2024年12月24日火曜日

きっかけは1通のメール 被団協への「感謝」、機内アナウンスに乗せ [核といのちを考える]:朝日新聞デジタル

きっかけは1通のメール 被団協への「感謝」、機内アナウンスに乗せ [核といのちを考える]:朝日新聞デジタル

きっかけは1通のメール 被団協への「感謝」、機内アナウンスに乗せ

 日本時間の13日朝、北欧から羽田空港に到着したスカンジナビア航空(SAS)の機内に日本語のアナウンスが響いた。

 「これまで生涯をかけて行ってきた、そして、これからも続けていくであろう貴重な活動に対し、深く感謝すると同時に、核兵器も戦争もない平和な世界が一日も早く訪れますよう、心よりお祈り申し上げます」

 ノルウェー・オスロで開かれたノーベル平和賞の授賞式に出席した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表団が、帰国のために搭乗していた便だ。

 客室乗務員を長年務める渡辺慶子さんは、ノーベル平和賞のニュースをチェックしていた。数日前に帰国便の担当になり、被団協の80~90代の代表委員3人が行きの便でエコノミークラスだったと知った。3人は授賞式に登壇したほか、要人との面会や国内外の記者会見、交流イベントなど過密な日程をこなしていた。

 「ハードなスケジュールのなか、分刻みで動いてきた高齢の方々にとって、10時間以上のフライトは大変だ」

 帰国便でも、3人はエコノミークラスに乗ることになっていた。ビジネスクラスに少し空きがあるため、初めて最高経営責任者(CEO)に直接メールを送った。

 「高齢の方たちなので、何とかなりませんでしょうか」

 ただ、帰国便が出発する直前に送ったメールをCEOが見ているとは思えない。返信も期待していなかった。

 ほどなくメールが返ってきた。

 「素晴らしいアイデアだと思う。喜んでサポートします。搭乗者の名前を教えてほしい」

 そんな内容だった。帰国便で、代表委員の3人はビジネスクラスになった。

 渡辺さんは、母親の戦時中の疎開体験を聞いたり、被爆地の長崎を訪れて被爆の実情を見たりしてきた。「いまだに原爆で苦しんでいらっしゃる人たちがいっぱいいる。苦しい思いをされたにもかかわらず、一生涯かけて活動を続けてこられた」

 伝えたかった気持ちを、到着時の機内アナウンスに添えて、日本語で読み上げた。

 「これからも平和への声を上げ続けてください。SAS乗務員一同、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます」

 機内は、温かい拍手に包まれた。

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