「ただのおじさんの取り扱いが急に変わるのよろしくない」 京大・北川さん冗談交え会見
微細な穴を無数に持つ新しい有機材料「多孔(たこう)性金属錯体(さくたい)」を開発し、今年のノーベル化学賞に選ばれた京都大の北川進特別教授(74)が発表から一夜明けた9日朝、京都市左京区の同大吉田キャンパスで、職員や学生らの出迎えを受けた。大きな花束を受け取った北川さんは「たくさんの人に集まってもらい、感謝申し上げたい」と語り、受賞決定の実感を新たにし、研究者を志す人へ「ますますチャレンジ精神でやっていただきたい」とエールを送った。 【写真】バレー部に所属していた中学2年の北川進さん 午前9時ごろ、吉田キャンパスの百周年時計台記念館の前には100人を超える職員や学生が花道をつくり、スーツ姿で現れた北川さんを拍手で祝福した。総務課の女性職員は「フレックスタイムの勤務だが、今日は朝からほとんどの職員が来ていると思う」と反響の大きさに驚いていた。 その後の記者会見で北川さんは、受賞決定に多くのお祝いのメールなどが寄せられているが、多忙でほとんど見れていないといい、「今までの研究を振り返ったり、感慨に浸ったりするのはだいぶ先かな、という気持ち。まずは体を大切にしようと思う」と語った。 受賞理由となった次世代の多孔性材料は気体の貯蔵などに役立ち、脱炭素やエネルギー問題の解決につながると期待されるが、一般向けの認知度向上が課題の一つ。北川さんは受賞決定の報道で研究内容が広く解説されていることに手応えを感じ、「私自身も一般の人に向けて分かりやすく、うまく説明していきたい」と意欲を見せた。 受賞前後の自身や周囲の変化を問われると「ただのおじさんが、ノーベル賞をもらったからといって取り扱いが急に変わるのはよろしくない。平穏だからこそ良いアイデアが浮かぶ。良い意味で平穏ではなくなった」と冗談交じりで話し、笑いを誘った。北川さんは海外の研究者2氏との共同受賞。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれる。
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