【研究結果】60歳以上の高齢者がビタミンDを摂取するメリットが判明
食べ物に含まれるうえ、体内で生成されるホルモンでもあるビタミンDは、これらの点において特徴的な栄養素。脂溶性のビタミンDには多くの重要な機能があり、免疫力や骨の健康維持、気分の改善などの効果が期待できる。しかし新たな研究で、ビタミンDが高齢者に別の保護効果をもたらす可能性が明らかになった。
『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に掲載された最新の研究では、60~84歳の高齢者を対象とした大規模なサンプルを調査。参加者は2つのグループに分けられ、片方はプラセボを、もう片方は月に60,000IU(1日平均約2,000IU、IUはビタミンの単位)のビタミンDサプリを、最長5年間にわたって摂取した。そして研究終了時、まだ錠剤を服用していた16,800人以上の参加者のデータが分析された。
調査期間中、約1,336件の主要心血管イベント(心臓発作、脳卒中、冠動脈疾患の治療処置など)が発生したけれど、プラセボグループと比較して、ビタミンDを摂取したグループ(とくに研究開始時すでにスタチンなどの心臓病薬を服用していた参加者ら)では、重大な心臓病の発生率がわずかに低かったという。 これは説得力のある結果ではあるものの、統計的に有意ではないようで、誤差の範囲内とも言えてしまう。さらに過去の研究でも、ビタミンDの摂取と重大な心臓疾患との関連性は示されていない。 これらを踏まえ、心臓の健康維持と心臓病のリスク低下にできる最低限のことと言えば、健康的でバランスの取れた食事を摂る、運動を続ける、禁煙する、アルコール摂取量を減らす、血圧をコントロールをすること。また指示どおりに薬を服用し、医療提供者による定期検査を受けることも大切だ。 だからといって、ビタミンDが心臓の健康にとって重要でないわけではない。実際、ビタミンDは血管と正常な血圧をサポートするために必要な栄養素。ビタミンD欠乏症は、血中の脂質(脂肪)レベルの上昇、血管機能不全や動脈硬化との関連性が指摘されている。ほかにもビタミンDの低下と虚血性脳卒中、心臓発作と心臓病のリスク増加の関連が研究で明らかになっている。
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