ヤブガラシや葛(クズ)などのつる性の雑草(つる雑草)について、生態から除草、防除方法まで徹底解説!
2020.09.28
フェンスやエアコンのホース、はたまた果樹にも猛威を誇る、つる性の雑草。茎が蔓状にどこまでも伸びていき、撤去するのも一苦労。切っても切っても生えてくる、非常に厄介な雑草です。ここでは、ヤブカラシ、葛(クズ)などの代表的なつる性の雑草の詳細と、それぞれを駆除、防除するにはどんな方法があるのか、徹底解説していきたいと思います。
ヤブカラシ
ヤブカラシの特徴
ヤブカラシは地下部で栄養繁殖し、地上茎を萌芽して、地上30cmくらいに伸長すると,巻きひげを出して、物体に絡みついて伸長していきます。
ヤブカラシはその名の通り「藪を枯らす」、他の植物や樹木に絡みついて巻き付き繁茂し、全面的に被覆して枯死させることがあるため、茶畑、さとうきび畑などの、畑や果樹園では非常に厄介な雑草です。
地上部は冬期に枯死するものの、地下部で自生、越冬し、地下茎から繁殖する多年草です。地下繁殖が広がるため,非常に防除しにくい雑草です。
ヤブカラシの防除方法
基本的には、地下から新芽が出てきたら早めに抜き取ります。茎が伸長している場合は、根元を草刈りした後、地下茎を枯らす必要があるので、出来ればラウンドアップ やサンフーロンなどのグリホサート系の葉茎処理剤タイプの除草剤を散布すると地下茎まで枯れるので、使用をおすすめします。
グリホサート系の代表的な除草剤
さとうきび畑や菜園など、グリホサート系などの非選択性の薬剤の散布が出来ない環境の場合は、他の植物に当たらないようにピンポイントで散布するか、おすすめなのは除草剤を高濃度に希釈した液剤をヤブカラシに直接塗る方法です。しっかり塗って、確実に駆除しましょう。
葛(くず・クズ)
葛(くず・クズ)の特徴
葛(くず・クズ)もヤブカラシと同じく、地下部で栄養繁殖し、地上茎を萌芽して、物体に絡み、巻き付いて伸長していきます。地面を這うつるは10メートル以上伸び、地下茎はサツマイモくらいの大きさまで成長する塊根となります。
ここまで生育した葛(くず・クズ)は非常に広範囲まで近く期、根を張り巡らすため除去するのが困難になります。アメリカでは、その繁茂力、拡散力の凄さから、有害植物ならびに侵略的外来種として指定され、駆除が続けられている程の難雑草です。
葛(くず・クズ)の防除方法
基本的には、地下から新芽が出てきたら早めに抜き取ります。葛(くず・クズ)は地下茎から繁殖するので地上部を草刈り機や鎌で草刈りをしても、効果はないどころか逆に繁殖の手伝いになってしまいます。
葛(くず・クズ)の難点は、他の雑草よりも除草剤が効きにくいことです。高濃度に希釈した除草剤を直接塗る方法を毎年繰り返すか、下記のような、除草剤を染み込ませたピンを直接刺すのが有効です。刺す本数の目安は、葛(くず・クズ)の直径が2cm以下なら1本、2〜5cmなら、2〜5本、5cmを超えている太いものは、5〜10本くらいを刺すのがいいでしょう。
それ以外の方法で根絶するには、草丈の低い休眠期に土地全面を防草シートという資材で覆って密封し、光合成を出来なくして駆除する方法しかありません。防草シートで防除する場合は、耐久性と遮光率が高いシートにすることが望ましいです。下記は防草シートを徹底解説しているので、シートを選ぶ際の参考になります。
カラスノエンドウ
カラスノエンドウの特徴
カラスノエンドウは種子で繁殖する冬生一年草です。特徴は出芽深度が10cm以上と深く、種子が大きいため麦に似ているため、麦(ムギ)収穫物に混入してしまうと選別が難しくなり、農家にとっては大問題となる雑草です。田んぼの畔畦や水田、麦畑、空き地、庭によく見られます。
カラスノエンドウの防除方法
カラスノエンドウは、特徴として出芽深度が10cm以上と深いため、土壌処理剤の効果は他の雑草と比べて低いです。非選択性の除草剤の使用が可能な場合は、非選択性除草剤を散布するのが有効です。麦畑や水田、田んぼの畦畔の場合は、選択性の除草剤を使うことになります。例えば、麦畑の場合はジフルフェニカンが配合されているリベレーターフロアブルなどが有効です。
ガガイモ
ガガイモの特徴
ガガイモは地下部の5〜10cmあたりに細長い根を水平方向に長く発達させ、その所々から芽を出し、増殖します。つるの長さは2〜4mになり、切断すると白い乳液がでるのが特徴です。
地上部は冬期に枯死するものの、クリーピングルートと呼ばれる地中を横行する根から繁殖する多年生の雑草です。
ガガイモの防除方法
基本的には、地下から新芽が出てきたら早めに抜き取り、根を増殖、繁殖させないことが重要です。草刈りは刈った部分からの繁殖を促すため、おすすめできません。茎が伸長している場合は、非選択性の除草剤が使用可能であれば、グリホサート系の葉茎処理剤タイプの除草剤を散布するのが良いでしょう。また、ホルモン型の選択性除草剤も有効と言われています。
ヤブツルアズキ
ヤブツルアズキの特徴
ヤブツルアズキは、茎はつる性で赤紫色、たくさん分枝し,長さ2mほどになる夏生一年草です。6月手前から発芽し、8月から花が咲きます。花芽分化期が短いことがアズキに類似しています。畦畔や空き地、ダイズやアズキなどの夏作物の畑でよく出現する厄介な雑草です。
ヤブツルアズキの防除方法
基本的には、まず畑、菜園に侵入させないこと、新芽が出てきたら早めに抜き取ることが重要になります。茎が伸長している場合は、使用可能な場合は非選択性の葉茎処理剤、使用できない場合は、ダイズ、アズキの畑で使用できる選択性の除草剤は効果が薄いため、使用はおすすめできません。
その場合は除草剤を使わず、物理的に除去し、ヤブツルアズキは埋土種子として長期間地中で生存するため、とにかく種子を圃場から減らすことが重要です。
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしても、スギナ、スベリヒユ、シロツメクサ、チドメグサ、セイタカアワダチソウ、ツユクサなどの難雑草がしっかり枯れるので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。
まとめ
つる性の雑草は、その他ヘクソカズラ、アサガオ、ヒルガオ、ノウゼンカズラ、ヤマノイモ、カラスウリと色々ありますが、長期間土中で生育するものも多く、駆除、退治が困難な、やっかいな雑草ばかりです。
まずは早期発見、早期の撤去を軸としつつ、生育したものに対しては、直接葉茎処理剤を散布、茎に塗る方法で繰り返し枯らし、駆除をしていくことが基本になります。早め早めの対策を心がけましょう。
また、除草、草刈りのための農機具、農具、草刈機(刈払機)、ブレード(チップソーなど)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。
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