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https://www.sankei.com/article/20230125-B7RMG27LOJMBBECZOXTA63KAIM/
奈良・富雄丸山古墳で国内最大の蛇行剣出土、類例ない盾形銅鏡も
奈良市にある国内最大の円墳、富雄丸山(とみおまるやま)古墳(4世紀後半)の墳丘から張り出した「造り出し」の部分で埋葬施設が見つかり、内部から精緻な文様が施された盾形の青銅鏡と剣身が曲がりくねった「蛇行(だこう)剣」が出土した。奈良市教育委員会と奈良県立橿原考古学研究所が25日発表した。銅鏡は通常円形で盾形のものは類例がない。蛇行剣は長さ237センチで、古墳から出土した鉄剣では国内最大。いずれも国産とみられ、古墳時代前期の金属器としては国宝級の傑作と評価され、当時の生産技術の高さを示す極めて重要な発見となった。
富雄丸山古墳では国史跡指定を目指し、同市教委が平成30年度から発掘調査を実施。昨年10月下旬、3段に築かれた造り出しの上段から「粘土槨(かく)」と呼ばれる粘土で覆った埋葬施設が見つかった。粘土槨は全長約6・4メートル、幅約1・2メートルで、内部に木棺が埋葬されているのを確認。同11月末には木棺を覆った粘土層から盾形銅鏡、その上層から蛇行剣が出土した。
初めて出土した盾形銅鏡は長さ64センチ、最大幅31センチ、最大の厚さ0・5センチの青銅製。背面中央に突起の「鈕(ちゅう)」があり、その上下に国内で創出されたという神獣を表す「鼉龍文(だりゅうもん)」が円形に施されていたことから「鼉龍文盾形銅鏡」と命名した。円の外側にはのこぎり形の鋸歯文(きょしもん)も見られ、高度な技術力により薄い板と鏡を融合させた青銅製品の最高傑作という。
蛇行剣は、柄(つか)、鞘(さや)の痕跡から装具を含めた全長は267センチに復元できる。国産とされる蛇行剣は85例の出土が確認されているが、今回の蛇行剣は最大で最古。鉄剣としても広島市の中小田第2号古墳の全長115センチを大きく上回った。
発掘現場は28日午後0時半~3時と29日午前10時~午後3時に一般公開する。蛇行剣と鼉龍文盾形銅鏡は橿原考古学研究所に持ち込み、応急的な保存処置を進めているため、公開されない。
和田晴吾・兵庫県立考古博物館長(考古学)の話
「当時の最高レベルの技術がうかがえる。鏡と盾は邪悪なものをはらう埋葬思想を象徴するもので、盾形銅鏡ではそれらがまとまって表されている。長大な剣も、魔よけとしてより威力を発揮させるためにそうなったのだろう」
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富雄丸山古墳 奈良市西部を流れる富雄川の西側に位置する国内最大の円墳。3段築成で、直径は約109メートル。4世紀後半に造られた。奈良県教育委員会が昭和47年に実施した調査で墳頂部に粘土槨(かく)(埋葬施設)を確認。明治時代に盗掘された副葬品は京都国立博物館に所蔵され、重要文化財に指定されている。
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