私が最も魅了された黄金時代のパフォーマンスだけに音楽的な充実度は言うまでもありませんが、清志郎さんを偲ぶに当たってチョイスした理由はミック・ジャガーがブライアンに捧げた抒情詩の朗読場面に尽きます。19世紀初めに活躍した英国ロマン派詩人パーシー・ビッシュ・シェリー作「アドネイス」の一節で、本来はシェリーが同時代の詩人ジョン・キーツの死に即して詠んだ挽歌。その余りにも悲痛な哀悼の精神が時空を超えて21世紀の現代に生きる私の全身に染み入り、清志郎さんへの思いを代弁してくれています。プロ・ミュージシャンになる前はロンドン大学卒業後に国税局への就職を考えていたというミックの知性が垣間見える名場面ですが、ここに対訳(日本語字幕:落合寿和氏)の全文を引用させて頂きます。
彼は死んだのでも眠ったのでもない
人生という夢から醒め
無益な争いを続ける我々を 現実の世界に残した
狂気の中で刃をふるう我々を 無益な現実に残した
我々こそ死した者
日々 我々は不安と悲しみに閉ざされ
寒々とした希望に呑み込まれる
真実が残り 人は変化し死んでいく
天の光は永遠に輝き 地の影は永遠に消え去る
ステンドグラスのように 永劫の光を染める命
死はそれを粉々に踏みにじる
死ぬがいい 汝が求めるものがそこにあるならば
行くがいい -Adonais-
全文は55節からなる長詩で、ミックの朗読は39節と52節からの抜粋。
https://plaza.rakuten.co.jp/kandonokiroku/diary/200905100000/
ザ・ローリング・ストーンズ「ハイド・パーク・コンサート」を観る+パーシー・ビッシュ・シェリー「アドネイス」を読む
昨日の忌野清志郎さんの告別式には、日本全国から42,000人ものファンが集合したそうですね。「雨上がりの夜空に」を始めとした代表曲が大音響で流れる「ロック葬」の中継映像を見て、朝から思わずもらい泣きしてはYOUTUBEをハシゴしていました。名曲「多摩蘭坂」の舞台となった国立市のたまらん坂にも、献花が続々と供えられているとか。我々はつくづく惜しい人物を失いましたね。私も自宅で故人を偲ぼうと最初はミシェル・コルボ指揮「フォーレ/レクイエム」を聴いたりしていたのですが、どうにもしっくりこないので久々にストーンズのハイド・パーク・フリーコンサートDVDを観ることにしました。時は1969年7月5日、観客数は何と25万人超!その1ヶ月後のウッドストック・フェスティバルに先駆けた大規模コンサートのハシリでもある、ロック史に残る伝説的映像。当初は新メンバー、ミック・テイラーのお披露目が目的だったものの、その2日前に元メンバーのブライアン・ジョーンズが自宅プールで謎の溺死を遂げてしまった為、ブライアンの追悼公演として後世に語り継がれることとなってしまったのが何とも皮肉です。と言うのもブライアンは素行不良が一向に直らぬ問題児で、6月8日に他のメンバーから解雇通告を受けたばかりでしたので。
私が最も魅了された黄金時代のパフォーマンスだけに音楽的な充実度は言うまでもありませんが、清志郎さんを偲ぶに当たってチョイスした理由はミック・ジャガーがブライアンに捧げた抒情詩の朗読場面に尽きます。19世紀初めに活躍した英国ロマン派詩人パーシー・ビッシュ・シェリー作「アドネイス」の一節で、本来はシェリーが同時代の詩人ジョン・キーツの死に即して詠んだ挽歌。その余りにも悲痛な哀悼の精神が時空を超えて21世紀の現代に生きる私の全身に染み入り、清志郎さんへの思いを代弁してくれています。プロ・ミュージシャンになる前はロンドン大学卒業後に国税局への就職を考えていたというミックの知性が垣間見える名場面ですが、ここに対訳(日本語字幕:落合寿和氏)の全文を引用させて頂きます。
彼は死んだのでも眠ったのでもない
人生という夢から醒め
無益な争いを続ける我々を 現実の世界に残した
狂気の中で刃をふるう我々を 無益な現実に残した
我々こそ死した者
日々 我々は不安と悲しみに閉ざされ
寒々とした希望に呑み込まれる
真実が残り 人は変化し死んでいく
天の光は永遠に輝き 地の影は永遠に消え去る
ステンドグラスのように 永劫の光を染める命
死はそれを粉々に踏みにじる
死ぬがいい 汝が求めるものがそこにあるならば
行くがいい -Adonais-
全文は55節からなる長詩で、ミックの朗読は39節と52節からの抜粋。幸い我が国でも全文が英文学者・上田和夫先生の名訳で、しかも手軽な文庫で読めるので誠に有難いですね。詩論「詩の擁護」を始め代表的な叙情詩が満載された、一生の宝になる詩集と断言します。興味を持たれた方は図書館または書店にGO!
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