【フェルマーの最終定理②】天才が残した300年前の難問に終止符
フェルマーの最終定理(新潮文庫) Kindle版
岩澤理論
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E6%BE%A4%E7%90%86%E8%AB%96
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岩澤健吉
日本の数学者
来歴・人物
群馬県桐生市出身。旧制武蔵高校、東京帝大理学部数学科卒業。東大助教授から1950年に米国渡航。プリンストン高等研究所、マサチューセッツ工科大学、プリンストン大学を経て1987年帰国。プリンストン大名誉教授。
講義、講演の名手としても有名である。弟子に ラルフ・グリーンバーグやローレンス・ワシントン等がいる。
業績
アンドレ・ヴェイユに日本人で最も独創的な数学者と言わしめたその業績は顕著で、有限群論の組み合わせ論的研究からスタートした岩澤はその後、リー群論に移り ヒルベルトの第5問題の解決に向かう本質的貢献を与えた。
そして1952年に『代数函数論』を著した後、整数論に移る。米国渡航後の1959年、Zp-拡大の理論と岩澤類数公式を発表(岩澤理論の創始)。この公式は系列的な代数体の類数を統一的に記述するほとんど初めてのものとしてそれ自体驚異のものであったが、その後もその意味を追求し続けた岩澤は1960年代半ば、L関数の特殊値のp進的性質とイデアル類群の構造を結びつけるいわゆる岩澤主予想 (Main conjecture of Iwasawa theory) に到達した。この代数的オブジェクトとL関数の値のp進的性質との関係という文脈は、様々な対象に一般化され現在では数論の中心課題の一つとなっている。
著書
- 『代数函数論』岩波書店〈現代数学 第11〉、1952年。
- 『代数函数論』岩波書店〈現代数学 11〉、1973年10月31日、増補版。ISBN 4-00-005632-8。
- 『局所類体論』岩波書店〈数学選書〉、1980年2月18日。ISBN 4-00-005230-6。
翻訳
- Local Class Field Theory. Oxford Mathematical Monographs (Hardcover ed.). Oxford University Press, USA. (1986-09-18). ISBN 0195040309 - 『局所類体論』。
- Algebraic functions. Translations of Mathematical Monographs (Paperback ed.). American Mathematical Society. (1993-04-20). ISBN 0821819690 - 『代数函数論』。
論文集
- Genjiro Fujisaki, Kazuya Kato, Masato Kurihara, Shoichi Nakajima, Ichiro Satake, et al., ed (2001-07-20). Kenkichi Iwasawa Collected Papers. 1, 2 (v. 1&2) (Hardcover ed.). Springer. ISBN 4431703144
受賞歴
関連項目
脚注
- ^ 博士論文書誌データベース
外部リンク
- O'Connor, John J.; Robertson, Edmund F., “岩澤健吉”, MacTutor History of Mathematics archive, University of St Andrews.
- John Coates, "Kenkichi Iwasawa (1917-1998)" (PDF) ,Notices Amer. Math. Soc. 46 (10)
Zp-拡大
岩澤が端緒としたのは、代数的数論において Zp 拡大と呼ばれる、そのガロア群が p-進整数環の加法群 Zpと同型となるような体の塔(拡大列)の存在性である。このガロア群は理論中しばしば Γ と書かれ、(アーベル群ではあるが)乗法的に記される。このような群は、(そのガロア群が本質的に射有限群であるような)無限次元代数拡大のガロア群の部分群として得られる。この群 Γ それ自身は、ある素数 p を固定したときの、加法群 Z/pnZ (n = 1, 2, ...) たちが自然な射影によって成す逆系の逆極限(Z の射有限完備化)である。これはまた、ポントリャーギン双対を考えれば、任意の p の冪に対する 1 の冪根全体が成す円周群の離散部分群の双対として得られるコンパクト群が Γ であるとも述べられる。
円分拡大の数論
最初の重要な例は、1 の原始 p 乗根 ζ を添加する拡大 K = Q(ζ) である。Kn を 1 の原始 pn+1乗根の生成する K の(したがってとくに C 内の)部分体として、体の塔 Kn (n = 1, 2, ...) の和集合(合成体)を L と置く。このとき、体の拡大 L/K のガロア群は Γ に同型である。これは、拡大 Kn/K のガロア群が Z/pnZ であることによる。
- Im → In
(ここで m > n)を考えれば逆系が得られ、その逆極限を I として Γ を I に作用させることができる。その作用を記述することに意味があるのである。
また、以下のような量的な記述ができる: p を素数とし、Kn を塔とする K の Zp 拡大 L に対し、Kn のイデアル類群の p-部分 In(これは有限 p-群だから位数は p の冪である)の位数の p の冪指数を en とするとき、適当な正の数 μ, λ と実数 ν および十分大きな n をとれば
という形に表すことができる。
ここでの動機というのは、K のイデアル類群の p 部分こそがフェルマーの最終定理の直接証明における主要な障害となっている、ということがクンマーによって既に特定されていたということによるものである。岩澤の独自性は、「無限大に飛ばす」という新しい着想にあった。
岩澤主予想
草創期の1950年代から理論の構築は絶えず続けられ、この加群の理論と久保田やレオポルド (Leopoldt) が1960年代に考案した p-進 L 関数の理論の間の基本的考察が提示された。p 進 L 関数は、ベルヌーイ数から始めて補間法を用いて定義される、ディリクレの L 関数の p-進の類似物である。最終的に、クンマーによる正則素数に関する結果から世紀を隔てて、フェルマーの最終定理の前進する見通しが立ったことが明らかとなった。
岩澤主予想(Main conjecture of Iwasawa theory)は、(加群の理論と補間法の)二種類の方法で定義される p-進 L 関数は(それが定義可能な限りは)一致するはずであるという形で定式化された。この予想は結果としては、バリー・メイザー (Barry Mazur) とアンドリュー・ワイルズによって有理数体 Q の場合に、またやはりワイルズによって任意の総実数体の場合に証明された。
逸話
- 岩澤理論はワイルズによるフェルマーの最終定理の解決に決定的貢献をした。(証明が1回否定された後、岩澤理論を使って証明できた)[要出典]
参考文献
- Coates, J.; Sujatha, R. (2006), Cyclotomic Fields and Zeta Values, Springer Monographs in Mathematics, Springer-Verlag, ISBN 3-540-33068-2, Zbl 1100.11002
- Greenberg, Ralph (2001), “Iwasawa theory---past and present”, in Miyake, Katsuya, Class field theory---its centenary and prospect (Tokyo, 1998), Adv. Stud. Pure Math., 30, Tokyo: Math. Soc. Japan, pp. 335–385, ISBN 978-4-931469-11-2, MR1846466, Zbl 0998.11054
- Iwasawa, Kenkichi (1959), “On Γ-extensions of algebraic number fields”, Bulletin of the American Mathematical Society 65 (4): 183–226, doi:10.1090/S0002-9904-1959-10317-7, ISSN 0002-9904, MR0124316, Zbl 0089.02402
- Kato, Kazuya (2007), “Iwasawa theory and generalizations”, in Sanz-Solé, Marta; Soria, Javier; Varona, Juan Luis et al., International Congress of Mathematicians. Vol. I, Eur. Math. Soc., Zürich, pp. 335–357, doi:10.4171/022-1/14, ISBN 978-3-03719-022-7, MR2334196
- Lang, Serge (1990), Cyclotomic fields I and II, Graduate Texts in Mathematics, 121, With an appendix by Karl Rubin (Combined 2nd ed.), Berlin, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-96671-7, Zbl 0704.11038
- Mazur, Barry; Wiles, Andrew (1984), “Class fields of abelian extensions of Q”, Inventiones Mathematicae 76 (2): 179–330, doi:10.1007/BF01388599, ISSN 0020-9910, MR742853, Zbl 0545.12005
- Neukirch, Jürgen; Schmidt, Alexander; Wingberg, Kay (2008), Cohomology of Number Fields, Grundlehren der Mathematischen Wissenschaften, 323 (2nd ed.), Berlin: Springer-Verlag, ISBN 978-3-540-37888-4, MR2392026, Zbl 1136.11001
- Rubin, Karl (1991), “The ‘main conjectures’ of Iwasawa theory for imaginary quadratic fields”, Inventiones Mathematicae 103 (1): 25–68, doi:10.1007/BF01239508, ISSN 0020-9910, Zbl 0737.11030
- Skinner, Chris; Urban, Éric (2010), The Iwasawa main conjectures for GL2, p. 219
- Washington, Lawrence C. (1997), Introduction to cyclotomic fields, Graduate Texts in Mathematics, 83 (2nd ed.), Berlin, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-94762-4
- Wiles, Andrew (1990), “The Iwasawa Conjecture for Totally Real Fields”, Annals of Mathematics(Annals of Mathematics) 131 (3): 493–540, doi:10.2307/1971468, Zbl 0719.11071
関連文献
- 岩沢健吉「代数体と函数体とのある類似について」『数学』第15巻第2号、岩波書店、1963年10月、 65-67頁。
- 落合理『岩澤理論とその展望』(上)、岩波書店〈岩波数学叢書〉、2014年9月10日。ISBN 978-4-00-029821-6。
- 落合理『岩澤理論とその展望』(下)、岩波書店〈岩波数学叢書〉、2016年8月24日。ISBN 978-4-00-029822-3。
- 数学編集部「岩沢健吉先生のお話しを伺った120分」『数学』第45巻第4号、岩波書店、1993年10月、 366-372頁。
- 福田隆『重点解説 岩澤理論- 理論から計算まで -』サイエンス社〈SGCライブラリ145〉、2019年1月。
外部リンク
- Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Iwasawa theory”, Encyclopaedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
谷山志村予想は
返信削除谷山豊(とよ)
志村五郎
谷山浩子
志村けんではない