2023年12月8日金曜日

映画『三大怪獣 地球最大の決戦』  ―これが怪獣どもの本音だ!―: ダークヒーローは笑う

映画『三大怪獣 地球最大の決戦』  ―これが怪獣どもの本音だ!―: ダークヒーローは笑う

映画『三大怪獣 地球最大の決戦』  ―これが怪獣どもの本音だ!―

三大怪獣 地球最大の決戦.jpg




 公開年: 1964年


収録時間: 93分


IMDb評点: 6.7


私的評価: 7.0


ジャンル: アクション、アドベンチャー、ファンタジー、SF、スリラー


 出演者: 夏木陽介、星由里子、小泉博、志村喬


  監督: 本多猪四郎、円谷英二



東宝が公表しているある資料はキングギドラをこう紹介しています――



「東宝怪獣史上最大最強、最も優美ともいえる宇宙怪獣である」



「いわば怪獣の形を借りた大宇宙の破壊エネルギーの表現でもある」



これはもうゴジラ以上と東宝が認定しているも同然ですね!



その、通称「宇宙超怪獣」キングギドラが初登場する映画が『三大怪獣 地球最大の決戦』です!



昭和ゴジラにおけるキングギドラに、どのような生命体なのか、宇宙のどこで誕生したのかなどの具体的設定は存在しないそうですが、謎があるからこそ魅力的といえるでしょう!



巨体なのに恐るべきスピード! 翼を使った突風による破壊と引力光線は圧倒的!



他の怪獣たちとは次元が違います! バカらしいほど!




なんといっても素晴らしいのは初めて姿を現すシーンです!



黒部ダム付近の谷に落ちた巨大隕石がムクムクと成長した後、ビカビカッと光り、バカッと割れて、ブシュブシューと蒸気が、バチバチバリバリと火花が噴出!



そこからグワッと舞い上がった炎の塊がドカッドカッドカッと連続爆発し、キラキラした火の鳥のような輪郭が出現したかと思ったら! ジャーン! 三つ首竜に大変貌!



そいつが空中で犬かきをしながらプルルルッ、プルルルッと声を上げる!



このややこしさ! やり過ぎ感! たまりません! バカみたいです!




日本各地を荒らすキングギドラに対抗するため、小美人はインファント島から守護神モスラを呼ぶのですが、モスラだけでは勝ち目がありません。



そこでモスラは自分と力を合わせてキングギドラと戦うよう、ゴジラとラドンに呼びかけます。



富士山麓での大激闘前に、三大怪獣(ゴジラ・ラドン・モスラ)を見ながら人間たちが会話をするのですが、漫才のように愉快でこれこそ本作の白眉ともいえるため紹介しましょう。



登場人物は以下の通りです。



・警視庁の進藤刑事(人間側の主人公)



・その妹で放送記者の直子



・隕石の調査をする村井助教授



・小美人の二人




ケンカしているゴジラとラドンにモスラ(幼虫)が割って入り説得を始める。



直子「モスラが何か言ってるわ。ねえ、いまなんて言ってるのかしら」



進藤「お、おい、無理言うなよ。モンスター語なんて習ったことないよ」



村井「(小美人に向かって)いまなんて言ってるんです?」



小美人「説得していますが、なかなか聞き入れてくれそうもないんです。争いをやめてみんなで力を合わせて、地球をキングギドラの暴力から守ろうと言っています」



直子「ゴジラもラドンも賛成したの?」



小美人「いいえ。ゴジラもラドンも『オレたちの知ったことか。勝手にしやがれ』と言っています」



進藤「ひでえなあ。ちきしょう」



小美人「ゴジラはこう言っています。『われわれが人間を助ける理由は何もない。人間はいつもわれわれをいじめているではないか』と言っています。ラドンも『そうだ、そうだ』と言っています」



キングギドラが近づいてくる。



小美人「モスラは『いままでの行き掛かりはさっぱりと捨てようではないか』と言っていますが、ゴジラもラドンもお互いに『おまえが謝れ』と言い合っています。でも、モスラはあきらめずに説得しています」



進藤「ちっきしょう。わからず屋ってのは人間だけじゃないんだな」



村井「うん」



――これを役者さんたちは大真面目にやっているのです! バカみたい、つーかバカです!



ゴジラとラドンなんかいかにも無関心な態度で「なにが地球を守るだ、ケッ」みたいな顔をしていますが、考えてみると戦っても怪獣たちには大したメリットはなさそうです。



ひょっとしたらもっとひどいことを話しているのに、小美人がうまく配慮して通訳しているのかもしれません。



そこで怪獣たちの本当の会話を想像してみます。



すべてゴジラとラドンが見返りを要求するというパターンです。




【その1】


ゴジラ「ゴジュウオク(50億円)くらいで手を打ってもいいぜ」



モスラ「下手なシャレだな。でもおまえには札も硬貨も砂粒みたいに小さくて見分けがつかんだろ」



ゴジラ「電子マネーってのがあるじゃねえか」



モスラ「どこにあんだよ。いま1964年だぞ」



ゴジラ「あ、そうくる?」




【その2】


ゴジラ・ラドン「小美人の二人を嫁にくれたら加勢してやるぞ」



モスラ「体の大きさが違い過ぎるだろ」



ゴジラ「問題ない。撮影所出たら普通の男と女だから」



モスラ「反則だろ、そのオチ」




【その3】


ゴジラ「国民栄誉賞とかノーベル賞ちょうだいよ」



モスラ「ノーベル賞って何の部門だよ」



ゴジラ「もちろん平和賞」



モスラ「てめーみてーな暴れん坊に平和賞出せるかよ」



ゴジラ「平和のためにキングギドラと戦うんだろ? 人間だって昔から『平和のためにいまは涙をもって戦争を』とかぬかして争い続けてるじゃねーか」




怪獣も人間もコミカルで娯楽性抜群の映画です。



進藤兄妹の会話はどれも楽しいのですが、雰囲気がなんだかNHK『あさイチ』の有働アナとイノッチに似ているのでこの二人でリメイクしたら面白そうです(年齢的には姉弟という設定になるだろうけど)。



小美人はマナカナでお願いします(^^)。





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