『just the Two of Us進行(丸の内進行)』の仕組みと使い方
令和のヒットソングにも多様される『just the Two of Us進行』という定番進行があります。
『丸ノ内サディスティック/椎名林檎』にも使われているため、丸ノ内進行とも呼ばれたりします。
今回は、just the Two of Us進行の仕組みと特徴を理解していくとともに、ヒットソングを題材にどの様に使われているのかを確認していきます。
「コード進行」を詳しく理解したい方は、コード進行とは?をご覧ください。
just the Two of Us進行とは
Just the Two of Us進行は、グローヴァー・ワシントン・ジュニア(Grover Washington Jr.)の楽曲『Just the Two of Us』で使われていることで有名なコード進行です。
コード進行は以下の通りです。
(曲のキーはFmあるいはA♭。ディグリーはA♭をIとして表記)
序盤のIV→III→VIの動きが使われることも多く、多様なジャンルのサビやその他のセクションで使われまています。
その他のキーの場合
just the Two of Us進行の特徴
全体的に仄暗さがありますが、どことなく明るさもあります。
個人的な感想ですが、暗く静かな夜に、都会のネオンが程よく混ざりあった様な、大人的な深みを感じます。
この進行は、前半の暗い進行と、後半の明るい進行でできています。
前半、III7はVImに対するドミナントで、ドミナントモーションを作り出しています。
これによりFm7(トニックマイナー)が持つ暗い雰囲気が強調されます。
後半、『E♭m7→A♭7』は、IVへメジャーツーファイブワンとなる進行です。
この進行には明るさを感じますが、前半のマイナートニックへの解決に比べると、それを打ち消すだけの明るさは無い様に感じます。
また、尺も後半部の方が短いため、全体的に暗い雰囲気が優っている印象です。
この塩梅に、切なさや複雑な感情模様まで感じ、そして共感します。
just the Two of Us進行の使われ方
just the Two of Us進行を使った楽曲は数えきれないほどあるでしょう。
1章で説明した様な、オリジナルなjust the Two of Us進行もあれば、少しアレンジした様な進行で取り入れている楽曲もあります。
just the Two of Us進行が使われている楽曲をアレンジ別に分けてみていきましょう。
オリジナル
これまで説明してきたオリジナルなjust the Two of Us進行です。
取り入れられた楽曲をいくつか挙げてみます。
- 丸ノ内サディスティック
- 包み込む様に/MISIA
- 春を告げる/yama(Vmを省略)
- 不可抗力/Vaundy
IV→III7→VI
IVのツーファイブがそのままなく、VImで終止するパターン。やすらぎのポイントが無くなり曲のダークさが増すイメージです。
- 決戦は金曜日/DREAMS COME TIUE
IV→III7→VIm→I
IVへのツーファイブワンがないパターンで、そのままI(トニック)へ進んでいます。
オリジナルに比べると、素直で力強いイメージです。
- うっせぇわ/Ado
- 愛を伝えたいだとか/あいみょん
- キラーボール/ゲスの極み乙女
- 長く短い祭り/椎名林檎(I7)
IV→III7→VIm7→II(II7)
VIm7のあと、ノンダイアトニックコードのIIへ進行するパターン。セカンダリードミナントか、リディアンモードのモーダルインターチェンジで入れられたコードです。
- 接吻/ORIGINAR LOVE
- 琥珀色の街、上海蟹の朝/くるり
- ストロー/aiko
- 忘れられないの/サカナクション
- ハッピーエンド/back number
その他
状況の進行に当てはまらずも、just the Two of Us進行の土台をもった曲は沢山あります。それらを列挙していきます。
- Virtual Insanity/Jamiroquai
- 喜劇/星野源
- 秒針を噛む/ずっと真夜中がいいのに
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