https://youtu.be/HC3u3l7JCb8?si=F5GVsLvqOahntnYs
パゾリーニ
《…歴史には、拒否が常に重大な役割を果たしてきた。聖人たちにせよ、隠者たちにせよ、それから知識人たちにしても、歴史を作った人間だちとは、「ノー」を言った連中であって、枢機卿の太鼓もちや腰巾着などではなかった。だが拒否は、有効であるためには、けちくさい拒否ではなく壮大でなくてはいけないし、部分的ではなく全面的、合理的ではなく不合理でなくてはならないんだ。アイヒマンというのは、君も知っているだろう、まさに良識のかたまりみたいな奴だったね。しかし彼には何か欠けていたのか? 「ノー」を言えない男だったんだ。出世してトップに立ったが、手始めに、つまらん管理や事務しかやっていなかった時点でね。そりゃ、友人の何人かには、ヒムラーが気にくわんくらいは、はっきり言いもしたろう。ちょっとはくさしもしたろうさ~~今だって現に、どこの出販社でも編集室でも、放送局の副局長室や廊下でもやっているみたいにね。もっと言えば、彼は、これこれの列車は一日一回しか止まらない~~収容所の人間のトイレやパンや水のために~~が、二回にした方が能率的あるいは経済的なのに、などと怒ったりもしたろう。だが要するに、彼は一度だって歯車にストップをかけはしなかったんだ! だから、ぼくたちが関心を持つポイントは三つある。つまり、君のいわゆる「状況」だが、それが何であるか、それを止め、あるいは破壊しなければならないのはなぜか、そしてそれに着手するにはどうすればいいかだ。》
『パゾリーニあるいは〈野蛮〉の神話』青弓社 ファビアン・S・ジェラール 1986 pp.162-174より
『私たちはみんな危機に直面している』(一九七五年一一月一目)
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