み吉野の 耳我(みみが)の嶺(みね)に 時なくぞ 雪は降りける 間(ま)無くぞ 雨は降りける その雪の 時なきがごと その雨の 間なきがごと 隈(くま)もおちず 思ひつつぞ来る その山道を
http://575.jpn.org/article/174793793.html
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み吉野の(大海人)
((冬の)あの日、)吉野の耳我山にはずっと雪が降っていた。
((夏の)あの日、)絶え間なく雨が降っていた。
雪はまるで永遠に降り続くようだった。
雨はまるで隙間一つ残さないようだった。
(今、耳我峰に登り、)角を曲がるたびに、(当時を)思い出しながら、その山道を登っている。
■ 解説
「み吉野」は美しい吉野、「耳我の嶺(みみがのみね)」は耳我山(場所は分かっていません)、「時なく」はずっと、「間無く」は絶え間なく、「隈もおちず(くまもおちず)」は隅っこの度に、つまり曲がり角の度に、「思ひつつぞ来し(おもひつつぞこし)」は思いながら行く、をそれぞれ意味します。
■ この詩が詠まれた背景
この詩は万葉集 第一巻(雜歌 25首目)に収録されています。
題に「天皇御製歌」(天武天皇が作られた歌)とあります。
■ 豆知識
作者は天武天皇(てんむてんのう)です。
雪が降る時期、雨が降る時期の過去を振り返って詠まれた詩であることから、天智天皇10年10月17日(671年11月23日)、出家して吉野宮(奈良県吉野)に下った頃、および天武天皇元年6月24日(7月24日)に壬申の乱を起こすため吉野を出立した頃の出来事を振り返ったのではないか、とされてます。
この和歌には別バージョンがあり、そちらも万葉集に収録されています。
次回その詩について説明します。
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