2023年10月11日水曜日

万葉集 現代語訳 巻六雑歌992・993・994・995 : 讃岐屋一蔵の古典翻訳ブログ

万葉集 現代語訳 巻六雑歌992・993・994・995 : 讃岐屋一蔵の古典翻訳ブログ

万葉集 現代語訳 巻六雑歌992・993・994・995

大伴坂上郎女が元興寺の里を詠んだ歌
 ※「元興寺」蘇我馬子が明日香に建てた飛鳥寺(法興寺)を奈良に移して元興寺としたが、元の寺も残されて本元興寺と呼ばれた。
992 故郷(ふるさと)の明日香(あすか)はあれどあをによし奈良の明日香を見らくし良しも
 ※枕詞:あをによし
 ※「故郷」昔の都。ここでは明日香のこと。

  明日香の寺はもちろんいいけど
  今栄えている奈良にある
  明日香ゆかりの元興寺もまた
  見るとなかなかすばらしい


同じ坂上郎女の三日月の歌
993 月立ちてただ三日月の眉根(まよね)掻(か)き日(け)長く恋ひし君に逢へるかも
 ※「月立ちて」新しい月が始まって。
 ※「三日月」その月の三日目ということと、女性の眉(ここでは自身の眉)を三日月に喩える意味を掛けている。
 ※「眉根掻き」眉毛がかゆいのは恋人に逢える前兆とされた。

  お逢いできると予感しながら
  長く焦がれていたあなた
  月あらたまり三日が過ぎて
  ようやくお逢いできました


大伴宿祢家持の三日月の歌
994 振りさけて三日月見れば一目(ひとめ)見し人の眉引(まよび)き思ほゆるかも
 ※「振りさけて」振り向いてはるか遠くを見て。
 ※「眉引き」眉毛を抜いて眉墨で眉を描くこと。

  はるか遠くに三日の月を
  見やると一目見ただけの
  女性の眉墨引いたお顔が
  思い出されることだなあ


大伴坂上郎女が親族と宴会した歌
995 かくしつつ遊び飲みこそ草木すら春は生(お)ひつつ秋は散り行く
 ※「こそ」願望。

  こうして遊んでお酒を飲んで
  楽しくお過ごし下さいませ
  草木でさえも春に茂って
  秋になったら散るのです

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