2025年3月10日月曜日

120年前に提案のパズル解法、ついに解決 日米チームが証明 | 毎日新聞

120年前に提案のパズル解法、ついに解決 日米チームが証明 | 毎日新聞

120年前に提案のパズル解法、ついに解決 日米チームが証明

毎日新聞 2025/3/10 21:28(最終更新 3/10 21:34) 938文字

 正三角形をなるべく少ないピースに切り分け、並べ替えて正方形にする--。約120年前に提案された「デュードニーの裁ち合わせ」として知られるパズルで、3ピース以下の解が存在しないことを証明したと、北陸先端科学技術大学院大と米マサチューセッツ工科大の研究チームが10日、発表した。

 このパズルは1902年、英国のパズル作家ヘンリー・デュードニーが雑誌のパズル欄で出題した。多数の解答が寄せられたが、ただ一人が正三角形を4ピースに切り分けて正方形に組み替える解法を提案し賞金が贈られた。しかし、これが最適な解法か、つまりより少ない3ピース以下で解くことができるか否かははっきりせず、これまで未解決問題とされていた。

 北陸先端大の鎌田斗南(となん)助教(数学)らの研究チームは、18年ごろから3ピースでは解けないことを証明する研究に取りかかった。分割のパターンが無限にあるために全てを試してみることは難しかったが、3分割する線のつながり方に基づいてグループ分けし、図形の辺の長さや位置に注目した独自の方法を考案した。

 そして無限に見えるパターンを37通りまで絞り込んだ。3ピースで解けると仮定した場合、それぞれのパターンで「隣り合うべき辺が隣り合わない」などの矛盾が生じることを突き止め、仮定が矛盾することを示して証明する「背理法」を用いて証明に成功した。

 これまでさまざまな解法が提案されてきたが、「3ピースでは不可能」と数学的に証明するのは難しいとされてきた。鎌田助教の指導教員だった東京理科大の秋山仁栄誉教授は「非常に工夫を凝らした研究」と評し、今回の手法を応用して別のパズルでも不可能性を証明できる可能性があると指摘。宇宙にソーラーパネルを運ぶ際にコンパクトに収納するなど、形を変形させたい場合の研究開発に役立つ可能性も秘めているという。

 鎌田助教は「デュードニーのパズルを見て感動したが、それを理論で説明しているものがあまりにも少なく、『自分の言葉で説明できるようになりたい』と研究を始めた」といい、「今回、言語化できたので、これからは別の課題の解決にも役立てていきたい」と語った。

 チームは2024年12月、査読前論文サイト「アーカイブ」で研究成果を公表した。【松本光樹】

0 件のコメント:

コメントを投稿