自衛官ら218人を処分 海幕長交代へ 特定秘密めぐる違反などで
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防衛省 218人処分 海上幕僚長を交代へ
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防衛省によりますと、違反や不正が確認されたのは、国の安全保障にかかわる「特定秘密」の情報の取り扱いと、潜水手当の受給、部隊で無料で提供される食事の飲食、パワーハラスメントの4件です。
このうち「特定秘密」をめぐっては、海上自衛隊の艦艇38隻で船舶の動向に関する情報などを資格のない隊員でも見ることができる状態にするなど陸海空自衛隊などで合わせて58件の違反が確認されたということです。
潜水手当をめぐっては、海上自衛隊の幹部を含む隊員62人が、実際には潜水をしていないのに潜水したことにするなどして、手当を不正に受け取っていたということです。
不正受給した手当は、記録が残っている2017年4月から、おととし10月までの5年半で合わせておよそ4300万円に上るということです。
また、海上自衛隊では幹部を含む隊員22人が、基地の中に住む隊員だけに無料で提供される食事を資格がないのに食べ、不正飲食した食事代は、去年3月までの3年間で合わせておよそ160万円だということです。
このほか、防衛政策の立案などを行う内部部局では、課長級以上の幹部職員3人が部下に威圧的な言動を繰り返すなどのパワーハラスメントを行っていたということです。
防衛省はこれらの違反や不正で合わせて117人を免職などの懲戒処分としたほか、事務次官や自衛隊制服組トップの統合幕僚長を訓戒とするなど、合わせて218人を処分しました。
200人以上が一斉に処分されるのは極めて異例の事態で、木原防衛大臣は最も多くの違反があった海上自衛隊を新たな体制に立て直す必要があるとして、トップの酒井良海上幕僚長を今月19日付けで交代させることを明らかにしました。
《確認された違反や不正》
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「特定秘密」情報の取り扱い
「特定秘密」は防衛や外交など安全保障に関する情報のうち、特に保全が必要なものについて大臣などが指定し、取り扱うためには適性評価を受ける必要があります。
防衛省によりますと「特定秘密」をめぐる今回の違反は合わせて58件あり、内訳は海上自衛隊が45件、航空自衛隊が9件、陸上自衛隊が2件、統合幕僚監部と情報本部がそれぞれ1件でした。
海上自衛隊の45件のうち38件は、イージス艦などの艦艇38隻で起きたということです。
その大半は、適性評価を受けていない隊員を「特定秘密」に該当する船舶の動向に関する情報などを扱う「戦闘指揮所」などで勤務させたというものです。
防衛省は、適性評価を受けていない隊員を特定秘密を知り得る状態に置くことも、情報の漏えいにあたるとしています。
しかし、海上自衛隊ではこうした認識がなく、必要な教育も行っていないとして、特定秘密をめぐる今回の違反が起きた要因には海上自衛隊の組織的な問題があるとしています。
一方で、一部の艦艇では「戦闘指揮所」で勤務する隊員に欠員が出ていて、適性評価を受けていない隊員を戦闘指揮所に配置するなど人手不足が背景にあるともしています。
そのうえで情報保全の教育をすべての組織に徹底させるとともに、特定秘密の情報を扱う戦闘指揮所などへの立ち入りが想定されるすべての隊員に適性評価を実施するなどして再発防止を図るとしています。
潜水手当の不正受給
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潜水手当を不正に受給した隊員62人は、潜水艦が事故などで遭難した際に乗組員の救助などにあたる潜水艦救難艦の「ちはや」と「ちよだ」に所属していました。
このうち「ちはや」は去年4月に沖縄県の宮古島沖で陸上自衛隊のヘリコプターが墜落して10人が死亡した事故で、機体の捜索や隊員の救助にあたっています。
海上自衛隊の潜水員は潜った深さに応じて1時間あたり最大で1万円を超える手当が支給されますが、潜水訓練の実績を偽って合わせておよそ4300万円を不正に受け取っていたということです。
架空の訓練を行ったことにしたほか、訓練を行った際の時間や深さを水増しする手口を使い、最も多い隊員ではおよそ200万円を不正受給していたということです。
部隊に対して行った令和4年度の定期監察で不正が発覚し、調査に対して「先輩がやっていたのをダメではないかと思いながら踏襲してしまった」とか、「悪いとは知らなかった」などと話す隊員もいたということです。
また、今回は記録が残っている2017年4月以降が調査の対象となりましたが、それより前にも不正が行われていたとする証言もあったということです。
海上自衛隊は手当を不正受給した62人のうち幹部の3等海佐や1等海尉も含む11人を免職、48人を停職、3人を減給の懲戒処分とし、2018年4月以降については全額を返金させたとしています。
また、不正を見抜くことができず、指揮監督が不十分だったとして、当時の艦長3人を減給にしました。
今回の調査は「飽和潜水」と呼ばれる特殊な潜水ができる隊員が対象になっているということで、今後、ほかの隊員でも潜水手当の不正受給がないか調べるとともに、法令順守や手当の申請に関する教育を徹底するなどして再発防止を図るとしています。
無料支給の食事を不正に飲食
自衛隊では、基地の中に住むことを命じられている隊員については、食堂での1日3回の食事が無料で支給されています。
今回、処分を受けた隊員22人は、いずれも基地の外に住んでいるため、無料で支給される対象ではありませんでしたが、代金を支払わずに不正に食事をしていたということです。
食事は3食のうち最も高い昼食が417円で、不正に食事をしていた金額は調査を行った去年3月までの3年間で、合わせておよそ160万円に上るということです。
22人のうち幹部は5人で、防衛省は40代と50代の3等海佐を1階級の降格に、40代の1等海尉2人と3等海尉1人を、12か月から20日の停職としました。
今回の不正は、おととし2月に内部からの通報があったことをきっかけに調査を行い、発覚したということです。
一部の隊員は食堂での調理を担当していて、調査に対し「自分が調理した食事は味見として無料で食べることができると勘違いしていた」という趣旨の話をしているということです。
パワーハラスメント
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防衛省は、元陸上自衛官の女性が在職中に性被害を受けたと訴えたことを受けて、おととしから特別防衛監察を行っていて、去年、パワハラやセクハラで自衛官など245人を処分しています。
そして今回、特別防衛監察とは別に事務方の内部部局の職員を対象に調査を行った結果、50代の幹部3人が部下に暴言を浴びせるなどのパワハラを行ったとして、懲戒処分にしたことを発表しました。
このうちの1人は、複数の部下に対して「役人としてのイロハができていない」などと日常的に威圧的な言動を繰り返して精神的な苦痛を与え、職場環境を悪化させたとして停職9日の懲戒処分となりました。
ほかの2人は、複数の部下を威圧的な言動で萎縮させるなど職場環境を著しく低下させたとして、減給の懲戒処分となりました。
防衛省によりますと、内部部局の職員がパワハラで懲戒処分を受けるのは初めてで、増田事務次官が給与の10%、3か月分を自主返納するとしています。
《処分の内訳》
最高幹部(6人)
今回の一連の問題では指揮監督義務違反などで、防衛省・自衛隊の最高幹部6人も処分されました。
このうち、海上幕僚長が「減給」の懲戒処分で、事務次官と統合幕僚長、陸上幕僚長、航空幕僚長、情報本部長がそれぞれ「訓戒」の処分です。
特定秘密(延べ115人)
「特定秘密」の事案では、延べ115人が処分されました。
このうち懲戒処分は26人で、内訳は停職が15人、減給が5人、戒告が6人です。
また、訓戒と注意、口頭注意は停職の懲戒処分を受けた1人などを含め合わせて延べ89人です。
潜水手当(74人)
潜水手当の不正受給では、74人が処分されました。
このうち懲戒処分が65人で、内訳は免職が11人、停職が48人、減給が6人です。
このほか、訓戒や注意が9人です。
不正飲食(22人)
不正飲食では懲戒処分が22人で、内訳は降任が2人、停職が19人、戒告が1人となっています。
パワハラ(3人)
内部部局のパワーハラスメントでは懲戒処分が3人で、内訳は停職が1人、減給が2人となっています。
海上自衛隊で相次ぐ不祥事 背景に何が
今回、防衛省が公表した違反や不正の大半は海上自衛隊で起きていて、懲戒処分を受けた117人のうち113人が海上自衛隊の隊員でした。
酒井良海上幕僚長は、海上自衛隊で不祥事が相次いでいる背景について、法律を順守する意識が隊員に欠けているだけではなく、海上自衛隊の組織の体制にも大きな要因があるという認識を示しています。
具体的には「特定秘密」をめぐる違反では漏えいの定義を海上自衛隊全体として明確に認識しておらず、潜水手当の不正では、隊員が互いに不正を注意しあう意識を植え付けることができていなかった上、手当の申請の手続きが担当者任せになっていて組織として不正を見抜けなかったことなどを挙げています。
海上自衛隊では、今回公表した不祥事のほかにも、潜水艦の修理をめぐって川崎重工業が裏金を捻出し、隊員に金品や飲食などを提供していた疑いも出ていて、特別防衛監察が行われる事態となっています。
酒井海上幕僚長は「海上自衛隊では私が着任してからもさまざまな不祥事が生起し、そのつど根本原因を考えて対応策を講じてきたつもりではあるが、まだまだ不十分だったと思っている。ことばが適切かはわからないが、なあなあな体制がまだ残っているのではないかと懸念をしていて、長期的な対策を講じないと容易には変わらないと考えている」と述べたうえで、来週までの任期中に取り組むべき内容を検討し、後任に引き継ぐ考えを示しました。
海上幕僚長「国民の期待と信頼損ない 深くおわび」
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海上自衛隊トップの酒井良海上幕僚長は12日午前、会見を開き、海上自衛隊で多くの違反や不正が起きた背景に隊員の順法精神の欠如や、組織統制のあり方に問題があるという認識を示しました。
酒井海上幕僚長は会見の冒頭で「国民の期待と信頼を大きく損なう不祥事を起こし、深くおわび申し上げる。これらの極めて重大な服務違反について深く反省し、隊員の秘密保全、規律の維持に対する意識の向上など、再発防止に取り組むことで信頼回復に努めていく」と述べました。
そのうえで、今月19日付けで海上幕僚長の職を解かれ退職することについて「海上幕僚長として部隊の管理の責務を負っているにもかかわらず、それを果たし得なかった責任を問われることは当然だ。責任の果たし方として、新たな体制で問題の解決を図ることがもっとも適切な方策と判断されたと思う。海上自衛隊として、これらの問題に取り組むべく方向性を定めたうえで、後任にかじ取りを委ねたい」と述べました。
一方、海上自衛隊で多くの違反や不正が起きた背景について「隊員の順法精神の欠如や組織のガバナンスに欠落がある」と話したうえで、特定秘密の取り扱いの違反があった背景について「ほとんどの事案が艦艇で生起した。さまざまな要因があると思うが船の構造的な環境、勤務態様の観点から、陸上部隊のような厳格な秘密保全の体制をとりづらかったということはひとつの要因だと思う」と述べました。
また、潜水手当の不正受給と不正飲食が起きた背景については個人的な考えと前置きをしたうえで「海上自衛隊の組織文化というところに問題があるのではないかと思う。不正に気づいていたにもかかわらず、見て見ぬふり、なあなあな体制が残っているのではないか」と述べました。
そのうえで「問題の解決には、短期的なものと長期的なアプローチが必要だと思う。組織全体で、どのようにしていくかを考え、再発防止に努める」と述べました。
なぜこの時期に処分?
防衛省は、特定秘密の取り扱いや潜水手当の不正受給については、今回、処分を公表した以外についても違反や不正の疑いがあるとして調査を続けるとしています。
こうした中、12日、処分を一斉に行ったことについて、木原防衛大臣は会見で「本日公表した事案は、それぞれ種類は違うが、事案の発覚後に開始した調査の中で、慎重に事実関係を確認してきた。そのうえで、今般、調査結果と再発防止策の策定を終えて、政府部内の調整が整ったことから公表することとした」と述べました。
防衛省・自衛隊では毎年、夏の時期に最高幹部も含めて大規模な人事異動を行っていて、防衛省幹部の1人は「夏の人事異動を前に、これまでに判明している分だけでも処分を行っておくことで、組織の刷新を図りたかったのではないか」と話しています。
また、別の防衛省幹部は「海上幕僚長はもともとことしの夏での退職が既定路線だった。このタイミングで辞職することによってすべての責任を背負う形にしたのだろう」と話しています。
専門家「信頼崩れてしまった可能性高い」
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安全保障に詳しい明海大学の小谷哲男教授は今回の不祥事について「大規模災害への救援活動で自衛隊は日本政府の機関の中でも最も信頼されている組織になってきたと思うが、今回の不祥事で信頼が崩れてしまった可能性が高い。有事の際に自衛隊は頼りになるのかという点で、国民の不安が高まってしまうことも考えられ、今回の件は非常に深刻に受け止められるべきだ」と話しました。
背景については「任務が急激に増えてさまざまなひずみを生み、組織全体にモラルの低下が生まれたということがあったのかもしれない。安全保障環境の変化が組織に対する変化をもたらし、それが悪い方向に負の影響を与えてしまったということはあり得ると思う」と述べました。
特定秘密の取り扱いに違反があったことについては「アメリカを含め、日本が安全保障の協力を深めている国の中には、もともと日本の情報保全に不安を感じている国がたくさんあるのが事実だ。今回、特定秘密が意図的ではないにせよ、漏えいしていた、漏えいした可能性があるということは、ますます日本の情報保全に対する不安が高まってしまう。そういう意味で国際的な影響も考えられる」と指摘しました。
そのうえで「失われた信用を取り戻すことが難しいのはどんな組織であっても変わりない。なによりもまず、内部でしっかり検証して2度と同じような不祥事を起こさないよう再発防止に取り組むことが大事で、それを国民に発信し理解を広げていくことが求められる」と話しました。
海自 元海将「非常に厳しく重く受け止めるべき事案」
海上自衛隊で自衛艦隊司令官を務めた元海将の香田洋二さんは、今回の不祥事について、「前代未聞だと思う。倫理観、責任感などすべてが劣化していた結果だと、隊員は受け止めるべきであり、非常に厳しく重く受け止めるべき事案だ」と話しました。
今回、適性評価を受けていない隊員の勤務が明らかになった、戦闘指揮所について、「作戦情報を集約して可視化し、指揮官が判断する材料として提供する場所なので、ありとあらゆる作戦情報が入ってくる。日米関係、多国間関係が深くなるにつれて、扱う情報が大きくなって、その数が増えた」としたうえで、「情報が漏れるのは致命的な欠陥だが、そこまで思いを致して厳しく管理できていなかった。指揮官以下、保全意識、責任感、勤務倫理で緩んでいたとしか言いようがない」と指摘しました。
そのうえで、背景には現場の人手不足があるとし、「欠員があったにせよ、きちっと資格審査をして、認定された人だけを勤務をさせるということは、どんな状況でも守る必要があるが、それと同時に、現場の部隊ではどうしようもできない、要員を増やすとか、認定業務を早くするとか、認定手続きを簡単にできるところは簡単にするといったような、政策も必要だ」と話しました。
そして、「リセットしてゼロからやり直す、やり直して国民の信頼を再度、得ることが、唯一できることだと思う」と述べました。
木原防衛相「信頼を裏切る あってはならないもの」
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木原防衛大臣は閣議の後の記者会見で「防衛省・自衛隊の活動は、国民の皆様の信頼あってのものだが、いずれの事案も信頼を裏切る決してあってはならないものだ。防衛大臣として、国民の皆様に深くおわび申し上げる」と陳謝しました。
そのうえで「信頼回復に向けては、幹部のみならず、隊員一人一人がしっかりと取り組んでいくことが不可欠と考えている。そのため私から一人一人に向けたビデオメッセージを発出することとした。再発防止策を徹底し、二度とこうしたことが起きないよう、防衛省・自衛隊一丸となって取り組み、国民の信頼を取り戻していきたい」と述べました。
また、海上自衛隊トップの海上幕僚長を交代させることについて「海上自衛隊で、さまざまな事案が発生したことを踏まえ、新たな体制により、立て直す必要があると判断し交代させることとした。私自身も、防衛大臣として国民の皆様の信頼を損なったことに対する責任を痛感しており、防衛大臣の給与の1か月分を自主返納することとした」と述べました。
一方、記者団から大臣としての責任を問われたのに対し「関係幹部を中心として、徹底した情報保全体制の確立や法令順守の徹底、ハラスメント防止などのための綱紀粛正が不可欠で、引き続き私のリーダーシップのもとで国民の皆様から信頼を回復することに全力を尽くすことが私の責任であると考えている」と述べました。
岸田首相「全力で国民の信頼回復を」
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岸田総理大臣は、訪問先のアメリカで記者団に対し「国民の皆様に心配をおかけしていることについてまずおわびを申し上げなければならない」と陳謝しました。
そのうえで「現在の安全保障環境は大変厳しいと認識しており、わが国の防衛は一分の隙も許されない状況にある。木原防衛大臣には強力なリーダーシップを発揮し、防衛省・自衛隊の組織の早急な立て直し、さらには防衛体制を万全なものとすることに取り組むことで、国民の信頼回復に全力であたってもらわなければならない」と述べました。
林官房長官「特定秘密保護法の適正運用 非常に重要」
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林官房長官は閣議のあとの記者会見で「いずれの事案も国民の信頼を裏切る決してあってはならないもので極めて遺憾だ。情報保全の徹底は政府に対する国内外からの信頼の基盤であり、特定秘密保護法の適正な運用は非常に重要だ」と述べました。
そのうえで「ことし4月に防衛省による2件の漏えい事案が先行して公表された時点で、特定秘密制度を担当する高市大臣から他省庁にも必要な指示を行い、点検や対策を講じさせている。引き続き法の適正な運用が図られるように徹底していく」と述べました。
公明 石井幹事長「再発防止に向け万全な体制構築を」
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公明党の石井幹事長は記者会見で「極めて遺憾だ。わが国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しく、隙や憂いがあってはならない。また、近年進めてきた防衛費の増額や、抑止力や対処力の強化などの基となるのは誠実な職務遂行に対する信頼にほかならない。政府は実態をしっかりと解明し、再発防止に向けて万全な体制構築に取り組むなど国民の信頼回復に努めてもらいたい」と述べました。
立民 泉代表「情報のしゅん別や区別 徹底されていない」
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立憲民主党の泉代表は記者会見で「2014年に特定秘密保護法が施行されたが、共有していい情報と共有してはならない情報のしゅん別や区別がまだ徹底されていないと感じている。そのほかの不祥事についても、真面目に仕事をしている自衛隊員がたくさんいる中、信頼を失墜させるもので、大変遺憾に思っている隊員も多いと思う」と述べました。
また、木原防衛大臣が大臣給与の1か月分を自主返納することについては「今後さらに不祥事が拡大することになれば足らない可能性がある」と述べました。
一方、泉氏は「巨額の防衛予算が消化できていないことも明らかになっている。防衛省・自衛隊の現場にさまざまなひずみが起き、対応力を超えているのではないか。防衛予算の中身を徹底的に点検しなければならず、次の国会を『防衛予算総点検国会』とすることも想定し、準備をしなければならない」と述べました。
維新 音喜多政務調査会長「大臣が先頭に立ち徹底調査を」
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日本維新の会の音喜多政務調査会長は記者団に対し「国の根幹を支える自衛隊で、こうした不祥事が起きたことは大変衝撃で甚だ遺憾だ。国内だけでなく、国外からの信頼にも関わることで、ゆゆしき事態だ。木原防衛大臣が先頭に立って徹底した調査を行い、再発防止策をつくることが重要だ。一方で特定秘密の取り扱いをめぐっては、人員不足が問題だという指摘もあり、自衛隊の今の体制で十分か検討する必要がある」と述べました。
共産 山添政策委員長「言語道断 国民に受け入れられない」
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共産党の山添政策委員長は記者会見で「一度にこれだけの不祥事が明らかになり、現時点で200人を超える大量の処分は前代未聞だ。岸田政権が『大軍拡路線』を突き進む一方、足元でこれだけの不祥事がおきていることは言語道断で、到底、国民に受け入れられない」と述べました。
そのうえで「川崎重工業と海上自衛隊との潜水艦修理契約での裏金も含め、実態解明が不可欠だ。岸田総理大臣が出席する予算委員会で事実関係を解明し、責任をはっきりさせることが不可欠だ」と指摘しました。
国民 玉木代表「徹底的な原因究明と再発防止を」
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国民民主党の玉木代表は記者団に対し「極めて大量に処分者を出し深刻な事態だ。資格のない者が重要な情報に接していたことは、防衛省・自衛隊に対する国民の信頼を大きく揺るがし、日米同盟をはじめ関係各国との信頼にも関わる問題で、徹底的な原因究明と再発防止を図ってもらいたい。パワハラや手当の不正受給の問題などもあり、防衛費の増額で国民に負担を求めることは、説得が難しい状況になっていく。木原防衛大臣の出処進退は自身で判断することだが、責任の取り方はよくよく考えられた方がいい」と述べました。
特定秘密保護法の運用監視 衆議院情報監視審査会を開催へ
海上自衛隊の艦艇などで国の安全保障にかかわる「特定秘密」の情報の取り扱いをめぐる違反が確認されたことを受けて、特定秘密保護法の運用を監視する衆議院の情報監視審査会は、来週17日に審査会を開くことになりました。
審査会では、木原防衛大臣に対し改善の勧告を行うことを決める見通しです。
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