2020年5月1日金曜日

フェルマーの最終定理と岩澤理論

【フェルマーの最終定理②】天才が残した300年前の難問に終止符

フェルマーの最終定理(新潮文庫) Kindle版


岩澤理論
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E6%BE%A4%E7%90%86%E8%AB%96

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E6%BE%A4%E5%81%A5%E5%90%89

岩澤健吉

日本の数学者


岩澤 健吉(いわさわ けんきち、1917年9月11日 - 1998年10月26日)は、日本数学者
岩澤 健吉
生誕1917年9月11日
日本の旗 日本 群馬県山田郡桐生町新宿(現 桐生市
死没1998年10月26日(81歳)
日本の旗 日本 東京都
国籍日本の旗 日本
研究分野数学
研究機関マサチューセッツ工科大学
プリンストン大学
出身校東京帝国大学
博士課程
指導教員
彌永昌吉
博士課程
指導学生
ロバート・F・コールマン英語版
ラルフ・グリーンバーグ英語版
ユージン・M・ラックス英語版
ギュスターヴ・ソロモン英語版
ラリー・ワシントン英語版
主な業績岩澤理論
主な受賞歴藤原賞(1979年)
コール賞(1962年)
日本学士院賞(1962年)
朝日賞(1959年)
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来歴・人物編集


群馬県桐生市出身。旧制武蔵高校東京帝大理学部数学科卒業。東大助教授から1950年に米国渡航。プリンストン高等研究所マサチューセッツ工科大学プリンストン大学を経て1987年帰国。プリンストン大名誉教授。
1945年 東京大学 理学博士 論文の題は「有限群とその部分群の束について」[1]。 
講義、講演の名手としても有名である。弟子に ラルフ・グリーンバーグローレンス・ワシントン等がいる。

業績編集


アンドレ・ヴェイユに日本人で最も独創的な数学者と言わしめたその業績は顕著で、有限群論の組み合わせ論的研究からスタートした岩澤はその後、リー群論に移り ヒルベルトの第5問題の解決に向かう本質的貢献を与えた。
そして1952年に『代数函数論』を著した後、整数論に移る。米国渡航後の1959年、Zp-拡大の理論と岩澤類数公式を発表(岩澤理論の創始)。この公式は系列的な代数体の類数を統一的に記述するほとんど初めてのものとしてそれ自体驚異のものであったが、その後もその意味を追求し続けた岩澤は1960年代半ば、L関数の特殊値のp進的性質とイデアル類群の構造を結びつけるいわゆる岩澤主予想 (Main conjecture of Iwasawa theory) に到達した。この代数的オブジェクトとL関数の値のp進的性質との関係という文脈は、様々な対象に一般化され現在では数論の中心課題の一つとなっている。
オリジナルの岩澤主予想も今では当たり前に取り扱われることも多く、その独創的側面が意識されることは現在では少なくなっているのかもしれない。当時既に数論の中心は代数幾何的手法に移りつつあり代数的整数論は忘れ去られる傾向にあったが、岩澤は新しい観点からそれを生き返らせた。日本においても数論幾何が中心の傾向には変わりなく、岩澤の業績は長い間顧みられることはなかった。岩澤主予想と名づけたのはジョン・コーツである。

著書編集


翻訳編集

  • Local Class Field Theory. Oxford Mathematical Monographs (Hardcover ed.). Oxford University Press, USA. (1986-09-18). ISBN 0195040309 - 『局所類体論』。
  • Algebraic functions. Translations of Mathematical Monographs (Paperback ed.). American Mathematical Society. (1993-04-20). ISBN 0821819690 - 『代数函数論』。

論文集編集

  • Genjiro Fujisaki, Kazuya Kato, Masato Kurihara, Shoichi Nakajima, Ichiro Satake, et al., ed (2001-07-20). Kenkichi Iwasawa Collected Papers1, 2 (v. 1&2) (Hardcover ed.). Springer. ISBN 4431703144

受賞歴編集



関連項目編集



脚注編集


  1. ^ 博士論文書誌データベース

外部リンク編集






数論における岩澤理論(いわさわりろん、Iwasawa theory)は、岩澤健吉円分体の理論の一部として創始した、(無限次元拡大の)ガロア群の、イデアル類群における表現論である。

Zp-拡大編集






岩澤が端緒としたのは、代数的数論において Zp 拡大と呼ばれる、そのガロア群が p-進整数環の加法群 Zpと同型となるような体の塔(拡大列)の存在性である。このガロア群は理論中しばしば Γ と書かれ、(アーベル群ではあるが)乗法的に記される。このような群は、(そのガロア群が本質的に射有限群であるような)無限次元代数拡大のガロア群の部分群として得られる。この群 Γ それ自身は、ある素数 p を固定したときの、加法群 Z/pnZ (n = 1, 2, ...) たちが自然な射影によって成す逆系の逆極限Z の射有限完備化)である。これはまた、ポントリャーギン双対を考えれば、任意の p の冪に対する 1 の冪根全体が成す円周群の離散部分群の双対として得られるコンパクト群が Γ であるとも述べられる。

円分拡大の数論編集






最初の重要な例は、1 の原始 p 乗根 ζ を添加する拡大 K = Q(ζ) である。Kn を 1 の原始 pn+1乗根の生成する K の(したがってとくに C 内の)部分体として、体の塔 Kn (n = 1, 2, ...) の和集合(合成体)を L と置く。このとき、体の拡大 L/K のガロア群は Γ に同型である。これは、拡大 Kn/K のガロア群が Z/pnZ であることによる。 
ここから、ガロア群 Γ 上の興味深い加群を取り出すことができる。岩澤は Kn のイデアル類群と、そのシロー p 部分群 In (p-部分)を考えた。このときノルム写像
Im → In
(ここで m > n)を考えれば逆系が得られ、その逆極限を I として Γ を I に作用させることができる。その作用を記述することに意味があるのである。
また、以下のような量的な記述ができる: p を素数とし、Kn を塔とする K の Zp 拡大 L に対し、Kn のイデアル類群の p-部分 In(これは有限 p-群だから位数は p の冪である)の位数の p の冪指数を en とするとき、適当な正の数 μ, λ と実数 ν および十分大きな n をとれば
e_n=\mu p^n+\lambda n+\nu
という形に表すことができる。
ここでの動機というのは、K のイデアル類群の p 部分こそがフェルマーの最終定理の直接証明における主要な障害となっている、ということがクンマーによって既に特定されていたということによるものである。岩澤の独自性は、「無限大に飛ばす」という新しい着想にあった。
事実として、I は群環 Zp[Γ] 上の加群であり、またこの群環は二次の正則局所環と呼ばれる(その上の加群のそれほど粗くない分類が非常に容易であるという意味で)素性の良い環である。

岩澤主予想編集






草創期の1950年代から理論の構築は絶えず続けられ、この加群の理論と久保田やレオポルド (Leopoldt) が1960年代に考案した p-進 L 関数の理論の間の基本的考察が提示された。p 進 L 関数は、ベルヌーイ数から始めて補間法を用いて定義される、ディリクレの L 関数の p-進の類似物である。最終的に、クンマーによる正則素数に関する結果から世紀を隔てて、フェルマーの最終定理の前進する見通しが立ったことが明らかとなった。
岩澤主予想Main conjecture of Iwasawa theory)は、(加群の理論と補間法の)二種類の方法で定義される p-進 L 関数は(それが定義可能な限りは)一致するはずであるという形で定式化された。この予想は結果としては、バリー・メイザー (Barry Mazur) とアンドリュー・ワイルズによって有理数体 Q の場合に、またやはりワイルズによって任意の総実数体の場合に証明された。

逸話編集






  • 岩澤理論はワイルズによるフェルマーの最終定理の解決に決定的貢献をした。(証明が1回否定された後、岩澤理論を使って証明できた)[要出典]

参考文献編集







関連文献編集






  • 岩沢健吉「代数体と函数体とのある類似について」『数学』第15巻第2号、岩波書店、1963年10月、 65-67頁。
  • 落合理『岩澤理論とその展望』(上)、岩波書店〈岩波数学叢書〉、2014年9月10日。ISBN 978-4-00-029821-6
  • 落合理『岩澤理論とその展望』(下)、岩波書店〈岩波数学叢書〉、2016年8月24日。ISBN 978-4-00-029822-3
  • 数学編集部「岩沢健吉先生のお話しを伺った120分」『数学』第45巻第4号、岩波書店、1993年10月、 366-372頁。
  • 福田隆『重点解説 岩澤理論- 理論から計算まで -』サイエンス社〈SGCライブラリ145〉、2019年1月。

外部リンク編集






1 件のコメント:

  1. 谷山志村予想は
    谷山豊(とよ)
    志村五郎


    谷山浩子
    志村けんではない

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