泥棒!
〈統治されざるもの〉のために
シュールマン、レヴィナス、デリダ、フーコー、アガンベン、ランシエールら、現代の哲学者たちの仕事をアナーキーという切り口から批判的に読み解き、〈統治されざるもの〉という概念を浮き彫りにする。哲学の側がアナキズムに対して働いてきた「盗み」を告発し、哲学とアナキズムの果たされざる架橋を試みる、マラブー哲学の新たな到達点。
[目次]
第一章 概観
——水平線の測量
第二章 アナーキーとアナキズムの切り離しについて
第三章 合唱隊の長たちの徳
——アリストテレス『政治学』におけるアルケーとアナーキー
第四章 存在論的アナーキー
——ライナー・シュールマンの旅、ギリシアからアンデスへ
第五章 倫理的アナーキー
——エマニュエル・レヴィナスにおける他律
第六章 「責任ある゠応答可能なアナキズム」
——ジャック・デリダの権力欲動
第七章 アナルケオロジー
——ミシェル・フーコー、最後の統治
第八章 瀆神するアナーキー
——ジョルジョ・アガンベンのゾーン
第九章 上演されるアナーキー
——証言者なきジャック・ランシエール
結 論 アナキストであること
原註
訳者あとがき
事項索引
人名索引
[著者]カトリーヌ・マラブー(Catherine Malabou)
1959年、アルジェリア生まれ。現在、イギリス・キングストン大学教授。専門はドイツ・フランス近現代哲学。主な著書に『わたしたちの脳をどうするか——ニューロサイエンスとグローバル資本主義』(春秋社、2005年)、『ヘーゲルの未来——可塑性・時間性・弁証法』(未來社、2005年)、『新たなる傷つきし者——フロイトから神経学へ、現代の心的外傷を考える』(河出書房新社、2016年)、『明日の前に——後成説と合理性』(人文書院、2018年)、『偶発事の存在論——破壊的可塑性についての試論』(法政大学出版局、2020年)、『真ん中の部屋——ヘーゲルから脳科学まで』(月曜社、2021年)、『抹消された快楽——クリトリスと思考』(法政大学出版局、2021年)、編著に『デリダと肯定の思考』(未來社、2001年)など。
[訳者]
伊藤潤一郎(いとう・じゅんいちろう)
1989年生まれ。早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、新潟県立大学国際地域学部講師。専門はフランス哲学。著書に『ジャンリュック・ナンシーと不定の二人称』(人文書院、2022年)、『「誰でもよいあなた」へ——投壜通信』(講談社、2023年)。
吉松 覚(よしまつ・さとる)
1987年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。現在、帝京大学外国語学部講師。専門はフランス現代哲学。著書に『生の力を別の仕方で思考すること——ジャック・デリダにおける生死の問題』(法政大学出版局、2021年)。
横田祐美子(よこた・ゆみこ)
1987年生まれ。立命館大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、横浜美術大学美術学部助教。専門は現代フランス哲学ならびにエクリチュール・フェミニン。著書に『脱ぎ去りの思考——バタイユにおける思考のエロティシズム』(人文書院、2020年)。
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