個性を活かそう!~坂口安吾『日本文化私観』~
2021.02.20
おはようございます。あっぺいです。
人からの評価が気になることってありますよね。
「ホントは嫌だけど、周りに合わせてしまう…」
「自分らしくいたいけど、周りから変な目で見られたくないからやめておこう…」
こういう気持ちで自分の思いを押さえこむのは嫌ですよね。
さて、今日は坂口安吾の『日本文化史観』をご紹介します。
読み終わるころには「自分とって大切なことだけやってもいいんだ!」という気持ちになれるでしょう。
坂口安吾とは
安吾について簡単に説明します。
- 明治三十九年(1906年)新潟県生まれ。
- 十三人兄弟の五男(十二番目)なので柄五と名付けられる。
- 東洋大学印度哲学倫理学科卒業。
- 終戦後、「堕落論」「白痴」によって確固たる地位を築く。
- ヒロポン、アドルム中毒により鬱病的精神状態に陥る。
- 昭和三十年(1955年)死去。
写真を見ても分かる通り、「無頼派の物書き」を体言したような人生を送っています。
安吾はエッセイも小説も面白く、小説では『桜の森の満開の下』などが有名です。
『日本文化私観』の要約
安吾はかつて茨城県の取手に住んでいました。仕事の都合で東京に行く度に、電車から小菅刑務所(現東京拘置所)を見ます。
安吾は小菅刑務所に心惹かれます。
この大建築物には一ヶ所の美的装飾というものもなく、どこから見ても刑務所然としており、刑務所以外の何物でも有り得ない構えなのだが、不思議に心を惹かれる眺めである。
出典 『日本文化私観』坂口安吾none
ここから安吾の考察が始まります。
今までにも同じような美しさを感じたことが安吾にはありました。
- 小菅刑務所
- ドライアイス工場
- 軍艦
この三つの存在に安吾は共通する美しさを感じるのです。
安吾はこの三つに共通する美しさについてこう分析します。
この三つのものが、なぜ、かくも美しいか。ここには、美しくするために加工した美しさが、一切ない。美というものの立場から附加えた一本の柱も鋼鉄もなく、美しくないという理由によって取去った一本の柱も鋼鉄もない。ただ必要なもののみが、必要な場所に置かれた。そうして、不要なる物はすべて除かれ、必要のみが要求する独自の形が出来上っているのである。
出典 『日本文化私観』坂口安吾none
安吾はこの美しさを「真の美」と表現します。
「『やむべからざる実質』が求めた所の独自の形態」だけこそが、美を生むと断言します。
その対極(=美を意識した装飾があるもの)を「空虚なもの」として否定します。その具体例として
- 聖路加病院
- 法隆寺
- 平等院
が挙げられます。特に、法隆寺と平等院にいたっては、「古代とか歴史を念頭に入れて納得しないといけないもの」とし、こき下ろします。
見たところのスマートだけでは、真に美なる物とはなり得ない。すべては、実質の問題だ。美しさのための美しさは素直でなく、結局、本当の物ではないのである。要するに、空虚なのだ。そうして、空虚なものは、その真実のものによって人を打つことは決してなく、詮ずるところ、有っても無くても構わない代物である。法隆寺も平等院も焼けてしまって一向に困らぬ。必要ならば、法隆寺をとりこわして停車場をつくるがいい。
出典 『日本文化私観』坂口安吾none
つまり
必要性があって歪(いびつ)な形になったものは美しい。
それに対し
「美しいと思われるような形にしよう」と周囲からの評価を気にして作られたものは美しくない。
と考えるのです。
私はこの考えにとても共感します。
『日本文化私観』から学んだこと
この考え方は、何も建築物に限ったものではありません。
「周りの人から悪く思われたくないからやめておこう」とか、「本当はこうした方がいいと思うけど、目立ちたくないからこのままにしておこう」という考えを持つ人は多いです。
気持ちは分かります。敵を作りたくないし、変な目で見られたくない。
しかし、それでは個性が消えてしまいます。
みんながみんな同じことをする必要なんてないし、一人一人が違うからこそ、世界はバランスを保っています。
私はよく「自分がなりたい人間になろう。人からの評価を気にしてバランスの良い人間なろうとするな。歪(いびつ)でもいいから、なりたい自分を目指そう」と話します。
あるとき、そんな話をした後でこう言われました。
「あっぺいさんは素敵ですね。きっとなりたい自分になれているんですね。尖ってて、キラキラ光るお星様みたいですよ」
正直に言って嬉しかったです。
歪(いびつ)=尖っていてキラキラしている
こう解釈すればいいのです。
まとめ
- 人からの評価を気にしないこと
- 自分がなりたい自分を目指すことが、本当の魅力につながる
自分らしく生きることの大切さについてご紹介しました。今日も自分にとって大切なことを優先しましょう!
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
みなさんの世界が、また少し美しくなりますように。
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