2022年2月11日金曜日

先代旧事本紀大成経 - Wikipedia

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先代舊事本紀大成經 70 憲法本紀

一、通蒙憲法
 一曰,以和為貴,無忤為宗。人皆有黨,亦少達者。是以,或不順君父,乍違于鄰里。然上和下睦,諧於論事,則事理自通,何事不成矣。
 二曰,承詔必謹。君則天之,臣則地之。天覆地載,四時順行,五氣得通。地欲覆天,則致壞耳。是故,君言臣承,上行下效。承詔必慎,不謹自敗。
 三曰,群卿百僚,以禮為本。其治民之本,要在于禮。上不禮下不齊,下無禮然有罪。故君臣有禮,位次不亂。百姓有禮,國家自治。
 四曰,絕饕棄餮,明辨訴訟。其百姓之訟,一日千事。一日尚爾,況累歲乎?頃治訟者,得利為常。見賄聽讞,會饗忘僻。便有財之訟,如石投水。乏者之訴,似水投石。依之貧民,則不知由,臣道亦於焉闕。
 五曰,懲惡勸善,古之良典。是以無匿人善,見惡必匡。其諂訴者,則為覆國家之利器,有為絕人民之鋒劍。亦侫媚者,對上則好兮說下過,逢下則謀兮謗上失。如此人無忠於君,無仁於民。皆大亂之本也。
 六曰,人各有任,掌宜不濫之矣。其賢哲任官,則頌音起。姦者在官,則禍亂繁。世少生知,克念作聖。事無大少,得人必治。時無急緩,遇賢自寬。因此國家永久,社稷勿危。故古聖王為官以求人,為人不求官。
 七曰,群卿百僚,早朝晏退。王事靡監,終日難盡。是以遲朝不逮于急,早退必事不盡。故正冠晨參,令從冠無怠。
 八曰,信是行本,每事有信。其善惡之成敗,要在于信。群臣共信,何事不成。群臣無信,萬事悉敗。
 九曰,絕憎棄瞋,不怒人違。人皆有心,心各有執。彼是則我非,我是則彼非。我必非聖,彼必非愚,共是凡夫耳。是非之理,誰能可定。相共賢愚,如環無端。是故彼人雖瞋,還恐我失,我獨雖得,從眾同舉。
 十曰,明察功過,正中賞罰。昔者,有功必賞,有罪糾罰。日者,賞不在功,罰不在罪。執事群卿,宜明賞罰。
 十一曰,國司、國造,勿斂百姓。國靡二君,民無兩主。率土兆民,以王為主。所任官司,皆是王臣。何敢與公,賦斂百姓?
 十二曰,諸司任官者,同通知職掌。或病、或使,有闕於事。然得知之日,相和而如曾識。其以非與聞,勿防公務。
 十三曰,群臣百僚,無有嫉妬。我既嫉人,人亦妬我。嫉妬之患,不知其極。所以,智勝於己則不悅,德優於己則嫉妬。是以,無出良哲,五百歲之後乃令遇賢,千載難以得一聖。其不得賢聖,何以治國?
 十四曰,背私向公,是臣之道。凡人有私必有謀,有謀則失固,失固則以私,妨公、違治、害法。故古典云,夫子之道,忠恕而已,亦是情歟。
 十五曰,使民以時,古之良典。故冬月有間,以可使民。從春至秋,農桑節,不可使民。其不農何食,不桑何服?
 十六曰,大事不之獨斷,必與眾宜論。小事是輕,不足必眾。唯逮論重事,若癡有失。故則與眾相辨辭,則得理也矣。
 十七曰,篤敬三法。其三法者,儒、佛、神也。則四姓之總歸,萬國之大宗。何世何人,弗貴若是法。人鮮尤惡,能教徒之。不歸三法,何以直枉?

先代旧事本紀大成経

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

先代旧事本紀大成経(せんだいくじほんきたいせいきょう、先代舊事本紀大成經)は、聖徳太子によって編纂されたと伝えられる教典。複数の研究者によって偽書とされている[1][2]

目次

  • 1 内容
    • 1.1 正部
      • 1.1.1 神代本紀
      • 1.1.2 先天本紀
      • 1.1.3 陰陽本紀
      • 1.1.4 黄泉本紀
      • 1.1.5 神祇本紀
      • 1.1.6 神事本紀
      • 1.1.7 天神本紀
      • 1.1.8 地祇本紀
      • 1.1.9 皇孫本紀
      • 1.1.10 天孫本紀
      • 1.1.11 神皇本紀
      • 1.1.12 天皇本紀
      • 1.1.13 帝皇本紀
      • 1.1.14 聖皇本紀
    • 1.2 副部
      • 1.2.1 經教本紀
      • 1.2.2 祝言本紀
      • 1.2.3 天政本紀
      • 1.2.4 太占本紀
      • 1.2.5 歴道本紀
      • 1.2.6 醫綱本紀
      • 1.2.7 禮綱本紀
      • 1.2.8 詠歌本紀
      • 1.2.9 御語本紀
      • 1.2.10 軍旅本紀
      • 1.2.11 未然本紀
      • 1.2.12 憲法本紀
      • 1.2.13 神社本紀
      • 1.2.14 國造本紀
  • 2 先代旧事本紀大成経事件
  • 3 脚注
  • 4 関連書籍
  • 5 関連論文
  • 6 関連項目
  • 7 外部リンク

内容

正部三十八巻と副部三十四巻の計七十二巻に分かれている。正部には神代七代から推古天皇までの歴史と祭祀、副部には卜占・歴制・医学・予言・憲法など広範な内容が記され、神道の教典としての格を備えている。

正部

神代本紀

全一巻。

先天本紀

全一巻。

陰陽本紀

全一巻。

黄泉本紀

全一巻。

神祇本紀

上下二巻。

神事本紀

上下二巻。

天神本紀

上下二巻。

地祇本紀

上下二巻。

皇孫本紀

上下二巻。

天孫本紀

上下二巻。

神皇本紀

全六巻。

天皇本紀

全六巻。

帝皇本紀

全六巻。

聖皇本紀

全四巻。

副部

經教本紀

全六巻。

祝言本紀

全一巻。

天政本紀

全一巻。

太占本紀

上下二巻。

歴道本紀

全四巻。

醫綱本紀

全四巻。

禮綱本紀

全四巻。

詠歌本紀

上下二巻。

御語本紀

全四巻。

軍旅本紀

上下二巻。

未然本紀

全一巻。

憲法本紀

全一巻。

神社本紀

全一巻。

國造本紀

全一巻。

先代旧事本紀大成経事件

1679年(延宝7年)、江戸の書店で『先代旧事本紀大成経』(七十二巻本)[3]と呼ばれる書物が発見したとされた[4]。この大成経の内容が公開されると大きな話題となり、学者神職僧侶の間で広く読まれるようになった。しかし、大成経の内容は伊勢神宮別宮の伊雑宮の神職が主張していた、伊雑宮が日神を祀る社であり内宮外宮は星神・月神を祀るものであるという説を裏づけるようなものであることがわかり、内宮・外宮の神職がこの書の内容について幕府に詮議を求めた。

1681年(天和元年)、幕府は大成経を偽書と断定し、江戸の版元「戸嶋惣兵衛」、書店にこの書物を持ち込んだ神道家・永野采女と僧 ・潮音道海[5]、偽作を依頼したとされた伊雑宮の神職らを処罰した。後に大成経を始めとする由緒の明らかでない書物の出版・販売が禁止された。しかし、幕府の目を掻い潜って大成経は出回り続け、垂加神道などに影響を与えている。

なお皇大神宮と伊雑宮は奉斎氏族は別であり、日神祭祀の起源主張には無理がある。

脚注

  1. 湯浅 1998, p. 66.
  2. 佐藤 2000, p. 274.
  3. 本項目で解説した書は「延宝版」、「潮音本」、「七十二巻本」などと呼ばれることがある。『鷦鷯(ささき、さざき)伝本先代旧事本紀大成経(大成経鷦鷯伝)』(三十一巻本、1670年(寛文10年)刊)及び『白河本旧事紀』(伯家伝、三十巻本)は異本。すべて『先代旧事本紀』を基にして江戸時代に創作されたと言われている。後に多数現れる「古史古伝」のルーツ、種本とみる人もいる。
  4. 1675年(延宝3年)、江戸の版元「戸嶋惣兵衛」より『聖徳太子五憲法』と称する書物が刊行された。この書物は聖徳太子の憲法は「通蒙憲法」「政家憲法」「儒士憲法」「釈氏憲法」「神職憲法」の五憲法であり、「通蒙憲法」が日本書紀の十七条憲法であるとする。1679年(延宝7年)に現れた『先代旧事本紀大成経』巻七十「憲法本紀」は1675年(延宝3年)の『聖徳太子五憲法』と同じ内容である。
  5. 潮音道海(ちょうおんどうかい、1628年-95年)は黄檗宗の僧。著書に『摧邪輪(さいじゃりん)』『坐禅論』『霧海南針』などがある。

関連書籍

  • 『先代舊事本紀大成経』全9巻 須藤太幹解読 先代舊事本紀研究会 2001年(平成13年)
  • 安本美典 (編集) 『奇書『先代旧事本紀』の謎をさぐる』付編「 偽書『先代旧事本紀大成経』事件(もう一つの『先代旧事本紀』?―『大成経』偽書事件)」 批評社 2007年
  • 今田洋三『江戸の禁書』 吉川弘文館 2007年
  • 後藤隆『謎の根元聖典 先代旧事本紀大成経』 徳間書店 2004年, ヒカルランド 2017年(新装版)
  • 藤原明『日本の偽書』 文藝春秋 2004年
  • 野澤政直『禁書 聖徳太子五憲法』 新人物往来社 2005年
  • 小川龍『高僧 道海と消された経典』 幻冬舎 2007年(小説)

関連論文

関連項目

外部リンク

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