家康徹底解読 堀 新(編) - 文学通信
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出版者情報
取引情報
取引取次: 八木
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A5判
388ページ
並製
価格 2,700円+税
- ISBN
- 978-4-909658-95-1 COPY
- 9784909658951 COPY
- 4-909658-95-5 COPY
- 4909658955 COPY
- 909658 COPY
- 初版年月日
- 2023年1月27日
- 発売予定日
- 2023年1月27日
- 登録日
- 2022年12月14日
- 最終更新日
- 2022年12月14日
紹介
徳川家康はいかに記録され、どのようにフィクションで描かれてきたか。
本書ではその幼き日々から、関ヶ原の戦い、死後の神格化にいたるまで、14の主要テーマから徳川家康の虚像と実像を追究します。歴史学・文学・美術史の諸分野から家康像にアプローチし、それぞれ最新の研究動向をふまえ論じ尽くします。
これから家康について知りたい人、これまで抱いていた家康像をアップデートしたい人にとって必携の一冊。
また、大河ドラマの予習復習に。「どうする家康」の時代考証、平山 優氏、柴 裕之氏執筆!
【本書の特徴】
▼生い立ちから関ヶ原の戦い、死後の神格化まで、14のテーマから家康の虚像と実像を追究!
▼歴史学・文学・美術史の諸分野から家康にアプローチ!
▼大河ドラマ「どうする家康」時代考証者の平山優氏・柴裕之氏も執筆!
▼付録として「家康関連作品目録(軍記・軍書・史書・実録・史論・図会・随筆・小説)」「家康関連演劇作品初演年表(人形浄瑠璃・歌舞伎)」を収録!
【本書で明らかになること】
・家康の尾張人質時代はなかった
・小牧・長久手の戦いは実は秀吉が勝利していた
・三方ヶ原の敗戦後自画像を描かせたと言うのは創作だった
・家康の江戸入府は秀吉の命令に過ぎなかった
・家康を野戦の名手と考えるようになったのは、死後百年のことである
・家康が関ヶ原で爪を噛んだと言うのは後世の創作である
など。
執筆は、堀 新/井上泰至/山田邦明/平野仁也/糟谷幸裕/丸井貴史/和田裕弘/菊池庸介/竹間芳明/塩谷菊美/桐野作人/原田真澄/原 史彦/湯浅佳子/柴 裕之/小口康仁/平山 優/網野可苗/竹内洪介/岡野友彦/森 暁子/林 晃弘/松澤克行/光成準治/曽根原 理/黒田 智(執筆順)。
【信長・秀吉に比べ、家康は経験と学問に学ぶ「凡人」である。しかし、華やかな才能がないことを十分自覚したはずの家康が、降りかかる試練に弛まず、前進する「非凡」さも感得できよう。ここから「慎重」「忍耐」「信用」に集約される家康像の形成が用意されるのも、容易に想像できよう。信長・秀吉に比べ、学ぶ人家康の虚像と実像を追う旅は、信長・秀吉以上に、凡百の我々へのヒントに満ちているのである。】......本書「凡人の非凡―序にかえて」より
目次
凡人の非凡――序にかえて ▼井上泰至
律儀者か?狸親父か?/踊る信長、舞う秀吉、歴史に学ぶ家康/危機と発展の階段を一つずつ
1 松平氏の出自
[実像編]山田邦明
元康から家康へ/松平から徳川へ/「八幡太郎義家の子孫」という意識/『三河物語』が語る伝承/『松平氏由緒書』が語る伝承/松平太郎左衛門入道用金
[虚像編]平野仁也
はじめに/『三河物語』の世界/『三川記』―尾張藩で編纂された歴史書/『成功記』―整えられる出自/『武徳大成記』―江戸幕府の公式見解/『改正三河後風土記』―後世における展開/親氏の没年 ―江戸時代の諸説―/おわりに
2 人質時代の家康
[実像編]糟谷幸裕
父・松平広忠/描き替えられる広忠像/今川方の史料にみる広忠/だれが最初に竹千代を人質としたのか?/〝竹千代の尾張人質時代〟は実在したのか?/駿河人質時代の家康/「今川殿御カケニテ」のジレンマ
[虚像編]丸井貴史
人質となるまで/信長との交流/駿府での生活/人質生活からの解放
3 清須同盟
[実像編]和田裕弘
はじめに/同盟締結の時期/清須同盟の実体/信長の援軍/清須同盟の変容/おわりに
[虚像編]菊池庸介
はじめに/清須同盟を記す近世初期資料/『三河記』―伝説の形成/『武徳大成記』―伝説の発展と定着/『常山奇談』―家政伝説の独立/おわりに―家康の生涯と清須同盟伝説
4 三河一向一揆
[実像編]竹間芳明
一次史料の僅少/一揆蜂起の原因/家康の寺院政策/家康は、寺院の特権を認めていた/不入権に対する家康の基本姿勢/対今川戦と根拠地西三河の内乱/一揆はいつ蜂起したのか/戦いの経過/坊主衆の追放/三河一向一揆と本願寺/家康の思惑/本願寺の主眼
[虚像編]塩谷菊美
慈悲は因果に勝てない/傑出した主君と奉公一途の家臣/一向宗寺院の不入権が法華宗一族の忠節を支える/土民百姓への視線/亡国・国賊の一向宗/現世と来世の救済者/策謀家家康の復活
5 築山殿と松平信康事件
[実像編]桐野作人
信康事件の諸説/信康の性格と五徳との仲/家長家康の決断/築山殿の動向とその最期/『信長公記』諸本に見る信康事件/信康事件の背景と評価
[虚像編]原田真澄
築山殿と信康自刃事件/記録・軍記類の築山殿/演劇と徳川/「築山殿始末」の新鮮さと普遍性/まとめ
6 三方ヶ原の戦い
[実像編]原 史彦
はじめに/戦いの経緯/信玄西上の意図/家康の慢心はあったか/おわりに
[虚像編]湯浅佳子
はじめに/『松平記』『甲陽軍鑑』『三河物語』/『三川記』(五巻五冊)/『武徳大成記』『遠州味方原戦記』/おわりに
7 徳川家臣団(四天王を中心に)
[実像編]柴 裕之
はじめに/松平家の展開と家臣団/広忠・今川家従属期の動向と家臣団/家康の独立と家臣団/「徳川四天王」の活躍とその実像/おわりに―「徳川四天王」呼称の広まり
[虚像編]小口康仁
四天王と呼称された武将たち/十七世紀前期における戦国合戦の表象と徳川家臣団の造形表現/徳川四天王が活躍する「長篠・長久手合戦図屏風」/
8 伊賀越えと天正壬午の乱
[実像編]平山 優
本能寺の変と伊賀越え/天正壬午の乱始まる/徳川・北条軍の抗争/家康と氏直の明暗/むすびにかえて―天正壬午の乱が家康にもたらしたもの
[虚像編]網野可苗
はじめに/現代の「伊賀越え」/簡潔な記述/急ぎ京都へ/切腹の決意/かっこよく逃げる/おわりに
9 小牧・長久手の戦い
[実像編]堀 新
小牧・長久手の戦いと「徳川史観」/小牧・長久手の戦いの概略/小牧・長久手の戦いと人質/小牧・長久手の戦いは「天下分け目の戦い」か
[虚像編]竹内洪介
天下人秀吉に勝利したいくさ/フロイスの『日本史』/徳川史観の興隆―小牧・長久手合戦の顕彰/徳川史観の展開―軍記・軍書の流通/「小牧・長久手の戦い」像の成立
10 家康と江戸
[実像編]岡野友彦
「虚像」と「実像」のはざま/家康はいつ江戸に入ったのか/『天正日記』の信憑性をめぐって/当時の江戸は「寒漁村」だったのか/家康は江戸を「選んだ」のか
[虚像編]森 暁子
江戸っ子による江戸&近郊案内書/神祖の江戸入府/戦国時代の残り香/江戸市中の仏閣/逍遙する初代将軍/江戸っ子の拝む東照宮/市中に息づく家康譚
11 関ヶ原の戦い
[実像編]林 晃弘
見直される関ヶ原の戦い/秀吉没後の政争/家康の権力掌握と会津出陣/小山評定はなかったのか/家康の西上と関ヶ原の決戦/合戦後の家康
[虚像編]井上泰至
誰が家康に爪を噛ませたか?/小心者か神君か?/野戦の名手家康像の成立/戦略家家康/家康のレガシーの再評価―明治歌舞伎
12 徳川家康と天皇
[実像編]松澤克行
家康と三人の天皇/戦国大名時代の天皇との関係/豊臣政権下の家康と天皇/後陽成天皇と格闘する/後水尾天皇と晩年の家
[虚像編]井上泰至
家康の朝廷への接近/権力と権威/古代から中世へ―時代区分への意識/徳川安定期における「尊王」/忠誠論の逆説的展開
13 方広寺鐘銘事件と大坂の陣
[実像編]光成準治
徳川「公儀」確立への道のり/方広寺鐘銘事件をめぐる家康と豊臣家との折衝/家康・秀忠の思惑/淀川堤防をめぐる攻防/家康はなぜ秀頼を助命しなかったのか/おわりに
[虚像編]湯浅佳子
はじめに/『難波戦記』と周辺書/『難波戦記』の片桐且元/まとめにかえて―『難波戦記』からの文芸的展開
14 家康の神格化
[実像編]曽根原 理
神格化への助走/秀忠の決断/期としての寛永十三年(一六三六)/家光期の展開/東照宮と近世社会
[虚像編]井上泰至
家光の霊夢から生まれた「神君」/家光と家綱の断層/四天王寺―大坂夏の陣の決戦地/黒駒に乗る家康・秀忠/天下人の「誕生」と夢告
○コラム
1 徳川家康三方ヶ原戦役画像 ▼原 史彦
2 「四戦」という徳川のロア ▼黒田 智
○付録
家康関連作品目録(軍記・軍書・史書・実録・史論・図会・随筆・小説)▼井上泰至・竹内洪介編
家康関連演劇作品初演年表(人形浄瑠璃・歌舞伎)▼原田真澄編
著者プロフィール
堀 新 (ホリ シン) (編)
1961年生まれ。共立女子大学教授。著書に『信長公記を読む』(吉川弘文館、2009年)、『天下統一から鎖国へ 日本中世の歴史 7』(吉川弘文館、2010年)、『織豊期王権論』(校倉書房、2011年)、『戦国 軍記・合戦図と古文書・古記録の学際的研究』(科研報告書、2019年)、共編著に『近世国家 展望日本の歴史 13』(共編、東京堂出版、2000年)、『消された秀吉の真実 徳川史観を越えて』(共編、柏書房、2011年)、『岩波講座 日本歴史 第 10巻 近世1』(共著、岩波書店、2014年)、『秀吉の虚像と実像』(共編、笠間書院、2016年)、『信長徹底解読 ここまでわかった本当の姿』(共編、文学通信、2020年) など。
井上 泰至 (イノウエ ヤスシ) (編)
1961年生まれ。防衛大学校教授。著書に、『サムライの書斎 江戸武家文人列伝』(ぺりかん社、2007年)、『江戸の発禁本』(角川選書、2013年)、『近世刊行軍書論 教訓・娯楽・考証』(笠間書院、2014年)、 共編著に、『秀吉の対外戦争 変容する語りとイメージ 前近代日朝の言説空間』(共著、笠間書院、2011年)、『秀吉の虚像と実像』(共編、笠間書院、2016年)、『関ヶ原はいかに語られたか』(編著、勉誠出版、2017年)、『関ヶ原合戦を読む 慶長軍記翻刻・解説』(共編、勉誠出版、2019年)、『信長徹底解読 ここまでわかった本当の姿』(共編、文学通信、2020年)など。
上記内容は本書刊行時のものです。
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