プルードンの時代―金融資本主義を超えて (プルードンノジダイキンユウシホンシュギヲコエテ)
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【利用不可】
四六判
240ページ
定価 2,400円+税
- ISBN
- 書店発売日
- 2025年2月3日
- 登録日
- 2025年1月14日
- 最終更新日
- 2025年1月18日
紹介
ネオ・リベラリズムを経て、末期症状を呈する資本主義への新たなオルタナティブとして、「アナーキズムの父」ピエール=ジョセフ・プルードンが、いま蘇る。
気鋭の編集者であり作家の著者ティボー・イザベルによれば、「無政府状態とは「権力の廃棄」を意味する。それは「権力なき秩序」である」。いわゆるアナーキズムに対する言われなき誤解を払拭すべきこのテーゼに基づいて、イザベルは「危機の時代に何度も復活する」プルードン思想への緊急の要請を呼び掛ける。「財産は窃盗である」(『貧困の哲学』)という命題によって一大センセーションを巻き起こしたプルードンは、現代史の原点であるパリ二月革命(1848年)を生き、「人民銀行」を創設、金融の支配と大企業の専横に抵抗した。また、地方の出自に誇りを持ち、ジャコバン的国家に対しコミューンの自治を求めた。『貧困の哲学』に対しては、これに反発したマルクスの『哲学の貧困』をめぐる角逐が名高いが、そうした旧来の文脈を超え、本書は、われわれの「生」の現場を視野に入れたかたちで改めて「経済」のありかを問おうとする。
その意味で、これは新たな「経済学批判」であり、同時に、われわれの「生」のありようを問うものでもある。IT市場を席巻する超巨大企業群(GAFAとかFANGとか呼ばれる)のレッセ・フェールのお説教を横目で睨みつつ、アナーキズムはこの偽りの自由を、国家の首枷抜きに阻止しようとする。イザベルは言う、「プルードンは諸価値の現代的危機の中に自由主義経済の危機の主な原因を見ていたが、同様に、自由主義経済の中に諸価値の現代的危機の主な原因を見ていた。」……このように語るイザベルはプルードンとともに、ポスト資本主義の世界を瞳を凝らして見つめようとしている。彼は『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』の著者ナンシー・フレイザーとともに、「餌に喰いつき、喰い荒そうとする、制度化された狂乱状態」である資本主義の末期状態を見据えつつ、「革命はわれわれの魂の中にある」とする。
目次
◆主要目次◆
はじめに 現代性の歪み
第1章 アナーキズムの父の生と死
第2章 資本家の捕食に抗して
第3章 現代人の二重の疎外
第4章 各政治体制の悪徳と美徳
第5章 プルードンのイデオロギー的懐疑主義
第6章 極端さのバランス
第7章 完全な連合主義
第8章 個人、コミューン、国家
第9章 保護貿易主義
第10章 所有の理論
第11章 相互扶助論の哲学的原理
第12章 協同的労働
第13章 モラルの必然性について
第14章 神とともにまたは神なしに?
第15章 現実的なものの弁証法
おわりに 精神の革命にむけて
著者プロフィール
ティボー・イザベル (ティボーイザベル) (著/文)
ティボー・イザベル
1978年生まれ。哲学者、作家、編集者。リール大学で哲学博士号取得。2018年よりオンライン・マガジン『L'inactuelle(反時代的)』主宰。ニーチェとブルクハルトの影響の下、古代及び現代文明の文化人類学的比較研究に携わる。プルードンと孔子にも影響を受ける。おもな著書に、『アメリカ映画の世紀末 1981-2000年』(ラ・メデューサ、2006年)、『異教的知恵のマニュアル』(パッスール・エディトゥール社、2020年)、『アナーキストの息子と哲学者(ダニー=ロバート・デュフォーに聞く)』(R&Nエディション、2021年)がある。
上記内容は本書刊行時のものです。
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