2023年12月25日月曜日

Amazon.co.jp: 日本書紀の謎を解く 述作者は誰か (中公新書) eBook : 1999


https://www.amazon.co.jp/日本書紀の謎を解く-述作者は誰か-中公新書-森博達-ebook/dp/B00M968B68/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=

上位レビュー、対象国: 日本

スカンピンボーイ
2023年6月3日に日本でレビュー済み
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日本書紀の内容について述べているのではなく、書かれている文字から、いつだれが書いたのかを解明していく。
中国からの帰化人が書いてあるところがありとかは新鮮であった。
また「古事記」についてはそれほどの内容でないというのにも共感。
しかし正直、専門書の部類で僕には難しすぎました。
専門的知識を持たれていないと読むのは大変内容の深い本なのでご注意を。
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Amazon カスタマー
2022年11月5日に日本でレビュー済み
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ですが、興味深い内容でした。
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都司嘉宣
2023年6月6日に日本でレビュー済み
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『日本書記』はその初唐期(8世紀)の正確な文章の筆者の手による執筆部分(A)と、当時の中国語文言文の正確な知識をほとんど持っていない日本人の筆者の日本式漢文による執筆部分(B)とに明白に分けることができるという。たとえば「有」と「在」はともに「あり」、「憂」と「愁」はともに「うれい」と読まれ、日本式漢文ではほとんど差が意識されないが、中国語の世界では、この2個ずつの漢字の意味・用法は厳格に区別される。このような漢文(カナなし日本文)の日本語臭さは、「倭習」または「倭臭」と呼ばれる。倭臭を敏感にかぎ分けることのできる筆者森氏は、この武器を用いて『日本書記』にレントゲンをかけ、全30巻のうち、第1巻から第13巻および第22巻・第23巻には倭臭がなく当時の唐から来日した中国人が執筆した部分であり、第14巻から第21巻まで、および第24巻以降は倭臭に満ちており、明白に日本人が執筆した部分であるという。「わかったようなふりをしていい加減なことを言う」ような本にあふれている現在の日本で、この本によって久々に「本物」を見ることができた。この本に出会えてよかった。
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フィガロ
2023年1月29日に日本でレビュー済み
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非常に緻密な論証の過程を記しているので読むにはしんどい。だからこれだけの傑作にもかかわらず評価は四つ星にとどまっているのだろう。しかし、行を飛ばさずに作者の論証の過程を追っていくと異論をはさむ余地がないほどに圧倒される。学問とはかくあるものかと、自らの雑さを恥じるのみである。一つだけないものねだりをするとすれば日本書紀がどのように編纂されたのかはこの本で解明されたと思うが、それを前提に、なぜそのような過程で編纂したのかの究明が足りない。もっとも著者は言語学が専門であり、そのような究明は歴史学者により多くをゆだねるという作者の謙虚さがそうさせたのだろうと思料する。歴史学を志す者の必読の書である。
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take5
2020年8月23日に日本でレビュー済み
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中国語音韻学が専門で上代日本語にも詳しい著者が、大学の学部生の頃から約30年にわたって積み重ねてきた研究を集大成的にまとめた見事な論考です(概説書的新書というよりも一般読者向けの論文という感じで、書紀や古代史の研究にも大きな影響を与えてると思われます。別に続編もあるようでそちらも読んでみたい)。著者は、天武以来の悲願であった、唐に文化的国家であることも示すことになる漢文による初の正史『日本書紀』全三十巻について、まず各巻に出てくる歌謡と訓注(漢語の読みの注記)の万葉仮名を音韻論に基づいて、α群(正しい中国音(当時の唐代北方音)に基づく漢字が使用されている)とβ群(倭音や呉音に基づく漢字も混在している)および巻三十(判断材料となる歌謡も訓注もない)に分類します(少なくとも歌謡は、おそらく原史料に一字一音の万葉仮名で記述されていたもの(おそらく古韓音または呉音での音が元になっているが、日本人なまりになった音(つまり日本人が発音できる音)の漢字)を、α群については、日本人が発音し(あるいは、原史料がなく、古事記序文に出てくる稗田阿礼的な人物が耳で覚えていた歌を発音し)、それを『日本書紀』に出てくる2人の渡来中国人が聞き取って、中国音(漢音の元になった唐代北方音)に基づく漢字を当てたということだと思われます(このあたりのことは説明されていませんが))。

この音韻論的分析はいくつかあり非常に難しく、中国語の音韻論の本を別に読んで、それらの発音も習得しないと(ちなみに、日本語の母音または子音+母音の組み合わせに比べて、中国語の方が母音も子音も多くもっと複雑)、この本を読んだだけではおそらく理解できないと思われますが、簡単なものを1つだけ挙げると、日本の漢音で「歌」と「加」の字音は「カ」となるのに対し、当時の唐代北方音では音が異なります。このため、歌謡と訓注の日本人の発音に当てる漢字が、中国人と日本人では異なってしまうようです。

ちなみに当時の唐代北方音が分かるのは、「反切(はんせつ)」(簡単にいうと、ある漢字の音を2つの別の漢字を発音記号のように使ってその音を示す)によって漢字の音を表わした『切韻』という韻書(発音字典)が601年に成立し、それ自体は失われたようですが、その後の「切韻系韻書」と呼ばれる資料が残っているそうで、中上古の中国語の体系や音韻を推定するための貴重な資料になっているそうです。

そして、以上のように音韻によって分類されたα群とβ群、および巻三十について、漢文が正格漢文か倭習(倭臭)の漢文かを、使用されている漢字やその誤用、語法、語順などを細かく分析して、α群が渡来中国人によって述作され、誤りの多いβ群、および巻三十が日本人によって述作されたことを証明し(α群にも一部誤りがあるのですが、その理由も説明されています。また、全体にわたって、『漢書』や『文選』など、多くの漢籍の文章を流用して潤色した箇所もかなりあるようです。)、最後には、α群、β群、巻三十の述作者を具体的に推定し、さらに各巻の成立の時期や成立の順序までも推測しています。いやあ、実に凄い!です。

ちなみに、中国文学研究の第一人者とされる吉川幸次郎による聖徳太子の「十七条の憲法」(書記の巻二十二の推古紀にのみ全文が記述されていて、別に巻物のようなものが存在しているわけではないのです(昔学校で習った頃はそう思ってましたが^^;))についての解釈の誤りや、岩波古典文学大系の『懐風藻』の大津皇子の漢詩の韻についての頭注の誤りを指摘していて、ともに説得力があり、大変驚きました(大家といわれるような学者さんでも誤ることがあるということですね)。
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Robert Thouless
2018年8月26日に日本でレビュー済み
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 「なか見!検索」が出来ないので参考のため目次を記します。 
第1章:書紀研究論
第2章:書紀音韻論
第3章:書紀文章論
第4章:書紀編集論
 日本書紀には日本書紀修史事業に関する記事として
天武10年(681)3月17日・・・川島皇子以下12名に国史撰修の詔勅。
持統5年(691)8月・・・18氏に勅して、祖先の「墓記」を進上
持統5年(691)9月4日・・・唐人 続守言、薩弘格が賞賜
 読んではいないが続日本紀に
慶雲4年(707)4月15日・・・文章博士 山田史御方が賞賜
和銅6年(713)5月・・・風土記編纂の官命(日本書の列伝に充てる予定だったらしい。)
和銅7年(714)2月・・・紀朝臣清人と三宅臣藤麻呂に勅して国史を撰らばしむ
養老4年(720)5月21日・・・これより先、一品舎人親王、勅を奉りて、日本紀を納めたまう。ここに至りて功成り、紀30巻・系図1巻を奏上したまふ
 681年の詔勅と714年の詔勅と舎人親王に対する詔勅(時期不明)がこんがらがって何の事やらよく分からない。
著者は日本書紀自身を詳しく調べ下記の結輪を得た。(α群がβ群より先に成立)
巻1~13(β群)・・・山田史御方撰
巻14~21の途中(α群)・・・続守言撰
巻22、23(β群)・・・山田史御方撰
巻24~27(α群)・・・薩弘格撰
巻28、29(β群)・・・山田史御方撰
巻30・・・紀朝臣清人撰
三宅臣藤麻呂は全体の潤色・加筆担当。
 川島皇子以下12名は元資料を集めた人(これが一番難しい)。天武天皇は漢文化も期待したようだが「餅は餅屋」で執筆は上記学者。
 本書は見事な本! レヴェルも高い。
*三浦 佑之「風土記の世界」によると、風土記の「伝えられている旧聞異事」を日本書の列伝に充てる予定だったらしい。が上手く行かなかった。そのため日本書の紀を表す日本書紀という奇妙な名称になったらしい。
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2013年6月21日に日本でレビュー済み
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内容は難しい部分もありながら、コンパクトにこれまでの日本書紀の研究がわかる。
また、著者の分析の手法で、日本書紀の著者の正体が明らかになっていく様子は面白い。
国語学というのか、文学というのか良くわからないが、このような研究者がどのような事に興味をもち、どのようにアプローチしているのかがわかって、異分野への視点が開けた。
著者の大学院生時代からの興奮も伝わってくる。
私にはちょっと難しい点もあったためマイナス1としたが、文学部の存在意義を知る意味でも読んで良かった。
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椎名 勤
2014年8月27日に日本でレビュー済み
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大体考えた通りの内容でそれなりに納得しました。やはり藤原氏の歴史を美化したかったおでしょう。
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