四国行脚の巻(16)… 「阿波三峰」の登拝
阿波国たる徳島県域には、「阿波三峰(あわさんぽう)」 と称して、「日の峰(小松島市) 標高191m」・「津の峰(阿南市) 標高284m」・「中津峰(徳島市) 標高773m」と、古くから阿波を代表する三峰がある。
かねてより、この「阿波三峰」は知ってはいたのだが、今回の「四国行脚」に出かける直前になって、これら三山の位置を地図上で確認しつつ、それぞれの山頂に向かって車でどこまで登れるかを調べることに・・・。
この「阿波三峰」・・・まさかこの三つの峰を当日中に巡ることになろうとは、当初から考えてもいなかったことなのだが、それが不思議にも様々な好条件が重なり実現したのであった。
そこで冒頭の画像は、徳島県域の簡易な地図に、その三つの山名を青色でマーキングした「阿波三峰」の位置や、これまで巡ってきた主要な山々を明示したものだ。そして、下に続く画像の数々は、この「阿波三峰」を巡る過程で撮影したもので、それぞれの山の現地散策における解説や感想に添えるものである。
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まずは「日の峰」である。この上の画像は、当山の山頂部から西方に広がる山々を展望したものだ。
この「日の峰」は、「日峰神社」の鎮座する山頂部まで車で登ることができ、当社の鳥居を撮影した画像が上である。
上の画像は、当社の駐車場から、社殿を含む西南方位を撮影したものだ。社殿のすぐ左側に映る山並みのピークが「中津峰(標高773m)」である。
「日の峰」での最後の画像は、同じく駐車場から、東南方面となる海側の平野部を撮影したものだ。
この「日峰神社」を含む山上一帯は、憩いの場として整備された人気の展望スポットであり、上に掲げた景観以外にも、北は紀伊水道から鳴門・淡路方面、天気の良い日は和歌山地方も遠望することができる。
次に「津の峰」である。山麓からは〔津峯スカイライン〕で八合目まで登ることができ、それから山頂部に鎮座する「津峯神社」へは、〔参詣リフト〕を利用して登った。
そこで上の画像は、「阿波の松島」と謳われる橘湾に浮かぶ島々を、当社の境内から撮影したものである。眼下に広がる風光明媚な景観に、しばし見惚れるのであった。
上に掲げた二枚の画像は、式内社「津峯神社」の本殿と由緒が書かれた看板を撮影したものである。
この「津峯神社」の境内は、桜の名所としても知られており、時期になると多くの人出で賑わうそうだ。
当日は良く晴れていたので、上の画像では紀伊水道を挟んだ遠方に(画像中央部から左側)、かすかにではあるが紀伊半島を確認することができた。
この画像に映る景観の方位は東南なので、この水平線から昇る「初日の出」は、さぞかし幻想的であろう。
そして最後に、「阿波三峰」では最高峰となる「中津峰(標高773m)」である。
限られた時間だったこともあり、山頂近くまで車を利用した最短ルートを選んだ。標高約670mにある「中津峰森林公園」の駐車場 に車を停め、なだらかな山道を登り片道約40分で山頂に到着した。
そこで上の画像は、当山の山頂から西方に広がる剣山山系を撮影したものである。「剣山」が見えるとすれば、この山並み中央部の遠方となるが、ここから視認できるかどうかは定かではないとしておこう。
次に上の画像は、「中津峰山」と書かれた山頂を示す表示板を撮影したものだ。駐車場と山頂の標高差は約100mだったが、なかなかの道のりだったことを憶えている。
この山頂から少し回り込んで降りていくと、上の画像のように風防のために造られたと伝わる石垣があった。
さらに近づいていくと(上の画像)、しっかりと組まれた石垣の中央部に、山上方面へ向かって石垣をくぐる出入口があり、そこを通り抜けた上の広場には、山頂部を背にした「天津神社」の社殿(下の画像)が鎮座していた。
古文献によると・・・この「中津峰」の山上に鎮座する「天津神社」には、天上・地下の神としてニ柱、常世の八方の神として八柱、季節を示すニ十四節気の神としてニ十四柱、および鍛治の神より生ずる鏡神、兵器を司る主神のニ柱、さらに酒造神の合計三十七神に加え、「日の峰」の奇魂・「津の峰」の幸魂を持つ「大己貴神」を併せ持った「大物主神」を祭ることで、「三十八神」を祭祀している。(意訳あり)・・・と記されているそうだ。
思い返せば今年の7月下旬に、郷土の山口市内のギャラリーで、《「37」を超えて 》と題する「立体造形」の展示会を開催し、その余韻冷めやらぬなかで、この山上の「天津神社」に祀られた神々の合計「38」という数に遭遇したものだから、私としては心中穏やかならぬものがあった。
しかも祭神の「38」番目となる「大物主神」とは、国津神系の代表たる「出雲の神」であり、上記の《「37」を超えて 》と題して、言わば次なる数の「38」を指標する個展の開催期間中に、図らずもその「展示会場」の全体が、「大社造」という出雲地方に特有の神社建築様式に観えてきて、不思議な感覚に包まれたことを思い出すのであった。
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