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脳を傷つけず、脳信号を聞き取る 紙のように薄い次世代インプラント「BISC」発明される
脳の声をより注意深く聞き取る
■脳の会話 この装置を試験するため、研究者らはブタとサルにインプラントを埋め込んだ。ブタでは、体の異なる部位に刺激を与えた際に、チップが明瞭な脳反応を記録した。そのパターンは既知の脳地図と一致しており、この装置が感覚の由来する場所を見分けられることを示した。 サルでは、研究チームはさらに先へ進んだ。脳の運動領域の上で、動物が腕を動かしている間の信号を記録した。そして、その信号を使って、動きの速さや方向といった要素を予測できた。 最も注目すべき成果は視覚系から得られた。サルがパターン、ドット、自然画像を見ている際に、チップは2カ月以上にわたって安定した信号を記録した。研究者たちは、視野のどの位置に対して脳のどの部分が反応するかをマッピングすることに成功し、そのマップが時間の経過とともに驚くほど一貫していることを示した。 高密度アレイによって、脳の表面を横切って広がる活動の進行波(traveling wave)も明らかになった。その形や進む方向には、動物が何を見ているのかに関する情報が含まれており、さらに直前に見たものの履歴まで反映していた。これは、脳の表面が細かなパターンに満ちており、これまではそれをはっきり見るための道具がなかっただけだということを示唆している。 ■脳信号の捉え方を変える この装置は、貫通型の電極のように、個々の細胞から鮮明なスパイク信号を捉えるわけではない。代わりに、近くにある神経集団の集合的なリズムを記録する。この研究が示したのは、そのリズムも、十分に高い密度で測れば、きわめて多くの情報を含みうるということだ。脳は個々のニューロンの発火だけで語るのではなく、その表面を流れる波やパターンによっても語っているのかもしれない。運動や視覚、意思疎通の機能を回復させるといった多くの医療用途にとっては、それで十分である可能性がある。 この技術の最も有望な点の一つは、脳への負担が小さいことである。このインプラントは数カ月たってからでも、脳を傷つけずに比較的容易に取り外して交換できる。これは装置を恒久的に埋め込むのではなく、時間とともに更新していける可能性を開く。もしこの手法が人にも応用できるなら、脳インターフェースに対する医師の考え方を変えるかもしれない。性能と安全性のどちらかを選ぶのではなく、その両方を得られる可能性があるからだ。 この研究は、より根源的な問いも投げかける。脳の知性のどれほどの部分が、単一の細胞ではなく、多くの細胞が一緒に働くときに現れるパターンに宿っているのか。脳の表面に薄いパッチを敷いて信号に耳を傾けることで、この装置はその問いを探る新たな方法を示している。脳にもっと大きな声で話させるのではなく、その声をより注意深く聞き取る方法を学ぶことによって。
William A. Haseltine
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