2020年9月29日火曜日

ドーナツ経済学

循環型社会を実現するには循環する貨幣が必要だ。その意味でラワースがドーナツ経済学#4でゲゼルに言及しているのは意義がある。斉藤幸平などはラワースを紹介しつつもゲゼルを無視する。ケインズによるマルクスとゲゼルの比較に言及したくないのだろう。

参考:








ドーナツ経済学
#4 キーン

#7 アナ・クート
ライファイゼン
ヘンリー・ジョージ(モノポリー関連)

人新世の「資本論」 (集英社新書) 


Lab
Kate Raworth (@KateRaworth)
We launched Doughnut Economics Action Lab two weeks ago today - we are delighted to now have almost 2,000 members, from 100+ countries, co-creating tools for teachers, cities, business, communities, gov. 
You name it, let's do it. Join us ⁦‪@DoughnutEcon‬⁩ doughnuteconomics.org pic.twitter.com/U0xc30GKsl
https://twitter.com/kateraworth/status/1315973331531771904?s=21








A healthy economy should be designed to thrive, not grow | Kate Raworth
2018
日本語字幕







危険な地球環境の悪化

環境的な上限

人類にとって笑全で公正な範囲

社会的な土台

危険な窮乏


ドーナツの基本要素一人間の幸せの社会的な土台 (それ以下には誰も落ちてはならな

い線)と、環境的な上限(それ以上に地球に負荷をかけてはならない線)。それらの2

本の線で挟まれた部分が人類全員にとって安全で公正な範囲になる。




Doughnut Economics Action Lab (DEAL) (@DoughnutEcon)
Today's the day: Doughnut Economics Action Lab is live online! Join the fast-growing community at doughnuteconomics.org

Together, let's turn Doughnut Economics from a radical idea into transformative action. #DoughnutEconomics pic.twitter.com/UVxdekcO7W

https://twitter.com/doughnutecon/status/1310882302176657408?s=21

ドーナツ経済学|幸せ経済社会研究所

https://www.ishes.org/keywords/2019/kwd_id002698.html

ドーナツ経済学

ドーナツ経済学は、経済成長だけに注目することを避け、持続可能な未来をつくるための考え方です。2011年に、当時オックスファムの研究者だったケイト・ラワースによって考え出されました。ドーナツという誰にでもイメージしやすいデザインを用いていることが特徴です。

下がドーナツの図です。仮に、ドーナツの食べられるところ(緑の部分)を「中身」、穴の部分を「穴」、外側を「外側」と表現しましょう。「外側」には環境指標が、「穴」には社会指標が配置されていることがわかります。

kwd_20190924.jpg

ドーナツの外側
ドーナツの外側には、ストックホルムレジリエンスセンターの「プラネタリーバウンダリー(地球の境界)」の9つの分野が配置されています。この9分野で超過(行き過ぎや使いすぎ)があれば、その分野のドーナツの外側が赤色で表示されます。赤色の部分が大きければ大きいほど、超過の程度が大きいことを表します。図を見ればわかるように、現在、このうち4つの分野で超過が生じています。

ドーナツの穴
ドーナツの穴は社会面の12分野の「不足」を表しています。図1を見ると、ドーナツの中身におさまっている分野は一つもなく、すべての分野で問題が残っていることがわかります。赤い部分が中央に向かって伸びているほど、不足の程度が大きいことを示しています。

たとえば、平和と正義について赤い部分が2つに分かれています。これは「腐敗認識指数」(各国の公務員や政治家などが、賄賂などの不正行為に応じるかどうかを数値化したもの)が100点満点中50点以下の国に住む人が85%いること、人口10万人あたりの殺人発生件数が年間10件以上の国に住む人が13%いることを表現しています。
※詳しいデータは書籍『ドーナツ経済学が世界を救う』で公開されています。

ドーナツの中身におさまることを目指して
持続可能な未来をつくるためには、環境面での超過と社会面での不足をなくし、すべてをドーナツの「中身」におさめる必要があります。ドーナツの図を見ることで、GDP成長という一つの目標だけに目を向けることをさけ、総合的に考えることができるように。そんな願いからこの図はつくられています。

参考資料
ケイト・ラワース著/黒輪 篤嗣訳, 2018, 『ドーナツ経済学が世界を救う』, 河出書房新社
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309248486/

What on Earth is the Doughnut?...(英語)
https://www.kateraworth.com/doughnut/

地球の境界(プラネタリー・バウンダリー)2.0 (幸せ経済社会研究所のキーワード解説)
https://www.ishes.org/keywords/2015/kwd_id001823.html

ケイトラワース
ドーナツ経済学
Toshi Kurokawa
5つ星のうち5.0 「公正と環境の経済学」を提示する力作
2018年5月22日に日本でレビュー済み
力作だ。朝日新聞の書評では、これほどよくできた本とは分からなかった。題名が良くないのだと感じる。「公正と環境の経済学」とでも呼ぶべきだろう。ドーナツの形そのものが本質的ではなく、社会的な公正と公平の線と、環境を破壊しないという線の上下の線で区切られた範囲が「正しい」経済学の位置だということだ。
形ということでは、本文中でも「コンパス(羅針盤)」という表現があるが、むしろその方がメタフォーとしては適切だろう。ドーナツという食品を思い浮かべるとなんでドーナツ経済学なんだと戸惑ってしまう。
前書きで、21世紀の正しい経済学のための7つの思考法が示されて、それがそのまま本文の7章になっている。そこで、まずは目次:
経済学者になりたいのは誰か?
第1章 目標を変える―GDPからドーナツへ
第2章 全体を見る―自己完結した市場から組み込み型の経済へ
第3章 人間性を育む―合理的経済人から社会的適応人へ
第4章 システムに精通する―機械的均衡からダイナミックな複雑性へ
第5章 分配を設計する―「ふたたび成長率は上向く」から設計による分配へ
第6章 環境再生を創造する―「成長でふたたびきれいになる」から設計による環境再生的経済へ
第7章 成長にこだわらない―成長依存から成長にこだわらない社会へ
今や誰もが経済学者
付録――ドーナツとそのデータ
謝辞
訳者あとがき

著者が強調しているのは、経済学を説明するモデル、図が、経済活動や経済政策がどうあるべきかを規定するということ。だから、その考え方、立ち位置を変えることで、経済活動そのものが変わるということだ。Rethinking Economicsという、学生たちの活動が紹介されている。経済学が、いま世界が必要とすること、学生が学びたいことを扱わず、世界の不公正に加担しているという批判がこういう活動として行われている。
本書では、経済学の現在がどうしてこうなったかという説明と、これから変えるのはどこをどのようにという説明をデータとともに示しているので、結構細かいことがらまで述べられている。
第1章では、GDPがどのようにして導入されたかの経緯を含めて、その歪みを正すために公正な社会基盤を確保して、環境に対して負荷をかけないというドーナツ形の経済の枠組みを提示する。第7章でGDP成長神話がいかに問題をはらんでいるかの説明があるが、GDPだけを経済指標とすることの問題が述べられている。
第2章では、市場が問題になる。第3章の合理的経済人というモデルとも関係するが、「市場が万能」ではないことが論じられる。「マッチを擦る前と同じように、市場を始める前には注意しなくてはならない。何を燃やし尽くし、灰にしてしまうか、わたしたちにはわからないのだから。」とまとめられている。
市場に関して興味深かったのは、ボードゲーム「モノポリー」のお話。「ゲームの開発者エリザベス・マギーは、土地を人類全員の共有財産と考えるヘンリー・ジョージの思想の熱烈な支持者で、1903年に最初にこのゲームを考案したときには、二種類のまったく異なるゲームのルールを用意していた。「繁栄」と名づけられたルールでは、誰かが新しい土地を獲得するたび、すべてのプレーヤーにお金が配られ、元手がもつとも少なかったプレーヤーの資金が二倍になったところで、ゲームの決着がついた(全員が勝者だった)。いつぼう「独占者(モノポリスト)」と名づけられたルールでは、プレーヤーは自分の土地に止まったあわれなプレーヤーから地代や賃料を徴収して、お金を増やした。ゲームの勝者は、ほかのプレーヤーを全員破産させ、最後まで残ったプレーヤーだった。マギーが二種類のルールを設けたのは、「現在の土地の収奪システムからいかに尋常ではない結果や影響がもたらされるかを、プレーヤーたちに具体的に示し」、土地の所有権の扱いかたしだいで、社会にまったく異なる結果が生まれることを理解してもらいたかったからだ。」とある。パーカー・ブラザーズが1930年代に特許を買い取ってから、今の「モノポリー」だけと改変されたという。

The Landlord's Game 1904 Patent - Rules

http://landlordsgame.info/rules/lg-1904p_patent.html


世界中に愛好家がいるモノポリーのルーツを巡る泥沼劇とは? - GIGAZINE
2015
https://gigazine-net.cdn.ampproject.org/v/s/gigazine.net/amp/20150621-monopory-history?amp_js_v=0.1&usqp=mq331AQFKAGwASA%3D#origin=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jp&prerenderSize=1&visibilityState=prerender&paddingTop=32&p2r=0&csi=1&aoh=16017691670519&viewerUrl=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jp%2Famp%2Fs%2Fgigazine.net%2Famp%2F20150621-monopory-history&history=1&storage=1&cid=1&cap=navigateTo%2Ccid%2CfullReplaceHistory%2Cfragment%2CreplaceUrl

パーカー・ブラザースからマギー氏に支払われた額は約500ドルで、The Landlord’s Gameの名前やルールを改変しないことが条件に含まれていたとのこと。マギー氏は売却に関してはとても前向きで、その理由は大きい出版会社から発売されることで大勢の人に遊んでもらえるからだったそうです。

ただし、アメリカの特許は「出願日から20年」または「特許付与日から17年」のうちいずれか遅く終了する期間までが存続期間となるため、訴えられたAnspach氏は「モノポリーはパブリックドメインである」と主張し、裁判の争点はモノポリーがパブリックドメインであるか否かに移っていきます。


シド・サクソン · 2017Crafts & Hobbies
... 番がリジー・J・マギーのゲーム用ボードに付与された。その『地主ゲーム( THE LANDLORDʼS GAME)』は経済学者 ...



NHK資本論テキストより:

7 件のコメント:

  1. 1. Change the Goal - 1/7 Doughnut Economics
    https://youtu.be/Mkg2XMTWV4g


    A healthy economy should be designed to thrive, not grow | Kate Raworth
    https://youtu.be/Rhcrbcg8HBw
    2018
    日本語字幕

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  2. #7
    知っているが、「下がる」や「減る」という概念は知らないかのように振る舞っていることを物語っている。しかしデマレージは覚えておいて損のない言葉だ。将来、実際に導入される可能性もある。  この概念を最初に考案したのは、アルゼンチンで事業を営んだドイツ人、シルビオ・ゲゼルだ。ゲゼルは一九〇六年の著書『自然的経済秩序』のなかで、有効期限つきの印紙を付した紙幣の導入を提唱した。それは一定期間ごとに印紙を新たに買って、貼付しなければ使えなくなる紙幣だった。現在であれば、電子通貨を使って、同じことがもっと簡単にできる。一定期間保有された電子通貨に利用料を課すだけでいい。そうすることで、お金が価値を蓄積する手段として使われるのを防ぐことができる。「古新聞のように、腐ったじゃがいものように、錆びた鉄のように古くなる」お金は、同じようにやがて朽ちるものとの引き換えに、どんどん手放されるだろうとゲゼルは主張した。「貨幣を交換手段としてよりよいものにするためには、商品と同じぐらい劣化するものにしなくてはいけない(*54)」  このような提案は初めはあまりに突飛で、絵空事のように聞こえる。しかしじつは過去に立派に実施されている。一九三〇年代、ドイツとオーストリアで地域経済の活性化のため、都市規模で導入されて、成功を収めたほか、一九三三年にはほぼ米国全土で導入された。しかしどの場合も、最終的には、政府の圧力で廃止に追い込まれた。こんな草の根の運動が広まれば、貨幣を管理する国の力が脅かされると政府は感じたのだろう。しかしケインズはゲゼルに感銘を受けて、「不当に無視された預言者」と評し、その提案にも興味を引かれた。大恐慌のさなかに消費を呼び戻すという実績を上げていたからだ(*55)。  では、もし今、消費を活気づけるためではなく、将来のための環境再生的な投資を活気づけるために、デマレージつきの通貨を設計し、導入したらどうなるか、考えてみよう。金銭へ寄せる期待ががらりと変わるだろう。人々の関心は利潤を増やすことから、価値を保つことに変化するはずだ。蓄えられた富の価値を長期的に保つためには、植林計画など、長期的な再生の活動に投資することが最善の方法になる(*56)。銀行も、現金の保有のために費用を支払うよりは、投資利益率がゼロに近い企業への融資も検討するようになるだろう。そうなれば、あまり大きな金銭的リターンはもたらせないが、社会的な富や自然の富を生み出している環境再生的で分配的な企業には追い風になる。さらにもっとも大事なこととしては、経済が無限に富の蓄積を追い求める状態から解放されて、金銭面での成長への依存を克服できる。  デマレージは現代の金融市場ではかなりの異端に見えるが、現代の金融市場もマイナス金利を除外してはいない。マイナス金利とは、事実上、現金を保有することに料金を課すものだ。マイナス金利は二〇一四年以来、日本、スウェーデン、デンマーク、スイス、欧州中央銀行で緊急措置として取り入れられ、今日の金融界の一風景になりつつある。それらの国々がマイナス金利を導入した目的はまちまち──GDP成長の回復、為替レートの調整、物価の上昇──だが、それらの国々ではすでに金利はゼロ以下にならないという神話は打ち破られている。  もちろん、通貨にデマレージを持たせるという案には、金融システムに関する数々のむずかしい問題がつきまと

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  3. capitalinstitute.org/evergreen-direct-investing.html 53. Personal communication with John Fullerton, 23 June 2014. 54. Gessel, S. (1906) The Natural Economic Order, p. 121, available at : https://www.community-exchange.org/docs/Gesell/en/neo 55. Keynes, J. M. (1936) The General Theory of Employment, Interest and Money. London : Macmillan, Chapter 23.(『雇用、利子および貨幣の一般理論』ケインズ著、間宮陽介訳、ワイド版岩波文庫、2012年) 56. Lietaer, B. (2001) The Future of Money. London : Century, pp. 247-248. 57. Lakoff, G. (2014) The All New Don't Think of an Elephant. White River

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  4. ドーナツ#5

    さらには、国有銀行が中央銀行から得たお金を使って、低金利ないしゼロ金利の融資を、カーボンニュートラルの住宅や公共交通の普及など、長期的な変革への投資に振り向けることもできる。そうなれば、あらゆる経済で今必要とされている、変革力を持った資産の構築を強力に後押しでき、ケインズのいう「金利生活者、役立たずの投資家」から力を奪い取ることができるだろう。ケインズは、次のように述べている。

     国家が超低金利を維持すれば、金利生活者は安楽死を余儀なくされ、その結果として、資本の稀少価値を搾取する資本家たちの累積的な抑圧の力も安楽死を迎えるだろう。今日の利子は、地代と同じで、本物の犠牲を払わずに得ることができる。資本の所有者が利子を得られるのは、資本が稀少だからだ。ちょうどそれは土地が稀少であるがゆえに、地主が地代を得られるのと同じだ(*50)。

    Keynes called ‘the rentier … the functionless investor’. Indeed, if the state intentionally kept interest rates very low, he argued:

    it would mean the euthanasia of the rentier, and, consequently, the euthanasia of the cumulative oppressive power of the capitalist to exploit the scarcity-value of capital. Interest today rewards no genuine sacrifice, any more than does the rent of land. The owner of capital can obtain interest because capital is scarce, just as the owner of land can obtain rent because land is scarce.50

    24:2

    このような事態はある程度の個人主義があるところではどこででも起こりうるだろう。だがいまや、この事態から帰結するのは金利生活者の安楽死、それゆえ、資本の希少価値を搾り取るために累積された資本家の抑圧的権力の安楽死である。今日、利子は正真正銘の犠牲に報いる報酬ではない。この点は土地の地代の場合と同様である。資本の所有者は、土地の所有者が土地の希少性のゆえに地代を獲得することができるのと全く同様に、資本が希少だから利子を得ることができるのである。だが土地の希少性には本来的な理由がある〔土地は再生産が不可能〕かもしれないが、資本の希少性にはもともとそうした理由は存在しない。


    Now, though this state of affairs would be quite compatible with some measure of individualism, yet it would mean the euthanasia of the rentier, and, consequently, the euthanasia of the cumulative oppressive power of the capitalist to exploit the scarcity-value of capital. Interest today rewards no genuine sacrifice, any more than does the rent of land. The owner of capital can obtain interest because capital is scarce, just as the owner of land can obtain rent because land is scarce.
    「ところで、この状況はある種の個人主義のはずなのですが、それにもかかわらず、金利生活者の大往生、延いては資本の寡占により好き放題やってきた投資家達の大往生を意味してしまうのです。現代における利子は、地代同様に、不労所得です。地主が土地が希少故に地代を得られるのと一緒で、資本の所有者は資本が希少が故に利子を得ることができているのです。」

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  5. #3

     このような意識の転換ができるかどうかは、わたしたちが世界に組み込まれていることを表現する適切な言葉を見つけられるかどうかにもかかっている。かつて、野良犬は名前をつけてもらうと長く生きられるといったのは、政治学者のハンナ・アーレントだった(*44)。おそらくそれを意識してだろう、主流派の環境経済学者たちは今、生命の世界をいい表すのに、「生態系サービス」や「自然資本」という言葉を使っている。しかしなんでも名前をつければいいというものではない。

    44. Arendt, H. (1973) Origins of Totalitarianism. New York : Harcourt Brace Jovanovich, p. 287.(『全体主義の起原』ハンナ・アーレント著、大久保和郎訳、みすず書房、2017年)

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  6. https://love-and-theft-2014.blogspot.com/2020/11/4_25.html?m=1

    ドーナツ経済学#4より キーン
    As economist Steve Keen – one of the few who did see a crash coming – pithily put it, ‘Trying to analyse capitalism while leaving out banks, debt, and money is like trying to analyse birds while ignoring that they have wings. Good luck.’25

    25. Keen, S. Rethinking Economics Kingston 2014, 19 November 2014.
    https://www.youtube.com/watch?v=dR_75cdCujI
    https://youtu.be/PhGEhv8Z_CU
    9:50

    171:
    二〇〇八年の崩壊をきっかけに、金融市場の新しい動的モデルが模索され始めている。スティーヴ・キーンはコンピュータプログラマー、ラッセル・スタンディッシュと組んで、初のシステム・ダイナミクスのコンピュータプログラム──その名も「ミンスキー」──を開発し、銀行と負債とマネーを本格的に取り入れた経済の不均衡モデルを考案した。キーンは彼一流の表現で、わたしに次のように話してくれた。「このミンスキーでようやく経済という鳥に翼を与えられました。これでやっと飛びかたを理解することが可能になります(*31)」。金融市場がマクロ経済にどういう影響を与えるかを、複雑系の手法で解明しようとするこのような試みはほかでも始まっており、成果が期待される。

    31. Personal communication with Steve Keen, 3 October 2015.

    Minsky download | SourceForge.net
    https://sourceforge.net/projects/minsky/

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  7. 支配から依存へ  新しい経済の自画像には、世界のなかにおける人類の位置も反映されなくてはいけない。昔から西洋では、人間は自然を足もとにひれ伏させ、好きなように利用する存在として描かれてきた。「人類に自然に対する決定権を取り戻させよ。自然は神によって人間に授けられたものなのだから」と十七世紀の哲学者フランシス・ベーコンは述べている(*40)。こういう考えは開発経済学の創始者W・アーサー・ルイスにも通じる。ルイスは一九四九年の著書『経済学──人間とその物的資源』で、どうすれば「稀少な資源をもっとも効率よく利用」し、「人類が地球から命を勝ち取る」ことができるかを探求した。このように人間が自然を支配するという想定は、西洋の文化ではとても古い時代からある。少なくとも聖書の第1章までさかのぼれる。

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