2022年4月14日木曜日

テオグニス - Theognis 紀元前6世紀ごろ。活動時期は、前600年ごろ、前540年ごろなど諸説ある。

テオグニス - Wikipedia


「人間にとって一番よいことは、生まれなかったことだ。その次によいことは、なるべく早くーー死ぬことだ」とギリシアの詩人も歌った

河出1-13ニーチェ解説





悲劇の誕生#3


 ミダス王はディオニュソスの従者であった賢者半獣神(シレノス)を長いあいだ森の中に追い求めたが、捕えることができなかった。しかし、王がついにシレノスを手中におさめたとき、王は、人間にとってもっとも善いこと、もっともすぐれたことは何であろうか、と問うたのであった。この魔神(ダイモン)はじっと身じろぎもせずに口をつぐんでいた。だが、とうとう王に強いられて、けたたましい笑い声をあげ、吐き出すように言ってのけた。 

『みじめな一日族よ、偶然と労苦の子よ。聞かないほうが御身にとっていちばんためになることを、なぜむりに私に言わせようとするのか? もっとも善いことは、御身にとってはまったく手が届かぬことだ。それは、生まれなかったこと、存在しないこと、なにものでもないことなのだ。しかし、御身にとって次に善いこととは──すぐに死ぬことだ』」


ニーチェはアリストテレスエウデモス』断片所引を参照?


エウデモスはアリストテレスの直弟子


悲劇の誕生 ニーチェ著/秋山英夫訳. ミダス王がディオニュソスの従者である賢者シレノスに問う。人間にとって最もよいこと… | by NYONYO | Medium
https://medium.com/@Mari68473814/%E6%82%B2%E5%8A%87%E3%81%AE%E8%AA%95%E7%94%9F-%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%A7%E8%91%97-%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E8%8B%B1%E5%A4%AB%E8%A8%B3-72a7ff70934a

悲劇の誕生 ニーチェ著/秋山英夫訳

金閣寺庭 陸舟の松 (写真:Nyonyo)

「陸舟の松」は金閣のある西の方向を向いているのですが、その姿は、西方浄土へ航海しようとしていることを意味していると言われています。浄土に生まれ変わることを願った義満の思いが宿り、青々として壮健に見える老松「陸舟の松」は、西方浄土に旅立つ時が来るのを待ち続けているのかもしれませんね。

https://www.cyber-world.jp.net/kinkakuji

ミダス王がディオニュソスの従者である賢者シレノスに問う。人間にとって最もよいこと、最もすぐれたことはなんであるか。シレノスは次のように答える。

「《みじめな一日だけの種族よ、偶然と労苦の子らよ。聞かないほうがおまえにとって一番ためになることを、どうしておまえはむりに私に言わせようとするのか?一番よいことは、おまえには、とうていかなわぬこと。うまれなかったこと、存在しないこと、無であることだ。しかし、おまえにとって次善のことは ― すぐ死ぬことだ。》」

巻末についている『訳注』によると、これに類する厭世思想はギリシアに多く見られるそうだ。

「たとえばテオグニスの詩に『人の子にとっては、うまれないこと、はげしい日の光を見ないことが、万事にまさってよいことである。しかし、もし生まれれば、できるだけ早くハデス(冥府)の門をすぎ、厚い大地の衣の下に横たわるにしくはない』とある。」

ニーチェはさらに次のように続ける。

「この民衆の知恵に対して、オリュンポスの神々の世界はどういう関係に立つであろうか?拷問にかけられた殉教者がその責苦に対して恍惚とした幻想をいだくのと同じなのだ。」

ニーチェが、ギリシア人の生に対するこの見方を、「民衆の知恵」と述べているのは興味深い。「知恵」とは、真理を見極める認識力のこと。そこから、ニーチェが、ギリシア人の、この考え方に全面的に賛同していることが分かる。そうでなければ、「この民衆の知恵」ではなく、「この民衆の考え方」といった言い方をすると思う。

「アポロは崇高な身振りで、苦悶の全世界がどんなに必要であるかを、われわれに示す。苦悶の世界があればこそ、ここの人間は終止あの幻影を生み出すように迫られるのであり、そういう幻影が描き出された上は、それをひたすら眺めて、大海原のただ中でも同様する小舟の上に泰然と坐っておられるからである。」

ニーチェは、アーリア人(ギリシア人)におけるオリュンポスの神々と、セム人(ユダヤ人)のキリスト教の対比をしている。両者ともこの世を生き抜くためには、神様を生み出すことが必要だった。

「真に実在する根源的一者は、永遠に悩める者、矛盾にみちた者として、自分をたえず救済するために、同時に恍惚たる幻影、快感にみちた仮象から成り立っているわれわれ人間は、この根源的一者のつくり出した仮象を、真実には存在しないもの、すなわち、時間・空間・因果律のうちにおける持続的な生成として、ことばをかえていえば、経験的な現実として感ぜざるをえない仕組みなっている。」

ニーチェは、全体としての人間と、個としての人間とがあると言う。個としての人間が消滅しても、全体としての人間は続いていくと。だから一度生を受けることは、永遠の苦しみのサイクルの中に入ることなのだ。

ニーチェは、《人間は、真の芸術家が作った芸術作品として、寝ることや、想像すること、酔っぱらうことなど、その行動全てが芸術である》と言う。さらに、《全体としての人間として、全ての人間の根底には、同じ感情がある》ことも本書の中で述べている。

誰もが似たような感情の動きを持つこと。それによる他者への深い共感。それらは人類共通の背景があるからなのか。

この記事は私のブログに記載したものです。http://aspekt.blog.jp/


ニーチェ


メガラのテオグニスについて(訳注 1


(シュール・プフォルタ卒業時の記念作品 1864年秋)(訳注 2)  m209


http://theognis.ojaru.jp/detheognide.html


訳注 300 ムザリオン版では 619-30 となっているが 619-20 の誤りだろう。

       私は心で悩みながら、ひどい貧困に翻弄される。

       なぜなら我々は、貧困という大波の頂上をまだ越えていないからだ。


 テオグニスが亡命の身で書いたこれらのエレゲイア詩の内容を見ると、生きる事に対する一種の軽視と軽蔑がとても多くの箇所にある。425-28

    地上の人間にとって何よりも最善なのは生まれてこない事

    鋭い太陽の光を見ない事。

    生まれた者はできるだけ速やかにハデス(訳注 301の門をくぐる事。

    そして沢山の土で墓を築いて横たわる事。          m242

    心よ、ふさわしい全てのものをお前に用意することができない。(訳注 302

    耐えろ、お前だけが立派なものを欲するわけではない。

    441-46.(訳注 303) 555-56.(訳注 304 1117-18.(訳注 305 1229-36.(訳注 306



https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%AA%E3%82%B0%E3%83%8B%E3%82%B9

テオグニス

テオグニスの詩を朗誦する饗宴出席者を描いた前5世紀の酒杯(キュリクス)。アテネ国立考古学博物館所蔵

メガラのテオグニス古希: Θέογνις Theognis 紀元前6世紀ごろ)は、古代ギリシアアルカイック期詩人教訓詩を多く詠み、後世のギリシア文学に度々引用された。代表作に「人間にとって最善なのは初めから生まれないこと、次に善いのは早く死ぬこと」という厭世主義の詩があり[1][2][3]反出生主義の先駆者とも言われる[4]ニーチェ古典学者だった頃に研究対象としたことでも知られる[3]

目次

  • 1 人物
  • 2 作品・受容
  • 3 厭世主義
  • 4 ニーチェ
  • 5 日本語訳
  • 6 脚注
  • 7 参考文献
  • 8 外部リンク

人物

人物像には不明な点が多く、学者間で見解が異なることもある[5]

活動時期は、前600年ごろ[5]前540年ごろ[6]など諸説ある。

出身地はメガラであり「メガラのテオグニス」と呼ばれる[5]。しかしこれがギリシア本土のメガラなのか、その植民都市のシケリアのメガラなのか、古代から諸説ある[5]

アルカイック期のメガラでは、僭主テアゲネス英語版に象徴される階級秩序の解体が進んでいた。貴族階級に属していたテオグニスは、階級間の政争によりメガラを追われ放浪した[6]。このような経歴から、テオグニスの詩には、当時の貴族の価値観、混沌とした世間への絶望感が反映されている[1]

詩の多くは、少年愛の相手である少年キュルノスに宛てられている(呼格)。このキュルノスは、詩作のための架空の人物と解釈されることが多い[7]

作品・受容

詩の韻律は全て「エレゲイア詩形」であり、他の詩人含む現存する全エレゲイアの最大量を占めることから、代表的なエレゲイア詩人とされる[1]

当時の詩人では珍しく、まとまった詩集、通称『エレゲイア詩集』が現存している。詩は篇でなく行で数えられ、総計1389行からなる[8]。この詩集は写本の形で中世ビザンツを経て、ルネサンス期の1543年に最初の刊本が出た[8]。しかしながら、他人の詩が多く混入しており、しかも真贋の判別は困難とされる[5]

後世のギリシアでは、主に饗宴の際、集団の価値観の確認や少年への教訓を目的として、テオグニスの詩が朗誦された[1]。またプラトンアリストテレスイソクラテスプルタルコスなど、様々なギリシア古典でテオグニスが引用・言及されている[9]。詩集に無く引用でのみ伝わる詩もある[5]ディオゲネス・ラエルティオスギリシア哲学者列伝』によれば、アンティステネスにはテオグニスについての著作があったが、現存しない。

19世紀には、ドイツ古典文献学ヴェルカーが研究を開拓した。これを受けて後述のニーチェも研究した。またチャールズ・ダーウィンは『人間の進化と性淘汰』で、性淘汰を論じた先駆者として言及した[10][11]

パピルス断片も発見されている。

厭世主義

テオグニスの代表作として、以下の厭世的な死生観を説く詩がある[1][2][3]

地上にある人間にとって何よりもよいこと、それは生まれもせず

  まばゆい陽の光も目にせぬこと。

だが生まれた以上は、できるだけ早く冥府ハデス)の門を通って

  うず高く積み重なる土の下に横たわること。 — 西村賀子訳『エレゲイア詩集』425-428行[12]

この詩は『エレゲイア詩集』だけでなく、セクストス・エンペイリコスピュロン主義哲学の概要』3巻231節やストバイオス英語版の引用によっても伝わる[12]

同様の死生観はテオグニスだけでなく、アリストテレス『エウデモス』断片所引の諺[13]ソポクレスコロノスのオイディプス』1224-1228行[1]バッキュリデス『祝勝歌』5番160行[1]喜劇作家プラトンの詩[14]などにも見られるが、古代ギリシアではテオグニスが代表格とされる[1]

21世紀現代では、この詩は反出生主義(誕生否定)の先駆の一つとされる[4]

ニーチェ

ニーチェ1864年ギムナジウムを卒業する際『メガラのテオグニスについて』という古典文献学の論文をラテン語で書き、以降も複数の論文を書いた[3]

思想的影響は一概には言えないが、『悲劇の誕生』や『ツァラトゥストラ』では、テオグニスと同様の厭世主義や賎民蔑視を説いている[15]

日本語訳

  • テオグニス他著、西村賀子訳 『エレゲイア詩集』 京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、2015年。ISBN 9784876989133※伝来の詩集に引用やパピルスで伝わるエレゲイアを加えたもの。解説347-397頁。
  • テオグニス著、久保正彰訳「エレゲイア詩集」『世界人生論全集 1』筑摩書房、1963年。 国立国会図書館書誌ID:000000895409。※解説430-432頁。
  • ほか、呉茂一の抄訳がある[16]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h 西村 2015, p. 389f.
  2. ^ a b 久保 1963, p. 431.
  3. ^ a b c d 小野寺 1994, p. 13.
  4. ^ a b 森岡 2021, p. 54.
  5. ^ a b c d e f 西村 2015, p. 384ff.
  6. ^ a b 廣川洋一、小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)『テオグニス』 - コトバンク
  7. 西村 2015, p. 387f.
  8. ^ a b 西村 2015, p. 364ff.
  9. 西村 2015, 各詩の訳注.
  10. M.F. Ashley Montagu, 'Theognis, Darwin and Social Selection' in Isis Vol.37, No. 1/2 (May 1947) page 24, online here
  11. Charles Darwin, The Descent of Man, 2nd edition, London (1874), chapter 2
  12. ^ a b 西村 2015, p. 160.
  13. 小野寺 1994, p. 14.
  14. 沓掛良彦 『ギリシア詞華集 3』 京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、2016年10月。ISBN 9784814000326。9.359
  15. 小野寺 1994.
  16. 「以前ここでコピーしたテオグニスの詩が入った本は何だったか?」香川県立図書館) - レファレンス協同データベース

参考文献

外部リンク

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