2025年2月9日日曜日

プルードンの時代―金融資本主義を超えて | ティボー・イザベル, 山本光久 |本 | 通販 | Amazon


第三章
現代人の
二重の疎外
理論的観点からは、プルードン主義の中心観念は疎外に対する闘いにある。ところで、こ
の疎外とは二重である――国家に関しては、政治的疎外。 同業組合に関しては経済的疎外。
既存の教会の精神的教導権を考慮に入れるならば、疎外は三重になるとすら言えるかも
しれない――「資本が労働に、国家が自由に対してなすこと、教会は今度はそれを知性に
対して及ぼしている」(『告白』、二八二頁)。国家を問題に付すことはマルクスとは大きな
相違であり、マルクスは経済的疎外(あるいは付随的には宗教的疎外)には大きな重要性
を認めるが、政治的疎外にはきわめてわずかな重要性しか認めない――その結果、プロレ
タリア独裁がコミュニストたちにとって不正を阻止する当然の手段となったのである。プ
ルードンの観点では、権力の専横は市場の専横への対抗措置とはなりえず、この二つを一
51 第3章 現代人の二重の疎外

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