2023年8月28日月曜日

八千矛神① – 國學院大學 古典文化学事業

此の八千やち矛神ほこのかみ高志こしの国の沼河ぬなかは比売ひめはむとして、幸行でましし時に、其の沼河比売の家に到りて、歌ひてひしく、八千矛の 神の命は 島国しまくに 妻まきかねて 遠々し 高志の国に さかを 有りと聞かして くはし女を 有りと聞こして さよばひに ありたし よばひに あり通はせ 大刀が緒も 未だかずて おすひをも いまだ解かねば をとめの すやいたを 押そぶらひ 我が立たせれば 引こづらひ 我が立たせれば 青山に ぬえは鳴きぬ さ野つ鳥 きぎしとよむ にはつ鳥 かけは鳴く うれたくも 鳴くなる鳥か 此の鳥も 打ちめこせね いしたふや あまはせづかひ ことの 語りごとも をば  (2番歌)http://kojiki.kokugakuin.ac.jp/kojiki/%E5%85%AB%E5%8D%83%E7%9F%9B%E7%A5%9E%E2%91%A0/

古事記ビューアー

この八千矛神は、高志の国の沼河比売と結婚しようとして、お出ましなさった時に、 その沼河比売の家に到着して、歌って仰ることには、 八千矛の神の命は、 八島国の中には妻とするに相応しい女神を得ることが出来なくて、 八島国の果てにある遠い遠い高志の国に、 聡明で美しい女神が居るとお聞きになって、 繊細で麗しい女神が居るとお聞きになって、 求婚に出発なさり、 求婚のためにお着きになって、 腰に帯びる大刀の緒も、まだほどかないうちに、 上着もまだ脱がないけれども、 女神の寝ている家の板の戸を、 押しながら私が立っていらっしゃると、 引こうとして、私が立っていらっしゃると、 (戸が開かないうちに)青々とした山の方で、鵼が鳴いた、 山の麓の野原で、雉の声が響き渡った、 家の庭の鳥も鳴き始めた、 憎たらしくも、声を出して鳴く鳥だ、 この鳥は、撃ち殺してしまえ、 いしたふや アマハセヅカイよ  事の語り言も、この通りであるよ。

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