簡単に言えばMMTとは、信用通貨論と国定通貨論との統合である。
東大生動画【15分で全体がわかる】現代貨幣理論(MMT)入門 後編 >>8 は中野剛志の国定信用貨幣論なる概念を採用している。
信用貨幣論はイネス>>33, >>63 、
国定貨幣論(表券主義)は歴史学派のクナップ >>32 に代表される。
《レイは、貨幣とは負債であるという「信用貨幣論」[イネス]と、貨幣の価値の
源泉は国家権力にあるという「表券主義」[クナップ]を結合させたのである。この
ような貨幣論を「国定信用貨幣論(Credit and State Theory of Money)」と呼ん
でおこう。》中野剛志『富国と強兵』#1
国定貨幣が表券的であるのは、受領面で証明される。
《クナップの『貨幣国定説』は、その題名から、国家による貨幣の発行や法定を
最も重視したものと誤解されがちであるが、そうではない。クナップが最も重視
したのは、国家による発行や法定ではなく、「受領」であった。》同
《「国家による受領が貨幣システムの境界線を定める 。」》同
参考
国会図書館デジタルコレクション、クナップ 『貨幣国定学説 』岩波書店 1922年
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/971256/89
《誰でも貨幣を創造することができる。問題は、それを受け入れさせることである》
ミンスキー『金融不安定性の経済学』#10:284頁参照
個人的には両者は概念的にはアウフヘーベンさせず分離して捉えた方がいいと思う。
国家官僚がいないと取引が出来ないと考えてしまう危険があるからだ。
広義の共同体(=計算貨幣の母体)が必要というならわかる。
参考:
「アンチノミーは解消されない。ヘーゲル哲学が全体として根本的にダメなところは
ここだ。アンチノミーをなす二つの項は互いに、あるいは、他のアンチノミックな
二項との間でバランスをとる」プルードン
http://www.kagomma.net/saito/travaux/vive.html
この言葉はベンヤミン『パサージュ論4』(岩波文庫430頁)にも孫引きされている。
ちなみにバークレー、ラスキンを信用貨幣論の系譜に入れるとしたら、
交換銀行をつくろうとしたプルードンも入れないとおかしい。
流石にジンメルはプルードンに言及していた。歴史学派と国家観は違うが立ち位置は近い。
根拠 貨幣観 素材
表券主義
信用貨幣論〈
国定貨幣論〈 金属主義
商品貨幣論
国定貨幣は信用貨幣と商品貨幣を両方採用可。信用貨幣は金属主義を従属させ得る。
表券説は金属主義と素材的に対立する。
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根拠 貨幣観 素材
表券主義
信用貨幣論〈
国定貨幣論〈 金属主義
商品貨幣論
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民間、国家間市場
国定貨幣は信用貨幣と商品貨幣を両方採用可
信用貨幣は金属主義を従属させ得る
(表券説は金属主義と素材的に対立する)
根拠 貨幣観 素材
信用貨幣論 表券主義
国定貨幣論
商品貨幣論 金属主義
国定貨幣は信用貨幣と商品貨幣を両方採用可
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