科学忍者隊ガッチャマンFの最終回
科学忍者隊ガッチャマン
科学忍者隊はついに、総裁Zの機械体内部へと侵入した。
健はガッチャスパルタン機外で、孤軍奮闘する。
総裁Z「フフフフフ。飛んで火に入る夏の虫とはお前のことだ、ガッチャマン。地球破壊の前に、貴様を処刑してやるわ」
健「ジュン、聞こえるか!? ジョー、ジュン、竜、
一同は、ガッチャスパルタン機内で気を失っている。
かろうじて、ジュンが目を覚ます。
ジュン「……あっ!?」
健「聞こえるか、ジュン!?」
ジュン「健!」
健「いいか、Zの中枢部の位置を調べてくれ!」
一同も目を覚ます。
ジュン「はっきりした位置はつかめない。でも、この上部奥深くに内蔵されているのは確かよ!」
健「よし。各自、Gメカに乗り込め。ブランチ・アウトして上部に突入する!」
ジョー「わ、わかった、健。竜、G1号のキャノピーを開けろ!」
竜「ラジャー!」「ブランチ・アウト、準備完了!」
健「ガッチャスパルタン、ブランチ・アウト!」
ガッチャスパルタンが分離、健たち個人が乗るG1号からG5号までのメカとなる。
健「いいか? 正面の発射口を破壊して内部へ突入し、そのまま各自のGメカで中枢部を探り出す。行くぞ! 全機、ミサイル発射!」
5機のメカが、一斉にミサイルを発射する。
だが空間が奇妙に歪み、健たちは空間の中へと引きずり込まれてゆく。
健「うわぁぁっ!
地球が反物質小惑星に破壊されるまで、 あと23分37秒。 地球を救う最後の望みをかけて Zの中枢部へ飛び込み、 反物質と繋がる緊急指令回路を 破壊しようとしたガッチャマンたちであったが Zのエネルギー波によって疑似空間へと 転移させられてしまった。
一方のエゴボスラーは、総裁Z内部で深手を負っている。
メカンドル「伯爵!?」
エゴボスラー「む、無念だ、メカンドル……」
メカンドル「お気を確かに! ファミリーの誇りにかけて、一矢報いぬ内は」
エゴボスラー「私とて、このまま果てはせん。Zの核を見つけ出し…… うぅっ!」
メカンドル「伯爵!?」
エゴボスラー「……必ずこの手で破壊してくれるわ!」
無数の光弾が放たれる。
メカンドル「あっ、危ない! エゴボスラー様!」
メカンドルが盾となってエゴボスラーをかばい、無数の光弾を浴びる。
エゴボスラー「メカンドル!?」
まともに攻撃を受けたメカンドルの体が、跡形もなく蒸発する。
エゴボスラー「総裁Z…… ならぬ、俺は貴様の人形にはならぬぞ! 貴様の喉笛に食らいついてやる! 出て来ぉい!」
総裁Z「エゴボスラーよ。そんなに、わしに会いたいか? ならば会ってやろう!」
足元からエネルギーが吹きあがり、エゴボスラーが吹っ飛ばされる。
エゴボスラー「うわぁぁ!?」
エゴボスラーは、どこかの空間に吹き飛ばされる。
透明なドームの中に、小さな機械片が光っている。
総裁Z「フハハハハハ! よく来た、エゴボスラーよ」
エゴボスラー「ま、まさか…… 貴様がZの本体か!? そんなちっぽけな物だったのか!?」
総裁Z「そうだ。貴様たちは私の作り出す、ただの映像に操られていただけだ。愚かなり、エゴボスラー!」
無数の粘液が飛び出し、エゴボスラーの体に貼りつく。
エゴボスラー「な、何だ、これは!? おのれぇ!」
総裁Z「フハハハハハ!」
エゴボスラーが粘液攻撃を引きちぎり、周囲を剣で滅多切りにする。
エゴボスラー「渡さぬ! 地球は、貴様に渡さぬぞぉ!」
総裁Z「おのれ、エゴボスラー!」
目に見えない力でエゴボスラーの剣が奪われ、ひとりでに宙を舞い、エゴボスラー自身の胸に突き刺さる。
エゴボスラー「うわぁぁっ!? 栄光を…… 栄光の座をつかむのは…… あ…… 栄光をつかむのは、この俺だあぁぁ──っ!!」
虫の息のエゴボスラーの脳裏に、自分を称える部下たちの声がこだまする。
(エゴラー! エゴラー! エゴラー!)
健は、奇妙な空間へ迷い込んでいる。
健「ここは……?」
ジョーたちは健たちとはぐれ、空間内をさまよっている。
ジョー「おぉっ、何だ!? 一体、ここは!?」
ジュン「健、健!」
総裁Z「フフフ、ガッチャマン。貴様がどう足掻いたところで、反物質小惑星の進路を変えることはできぬ。地球消滅まであと13分50秒」
健「黙れ、Z! 勝負は最後までわからん!」
総裁Z「バカめ。あと13分で一体、何ができるというのだ? 勝負は見えたのだ、忍者隊!」
健「必ず貴様の中枢部を探り出し、叩き潰してみせる!」
総裁Z「バカめ!」
健が声の響く頭上を目がけ、ガッチャマンフェンサーを投げつける。
電撃が健を撃つ。
健「うわぁぁ!」
フェンサーは健のはるか頭上、総裁Z本体のすぐそばの壁面に突き刺さる。
総裁Z「おのれ、ガッチャマンめ!」
竜「な、何じゃ!?」
ジョー「わからん…… しかし、総裁Zに何か起こったようだな。とにかくみんな、Gメカに乗り込むんだ!」
健のもとへようやく、ジョーたち4人が合流する。
健「ジョー!」
ジョー「健!?」
健「みんな、無事だったか!?」
ジョー「あぁ、何とかな」
健「それよりジョー、Zの中枢部は意外と近いぞ」
一同「えぇっ!?」
ジョー「うぅ! うぅっ……」
健「どうした!?」
ジョー「聞こえる…… Zだ……」
健「ジョー?」
ジョー「Zだ。健、憶えてるか? ドクター・ラッフェルが、総裁Xは俺でなくては倒せんと言ったことを。Zにしても、そうだったんだ!」
一同「えぇっ!?」
ジョー「俺には、奴の息づかいがわかる。俺のブラック・ボックスに反応するんだ」
健「やはり、フェンサーの刺さったあの部屋が?」
ジョー「あぁ。だが、あの部屋までどうやって昇るのか……」
甚平「竜巻ファイターがあるぜ!」
ジョー「ムリだ! 今、俺たちの体で竜巻ファイターを使えば、恐らくZの核を見つける前に、俺たちの体は粉々に吹っ飛んでしまうだろう」
甚平「じゃあ、じゃあどうしたらいいんだよ!?」
ジョー「黙ってろ、甚平。そいつを今、考えてるとこなんだ」
甚平「ここまで来て、敵が目の前にいるのに、手が出せないのかよ……!?」
健「甚平の言うとおりだ。ここまで来ていながら、俺たちには成すすべもない……」
健が、南部長官の遺品のペンダントを見つめる。
健「長官…… 俺たちは、俺たちはどうしたらいいんです? Gメカは使えない上に、俺たちの体はZの体内での戦いで、ガタガタになってしまっている。とても、あそこまで飛びあがる力は残ってない。どうしたら、どうしたらいいんです……? 神までもが、俺たちを見捨ててしまったのか!?」
ジョー「健! G2号メカなら、なんとか動かすことができるぜ」
健「本当か!? よし、ジョー。お前のメカに俺たち4人を乗せ、この壁面を登り、奴の中枢部に踊り込む。できるか?」
ジョー「……やってみよう」
健「竜、甚平、ジュン! 俺はお前たちに、ムチャな戦いばかりさせてきた…… だが、これが最後だ。たとえ絶望の淵に追い込まれても、敗北の2字だけは考えるな。考えたら、それだけで負けだ! たとえ1人でもだ!」
甚平「さすが兄貴だ。いいこと言うよな。俺たち、死なないよ。死なないよな……」
ジュン「甚平……」
涙を堪えて背を向ける甚平を、ジュンが自分も涙ぐみつつ、優しく抱く。
健「行くぞ!」
ジョーのG2号に健たち4人がしがみつき、壁面を駆け昇る。
そしてついに、総裁Z本体のもとへとたどり着き、健たちが降り立つ。
ジュン「はっ!」
ジョー「どうした!?」
エゴボスラーが白目を向き、立ったまま事切れている。
ジョー「エゴボスラー!? おめぇも、ここで戦ってたのか……」
服が裂け、ペンダントが覗いている。
中には、母親の写真。
健「エゴボスラーは俺たちと変らぬ、人の子だったんだな……」
総裁Z「よくぞ、我が中枢部を探り当てた」
健「Z!?」
総裁Z「褒めてやろう。だが、わしを見つけ出すことができるかな? あと残り時間、2分37秒だ!」
ジョー「あれだ!」
フードに包まれた、総裁Z本体。
真っ先にZ目がけ、ジョーが飛び出す。
健「どうしたんだ、ジョー!?」
ジョー「この中だ! このフード・バリアの中に、Zの思考波を感じるんだ! 健! 俺のブラック・ボックスの反応が最高にならねぇうちに、フェンサーでこいつを叩き潰してくれ!」
健「おぅ!」
凄まじいエネルギー波で健たちが吹き飛ばされ、壁面に叩きつけれる。
健「あぁっ!?」
壁に突き刺さっていたガッチャマンフェンサーが衝撃で抜け、床に突き刺さる。
ジョーが渾身の力でフードを叩き割り、エネルギー波がやむ。
ジョー「健…… あとは、頼む……」
力尽きたジョーが倒れる。
健「あれが、あれがZの核本体か……!」
総裁Z「我々の計画をことごとく失敗に終わらせたガッチャマンよ。どうやら最後の、この計画だけは阻止できなかったようだな。ハハハハハ! 地球消滅まで、あと1分と30秒」
健「くそぉ……」
宇宙観測所の、鴨三郎技師長。
所員「地球臨界点突入まで、あと1分23秒。22、21……」
鴨「ガッチャマン……」
地球消滅のときまで、あと1分。 不気味な静けさが、地球上を支配していた。
健「地球は俺が…… 俺が守る!」
健が、フェンサーを握りしめる。
目の前の仇敵・総裁Zの本体は、手のひらより小さな機械片。
健「こ、こんな…… こんなちっぽけな物に、俺たちは…… 出てけぇ! この宇宙から出てけぇぇ──っっ!!」
健がフェンサーを振り上げ、総裁Zの本体を真っ二つに叩き斬る。
総裁Z「グワァァ──ッッ!!」
所員「反物質小惑星の動きが止まりました!」
鴨「何だと!?」
所員「地球ポイント3542にて、移動停止!」
総裁Zの内部で、次々に爆発が起こる。
健は力尽きて気を失い、倒れている。
その脳裏に、南部長官の姿が浮かびあがる。
南部「健……」
健「ちょ、長官……」
南部「君がやらねばならぬことは、Zを倒すことだけではない。生きることだ。生きて、地球の復活する日を、その目で確かめることだ。私が君たちに頼んだことは、生きてほしいということだったはずだぞ。立ち上がれ、ガッチャマン。君たちは不死鳥だ。永遠に不滅なのだ! 不滅なのだ……」
健「ちょ、長官……! 長官……」
健が意かすかに識を取り戻し、立ち上がろうとするものの、もはや力が入らない。
手から、南部博士のペンダントがこぼれ落ちる。
ジョーたち4人も皆、気を失っている。総裁Z内部の爆発が続く。
突如、ペンダントが光り始め、ひとりでに空に浮いたかと思うと、G1号メカの中に入り込み、操縦機器が作動し始める。
Gメカ4機が光と化し、気を失っている健たちのもとへ現れ、健たちの乗って来たG2号と一つとなる。
巨大な総裁Zの塔が、爆発炎上する。
その炎の中から、巨大な火の鳥が飛び立つ。
所員たち「反物質小惑星が遠ざかっています!」「なお、Zは小惑星に飲み込まれたようです」
反物質小惑星が大爆発する。
核だけとなった小惑星が地球を離れ、遠くへと飛び去って行く。
鴨「消えたか…… 彼らは? 忍者隊は!?」
所員「わかりません。ただ、反物質小惑星が消滅する前に、何か巨大な物体が地球に向かって飛び出したようです」
鴨「そうか…… ありがとう」
鴨が空を仰ぐ。
国防司令官がやって来る。
司令官「忍者隊は…… ガッチャマンは、死んでしまったのでしょうか? もしそうなら、彼らを…… いや、ガッチャマンはを殺したのは我々だ」
鴨「……」
司令官「彼は傷ついた体で、最後まで戦ってくれた。なのに我々は、彼の細胞破壊を食い止めることもできなかった。それどころか、無茶な戦いにまで追い込んでしまった……」
鴨「ガッチャマンは…… 忍者隊は、きっと生きています。必ず、生きて帰って来ます……!」
地球を襲った悪魔の星・反物質小惑星は、 総裁Zを飲み込み、地球臨界点の空間で大破した。 そしてその核は、 永遠に宇宙をさまよう星となった。 今、不死鳥は飛ぶ。地球の明日を信じて。 飛べ、不死鳥の戦士たちよ! 飛べ、永遠のガッチャマン!! |
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最終更新:2017年05月27日 23:43
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