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ジミー: この『Hackney Diamonds』というのは、スラングの一種なのでしょうか?
ミック: ああ。土曜の夜にハックニーあたりで、車のフロントガラスが割られ、その破片が路上に散乱しているようなものだよ。
ロン・ウッド: 粉々になったフロントガラス。"Smash and Grab"(窓ガラスを割り店内に侵入する窃盗の意のスラング)さ。
ミック: それが、『Hackney Diamonds』なんだ。
【全文翻訳】ザ・ローリング・ストーンズが18年振りの新作発表会見で語ったこと
ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)が、2005年の『A Bigger Bang』以来18年ぶりとなる新作スタジオ・アルバム『Hackney Diamonds(ハックニー・ダイアモンズ)』を2023年10月20日に発売することを発表した。
9月6日UKロンドン・ハックニーにあるハックニー・エンパイアで、アメリカのテレビスターであるジミー・ファロンが司会を務め、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロン・ウッドのメンバーが参加し、YouTubeでも生配信された、そのユーモアで会場が盛り上がったイベントの全模様の翻訳を掲載します
*テキストだけだと会場の笑いの雰囲気が出しづらいので、是非映像を見ながら訳をご覧下さい。
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Rolling Stones LIVE in conversation with Jimmy Fallon // New album 'Hackney Diamonds'
ジミー・ファロン: 世界中の皆さん、こんにちは。ジミー・ファロンです。もう、誰かの電話が鳴っていますね。なんてことだ。出ていってくださいよ。皆さん、マナーモードにするなり、なんとかしてください。
皆さん、どうでしょう。私たちは今、ロンドン東部にある象徴的なハックニー・エンパイア劇場で、世界に向けて生中継しているところです。ご視聴ありがとうございます。私たちがここにいる理由はただ一つ。1960年代から60年にわたり、2億5000万枚を超えるアルバムの売り上げを記録し、音楽シーンに忘れがたい足跡を残してきたバンドがあります。
彼らはポピュラー・カルチャーの真髄を定義づけることとなった究極のロックバンドです。そう、思いませんか?ああ、でしょうね。私もご多分に漏れず、生涯を通じてこのバンドをフォローし、レコードを買ったり、ライヴを観たりして、少しでも彼らみたいにカッコよくなろうと、できることは何でもやってきたのです。
私の大好きな彼らが、今日ここにいらしています。お迎えください。ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッド、ザ・ローリング・ストーンズ!
(メンバー3人登壇)
ジミー: ようこそ。全世界で、生中継でお届けしています。これはとても重要なことで、大勢の人がこれをご覧になっています。
ミック・ジャガー: ロサンゼルスは早朝だね。
ジミー: そうです。ロサンゼルスは早朝です。一つ、お聞きしたいのですが、これは何のイベントなのですか?私たちはなぜここに集結したのでしょう?
ミック: なぜここに集まったかというとだね。立ち上がりたい気分だな(と言って、椅子から立ち上がる)。ニューシングル「Angry」と、後で観てもらうそのビデオを紹介しに来たんだ。「Angry」はニュー・アルバム『Hackney Diamonds』からのファースト・シングルで、だからハックニーにいるというわけさ。10月20日にリリースされる。というわけで、ここにいるんだ。
(会場:拍手)
アルバムタイトルの意味
ジミー: ニューシングルは「Angry」です。このQ&Aが終わるとすぐ、ビデオのワールドプレミアを、それに出演している、皆さんがご存知のとてもクールな方とご一緒にお披露目します。アルバムは10月20日リリースされます。『Hackney Diamonds』とはどういう意味なのでしょう。キース、あなたにとっては何を意味するのですか?『Hackney Diamonds』とは何なのでしょうか?
キース・リチャーズ: タイトルが『Hackney Diamonds』になったのは、タイトルのアイデアがいくつかあって、『Hit & Run』だったのが『Smash & Grab』になり…。
ジミー:それもいいタイトルですね。
キース: その2つから、どういうわけか『Hackney Diamonds』を思いついたんだ。それら2つ両方のバリエーションのようだからね。それに、俺たちはロンドンのバンドだから、ということもある。
(会場:拍手)
ジミー: この『Hackney Diamonds』というのは、スラングの一種なのでしょうか?
ミック: ああ。土曜の夜にハックニーあたりで、車のフロントガラスが割られ、その破片が路上に散乱しているようなものだよ。
ロン・ウッド: 粉々になったフロントガラス。"Smash and Grab"(窓ガラスを割り店内に侵入する窃盗の意のスラング)さ。
ミック: それが、『Hackney Diamonds』なんだ。
アルバムの制作期間
ジミー: ロニー、このアルバムの制作にはどのくらいかかりましたか?
ロン: 実は結構早くできたんだ。アイデアがたくさんあって、去年のクリスマス前にそれらを集め、やってみたんだよね。
ミック: ああ。
ロン: そうさ。かなり早くできた。
ジミー: でも、もう18年にもなりますよ。
ミック: 俺たちはとても怠惰だったんだよ。
ロン 電撃戦ってわけだ。
ジミー: 待ってくださいよ。全然早くないでしょう。
ミック: やったことはあったんだ。ほとんどずっとツアーに出ていた。いや、少し怠惰だったのかもしれない。そこで突然… 「期限を決めよう。レコードを作って、期限を決めようじゃないか」ということになった。キース、俺、ロニーが話し合い、「よし、このアルバムをクリスマスに作り、バレンタイン・デーまでに完成させよう」と言ったんだ。
ロン: そうやって、2枚分のアルバムができた(笑)。
ジミー: はい、その通りですよね。
ミック: そこで、ロニーが言ったように、12月にスタジオ入りし、23曲をあっという間にカットして、1月に仕上げ、2月にミックスしたってところかな。そんな感じだったね。
ジミー: キースとジャマイカに行かれたのですか?そこから始まったという噂を聞いたのですが。
キース: 実はジャマイカで「Angry」を書き始めた。ミックが用意していて、準備ができていた。そこで、その曲をまとめたんだ。それ以外にもたくさん曲があったが、この曲が最初に際立っていると感じたね。
ミック: そう、キースと俺と…。
キース: スティーヴも。
ミック: スティーヴとマットがジャマイカに行って、俺たちは「スタジオで色々試してみる」と言った。そこに行って、アイデアを出し合い、その後、ニューヨークに行き、ロニーも加わった。その後、アンディ・ワットというプロデューサーが俺たちに喝を入れた。それからロサンゼルスに行って、さっき言ったように曲をカットしたんだ。
チャーリー・ワッツの不在とビル・ワイマンの参加
ジミー: チャーリー・ワッツがスタジオで一緒にプレーしていないというのは、違和感があるのではないでしょうか。いかがでしたか?
キース: チャーリーが逝ってしまってからというもの、前とは違うよ。当たり前だ。分かるかい?彼はNo.4だ。その彼がいない。(場内上の方を指し)あそこにいるさ。彼はもちろん、とても惜しまれている。でも、チャーリー・ワッツのおかげで、スティーヴ・ジョーダンがいるんだ。チャーリーに何かあったら「スティーヴ・ジョーダンが適任だ」と彼が推薦してくれたからね。
ジミー: 彼がスティーヴ・ジョーダンを選んだのですか?
キース: そうだ。かなり以前のことだよ。彼は俺たちの友人でもあった。俺はスティーヴと仕事をしたことがあったし、それは自然な流れだったね。チャーリーが快く賛成してくれなかったらもっと大変だったと思うがね。同時に難しいことでもあったんだ。
ジミー: 彼はアルバム収録曲のどれかを担当したのですか?
ミック: チャーリーが、かい?
ジミー: はい。
ミック: アルバムには12曲収録されている。そして10曲が…。いや、それは違うな。ほとんどはスティーヴだが、2曲は2019年にチャーリーとレコーディングした曲だ。というわけで、以前にチャーリーとレコーディングした2曲を使用している。
ロン: 「Living by the Sword」と「Mess it Up」だ。
ミック: ああ。
ジミー: それらが彼の演奏した2曲なのですね。
ミック: そうさ。
ジミー: それからもう一つ聞いた噂は、ビル(・ワイマン:元ストーンズのベーシスト)が…。
ミック: そう、ビルね。ビルにスタジオに来て欲しいと頼んだんだ。
ジミー: 「Living by the Sword」ですか?
ミック: ビルが来て、1曲弾いた。つまり、1曲でローリング・ストーンズのオリジナルのリズムセクションが揃ったというわけさ。
ジミー: うわ、それはすごいですね。
ミック: でも、ほとんどは新しいものだ。その曲は2019年だけどね。
ファースト・シングル「Angry」
ジミー: 1曲目は「Angry」です。怒りというのはこのアルバムのテーマなのですか?
ミック: ああ、キースと俺はアルバムのテーマが怒りであるべきだと思ったんだ。
ジミー: はい。
ミック: どの曲でも怒っているべきだ。
ジミー: 私がそう言ったので、怒りがこみ上げてきていませんか?あなたが怒る姿を見たくないですが。
ミック: 怒りと嫌悪だ。
ジミー: 怒りと嫌悪?
ミック: それがコンセプトだ。
ジミー: どの曲も怒っているとか。
ミック: そう、どの曲も怒っている。
ジミー: どの曲も「Angry」というタイトルなのですか?
ミック: 曲のタイトルが全て「Angry」ってことはない。そんなの馬鹿げているだろう。
(会場:笑)
ジミー: 馬鹿げていますけれど、前人未踏ですから、いかがでしょう?
ミック: いや、オリジナルのアイデアではあるが。
(会場:笑)
キース: そんなに長い間、怒っていられる人はいないさ。
ジミー: 私の義理の両親に会ってみてくださいよ。
(会場:笑)
ミック: それから2つ目のアイデアがあった。それは全曲を怒りについての曲にしないというもの。もっと多岐にわたったものとし、ラブソングやバラード、カントリー風の曲とかを何曲か入れよう、とね。
ジミー: なるほど。
ミック: そこで、色々組み合わさったものとなった。
ストーンズは夜のバンド?
ジミー: 最後に御三方を見たのは、ここロンドンのハイドパークで演奏されたときでした。あれはすごかったですね。ハイドパークがあのようなショーを開催したことはありませんでした。とても美しいもので、公園で午後7時頃から始まって、日が暮れていく。そして午後10時には誰もが退場となるのです。とても英国らしい規則ですよね。「さあ、皆さん、帰った!帰った!全員、退場!さあ、帰ってください」っていう。あれは素晴らしい公演でした。そしてその翌日、私はミック、あなたにこう言いました。「公演はいかがでしたか?私は素晴らしいと思いましたが、あなたはいかがでしたでしょう?」と。すると、あなたは、「俺たちは昼間のバンドじゃないんだよね」とおっしゃっていました。
(会場:笑)
ジミー: あれはとても面白いと思いました。
ミック: 「悪魔を憐れむ歌」を午後8時にプレーするなんて。
ジミー: そうですよね。子供と一緒にサンドイッチを食べながら、「Paint it Black」を聴きたくはないですよね。
ミック: そうだよな。
ジミー: でもあなた方は夜のバンドだと思いますか?
キース: 大概はね。
ミック そうだ。
ジミー: でもこのアルバムは1日のうちいつ聴いても良いですよね。
ミック: 一日中いつでも、世界中の好きな場所で、好きな時間に聴けばいいさ。
ジミー: 『Hackney Diamonds』の3曲目はいつでも…。
ミック: 4曲目もそうだ。プレイしてもいいぞ。
ジミー: やめてくださいよ(進行台本になく、解禁前の曲が流れると思って焦るジミー)。
ミック: 4曲目はプレイできる。
ジミー: なるほど。
キース: 5曲目、6曲目もそう。
ジミー: 5曲目と6曲目もそうですか。
ロン: オーストラリアはもう明日になっているぞ。
ジミー: 明日ですか。そこではもうこのアルバムを聴いているかもしれませんね。そうですよ。それは良いですね。
キースのタバコ
ジミー: キース、あなたといえばいつもこの話を思い出します。私の番組に出演してくださいました。ありがとうございます。
キース: 問題ないよ。
ジミー: 私たちは楽屋裏にいて、あなたはタバコを吸っていた。
(会場:笑)
ジミー:スタジオは禁煙なのですが、警報が鳴り、消防係の人がやってきた。消防係がいたなんて知りませんでしたが、彼らはスタジオにやってきて「リチャーズさん、ここでタバコを吸うべきではありません」と言いました。するとあなたは「わかっているよ。体に悪いからね」と言ったのです。
(会場:笑)
ジミー: 覚えていますか?
キース: ああ、覚えているさ。その時は本当にそうだったんだ。
ジミー: 今でもタバコは吸われますか?
キース: いや、あの後すぐに止めたよ(笑)。
ジミー: ほらね。私に借りがありますね。
二人しか来なかった最初の記者会見
ジミー: 本作は24枚目のスタジオ・アルバムなのですね。
ミック: ああ。
ジミー: 皆さん、24枚目ですよ。1作目の記者会見のことを覚えていますか?
ミック: ああ、記者会見のことを覚えているよ。キースと俺は、デンマーク・ストリートのパブにいたんだが、アルバムをリリースし、ジャーナリストが二人来た。NMEから一人と、メロディーメーカーから一人だ。俺たちは彼らにビールを一杯買って、「俺たちのアルバムはこれだ」と言ったんだ。
ジミー: それだけだ。
ミック: 「聴いてみて」と言って、その場を離れた。それだけだった。
ジミー: 今とは少し様子が違いますね。
ミック: 写真撮影も一切なかった。
ジミー: 全く何もないですね。
ミック: 売れ行きは良かったぞ。
ジミー: レビューはいかがでしたか?
ミック: 評価は分かれていたが、売り上げは良かった。
レコーディングはミック主導?
ジミー: シンガーがレコード制作を希望したら、皆さんもレコードを作りたいと思うものなのですか。
キース: シンガーがレコードを作りたいと言ったら、彼のレコーディングをする。というのも、彼が次にいつできるか分からないからね。
ミック: 行ってしまうかもね。
キース:だから、ミックが俺に「レコードを作りたい」と言ったら、何とかして「さあ、やるぞ」と言うんだ。
ミック: それが分かって、良かったよ。
キース: 君にそう言ったことはこれまでなかったな。
ミック: そんなこと言わなきゃ良かったのに。俺がやるのはそれだけでいいんだと分かって良かったよ。
ロニーの演奏
ジミー: ロニー、あなたはいつも何かで演奏していますよね。最近、ヴァン・モリソンと一緒にプレーしているのを見ましたよ。よく好きなバンドと演奏されるのですか?
ロン: ああ、そうなんだよ。ギグとギグの合間に、テクニックを維持している。この年になると、指を動かし続けておかなきゃならないんだ。全てを動かし続けなきゃいけない。
(会場:笑)
キース: それは面白いな。
ミック: それについて、もっと詳しく話してみないか?
ロン: 年をとれば、俺が言っている意味がわかるようになるさ。
(ミックとロンが立ち上がって踊り出す)
ジミー: 上下に、全てを動かして!
ロン: 体を揺らして!揺らして!
アルバムのトラックリスト
ジミー: トラックリストがあるのですが、ファンの皆さんは、トラックリストについて知りたいと思います。1曲目は「Angry」です。
ミック: そう。
ジミー: ある種の感情が湧いてきたりしますか?
ミック: 怒りはあるね。
ジミー: 質問が悪かったですよね。すみません。
ロン: リフがいいんだ。
キース: 超ファンキーなリフがあるのが特徴だ。
ジミー: いいリフがありますよね。それから「Get Close」。
(間)
ミック: うん。
(会場:笑)
ジミー: 「Depending on You」?
ロン: 心を動かされる。
ミック: それは、いつも誰かを頼りにしていたいと思うのに、がっかりさせられることについてだ。
ジミー: それは私のことではないですよね?
ミック: いや、君はここにいるだろう。はるばるニューヨークから来てくれたじゃないか。
ジミー: そうですね。
ロン: 「Mess it Up」は君についてだ(笑)。
ジミー: 「Bite My Head Off」は?
ミック: 「Bite My Head Off」は、ガールフレンドが本気でキレたとき、「ダーリン、俺に向かって噛みつくのはよしてくれ」と言うようなものさ。
ジミー: そう、噛みつかないで、と言うものですね。
ミック: 失礼な物言いだね。
ジミー: ああ、失礼な言い方ですよね。「Whole Wide World」は?
キース: そういうことなのか?
ミック: しっくりくるようになるよ。
ロン: ファンキーなリフだ。「Whole Wide World」はとてもファンキーさ。
ジミー: 本当ですか?「Dreamy Skies」は?
ロン: 「Dreamy Skies」は夢見る感じだ。
ミック:ほら、何についてなんだ?
ロン: まあ、ミックが足止めを食らい、全てから逃れようとしていることについてだと思う。だよな? 全てを忘れ、往年のハンク・ウィリアムスやホンキー・トンクスなどを聴きたいと言っていた。
ジミー:実現が難しいものですよね。
ミック: いや、ロックダウン中に実現した。
ジミー: そうですか。
ミック: あれで十分だった。
ジミー: 十分でしたか。「Mess it Up」は?
ロン: それは君についての曲だ(笑)。
ジミー: 私の曲なんですか?「Live By the Sword」はチャーリーが演奏しているのですよね。
ミック: 彼が参加している。ちょっとレトロな感じだ。
ジミー: 「Driving Me Too Hard」は?
ミック: それについてはキースが話す。
キース: どの曲も、それが何についてかなんて言えないよ。いや、リフとメロディが良いんだ。
ロン: (さまざまなリフやメロディの)るつぼだね。
キース: えーっと、そうさ。そういうことだ。
ジミー: 「Tell Me Straight」は?
キース ストレートに言うと、それが何についてなのかはさっぱり分からない。
(会場:笑)
ジミー: リフが良いですよね。
ミック: その曲はキースが歌っている。彼の歌が良いね。
キース: ミックがこの曲を盗もうとしたので「きっと良いに違いない。俺が歌おう」と言ったんだ。
ジミー: 「Sweet Sound of Heaven」は聴かせてもらいましたよ。こういった曲をいくつか聴いてみましたが、驚異的です。
ミック: これはどちらかというと…
ロン: スティーヴィー・ワンダー。
ミック: ゴスペルのような曲だ。ゴスペルソングだよ。
ジミー: ゲスト・シンガーを招いていますよね。度肝を抜かれます。
ミック: ゴスペルは大好きなんだ。
キース: 教会に今まで一度も行ったことないくせに。
(会場:笑)
ミック: 一度はあるよ。教会に行ったんだ。お前は完全に間違っているぞ。
キース: どうだったんだ?
ミック: 大概大きな建物だろ。アーチがあって、ね。
ロン: 大きな尖塔がある。
ジミー: あなたが入った瞬間に全焼したりしませんでしたか? (ミックの口調を真似て)「皆さん、こんばんは。今日は俺が説教する。さあ、始めるぞ。誰が聖体拝領を受ける?誰が受けるというんだ?どうした?イエスよ、ありがとう!」
ミック: 俺はそんな話し方はしないぞ。
ジミー: あなたのモノマネではありません。ロニーの真似をしていたんです。
ミック: ああ、そうか。
ジミー: キース、あなたは以前、聖杯("究極の理想"の意)はレコードを作ることだとおっしゃっていましたね。今でも皆さんは一緒にスタジオにいるのが好きなのですか? 楽しかったですか?
キース: ああ、楽しいね。そこはバンドが一つになれる場所だ。ライヴ演奏というのが、もう一つの聖杯だ。でも、レコーディングというのは、メンバーが集結し、干渉されることなど一切なく、アイデアを出し合える場所なんだ。うまくいけば、素晴らしいことだが、聖杯ではないものもある。本当さ(笑)。バンドが全てをやりくりするには最高の場所だね。
ジミー: 曲を作る際、ファンの反応を意識したりしますか?
キース: それはない。
ミック: それはないと思う。
キース: 他の人がどう思うかなんて、考えない。ただ、(気に入ってもらえることを)祈り、願うだけだ。
ミック: 思うに、作業に臨んだら、自分自身を喜ばせなければならないものだ。分かるかい?他人を喜ばせることでは全くなく、まずは自分のために演奏し、他については考えない。後になって、「ああ、みんなもこれが好きかもしれない。あるいは気に入らないかもしれない」などと思うのかもしれない。
キース: そうだね。それからかなり経ってから「でも俺たちが気に入れば、観客も気に入るだろう」と思うものだ。みんなにも伝わっていく。
ジミー: 誰かがその曲を口パクするのを目にするまでは。
キース: 俺が間違っているのかもしれない。
ロン: レディー・ガガが実に見事に歌っている。
ミック: 「Sweet Sound of Heaven」だ。
ジミー: 貴重な情報を流していますね。でも、レディー・ガガは信じられませんよね。見事ですよ。
キース: そうなんだ。
ファンからの質問
ジミー: ファンといえば、世界中のファンから質問を頂いています。ルーさんは、「ストーンズの曲の中でずっと好きな曲はありますか?」と尋ねています。
キース: ルー。
ミック: ルー?
ジミー: この場にはいませんよ。
キース: ルーは一番答えられない質問をしたな。
ミック: ストーンズの曲で、ずっと好きな曲は全くないね。答えは、「ルー、ノーだ。ない」。
キース: 世界一、ありえない質問だ。
(会場:笑)
ジミー: ルー、この馬鹿者が! 最初になんて質問をしてくれたんだ。この愚か者め!
(会場:笑)
キース: でも、ルーのために、「Gimme Shelter」か「Jumpin' Jack Flash」だと言っておく。個人的には一晩中演奏していられる。
ジミー: 私は「Off The Hook」が好きなんです。
ミック: 何だって?そんなの聞いたことないぞ。
(ジミーが歌い出して、ミックが続く)
(会場:拍手)
(ミックが拍手をうけてステージを降りるそぶりをして、ジミーを座らせる)
ジミー: ここにまた座りますから。大丈夫です。
ミック: あいつをまた座らせてやったよ。
ジミー: アルゼンチンのマリアさんから「観客の中にいるファンを見て、この子なら結婚してもいいと思ったことはありますか?」という質問です。
ミック: 観客席で結婚する人たちを見たことがある。
ロン: ああ、見たね。
ジミー: そうなのですか?
ミック: 結婚したいと思った人は見たことはないが、結婚する人なら見たよ。
ジミー: ロニーは実際に誰かと結婚したのですか?
ロン: ああ。
ジミー: したのですか?
ロン: 夢の中で、だ。ベイビー!
ジミー: もしかしたら…
キース: 全員と結婚できるかもしれないな(笑)。
ミック: 一夫多妻制は生きている。
キース: 俺はモルモン教徒なんだ。
ジミー: フランスのオリバーさんより、「ロニー、この前、ヴァン・モリソンと一緒に演奏する姿を見ましたが、なぜ他のバンドとプレーするのですか?」と質問があります。
ロン: スキッフルをプレーしたんだ。彼は新しいスキッフルのアルバムを出したんだが、あれは最高だったね。俺はそこから入っていったんだ。
ミック: スキッフルのアルバムか。
ロン: だから簡単なことだよ。
ジミー: これは南ウェールズのジェリーさんからの素晴らしい質問です。「ダーツを投げるのが一番うまいのは誰ですか?」
ミック: みんな下手だよ。
ジミー ダーツはやるのですか?
ミック: 楽屋裏のShipというパブにダーツボードがある。この会場の楽屋裏の外にShipというパブがあり、そこにダーツボードがあるから、この後、誰が一番うまいか見てみよう。
キース: 結果は後で知らせるよ。
ミック: その結果は連絡する。
ロン: あそこを射落とそうとして、朝の3時になってもそこにいるだろう。
ジミー カリフォルニアのブランドーさん。
ミック: マーロンか。
ジミー: 「キースとミックの二人は、僕と妻よりも長い年月一緒にいますが、幸せな結婚生活の秘訣は?」と聞いています。
キース: 彼らに教えてもらおうじゃないか(笑)。
ミック: あまりしょっちゅう話さないことだ。
(会場:笑)
キース: 「黙れ」といかに丁寧に言うか、だね。
アルバムの完成について
ジミー: 『Hackney Diamonds』では、あなた方は他の誰にも成し得なかったことをやりました。
ミック: 何だ?アルバム1枚作るのに18年かけたことか?
(会場:笑)
ジミー: いや、真面目な話、皆さんのようなバンドは他にいません。比較対象すらいないのです。
キース: そこがポイントなんだ。
ジミー: そうですね。あなた方がやっていることは、未開拓の領域です。このバンドが全く新しいアルバムを出すなんて、誰が想像できたと言うのでしょう?しかも今、2020年代で、とは。
ミック: 分からない。
ジミー: あなたは60年代にいましたよね。
ミック: 言いたいことがあるんだ。偉そうなことは言いたくないが、このアルバムを俺たちが本当に気に入っていなかったら、リリースすることはなかっただろう。なんでも良いから作って出すなんてことはしたくなかった。作る前に、俺たち誰もが「自分たちが本当に気に入るようなレコードを作りたい」と言っていたんだ。他の人は気にいるかもしれないし、そうではないかもしれない。でも、自分たちがこの作品に満足していると言えなければならない。俺たちは偉そうなことを言っているわけではないが、本作には満足しているよ。
ロン: それに乾杯だな!
ミック: そして、みんなに気に入ってもらえると嬉しいよ。
(会場:拍手)
ジミー: これからステージを片付けて、ビデオをご覧いただきます。最新アルバム『Hackney Diamonds』からのビデオのプレミアです。リリースは10月20日です。それでは皆さん、ザ・ローリング・ストーンズでした。
ミック: ありがとう。
3人:ありがとう。
(3人ステージを去る)
「Angry」に出演したシドニー・スウィーニー
ジミー: さあ、一人一人が伝説的な存在です。そしてアルバムは最高です。皆さん、「Angry」のワールド・プレミアを観る準備は整いましたか? ザ・ローリング・ストーンズが作るビデオは毎回、最もホットなハリウッド俳優・女優が登場しますが、それは今回もそうでした。このビデオには、シドニー・スウィーニーが出演しており、今夜、シドニーさんがいらしています。シドニーさん、お会いできて嬉しいです。
シドニー・スウィーニー: お会いできて嬉しいです。
ジミー: ザ・ローリング・ストーンズのビデオ出演を依頼されたときというのは、どんなことを考えるものなのでしょう。
シドニー: もうとっても驚いて、家族に電話しました。(今日は)母を連れてきました。
ジミー: はじめまして。自慢の娘さんですね。
母親: とても誇りに思います。
ジミー: MVを撮ったことはありますか?
シドニー: あります。
ジミー: あるのですね。でもこんなのはありませんでしたよね。
シドニー: こんなのはなかったです。
ジミー: いや、ないですね。お母さん、あなたはストーンズのファンなのですか?
母親:もちろんです。
ジミー: ああ、もちろんそうですよね。あなたにはお気に入りの時代はありますか?
母親: どの時代もです。
ジミー: 一生分の音楽ですね。娘さんがこのビデオに出演することになるなんて、思っていましたか?
母親: いいえ。
ジミー: そうですよね。あなたは『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート』や、『ユーフォリア/EUPHORIA』に出演してきましたが、本作が一番ビッグな作品でしたよね。
シドニー: これまでで一番ビッグです。
ジミー: 今までで最大ですね。曲は聞かれましたか? それがファースト・シングルになるとご存じでしたか?
シドニー: 最初のシングルになるとは知りませんでしたが、聴いた時、とても気に入りました。頭から離れません。
ジミー:頭から離れないのですね。
シドニー: はい。
ジミー: 本当に、本当にいい曲ですよね。最高です。皆さんにご覧いただきたいです。この後数分後に上映しますので、準備を整えてください。ザ・ローリング・ストーンズとシドニー・スウィーニーさんによる「Angry」のプレミアです。お楽しみください。
The Rolling Stones – Angry (Official Video)
Written By uDiscover Team
最新アルバム
ザ・ローリング・ストーンズ『Hackney Diamonds』
2023年10月20日発売
① デジパック仕様CD
② ジュエルケース仕様CD
③ CD+Blu-ray Audio ボックス・セット
④ 直輸入仕様LP
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シングル
ザ・ローリング・ストーンズ「Angry」
配信:2023年9月6日発売
日本盤シングル:2023年10月13日発売
日本盤シングル / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
- ザ・ローリング・ストーンズ アーティスト・ページ
- ザ・ローリング・ストーンズはどのようにロックンロールを変えたか?
- ストーンズはトロントでのシークレット・ギグをどのように行ったのか
- ストーンズ、77年の伝説的なシークレットライヴが初発売決定
- ストーンズの「ベロ・マーク」の誕生と歴史
- ローリング・ストーンズが60年代から2020年代まで7つの年代で全米チャート入り
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