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CBD以外のカンナビノイドであるCBGにも健康への効果が期待されています。本記事では、CBGはどのような物質でどのような効果があるのかについて解説し、さらにCBGにまつわる現状の課題や問題点、今後期待されることについて紹介します。
カンナビノイドにはどのような種類がある? カンナビジオール (CBD) は、麻などの植物に含まれるカンナビノイドと呼ばれる成分の一種です。
そもそもカンナビノイドは麻に含まれる化学物質の総称ですが、オレンジなど他の植物にも含まれていたり、人工的に誘導体などを合成したりしたものもあります。
植物性の天然由来のカンナビノイドはフィトカンナビノイド、誘導体などの関連物質は合成カンナビノイドというように分類されています。
そのようなカンナビノイドですが、1899年にイギリスの科学者がカンナビノール (CBN) を発見したのが起源と言われています。
それ以降、カンナビノイドの研究が進み、CBDはもちろんTHC (テトラヒドロカンナビノール) 、CBC (カンナビクロメン) 、CBN (カンナビノール) など、今日までに100以上の種類が確認されています。
カンナビノイドは生体にどのように作用する?合法なの? カンナビノイドの大きな特徴として、精神への作用や身体の機能調節など、生体に効果を与える点があります。
病気の症状改善など、心身にとってプラスに働きも多く確認されています。
カンナビノイドが生体に働きかけるのは、エンド・カンナビノイド・システム (ECS) という生体システムに関与するためと言われています。
カンナビノイドの種類によって、生体に与える作用やその大きさに違いはありますが、麻や麻由来の製品の効果にカンナビノイドが大きな役割を果たしていることは間違いありません。
しかしながら、麻やカンナビノイドについては、警戒する声もよく聞かれます。
「麻=大麻」という印象があるためです。ご存知の通り、大麻は日本を含むさまざまな国で規制の対象となっています。
とはいえ、カンナビノイドすべてが違法となってしまうのかというと、そうではありません。
現在、大麻に含まれる成分として、日本で規制の対象となっているものはTHCというカンナビノイドです。
THCは医療大麻の成分として注目されていますが、脳神経に直接作用して精神活性作用をもたらすことからマリファナの主成分にもなっています。
そのような背景から、THCは身体への悪影響や社会的な問題の引き金になることが懸念され、日本では違法な物質に分類されています。
しかし、他のカンナビノイドには精神活性作用は確認されていません。例えば、CBDがもたらすものは精神活性作用ではなく、鎮静作用 (リラックス作用) ということが知られています。
そのため日本の法律では、CBDなどのTHC以外のカンナビノイドについては違法ではありません。
このように「カンナビノイドは大麻に含まれる成分である」といっても、すべてに問題となる作用があったり規制対象になったりしているわけではありません。
もっとも、大麻に対する考え方は国や地域によって異なります。
THCが認められている国もあれば、CBDも含めて多くのカンナビノイドが違法という地域もあるので、海外に行かれる際にはその国の法律をきちんと調べておくことが大切です。
CBGとはどのようなカンナビノイド? このように多くの種類があるカンナビノイドですが、今回の記事の主役であるCBG (カンナビゲロール) も1964年に発見されたカンナビノイドの一つです。
CBGは最初は麻の植物内ではカンナビゲロリン酸 (CBG-A) という酸性型の物質として存在していますが、麻が成熟するに従って酵素の働きによって構造が変わり、CBDやTHC、CBCなどといったカンナビノイドに変化します。
即ち、CBG-Aはさまざまなカンナビノイドの前駆体でもあります。他のカンナビノイドに分化しなかった一部のCBG-Aが、脱炭酸によってCBGになります。
そのようなCBGですが、CBDなどのカンナビノイドと同様に生体への効果が確認されています。
CBGの効果・効能は?どのように作用する? では、CBGには具体的にどのような効果・効能が確認されているのでしょうか。
生体に対するさまざまなメリットが注目されているカンナビノイドとしては、CBDが有名です。 しかし、CBGにも同様に、生体に良い効果をもたらすことが報告されています。
以下、CBGが効果的であると示された病気や症状について紹介します。
腸内の炎症性疾患やがん・腫瘍 2013年、イタリアのナポリ大学のチームは、マウスを使った実験でCBGが炎症性腸疾患の炎症を軽減する可能性があることを示しました。
CBGが腸の病気に効果的に働く可能性を見出した同大学は、さらに翌年にラットによる結腸がんや腫瘍への作用を調べました。
その結果、がん細胞や腫瘍の増殖速度を低下させることが分かりました。
腸などの消化器官の働きはとても重要であり、その働きが低下したり深刻な病気が引き起こされたりすることは、現代人にとって大きな悩みの一つです。
CBGはそのような問題の有効な解決策になり得る可能性があります。
多発性硬化症、ハンチントン病などの神経変性疾患 多発性硬化症やハンチントン病は、神経変性によって身体運動などの問題が生じてしまう疾患です。
このような神経変性疾患に対してのCBGの効果が確認されています。
012年、スペインの研究者らは、CBGの誘導体であるカンナビゲロールキノンが多発性硬化症マウスの神経炎症を軽減することを明らかにしました。
また2015年には、ハンチントン病マウスに対して運動異常の症状を抑えることが示されています。これは、CBGが神経の炎症抑制や保護の作用をもっているためだと考えられています。
抗菌作用があり感染症治療にも期待 感染症を引き起こす細菌に対する対策には抗生物質が用いられますが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) など、主要な抗生物質に対して耐性がある細菌も確認されています。
このような細菌によって感染症になった場合、有効な治療手段がなく、症状が長引いたり重症化したりするおそれもあります。
しかし、CBGはMRSAに対して強力な抗菌作用をもつことが示されました。
このようなCBGのもつ抗菌作用は、やっかいな細菌感染症の治療に大きく役立つ可能性があります。
多くのメリットが期待されるもののエビデンスは少ない 以上のように、CBGには多くの病気や症状を改善する効果など、さまざまなメリットが確認されています。
炎症抑制や神経保護、抗菌作用などCBDと似た性質が見られるのも特徴です。
しかしながら、CBGにはこれだけ多くの効果が期待されながら、まだヒトでの実験例がないなどそのエビデンスはあまり多くはありません。
実際にCBGにどのような作用があり、どこまで症状に効果があるのかなど、詳細の解明はまだ今後の研究結果に委ねられるところです。
CBDとCBGはどこが違う? <img loading="lazy" src="https://cbd.co .jp/wp-content/uploads/2021/04/cbd-cbg.jpg" alt="CBDとCBGの違い" width="640" height="1024" class="alignnone size-full wp-image-9693" /> ここまでで紹介したように、CBGの生体に与える作用には、CBDと共通しているものも多くあります。
では、CBDとCBGでは、どこに違いがあるのでしょうか。
ECSへの関与の仕方に違いがある 同じカンナビノイドであるCBDとCBGは、化学組成は似ていますが分子構造は異なります。
この分子構造の違いが、生体の受容体などの親和性の違いを引き起こし、異なる生理作用をもたらす要因にもなります。
具体的には、CBDとCBGではECSへの関わり方が少し異なります。
ECSは組織や細胞に存在するカンナビノイド受容体に、内因性カンナビノイドという生体因子が結合することで働きます。
CBDはカンナビノイド受容体に対する親和性が比較的低く、内因性カンナビノイドを活性化するなどして間接的にECSに関わるとされています。
一方で、CBGはカンナビノイド受容体と直接相互作用し得ることが、実験によって示されています。
このように、CBDとCBGでは見た目での効果は似てはいますが、ECSへの働きかけ方には違いがあります。
生体への影響の違い CBDとCBGではECSへの関わり方に違いがあると説明しましたが、生体に与える効果にも異なる部分があります。
悪心 (嘔吐しそうだという不快感) や嘔吐に対する影響 2011年にカナダで行われた実験では、CBDがラットの悪心や嘔吐を抑制したのに対して、CBGは促進する方向に働きました。
またCBDによる制吐作用を、CBGが抑制することも示されました。
CBDとCBGの悪心や嘔吐に対する効果が異なる背景には、互いのセロトニン受容体5-HT1Aへの関与の仕方があると言われています。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ精神に対する作用が知られていますが、その一方で悪心や嘔吐に対する働きもあります。
CBDはセロトニン受容体5-HT1Aの働きを促進しますが、一方でCBGはこの受容体の働きを抑制する方向に作用することが示されています。
このことが両者の悪心や嘔吐に対する反応の違いを生んでいると考えらえます。
食欲刺激への違い CBDとCBGの作用の違いとしてもう一つ挙げられるものに、食欲に対する刺激があります。
実際に2012年、イギリス・レディング大学ではCBDが食物の摂取量を大幅に減少させたという結果になりました。
さらに2016年、同大学と他機関とのチームは、CBGの投与量が動物に通常の食物摂取量の2倍以上を食べるように促したことも示しました。
このように、CBDは食欲を減少させますが、CBGは食欲を増進させます。
CBGはCBDとは違う面で期待されている 以上のように、CBGにはCBDとは異なる作用もあります。
このことによって、CBGには別の効果が期待されます。
例えば、体内の毒素を早く出してしまわないといけない時、CBGの嘔吐を促進する作用が役立つかもしれません。
また、摂食障害の方や体力が消耗している方などには、CBGの食欲促進効果が有効である可能性もあります。
このように、CBGはCBDとは別の可能性を秘めた成分でもあるのです。
なぜCBGよりもCBDの方が普及しているの? CBDと同様に、さまざまな病気の症状への効果が期待され、またCBDとは違った効果も期待されているCBDですが、現状ではあまり普及はしていません。
なぜ、CBGはCBDに比べて普及率が低いのでしょうか。
その原因として考えられることに、CBGは生産できる量が少ないという点が挙げられます。
麻の植物には、THCやCBDをはじめ多くの種類のカンナビノイドが含まれていますが、CBGは前駆体であるCBG-Aが他のカンナビノイドにも分化してしまい、含有率は1パーセント未満と言われています。
麻に含まれるCBDの量は20%とも言われていますので、それと比べるとCBGがいかに少ないかがお分かりいただけると思います。
そのため、CBGを一定量精製するには大きなコストがかかってしまい、CBGには「カンナビノイドのロールスロイス」という異名まであるほどです。
このような背景が災いして、CBGはこれまであまり注目されず、研究も多くは行われてきませんでした。実際に、先ほども紹介したように、ヒトを用いたCBG実験はまだ行われていません。
このようにCBGについては、その有効性や危険性・安全性に対するエビデンスが少ない状況ですので、今のところはCBGを摂取することは基本的にはおすすめできません。
しかし、検証の量が少ない状況にもかかわらず、CBGにとても多くのメリットが期待できるデータが出ているのも事実です。
また、近年では麻の品種改良によって、CBGを多く含む株も開発されています。
このように、CBGにも少しずつ追い風が吹いてきています。今後、さらに研究が進み、CBGに世間が大きく注目する時代が来るかもしれません。
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関連文献
CBDとCBGに関して皆様から頂いた質問 食欲を抑えたいのですが、CBDとCBGではどちらがよいですか。(20代女性)
CBDには食欲を減少させる効果があるのではないかと様々な研究で示唆されています。2012年、イギリス・レディング大学で行われた研究では、CBDが食物の摂取量を大幅に減少させたという結果も報告されています。一方、CBGは食欲を増進させるという作用が示唆されています。まだ研究段階ではありますが、現状の研究結果からは、CBDの方が食欲低減に良いのではないかと考えられています。ただし、研究段階で、エビデンスもまだ少ないため、今後のさらなる研究に期待しましょう。
CBDは聞いたことがあるのですが、CBGは初めて知りました。CBGは安全ですか。(40代女性)
CBGは麻に含まれている量が少なく、一定量精製するのにコストがかかるという背景から、研究があまり行われておりません。また、ヒトに用いた実験は行われていないため、CBGの有効性や危険性・安全性に対するエビデンスが少ない状況です。したがって、今のところはCBGを摂取することは基本的にはおすすめできません。
CBDを摂取しても違法にはならないのですか?(30代男性)
大麻に含まれる成分として、日本で規制の対象となっているものはTHCというカンナビノイドです。THCは脳神経に直接作用して精神活性作用をもたらすことからマリファナの主成分にもなっています。THCは日本では違法な物質に分類されています。しかし、CBDのようなカンナビノイドには精神活性作用は確認されていません。CBDがもたらすものは精神活性作用ではなく、むしろ鎮静作用 (リラックス作用) をもたらすのではないかと言われています。そのため、日本の法律では、CBDは違法ではありません。