ヒトゲノム計画からエピジェネティクスまで
一石英一郎
著書:『日本人の遺伝子』日本人とユダヤ人の遺伝子は
同じである
一石英一郎『日本人の遺伝子』角川新書
以下の動画ではDNAは不明と述べている
ドイツ公共放送 ZDF 2020年12月19日 「日本とユダヤ」より
(Japan und die Juden - Sendefassung vom)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07B7FMLCY/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=
●ミトコンドリア遺伝子でわかった日本人の起源
「日本人はどこから来たのか?」
これは昔からよく聞かれる話です。 「かつては地続きだった中国大陸から渡ってきた」「朝鮮半島にルーツがある」など、これまでにもさまざまな議論が繰り広げられてきました。その大半が日本から比較的距離の近い、中国や韓国に端を発するだろう、というものでした。
近年、遺伝子の観点からも日本人の起源に関する説が次々と唱えられています。そこからわかってきたことは、これまでの考え方を塗り替えるものです。
DNAを調べる方法には、大きく分けて3つのアプローチがあります。
そのひとつは、「ミトコンドリア遺伝子」を調べるというものです。
ミトコンドリアは、細胞に数多く含まれ、エネルギーをつくる役割をしています。その中でも、女性の卵子の中に含まれているミトコンドリアは、細胞の「核」が持つ遺伝子とは別に、独自の「ミトコンドリア遺伝子」を持っています。
この「ミトコンドリア遺伝子」は、代々おばあさんからお母さん、そして娘へと「女系」のみに受け継がれていくものです。
男性が持つ精子にもミトコンドリアは存在しますが、卵子と受精するといつのまにか消滅し、女性の持つ卵子のミトコンドリアのみが遺伝することがわかっています。
このように女性が代々受け継ぐミトコンドリア遺伝子のパターンを比較したところ、日本人はアジア各地域に共通配列が認められる報告がかなり多いものの、中国の中央部、長江流域の人たち、それからセム系のユダヤ人と非常に似ていることがわかりました。同じ中国でも、北部や南部の人のミトコンドリア遺伝子のパターンは異なっています。
セム系というのは、黒い目、黒い髪をしていて、肌の色は浅黒い人たちのことを指します。このユダヤの系統は、古代ユダヤに由来するといわれています。古代オリエントの流れを汲んで、今でも西アジアなどに多く見られるようです。
また、長江流域と日本の関連としては、「稲」が挙げられます。後述しますが、日本に稲「ジャポニカ種」を伝えた人々が長江流域を経由していることも、稲ゲノム研究によって判明しつつあります。
これらの結果をつなぎ合わせて考えてみると、日本人の祖先ははるか西アジアの方角より「日いずる方」に長江経由で東へ東へと進んで渡来したのではないか、ということが推測されます。
このミトコンドリア遺伝子の解析は比較的昔から行われていました。ミトコンドリア細胞の中の「オルガネラ」という構造物を調べるものです。遺伝子の数もさほど多くないため、調べやすいという利点があります。
ただ、ミトコンドリアはエネルギーを生み出す器官なので、その熱で変異が起こりやすいというデメリットもあります。同じミトコンドリアでも、変異しているDNAも多く、正しいものとそうでないものが混在しているため、正しい解析結果を得られにくい、ということが徐々に言われはじめました。そのため、近年では解析結果を疑問視する声も上がっています。
●Y染色体でわかった日本人の起源
DNAを調べる方法のふたつ目は、「Y染色体」を調べるというものです。
女性の染色体は「XX」、男性の染色体が「XY」。つまり、「Y染色体」は男性にしかないものです。先にご紹介したミトコンドリア遺伝子を使った方法が「女系」の遺伝を調べるものであったのに対し、この方法は「男系」の遺伝を調べます。Y染色体の権威でもある、東京大学の徳永勝士先生らのグループが中心となって研究が行われてきました。
Y染色体は、おじいさんからお父さん、そして息子へと受け継がれていくので、民族の分化や、支配と服従の歴史を証明するものと考えられています。「集団知的の情報」とも言われ、これを調べることにより、ある集団の行動や特性、歴史がわかるのです。
このY染色体には80種類ほどの遺伝子が含まれていますが、そのパターンや配列を詳しく調べたところ、日本人は「D2」というタイプを持っていることがわかりました。「D2」というタイプの中にYAP型(YAPハプロタイプ)が含まれ、Y染色体の中でも非常に古くからある系統です。YAP型(配列)というのは、Y染色体上に見られる非常に特殊な配列で、300塩基(文字)ほどあります。各人の起源を探る上でとても重要な、いってみれば「ID番号」のようなものでしょうか。働きはまだよくわかっていませんが、世界中の人種の中でも非常に特殊なパターンの遺伝子セットであることだけはたしかです。この系統を持っているのは世界的にも珍しく、アジアでは圧倒的に日本人に多く存在します。中国人や韓国人にはまず見られません。そして、驚くことに、地中海から中近東、南部イタリアの人たちと共通点が多いのです。専門家は日本人と古代ユダヤ人に共通していると指摘しています。
このYAP型の配列を持っている人物としては、相対性理論で有名なアルバート・アインシュタインや、飛行機の発明で有名なライト兄弟などが挙げられます。最近は個人で自身のDNAを調べられるようになりましたが、日本人では堀江貴文さんや須藤元気さんなどもこの配列を持っていることがわかっています。
また、遺伝子レベルで見ても、先にお話ししたように日本人のY染色体はユダヤ系といった西アジアと似通っていることがわかっています。そう考えると、日本人の祖先は、中国・海南島より以前、ヨーロッパのほうからやってきたのかもしれないと推測されます。実際、大和言葉と古代ヘブライ語には、なぜか共通の単語があることもわかっています。
たとえば、古代ヘブライ語で〝アグダ・ナシ〟は「集団の長」という意味の言葉ですが、大和言葉で〝あがたぬし〟は「村を統治する長」を指します。
そのほか、古代ヘブライ語:大和言葉の順に言葉と意味を比較すると、 シャムライ(護衛):さむらい(侍)、ナハク(泣く):なく(泣く)、バレル(見つけ出す):ばれる(見つかる)、ミカドル(高貴なお方):みかど(帝)、ハヤ(急速に):はやい(早い)、ハエル(輝く):はえる(映える、照り輝く) など、枚挙にいとまがありません。
このように、最新のゲノム解析に古代から伝えられる神話や言語がたびたび重なることがわかっています。新旧の知識を織り交ぜながら日本人の起源が解き明かされることに、ちょっとした歴史のロマンすら感じられるのではないでしょうか。
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