2022年7月29日金曜日

教団を追うジャーナリストが明かす 旧統一教会 ”濃厚接触議員” | FRIDAYデジタル

教団を追うジャーナリストが明かす 旧統一教会 "濃厚接触議員" | FRIDAYデジタル

教団を追うジャーナリストが明かす 旧統一教会 "濃厚接触議員"

祝電、イベント参加、教団トップに花束を渡して絶賛 票欲しさに問題だらけの団体と蜜月に 閣僚級議員がズラリ、その数100人超

'17年5月14日の母の日に、都内で開かれた統一教会のイベントで韓鶴子総裁に花束を手渡す山本朋広議員(画像は「PeaceTV」より)

「日頃より世界平和統一家庭連合の徳野会長、また世界平和連合の太田会長を始め、本当に皆様には我々自民党に対して大変大きなお力をいただいていますことを改めて感謝を申し上げたいと思います」

これは、統一教会(現世界平和統一家庭連合)が'17年5月14日の母の日に有明コロシアム(江東区)で開いた「1万人集会」における、自民党・山本朋広衆院議員の来賓挨拶での発言だ。

国会議員と統一教会の親密過ぎる関係が、世間を賑わせている。現時点で統一教会と何らかの関係を持っていたことが判明している国会議員は、衆参合わせて100人を優に超える。統一教会系のメディアの取材を受けたり、頼まれるまま祝電を送ったりしたケースだけでなく、'12年の第2次安倍政権以降、積極的に教団イベントへ参加する議員も続出している。

ここからは、なかでも特に統一教会とのつながりが深い「濃厚接触議員」をご紹介しよう。

自民党を代表してお礼を述べた冒頭の山本議員は、さらに教団への賛辞を続けた。教団の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁を「マザームーン」とまで呼び、

「実の母にも贈ったことのない立派なカーネーションの花束をプレゼントさせていただきました」

と壇上から述べると、信者たちから大喝采を浴びた。

その山本議員とともに、国会議員団として統一教会及び関連団体の幹部らと'17年7月にアメリカ外遊へ出かけたのが武田良太衆院議員だ。ワシントンDCの米下院議院会館で「韓日米の国会議員カンファレンス」に出席した武田議員は、その後、第4次安倍第2次改造内閣で国家公安委員会委員長と行政改革担当大臣など要職を歴任した。

山本議員と武田議員の統一教会との蜜月関係はそれだけにとどまらない。
'17年2月には、韓国・ソウルの大韓民国国会会館とロッテホテルにおいて、統一教会の関連団体であるUPF(天宙平和連合)が主導して開いた、世界平和国会議員連合(IAPP)の世界総会にも出席している。

さらに、その総会の場で二人は、韓鶴子総裁から、

「それぞれ自分の国の氏族メシアになってください。皆さんの国の国民を救って生かす、実質的な真の父母様の教えを教育する、誇らしい国家メシアになることを祝願いたします」

と直接ミッションも託された(通称"国家復帰"指令)。

'19年10月5日、UPFが名古屋で開催した国際指導者会議「ジャパンサミット&リーダーシップカンファレンス(JSLC)」では、当時清和会の会長だった細田博之衆院議長が基調講演を行った。

同じくその会議に出席した自民党の江島潔参院議員は、主賓の韓鶴子総裁に花束を贈呈。江島議員は同月、東京・新宿の京王プラザホテルで統一教会関連団体が開いた「平和大使と地方議員の集い」にも出席している。この集いこそ、政治家に青年信者たちを引き合わせ、選挙活動や議員活動をサポートする運動員やスタッフを斡旋する顔合わせが行われる会だと指摘されている。

青年信者たちが自転車リレー形式で日本を縦断する、UPFの「ピースロード」プロジェクト。全国各地で開かれるピースロードイベントでは、数多くの国会議員が実行委員長を務め、信者ライダーを激励した。なかには、信者と一緒に自転車に乗って走行する議員も現れた。平井卓也衆院議員と逢沢一郎衆院議員だ。平井議員は'16、'17、'19年に、逢沢議員は'20年にピースロードイベントに参加している。

逢沢議員は統一教会系イベントの常連である。'18年7月には北村経夫参院議員や山下貴司衆院議員らとともに、岡山県で開催された教団1万人集会「復興祈念・2018孝情文化ピースフェスティバル in OKAYAMA」に来賓出席し、壇上から祝辞を述べた。

この集会では、教祖夫妻の五女である文善進・世界会長(当時)が韓鶴子総裁の"みことば"を代読。
日本人信者に韓国への贖罪(しょくざい)意識を植え付けた上で課す、過重な献金負担(通称"責任分担")が改めて可視化された。

「私は日本に言いたいです。私たちがひとつになるためには、過去に誤ったことを認め、これからは未来のために良くしていこうと手をつないでいかなくてはなりません。人間的に考えれば赦すことのできない民族です。しかし天の摂理において、真の父母は日本を世界のために生きるエバ国家、母の国として祝福しました。母の特徴は自分を顧みずすべてを惜しみなく与えてくれることです」

逢沢議員は精力的だ。'18年10月、議員会館の裏手に立つザ・キャピトルホテル東急(千代田区)で、統一教会系の政治組織・国際勝共連合が開催した「国際勝共連合創立50周年記念大会」にも、前出の山本議員や武田議員らと出席している。

この大会には多くの国会議員が出席したが、彼らのほとんどは顔出しだけで、30分程度でそそくさと議員会館に戻って行った。しかし逢沢議員は、いったん議員会館に戻った後、再び夜になって会場に戻ってきた。どうやら、晩餐(ばんさん)会での食事が目当てだったようだ。

それにしても、なぜこれだけ多くの国会議員が統一教会やその関連団体と付き合いを続けるのか。

統一教会側のメリットは、内部統制と体制保護にある。信者が過酷な献金要請によって信仰生活に疑問を感じたとしても、「こんなに偉い国会議員の先生が来賓として出席するほど素晴らしい団体なのだ」と納得してしまう。そして、教団側は警察の手入れや国会での追及に怯えることなく組織運営と資金収集に励み、布教活動に邁進できるというわけだ。

一方の政治家側にとってのメリットは、何といってもマンパワーだ。選挙時に限らず、無尽蔵のスタッフを無償派遣してくれるばかりか、後援会まで結成し全面応援してくれる統一教会はありがたい存在だ。

政治家が統一教会との関係を続けることができたのは、メディアがほとんど報じてこなかったことも要因の一つだ。これまで筆者は、'12年の第2次安倍政権発足以降、継続してこの不適切な関係を報じてきたが、問題の深刻さはなかなか世間には届かなかった。

山上徹也容疑者の凶行は許されるものではない。しかしその背景には、国会議員が国民の目から隠れて統一教会との関係を続けてきたという事実があるのも忘れてはならないのではないだろうか。

同様の事件を二度と起こさないためにも、政治家には襟を正してもらいたい。



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