であり、スファラディ系ユダヤ人である。
後にカトリック教会勢力の腐敗、堕落とともに、マルティン・ルターが宗教改革を始めたのに触発されてスイスでフルドリッヒ・ツヴィングリが決起し、ジャン・カルヴァンが後を継いでジュネーブで神聖政治を始めた。そうしたカルヴァンの運動がフランスで特に拡大し、特定の商工業者に限定された英国のピューリタンやオランダのゴイセンとは異なり、「ユグノー」として一般民衆の間に広く浸透したのは、既にワルド派の地下組織が多く形成されていたなかで、そうした組織が勢力を拡大していく母体になったからである。またそれゆえに、カトリック勢力との間で数回もの大虐殺を含む"血みどろ"の内乱が繰り広げられたのである。
http://17894176.blog.fc2.com/blog-entry-1029.html
後にカトリック教会勢力の腐敗、堕落とともに、マルティン・ルターが宗教改革を始めたのに触発されてスイスでフルドリッヒ・ツヴィングリが決起し、ジャン・カルヴァンが後を継いでジュネーブで神聖政治を始めた。そうしたカルヴァンの運動がフランスで特に拡大し、特定の商工業者に限定された英国のピューリタンやオランダのゴイセンとは異なり、「ユグノー」として一般民衆の間に広く浸透したのは、既にワルド派の地下組織が多く形成されていたなかで、そうした組織が勢力を拡大していく母体になったからである。またそれゆえに、カトリック勢力との間で数回もの大虐殺を含む"血みどろ"の内乱が繰り広げられたのである。
http://17894176.blog.fc2.com/blog-entry-1029.html
永山卓矢の「マスコミが触れない国際金融経済情勢の真実」
ユダヤ人の二大系統と米系財閥の家系の起源
ポイント
・ロックフェラー財閥の金融面の総本山であるシティ・グループを遡るとクーン・ローブ商会に行きつく。ロックフェラー家はウォーバーグと同じスファラディ系であり、シフから米国の支配者に認定され、米国が覇権国になるとともに世界の支配者になっていった。
・アシュケナジー系はルーツを遡るとハザール・ハン国の末裔としてアジアの遊牧民系であり、特に東欧に分布している。それに対してスファラディ系は古代オリエント時代のヘブライ人やフェニキア人の子孫である。
・アシュケナジー系の支配階層は欧州中世のカタリ派の影響を強く受けた二元論的で善悪を反対にとらえ、無神論的な悪魔崇拝の色彩が強く、民族や宗教を否定して一般民衆を少数のエリート層が隷属的に支配する極左的な世界共産主義体制の成立を理想としている。
・スファラディ系はヴェネツィアを中心にロンバルディア地方で活躍した「黒い貴族」の子孫であり、そこからイベリア半島に渡ったのがロックフェラー家の祖先だ。またその主力は資本主義の発達とともに後にアムステルダムに、そしてロンドンに本拠地を変えていった。
・かつて、スファラディ系はカトリック教会に独占されていた聖書を読んだり秘蹟を行う権利の解放を求めるにあたり、聖書に基づく禁欲的な生活を実践して対抗した。そこから「選民思想」に基づく国家主義的、民族主義的な右翼思想が育まれていった。
・スファラディ系による最初のそうした組織だった運動がワルド派だったのであり、後にその地下組織がカルヴィン派が普及する母体になっていった。欧州での宗教紛争が最もフランスで大虐殺を含む"血みどろ化"したのはこのためだ。
・ロックフェラー家の祖先はイベリア半島からフランスに渡ってカルヴァン派の最高幹部の一員になり、さらにドイツのバイエルン地方に本拠地を移して、現在のバプティスト派の起源となる新宗派を興した。
・ロックフェラー財閥が世界を支配するにつれて、その本流系は世界全体を管理するうえでコスモポリタン的な社会主義化していった。それに対し、アラビア半島の油田地帯を支配下に収めたことで世界的な権力を握った傍流系の間ではナチズム的な性格が維持された。
カルヴィン派プロテスタントの高級幹部の子孫が世界の支配者に
(前回の続き) 米連邦準備理事会(FRB)による超強力な金融緩和策から再び株価が高騰していくと、これまで多くの新興国や欧州諸国の国債発行=起債を手がけ、米証券市場でも欧州ロスチャイルド財閥系の多国籍企業株を中心に自社株買いを促進させてきた同財閥系のゴールドマン・サックスやその系列のヘッジファンドが助かることになる。ただ、やはり巨額の収益を上げることができるのは、これまでFRBが緩やかながらも利上げを推進してきたことで株価を売り崩し、今回の新型コロナ禍でもその"主役"になったと思われるシティ・グループの系列のヘッジファンド群である。
この世界最大の金融資本は世界最大の石油メジャーであるエクソンモービルと同様に、90年代から00年代にかけての米国の世界覇権の絶頂期に「世界皇帝」として君臨したデイヴィッド・ロックフェラーが"オーナー"だっただけに、米軍産複合体を中核とする金融面での"総本山"とでもいうべきところだ。系譜を遡ると、20世紀初頭にジェイコブ・シフやポール・ウォーバーグが活躍したクーン・ローブ商会に行きつく。
ロックフェラー財閥がJPモルガンを筆頭に欧州ロスチャイルド財閥に対抗する米民族資本系とされたのは、実家のシフ家が同財閥の創始者マイヤー・アムシェルの長男のフランクフルトの本家を乗っ取っていたなかで、ジェイコブ・シフがカルヴィン派プロテスタントの創始者のジャン・カルヴァンの高級幹部の直系の血筋であり、"石油成金"だったジョン・ロックフェラー1世と2世の父子を、フランクフルト本家に代わり事実上の本家になったロンドンのロスチャイルド家に対抗できる勢力として、米国の事実上の支配者に認定したことによるものだ。時代は下り英国が衰退して米国が覇権国になっていったことで、ロスチャイルド財閥に代わりこのロックフェラー財閥が世界の支配者になったのである。
旧東欧アジア民族のアシュケナジー系と古代オリエント起源のスファラディ系
ついでに、後に旧冷戦時代にサウジアラビアの王室政府と結びついてアラビア半島の油田地帯を支配することで、ホワイトハウスで主導権を握ったロックフェラー財閥傍流系の中心人物だったネルソン・ロックフェラー元副大統領の母方の祖父であるネルソン・アルドリッジ上院議員(当時)と深い関係にあったポール・ウォーバーグの実家であるドイツのワールブルク家についても述べておく。ロスチャイルド家がアシュケナジー系であるのに対し、このワールブルク家はロックフェラー家とともにスファラディ系なのである。
欧州のユダヤ系金融資本は大別して、旧東欧系でルーツを遡るとアジア系遊牧民族に行きつくアシュケナジー系と、古代オリエント時代に旧約聖書をもたらしたスファラディ系に大別される。ちなみに現在、スファラディ系ユダヤ人というと以前から中東に居住しており、イスラエル建国後に同国に移り住んで低所得者層を形成し、現政権与党リクードの支持母体となっている人たちを指すことが多いが、本来は古代オリエント時代のヘブライ人やフェニキア人の系譜である。人口比ではアシュケナジー系が9割程度と圧倒的に多く、特に旧東欧系が多く移住しているドイツではその傾向が強いが、スファラディ系もそれなりに勢力を占めており、特に現在の英国の王室のウィンザー朝の祖先であるハノーヴァー選帝侯の家系にかなり入り込んでいるという――すなわち、現在の英国の王室はそのかなりの部分がスファラディ系ユダヤ人の王朝なのである。
アシュケナジー系の起源と信奉している宗教観
アシュケナジー系は8世紀にハザール・ハン国の国王がキリスト教のビザンティン帝国とイスラム帝国の狭間にあってユダヤ教に改宗したことに端を発しており、その王国の子孫の人たちだ。
このアシュケナジー系が信奉しているユダヤ教は、古代オリエント時代のものとはかなり様相を異にしている。その起源はアケメネス朝及びササン朝ペルシャ帝国が国教としていた「善悪二元論」を根幹とするゾロアスター教であり、それがマニ教や東欧のボゴミール派を介して中世の西欧に入り込んだ異端の宗派として名高いカタリ派の色彩が強い。
フランスのトゥールーズ地方に広まった中世のカタリ派は、カトリック世界を率いていたローマ教皇の要請を受けたフランス国王が率いたアルビジョワ十字軍によって撃滅されたが、その系譜が当時、新たに開墾されたボヘミア地方(現在のチェコ付近)を中心とする神聖ローマ帝国東部に根付いたのであり、それが後のフス派である。さらにそこにオスマン帝国時代に興った異端のサバタイ派も入り込んだのが現在のアシュケナジー系の支配階層が信奉している宗教であると考えられる。
それを簡単に述べるのは難しいが、その根幹は一つには民族や宗教といった概念を超越したコスモポリタン的なものだ。そしてもう一つが二元論的で善悪を反対に考えることであり、「エホバ」や「キリスト」といった「神」が否定される。その代わりに「悪魔(サタン、ルシファー)」が崇拝され、一般民衆は民族性や宗教性のアイデンティティが否定されて隷属的に少数のエリートに従う状態が理想的とされる――これこそ神聖的なものを否定した無神論的な共産主義体制にほかならない。
そうした社会体制の構築に向けてマイヤー・アムシェルがアダム・ヴァイスハウプトを使って1776年に設立した"悪の秘密結社組織"が「イルミナティ」である。またそうした理念を科学的に理論家するにあたり、カール・マルクスを支援したのも初期のロスチャイルド財閥である。
古代オリエント以来の「黒い貴族」の系譜であるスファラディ系
これに対し、スファラディ系ユダヤ人の先祖は古代オリエント時代にヘブライ人や、特に交易活動に従事して文字のアルファベットを開発したヘブライ人である。中世の欧州におけるその起源となったのが、古代ローマ帝国が東西に分裂して西ローマ帝国が滅亡した後に、ヴェネツィアを中心にロンバルディア地方で活躍した「黒い貴族」と呼ばれた人たちだ。
こうして先祖伝来の生業として金融及び商業活動に従事した人たちの中から、一部はキリスト教勢力が奪還する以前のイスラム勢力の支配下にあったイベリア半島に移り住んだのであり、それがロックフェラー家の祖先である。さらに時代が下るにつれてその勢力の主力がロンバルディア地方からオランダのアムステルダムに、さらにオリバー・クロムウェルが敢行した英欄戦争や1689年の名誉革命を機にその本拠地を英国のロンドンに移し、欧州での金融・経済における主導的な地位を握り続けた。
スファラディ系の理念がワルド派を介してカルヴィン派を形成
このスファラディ系が悲願としていたのが、いわゆる"金儲け"や「利子」の概念を正当化するためにイデオロギーの支配権をローマ・カトリックから奪い取ることだった。そこでは聖書を読んだり秘蹟を執り行う行為がカトリックの聖職者に限定されていたなかで、それを一般民衆にも行えるように要求し、聖書に基づく禁欲的な生活を厳格に実践するという形態がとられた。中世においてワルド派を創始したピエール・ワルドーはリヨンの大商人とされているが、本当の出身地はロンバルディア地方であり、スファラディ系ユダヤ人である。
後にカトリック教会勢力の腐敗、堕落とともに、マルティン・ルターが宗教改革を始めたのに触発されてスイスでフルドリッヒ・ツヴィングリが決起し、ジャン・カルヴァンが後を継いでジュネーブで神聖政治を始めた。そうしたカルヴァンの運動がフランスで特に拡大し、特定の商工業者に限定された英国のピューリタンやオランダのゴイセンとは異なり、「ユグノー」として一般民衆の間に広く浸透したのは、既にワルド派の地下組織が多く形成されていたなかで、そうした組織が勢力を拡大していく母体になったからである。またそれゆえに、カトリック勢力との間で数回もの大虐殺を含む"血みどろ"の内乱が繰り広げられたのである。
スファラディ系の選民思想とロックフェラー家の先祖の足取り
ワルド派から始まりカルヴァンが確立したプロテスタントにおいては厳格に聖書に基づく禁欲的な生活の実践が求められたが、そこで重要な理念が「選民思想」であり、それが現代における民族主義的な右翼思想の母体になっている。彼らはそれを唯一絶対神によって自分たちに与えられたものと解するのであり、これはまさにアシュケナジー系の支配階層である無神論的で民族や宗教という概念を否定した悪魔崇拝による極左的な思想とは正反対のものである。
ロックフェラー家の祖先はスペイン国王フェリペ2世による異端審問から逃れてフランスに移住し、カルヴァンの下で最高幹部の一員になって布教活動に従事した。さらにその後、ドイツ南部バイエルン地方に移り、カトリック勢力の"先鋭部隊"とでもいうべきイエズス会に対抗して創始した宗派の勢力が現在、米国の福音派で最大の勢力を誇るとされているバプティスト派の起源なのである。
そうした血筋を引いているジョン・ロックフェラー1世と2世の父子を、ジェイコブ・シフがアシュケナジー系で世界共産主義体制の成立を理想としている欧州ロスチャイルド財閥や、カトリックの総本山であるバチカンの勢力に対抗するうえで有利だと判断して、英国に対する新興勢力である米国の支配者に据えたのである。またポール・ウォーバーグの実家もロックフェラー家と同様にスファラディ系であり、同じユダヤ人ではあってもドイツ国内ではロスチャイルド財閥をはじめとするアシュケナジー系に対立する勢力である。
コスモポリタン系に転じた本流系と右翼的な性格を遺した傍流系
ただし、ロックフェラー財閥は米国が世界覇権を握ったことで世界の支配者になったが、それとともにその本家の系統は世界全体を管理していくうえでどうしてもコスモポリタン的な性格を帯びざるを得なかった。ジョン・ロックフェラー2世からその地位を受け継いでロックフェラー家の当主になったデイヴィッド・ロックフェラーが英国のフェビアン協会系の社会主義者となり、ロンドンのロスチャイルド家の親米的な勢力の当主だったジェイコブ・ロスチャイルドと親密な関係を築いた。また90年代から00年代にかけての米国の覇権の絶頂期にはゴールドマンと結びつくことで中国沿海部を生産拠点として取り込み、多国籍企業主導によるグローバル生産体制を構築することができた。
それに対し、ジョン・ロックフェラー2世の次男のネルソン・ロックフェラー元副大統領がオーナーだった石油メジャーのソーカル(後のシェブロン)がアラビア半島の油田地帯を支配したことで、東西冷戦期にはジョン・フォスター・ダレス、ヘンリー・キッシンジャー両元国務長官を輩出することでおおむねホワイトハウスで主導権を握り続け、傍流系の中でも本流系に対抗し得る巨大な勢力になっていった。本流系が欧州系財閥とともにコスモポリタン的で社会主義化していったのに対し、この傍流系がロックフェラー家本来の国家主義的で民族主義的な右翼的性格を遺してきたのである。
週末の明日はナチズム系主導とはいえ以前に比べると軍産複合体の影響力が増しているなかで、アジア極東や日本の情勢について、簡単に付け足しをさせていただきます。
よろしくお願いします。
・ロックフェラー財閥の金融面の総本山であるシティ・グループを遡るとクーン・ローブ商会に行きつく。ロックフェラー家はウォーバーグと同じスファラディ系であり、シフから米国の支配者に認定され、米国が覇権国になるとともに世界の支配者になっていった。
・アシュケナジー系はルーツを遡るとハザール・ハン国の末裔としてアジアの遊牧民系であり、特に東欧に分布している。それに対してスファラディ系は古代オリエント時代のヘブライ人やフェニキア人の子孫である。
・アシュケナジー系の支配階層は欧州中世のカタリ派の影響を強く受けた二元論的で善悪を反対にとらえ、無神論的な悪魔崇拝の色彩が強く、民族や宗教を否定して一般民衆を少数のエリート層が隷属的に支配する極左的な世界共産主義体制の成立を理想としている。
・スファラディ系はヴェネツィアを中心にロンバルディア地方で活躍した「黒い貴族」の子孫であり、そこからイベリア半島に渡ったのがロックフェラー家の祖先だ。またその主力は資本主義の発達とともに後にアムステルダムに、そしてロンドンに本拠地を変えていった。
・かつて、スファラディ系はカトリック教会に独占されていた聖書を読んだり秘蹟を行う権利の解放を求めるにあたり、聖書に基づく禁欲的な生活を実践して対抗した。そこから「選民思想」に基づく国家主義的、民族主義的な右翼思想が育まれていった。
・スファラディ系による最初のそうした組織だった運動がワルド派だったのであり、後にその地下組織がカルヴィン派が普及する母体になっていった。欧州での宗教紛争が最もフランスで大虐殺を含む"血みどろ化"したのはこのためだ。
・ロックフェラー家の祖先はイベリア半島からフランスに渡ってカルヴァン派の最高幹部の一員になり、さらにドイツのバイエルン地方に本拠地を移して、現在のバプティスト派の起源となる新宗派を興した。
・ロックフェラー財閥が世界を支配するにつれて、その本流系は世界全体を管理するうえでコスモポリタン的な社会主義化していった。それに対し、アラビア半島の油田地帯を支配下に収めたことで世界的な権力を握った傍流系の間ではナチズム的な性格が維持された。
カルヴィン派プロテスタントの高級幹部の子孫が世界の支配者に
(前回の続き) 米連邦準備理事会(FRB)による超強力な金融緩和策から再び株価が高騰していくと、これまで多くの新興国や欧州諸国の国債発行=起債を手がけ、米証券市場でも欧州ロスチャイルド財閥系の多国籍企業株を中心に自社株買いを促進させてきた同財閥系のゴールドマン・サックスやその系列のヘッジファンドが助かることになる。ただ、やはり巨額の収益を上げることができるのは、これまでFRBが緩やかながらも利上げを推進してきたことで株価を売り崩し、今回の新型コロナ禍でもその"主役"になったと思われるシティ・グループの系列のヘッジファンド群である。
この世界最大の金融資本は世界最大の石油メジャーであるエクソンモービルと同様に、90年代から00年代にかけての米国の世界覇権の絶頂期に「世界皇帝」として君臨したデイヴィッド・ロックフェラーが"オーナー"だっただけに、米軍産複合体を中核とする金融面での"総本山"とでもいうべきところだ。系譜を遡ると、20世紀初頭にジェイコブ・シフやポール・ウォーバーグが活躍したクーン・ローブ商会に行きつく。
ロックフェラー財閥がJPモルガンを筆頭に欧州ロスチャイルド財閥に対抗する米民族資本系とされたのは、実家のシフ家が同財閥の創始者マイヤー・アムシェルの長男のフランクフルトの本家を乗っ取っていたなかで、ジェイコブ・シフがカルヴィン派プロテスタントの創始者のジャン・カルヴァンの高級幹部の直系の血筋であり、"石油成金"だったジョン・ロックフェラー1世と2世の父子を、フランクフルト本家に代わり事実上の本家になったロンドンのロスチャイルド家に対抗できる勢力として、米国の事実上の支配者に認定したことによるものだ。時代は下り英国が衰退して米国が覇権国になっていったことで、ロスチャイルド財閥に代わりこのロックフェラー財閥が世界の支配者になったのである。
旧東欧アジア民族のアシュケナジー系と古代オリエント起源のスファラディ系
ついでに、後に旧冷戦時代にサウジアラビアの王室政府と結びついてアラビア半島の油田地帯を支配することで、ホワイトハウスで主導権を握ったロックフェラー財閥傍流系の中心人物だったネルソン・ロックフェラー元副大統領の母方の祖父であるネルソン・アルドリッジ上院議員(当時)と深い関係にあったポール・ウォーバーグの実家であるドイツのワールブルク家についても述べておく。ロスチャイルド家がアシュケナジー系であるのに対し、このワールブルク家はロックフェラー家とともにスファラディ系なのである。
欧州のユダヤ系金融資本は大別して、旧東欧系でルーツを遡るとアジア系遊牧民族に行きつくアシュケナジー系と、古代オリエント時代に旧約聖書をもたらしたスファラディ系に大別される。ちなみに現在、スファラディ系ユダヤ人というと以前から中東に居住しており、イスラエル建国後に同国に移り住んで低所得者層を形成し、現政権与党リクードの支持母体となっている人たちを指すことが多いが、本来は古代オリエント時代のヘブライ人やフェニキア人の系譜である。人口比ではアシュケナジー系が9割程度と圧倒的に多く、特に旧東欧系が多く移住しているドイツではその傾向が強いが、スファラディ系もそれなりに勢力を占めており、特に現在の英国の王室のウィンザー朝の祖先であるハノーヴァー選帝侯の家系にかなり入り込んでいるという――すなわち、現在の英国の王室はそのかなりの部分がスファラディ系ユダヤ人の王朝なのである。
アシュケナジー系の起源と信奉している宗教観
アシュケナジー系は8世紀にハザール・ハン国の国王がキリスト教のビザンティン帝国とイスラム帝国の狭間にあってユダヤ教に改宗したことに端を発しており、その王国の子孫の人たちだ。
このアシュケナジー系が信奉しているユダヤ教は、古代オリエント時代のものとはかなり様相を異にしている。その起源はアケメネス朝及びササン朝ペルシャ帝国が国教としていた「善悪二元論」を根幹とするゾロアスター教であり、それがマニ教や東欧のボゴミール派を介して中世の西欧に入り込んだ異端の宗派として名高いカタリ派の色彩が強い。
フランスのトゥールーズ地方に広まった中世のカタリ派は、カトリック世界を率いていたローマ教皇の要請を受けたフランス国王が率いたアルビジョワ十字軍によって撃滅されたが、その系譜が当時、新たに開墾されたボヘミア地方(現在のチェコ付近)を中心とする神聖ローマ帝国東部に根付いたのであり、それが後のフス派である。さらにそこにオスマン帝国時代に興った異端のサバタイ派も入り込んだのが現在のアシュケナジー系の支配階層が信奉している宗教であると考えられる。
それを簡単に述べるのは難しいが、その根幹は一つには民族や宗教といった概念を超越したコスモポリタン的なものだ。そしてもう一つが二元論的で善悪を反対に考えることであり、「エホバ」や「キリスト」といった「神」が否定される。その代わりに「悪魔(サタン、ルシファー)」が崇拝され、一般民衆は民族性や宗教性のアイデンティティが否定されて隷属的に少数のエリートに従う状態が理想的とされる――これこそ神聖的なものを否定した無神論的な共産主義体制にほかならない。
そうした社会体制の構築に向けてマイヤー・アムシェルがアダム・ヴァイスハウプトを使って1776年に設立した"悪の秘密結社組織"が「イルミナティ」である。またそうした理念を科学的に理論家するにあたり、カール・マルクスを支援したのも初期のロスチャイルド財閥である。
古代オリエント以来の「黒い貴族」の系譜であるスファラディ系
これに対し、スファラディ系ユダヤ人の先祖は古代オリエント時代にヘブライ人や、特に交易活動に従事して文字のアルファベットを開発したヘブライ人である。中世の欧州におけるその起源となったのが、古代ローマ帝国が東西に分裂して西ローマ帝国が滅亡した後に、ヴェネツィアを中心にロンバルディア地方で活躍した「黒い貴族」と呼ばれた人たちだ。
こうして先祖伝来の生業として金融及び商業活動に従事した人たちの中から、一部はキリスト教勢力が奪還する以前のイスラム勢力の支配下にあったイベリア半島に移り住んだのであり、それがロックフェラー家の祖先である。さらに時代が下るにつれてその勢力の主力がロンバルディア地方からオランダのアムステルダムに、さらにオリバー・クロムウェルが敢行した英欄戦争や1689年の名誉革命を機にその本拠地を英国のロンドンに移し、欧州での金融・経済における主導的な地位を握り続けた。
スファラディ系の理念がワルド派を介してカルヴィン派を形成
このスファラディ系が悲願としていたのが、いわゆる"金儲け"や「利子」の概念を正当化するためにイデオロギーの支配権をローマ・カトリックから奪い取ることだった。そこでは聖書を読んだり秘蹟を執り行う行為がカトリックの聖職者に限定されていたなかで、それを一般民衆にも行えるように要求し、聖書に基づく禁欲的な生活を厳格に実践するという形態がとられた。中世においてワルド派を創始したピエール・ワルドーはリヨンの大商人とされているが、本当の出身地はロンバルディア地方であり、スファラディ系ユダヤ人である。
後にカトリック教会勢力の腐敗、堕落とともに、マルティン・ルターが宗教改革を始めたのに触発されてスイスでフルドリッヒ・ツヴィングリが決起し、ジャン・カルヴァンが後を継いでジュネーブで神聖政治を始めた。そうしたカルヴァンの運動がフランスで特に拡大し、特定の商工業者に限定された英国のピューリタンやオランダのゴイセンとは異なり、「ユグノー」として一般民衆の間に広く浸透したのは、既にワルド派の地下組織が多く形成されていたなかで、そうした組織が勢力を拡大していく母体になったからである。またそれゆえに、カトリック勢力との間で数回もの大虐殺を含む"血みどろ"の内乱が繰り広げられたのである。
スファラディ系の選民思想とロックフェラー家の先祖の足取り
ワルド派から始まりカルヴァンが確立したプロテスタントにおいては厳格に聖書に基づく禁欲的な生活の実践が求められたが、そこで重要な理念が「選民思想」であり、それが現代における民族主義的な右翼思想の母体になっている。彼らはそれを唯一絶対神によって自分たちに与えられたものと解するのであり、これはまさにアシュケナジー系の支配階層である無神論的で民族や宗教という概念を否定した悪魔崇拝による極左的な思想とは正反対のものである。
ロックフェラー家の祖先はスペイン国王フェリペ2世による異端審問から逃れてフランスに移住し、カルヴァンの下で最高幹部の一員になって布教活動に従事した。さらにその後、ドイツ南部バイエルン地方に移り、カトリック勢力の"先鋭部隊"とでもいうべきイエズス会に対抗して創始した宗派の勢力が現在、米国の福音派で最大の勢力を誇るとされているバプティスト派の起源なのである。
そうした血筋を引いているジョン・ロックフェラー1世と2世の父子を、ジェイコブ・シフがアシュケナジー系で世界共産主義体制の成立を理想としている欧州ロスチャイルド財閥や、カトリックの総本山であるバチカンの勢力に対抗するうえで有利だと判断して、英国に対する新興勢力である米国の支配者に据えたのである。またポール・ウォーバーグの実家もロックフェラー家と同様にスファラディ系であり、同じユダヤ人ではあってもドイツ国内ではロスチャイルド財閥をはじめとするアシュケナジー系に対立する勢力である。
コスモポリタン系に転じた本流系と右翼的な性格を遺した傍流系
ただし、ロックフェラー財閥は米国が世界覇権を握ったことで世界の支配者になったが、それとともにその本家の系統は世界全体を管理していくうえでどうしてもコスモポリタン的な性格を帯びざるを得なかった。ジョン・ロックフェラー2世からその地位を受け継いでロックフェラー家の当主になったデイヴィッド・ロックフェラーが英国のフェビアン協会系の社会主義者となり、ロンドンのロスチャイルド家の親米的な勢力の当主だったジェイコブ・ロスチャイルドと親密な関係を築いた。また90年代から00年代にかけての米国の覇権の絶頂期にはゴールドマンと結びつくことで中国沿海部を生産拠点として取り込み、多国籍企業主導によるグローバル生産体制を構築することができた。
それに対し、ジョン・ロックフェラー2世の次男のネルソン・ロックフェラー元副大統領がオーナーだった石油メジャーのソーカル(後のシェブロン)がアラビア半島の油田地帯を支配したことで、東西冷戦期にはジョン・フォスター・ダレス、ヘンリー・キッシンジャー両元国務長官を輩出することでおおむねホワイトハウスで主導権を握り続け、傍流系の中でも本流系に対抗し得る巨大な勢力になっていった。本流系が欧州系財閥とともにコスモポリタン的で社会主義化していったのに対し、この傍流系がロックフェラー家本来の国家主義的で民族主義的な右翼的性格を遺してきたのである。
週末の明日はナチズム系主導とはいえ以前に比べると軍産複合体の影響力が増しているなかで、アジア極東や日本の情勢について、簡単に付け足しをさせていただきます。
よろしくお願いします。
日本を含むアジア極東では軍産複合体が有利な状況に
ナチズム系が主導権を握り続けるもアジア極東だけは軍産系に
これまで当欄で述べてきたように、リーマン・ショックが起こったのを機に米国の世界覇権が絶頂期から斜陽期に転じ、ホワイトハウスの主導権もドナルド・トランプ政権の成立により軍産複合体を中核とするロックフェラー財閥本流系から傍流系に回帰した。しかし、中国経済の失速とともに傍流系から構成されている親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の勢力の一部がゴールドマン・サックスと"手打ち"をしたのに対し、他の傍流系の勢力は軍産複合体をはじめとする本流系と提携し、それにより本流系がその遺伝子操作による高度な技術を駆使して生み出された新型コロナウイルスが投入されることになった。
トランプ政権はこれまで傍流系のナチズム系によって支えられてきただけに、世界各地に駐留している米軍の撤退に向けた動きを継続しており、欧州との事実上の同盟関係を規定している北大西洋条約機構(NATO)の形骸化への動きも着々と進めている。ところが唯一、アジア極東から米軍を撤退させる動きについてはまったく進んでおらず、朝鮮半島の非核化と統一に向けた動きも進展が見られない。そのため、先々週16日に北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破したように、この地域では主導権が軍産複合体系に移りつつあるように見られなくもない。
米国内でも11月3日の大統領選挙を控え、直近の支持率ではジョー・バイデン前副大統領がトランプ大統領に対して実に14%ポイントもの大差をつけている。バイデン前副大統領はバラク・オバマ前政権でその地位に就く以前の上院外交委員長だった際には、デイヴィッド・ロックフェラーの外交・安全保障問題の諮問機関とでもいうべき外交問題評議会(CFR)の民主党側の座長だったものだ。
CFR系が支持している石破元幹事長の動向が注目される
その影響は日本にも及びつつある。安倍晋三首相の自民党総裁の任期が来年9月末までであり、その21日後には現在の衆議院議員が任期満了を迎えるために自動的に総選挙が行われるなかで、必然的に後継首相が誰になるかが大きな焦点になる。そうしたなかで、安倍首相や麻生太郎副首相兼財務相は石破茂元幹事長が後継首相に就任することだけは避けたいと思っているといわれている。しかし、"狸親父"のような二階俊博現幹事長がトランプ大統領やナチズム系とつながっている安倍首相と距離を置いて密かに石破元幹事長に接近しているのは、米CFR系の勢力が元幹事長を推しているからである。
石破元幹事長は非核三原則の見直しの議論を行うことを提唱している。それは具体的には「持たず、作らず」はそのままだとしても、「持ち込ませず」の概念を変えることを提唱しているのは、米軍が核兵器を日本に配備したり、核を搭載した原子力潜水艦を日本に寄港させることを認めようというものだ。これはすなわち、米軍が韓国から撤退するかどうかはともかく、少なくとも日本の沖縄県にはそのまま駐留し続けることが前提になっているといえる。
だとすれば、朝鮮半島でも統一されずに南北分断状態がこのまま続くことになるが、その問題については後日、改めて考えることにしたい。
今週はこれで終わりです。
来週もこれまで通り、週明け6日から掲載していくのでよろしくお願いします。
これまで当欄で述べてきたように、リーマン・ショックが起こったのを機に米国の世界覇権が絶頂期から斜陽期に転じ、ホワイトハウスの主導権もドナルド・トランプ政権の成立により軍産複合体を中核とするロックフェラー財閥本流系から傍流系に回帰した。しかし、中国経済の失速とともに傍流系から構成されている親イスラエル右派的で国家主義的、民族主義的なナチズム系の勢力の一部がゴールドマン・サックスと"手打ち"をしたのに対し、他の傍流系の勢力は軍産複合体をはじめとする本流系と提携し、それにより本流系がその遺伝子操作による高度な技術を駆使して生み出された新型コロナウイルスが投入されることになった。
トランプ政権はこれまで傍流系のナチズム系によって支えられてきただけに、世界各地に駐留している米軍の撤退に向けた動きを継続しており、欧州との事実上の同盟関係を規定している北大西洋条約機構(NATO)の形骸化への動きも着々と進めている。ところが唯一、アジア極東から米軍を撤退させる動きについてはまったく進んでおらず、朝鮮半島の非核化と統一に向けた動きも進展が見られない。そのため、先々週16日に北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破したように、この地域では主導権が軍産複合体系に移りつつあるように見られなくもない。
米国内でも11月3日の大統領選挙を控え、直近の支持率ではジョー・バイデン前副大統領がトランプ大統領に対して実に14%ポイントもの大差をつけている。バイデン前副大統領はバラク・オバマ前政権でその地位に就く以前の上院外交委員長だった際には、デイヴィッド・ロックフェラーの外交・安全保障問題の諮問機関とでもいうべき外交問題評議会(CFR)の民主党側の座長だったものだ。
CFR系が支持している石破元幹事長の動向が注目される
その影響は日本にも及びつつある。安倍晋三首相の自民党総裁の任期が来年9月末までであり、その21日後には現在の衆議院議員が任期満了を迎えるために自動的に総選挙が行われるなかで、必然的に後継首相が誰になるかが大きな焦点になる。そうしたなかで、安倍首相や麻生太郎副首相兼財務相は石破茂元幹事長が後継首相に就任することだけは避けたいと思っているといわれている。しかし、"狸親父"のような二階俊博現幹事長がトランプ大統領やナチズム系とつながっている安倍首相と距離を置いて密かに石破元幹事長に接近しているのは、米CFR系の勢力が元幹事長を推しているからである。
石破元幹事長は非核三原則の見直しの議論を行うことを提唱している。それは具体的には「持たず、作らず」はそのままだとしても、「持ち込ませず」の概念を変えることを提唱しているのは、米軍が核兵器を日本に配備したり、核を搭載した原子力潜水艦を日本に寄港させることを認めようというものだ。これはすなわち、米軍が韓国から撤退するかどうかはともかく、少なくとも日本の沖縄県にはそのまま駐留し続けることが前提になっているといえる。
だとすれば、朝鮮半島でも統一されずに南北分断状態がこのまま続くことになるが、その問題については後日、改めて考えることにしたい。
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