2026年6月15日月曜日

柄谷行人インタビュー 「戦争の時代」に考える 『力と交換様式』文庫化で大幅に改訂|じんぶん堂

柄谷行人インタビュー 「戦争の時代」に考える 『力と交換様式』文庫化で大幅に改訂|じんぶん堂

柄谷行人インタビュー 「戦争の時代」に考える 『力と交換様式』文庫化で大幅に改訂

自宅近くにあるお気に入りの散歩コースで。日課として歩き続けている
自宅近くにあるお気に入りの散歩コースで。日課として歩き続けている

――柄谷さんは、繰り返し戦争の危機を訴えてきました。例えば、2010年のインタビューでは、こう発言しています。「自分の国あるいは国民の生活がよくなったら、ほかの国はどうなってもよい。そういうことでやっていくと、その行き詰まりには何が出てくるか。戦争です」(「平和の実現こそが世界革命」『柄谷行人インタビューズ2002-2013』)。まさにその通りになってしまったように思えます。

柄谷 当時はみんな本気にしなかった。また大袈裟なことを言って、という反応でした。

――おそらく、世界的な戦争の時代への危機感は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻で自覚した人が多かったのではないでしょうか。その後、イスラエルとハマスの戦争が起き、米国がベネズエラを攻撃、さらに米国とイスラエルによるイランへの攻撃と続いています。

柄谷 冷戦が崩壊したとき、戦争の時代に入ったと思いました。19世紀の帝国主義戦争の再来になる、と。多くの人は、国の境界が薄れていき平和な世界が訪れるだろうと予測したけれど。ただ、いざこういう状況になってみると、茫然とするほかない。3、4年前までは怒ってばかりいましたが、いまは絶望で無気力になっています。老年性の鬱かとも思いましたが、時局によるところが大きい。

 正直に言えば、現在の情勢について、細かく追ったり積極的な発言をしたりする心境ではなくなっています。昔から情勢論をいうタイプではありませんでしたが、もう何も言う気が起きない。ただ、あきらめてはいません。交換様式論について考え続けているのも、そのためです。

《「交換様式論」は、柄谷さんが独自に作り上げた理論。社会のシステムを「交換」の観点から見ることで、四つの交換様式を見いだした。A=贈与と返礼の互酬、B=支配と保護による略取と再分配、C=貨幣と商品による商品交換。そして、Dは、Aを高次元で回復したもので、自由と平等を担保した未来社会の原理。四つの交換様式は同時に存在していて、どの交換様式が支配的かによって、社会のありようが決まってくる。Aならば氏族社会、Bであれば国家、Cの場合は資本制社会がその代表例。Dが支配的な社会は実現したことがない、という》

資本は国家=ネーションを動員する

柄谷 いまの世界は、資本(C)が支配的ですが、それは国家(B)、ネーション(A)と強固に結びついています。私はこれらの結合体を、資本=ネーション=国家と呼んでいます。「国民国家(ネーション国家)」に「資本」を接合した用語です。

 マルクスは『資本論』で、資本が自らの存続のために、絶えず「差異」を追求してきたことを指摘しました。利益は、常に差異から生まれるから。

――国や地域による賃金や価格の違いだとか、技術革新による時間的な先取りだとか、そういった「差異」ですね。

柄谷 差異を生み出すのは容易ではないので、資本は絶えず危機に見舞われますが、それで資本主義が滅びることはありません。是が非でも新しい差異を作り、手詰まりになれば、国家=ネーションが動員されます。国家政策を変えたり、ナショナリズムを称揚したり、戦争を起こしたりといった形で。資本=ネーション=国家の体制が続く限り、戦争は起こる。

――柄谷さんの交換様式論は、戦争や恐慌をもたらす資本=ネーション=国家の複合的な体制をいかに乗り越えるか、ということが出発点でした。

柄谷 それは今も同じです。そのためにはまず交換様式を認識することが必要です。社会も個人も、どれほど深く資本=ネーション=国家に浸透されているかを理解するためです。そうでないと、現状を変えようとしても、そのシステムの内をぐるぐる回るだけで終わりかねない。私は、交換様式は、概念というより事実だと思っています。

――国家=ネーション=資本を超える希望として「D」が置かれてきたと思います。Dもまた事実なのでしょうか。

柄谷 Dについては、事実と言ってはいけないと思う。でも、ただの仮説だとも言いたくない。とりあえず、A、B、Cから推論されるものだと言っておきましょう。原始・初期キリスト教や社会主義思想など、Dの実在を感じさせるような運動が、歴史のなかに繰り返し出現してきた。だけどそれは長くは続かない。キリスト教は国家や資本と結託したし、社会主義は国家権力になってしまった。

「Dなんていらない」? 交換様式の「力点」が移った理由

『定本 力と交換様式』(岩波現代文庫)
『定本 力と交換様式』(岩波現代文庫)

――柄谷さんは今年3月、理論的な著作としては最新作にあたる『力と交換様式』(2022年)を大幅に改訂し、「定本」として文庫化しました。多くの部分で記述がより整理されていますが、大きな論点としては、Dについての記述があると思います。より具体的に言えば、これまで「Aの高次元での回復」といった表現にとどまっていたDとAの関係が明確化された。「Dの実現にとって交換様式Aが不可欠」「人がDについて何かを知りうるとすれば、それはAを通してだけである」と書かれました。

柄谷 Aというのは、新しい社会システムとかプログラムではない。最近気づいたことですが、ドゥルーズのいう「逃走」は、Aのイメージに近い。システムの網目をぬって抜け穴をつき、小さな自由を見つけ出していく。それらが共振して広がっていき、思いもかけなかったような展開が生まれる。世界戦争の時代には、国家(B)と資本(C)が最高度に強化されます。そこで正面から国家や資本に抵抗しても、つぶされるだけです。私が交換様式論の力点をDからAに移動させたことには、このような背景がある。Dを掲げて権力に立ち向かうことが有効なときもある。でも、いまはAに焦点を当てるときです。

――柄谷さんは、Aの実践として、協同組合や社会運動を例に挙げてきました。いずれも地道にやっていかないといけないものですね。これだけ事態が逼迫すると、一足飛びにDの到来をなんとか実現できないか、と思ってしまう部分もあります。

柄谷 実は、『力と交換様式』の単行本を脱稿した後、「Dなんて最悪だ。Aが大切だ」と言い始めて、周りを当惑させました。交換様式論にDはもういらない、と思ったこともあるくらいです。

――それは衝撃的ですね。なぜですか?

柄谷 そもそもDは、定義はもちろん表象すらできない。だから、「Dを目指す」などと軽々しく言うべきではないのです。自分がDの代理人だと思うことは、暴力につながる。言いかえれば、人を強制するとか権力を得ようとすることに。

――確かに、理想を掲げていたはずの社会主義国家や宗教が逆に人々を苦しめた歴史もあります。ただ、D抜きの交換様式論は、現状の分析にはなっても、体制を乗り越えることからは遠のくのではないでしょうか。

柄谷 もちろんそうです。ただ、Dは目指すことも呼び寄せることもできない。二年近く前から新約聖書について考えてきたのですが、そのなかでAとDの関係がだいぶん整理されました。3月に出た『力と交換様式』の文庫は、それをふまえて全面的に改稿したものです。

いまこそ「贈与と返礼」

――一方で、今回ポジティブに捉え直されているAですが、例えば、家族や地域共同体では、内の人々は束縛し、外の人間は排除する部分がありますね。国家と結びつくと、ナショナリズムも生み出します。

柄谷 それもその通りなんです。それでもAが重要です。Aというのは互酬(贈与―返礼)ですが、ここには二つの可能性があります。まずはB、Cのもとでそれらの下請けのようになること。もう一つは、Dに向かうこと。Aの中には、人を純粋贈与に駆り立てる要素がある。純粋贈与というと、自己犠牲とか無償の愛とかいうふうに解釈されがちですが、そういう説教くさくて深刻ぶったものではない。Aは、倫理とか宗教的理想とは違う。そういうものはほとんどの場合、ていのいい支配の手段です。純粋贈与への衝動は、向こうからくる力――私はDの力だと考えていますが――に駆り立てられることによって、自然に起こるものなのです。この力はあらゆる人に働きかけているのですが、資本・国家の力があまりにも強いため、それに埋もれて見えなくなっている。

――人が純粋贈与をせまる力に駆り立てられる、というのはどんなことでしょう。

柄谷 科学的に証明できるような事柄ではありませんが、経験的には感じ取れるはずです。簡単な例をあげれば、自分が損をしてまで人を助けようとするのは、案外ありふれた行為で、特別に立派な人がそうするということでもなく、広く見られるものでしょう?

――Aの実践で、国家や資本を乗り越えることは出来るのでしょうか。

柄谷 BやCを完全に斥けるのは、当然不可能です。現在の世界は、それらの力で成立しているからです。だけど、B、Cから比較的自由なモメント(要素)が、実は結構ある。それらを見出して表面化させていくことはできる。そうして意識的にB、Cから距離を置くことで、Aの力が働く余地が生まれます。こういうことは、図式的に言っていると退屈だし実感が湧きにくいです。その意味でも、交換様式を新約聖書と原始キリスト教に即して再考することは有意義だと思っています。

――最後に。デモもAの一種と考えられるのでしょうか。

柄谷 そうですね。いま再び注目されている日本国憲法9条は、Dの促しによってできたものだとも考えられます。個々人の意思を超えて出現したものであることは確かです。一度失われれば、どうあがいてもとりもどすことは不可能に近いでしょう。悔やんでも、もう手遅れです。いま私たちにできるのは、小さな力に見えても、やはりAの実践しかありません。デモもその一つですが、それ以外にも権力(B)や金銭(C)に毒されていないものがあちこちに潜んでいる。それを見つけて育てるのは、楽ではないけれど創造的で楽しいことでもあるんじゃないか、そう思います。

※柄谷さんが生まれてから現在までの歩みを語ったじんぶん堂での連載『私の謎 柄谷行人回想録』が単行本化しました。講談社から発売中です。

2026年6月14日日曜日

ダウン症

 日本人の科学者が、ダウン症の原因となる余分な染色体の除去に成功


https://x.com/turningpointjpn/status/2066012219696173063?s=61


三重大学の橋詰良太郎博士のチームが開発したのは「アレル特異的編集」技術。


ダウン症の原因は「21番染色体が1本多い」こと。


その余分な染色体を、CRISPRで丸ごと削除することに成功。


3本ある染色体のうち、余分な1本だけをピンポイントで狙い撃ちする。健康な2本には触れない。


余分な染色体が消えた細胞は炎症や代謝に関わる過剰な遺伝子が静まり、脳の発達に関わる遺伝子が活性化し、細胞の分裂速度も正常化した。


ダウン症は700人に1人の割合で生まれる。これまでの治療は「症状の管理」だけだった。


原因そのものに手をつけたのは、これが世界で初めて。


“The video was generated using AI(Grok)”

Formation of Brain

 


https://x.com/science_techtv/status/2066243704843649420?s=61


A simplified overview of brain functions



https://x.com/interestingstem/status/2065759580064264693?s=61



2026年6月13日土曜日

多重質問の誤謬 - Wikipedia

多重質問の誤謬 - Wikipedia

多重質問の誤謬

多重質問の誤謬(たじゅうしつもんのごびゅう、: loaded question, complex question fallacy)は誤謬の一つである。「多問の虚偽」[1]や「複問の虚偽」[2]とも。

多重質問(たじゅうしつもん、: complex question, trick question, multiple question, : plurium interrogationum)は、議論に関わる人々が受け入れていない、あるいは証明されていない前提に基づく質問。多重尋問(たじゅうじんもん)とも。それに起因する誤謬を多重質問の誤謬という[3] 。たとえば「あなたはまだ妻を虐待しているのか?」といった質問がある。この質問に対しては「はい」と答えようが「いいえ」と答えようが、「あなた」には妻がいて過去に虐待したことがあるということを認めたことになる。つまりこれらの事実が質問の「前提」とされたため、相手は多重質問の誤謬の罠にかけられ、一つの答えしかできない状況に追い込まれる[3]。質問者は修辞的にこのような質問を行い、特に返答を期待していないことが多い[3]

もう少しわかりにくい例としては、「なぜ人を殺してはいけないのか?」や「なぜ宇宙があるのか?」といった質問が考えられる。前者は「(すべての)人を殺してはいけない」という前提を含んでいるが、死刑存廃問題を考えると、たとえば死刑囚を殺してはいけないかどうかは自明でない問題である。ところが、「なぜ」と問われると人々は質問に自明でない前提が含まれていることに気づかず(質問自体が擬似問題である可能性があるにもかかわらず)、誤りかもしれない前提を正当化する理由を無批判に考えてしまう傾向にある(これは確証バイアスと呼ばれる)。後者の質問は「宇宙が存在する」という前提を含んでいる。この前提はほとんどすべての場合明らかに正しいと考えられるが、哲学的な存在論的虚無主義の立場では否定される。

このような質問が誤謬かどうかは文脈に依存している。質問が単に何らかの前提を含んでいるというだけでは、誤謬とはみなされない。その前提が自明でないものである場合のみ、この質問が誤謬となる[3]

関連する誤謬として論点先取がある[4]。これは、結論が前提として使われている論証形式である[5]

誤解を招く会話形式として、質問に明示的に言及されないことを暗示するというものがある。たとえば「ジョーンズさんには軍人の兄弟がいるんですか?」という質問は、そのような事実を主張しているわけではないが、少なくともそう思われる徴候があることを示唆しており、さもなくばこのような質問がされることもないだろう[6]。このような質問をしている人は嘘の主張をしているわけではないが、暗黙の複合的質問(単純に「はい」や「いいえ」で答えると誤解を生むような質問)を含意している。この質問自体は誤謬ではないが、この質問を聞いた人々が質問の前提を裏付ける証拠があるのだろうと仮定することに誤謬が存在する。ここで挙げた例はどうということはないが、たとえば「ジョーンズさんには監獄に兄弟がいるんですか?」ではどうだろうか。

ダイヤモンドはどこでどうやってできる?できる条件や採掘・加工方法 | 玉光堂

ダイヤモンドはどこでどうやってできる?できる条件や採掘・加工方法 | 玉光堂

ダイヤモンドはどこでどうやってできる?できる条件や採掘・加工方法

ダイヤモンドはどこでどうやってできる?できる条件や採掘・加工方法
宝石の王様と称されるダイヤモンド。その圧倒的な硬さや輝きは、多くの人々を魅了してやみません。しかし、ダイヤモンドが、一体どこでどうやってできるのか、知らない方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。

  • この記事で解説していること
  • ダイヤモンドはどうやってできるのか
  • ダイヤモンドの採掘方法
  • ダイヤモンドの加工方法

この記事を読むことで、ダイヤモンドができてから人々の手元に届くまでの流れを理解することができます。ダイヤモンドがどうやってできるのか興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.ダイヤモンドはどうやってできるのか


婚約指輪やジュエリーで圧倒的人気を誇るダイヤモンドですが、どのようにしてできているのでしょうか。

まずは、ダイヤモンドのでき方やダイヤモンドが生まれる場所などを解説していきます。

1-1.ダイヤモンドは何でできているのか

ダイヤモンドは、実は非常に一般的な元素である「炭素」からできています。詳しくは後述しますが、ダイヤモンドが生成される際、高温・高圧という極限の環境によって、炭素が地球上で最も硬い物質に変わるのです。

さらに、ダイヤモンドは宝石の中でも珍しく、炭素という一つの元素だけでできているという特徴があります。対照的に、ルビーは「酸素」と「アルミニウム」の2つの元素から成り、エメラルドは4つの元素からできています。

ダイヤモンドはその特異な結晶構造と生成環境によって、他の宝石とは一線を画す存在であることがわかります。

1-2.ダイヤモンドが生まれる場所

天然のダイヤモンドが生まれる場所は、私たちが住む地表から、はるか150km以上も深い地球の内部「マントル」です。

マントルは、地球の核を覆う、非常に高温で高圧な層です。ダイヤモンドは、この過酷な環境でなければ、その安定した結晶構造を形成することができません。

私たちが普段目にしている宝石のなかで、これほど地球の奥深くで生まれるものはほかにありません。

1-3.ダイヤモンドができる条件と流れ

ダイヤモンドが誕生するためには、炭素が特定の厳しい条件に置かれ、そして、マグマによって地表近くまで運ばれるという、奇跡的なプロセスを経る必要があります。条件が一つでも欠ければ、ダイヤモンドは生まれません。

ここでは、ダイヤモンドができる条件とその流れについて、2つに分けて解説していきます。

1-3-1.超高温と超高圧で化学反応が繰り返される

ダイヤモンドの生成には、摂氏1,000度を超える「超高温」と、5万気圧を超える「超高圧」という、二つの絶対条件が必要です。

超高温と超圧力による極限状態に置かれた炭素原子は、互いに非常に強く、そして規則正しく結びつき始めます。この強固な結びつきこそが、ダイヤモンドの圧倒的な硬さの秘密です。

この化学反応が、何億年という長い時間をかけて繰り返されることで、ダイヤモンドの結晶は成長していきます。

1-3-2.噴火や隆起などで地表に出現する

ダイヤモンドが形成される場所は地表から150km以上の深さに位置するため、自然に地表に出現することはありません。ダイヤモンドは、噴火や隆起によって地表に現れます。

地球の深層でマントルの一部が溶け、マグマとなって急速に地表に噴き出します。この過程で、ダイヤモンドが地下深くから地表付近に運ばれるのです。

冷えたマグマはキンバーライトという岩石を形成し、その垂直に積み重なった構造は「キンバーライトパイプ」と呼ばれます。ほぼすべての天然ダイヤモンドは、このキンバーライトパイプから産出されます。

ですが、すべてのキンバーライトパイプにダイヤモンドが含まれる訳ではありません。キンバーライトパイプのうち、ダイヤモンドを含むものはわずか15%に過ぎず、採掘可能なものは1%しかないのです。ダイヤモンドがいかに希少な宝石なのかということがよくわかる数値です。

1-4.ごく稀に色のついたカラーダイヤモンドもある

ダイヤモンドは、基本的には無色透明です。ですがその結晶が形成される過程で、ごく稀に、特定の不純物が入り込むことで、色のついた「ファンシーカラーダイヤモンド」が生まれることがあります。

たとえば、窒素原子が混じるとイエローに、ホウ素原子が混じるとブルーになります。また、ピンクダイヤモンドは、不純物ではなく、結晶構造の歪みによって、その美しい色が生まれると考えられています。これらのカラーダイヤモンドは、無色のものよりもはるかに希少価値が高いです。

2.ダイヤモンドの採掘方法

地中深くから運ばれてきたダイヤモンドは、その鉱床が地表近くにあるか、あるいは、すでに川に流れ出しているかなど、その存在形態に応じて主に以下3つの方法で採掘されます。

  • 露天掘り
  • 坑内掘り
  • 漂砂鉱床採掘

それぞれの採掘方法が、どのようにしておこなわれるのかを見ていきましょう。

2-1.露天掘り(オープンピットマイニング)

露天掘りとは、ダイヤモンドの母岩である「キンバーライトパイプ」が地表近くにある場合に、地表から直接巨大なすり鉢状の穴を掘り進めていく採掘方法です。

発破によって岩盤を砕き、巨大な重機でダイヤモンドを含む岩石を大量に運び出します。採掘が進むにつれて、その穴は直径数キロメートルに達することもあります。比較的安全で、効率的に大量採掘ができるため、世界の多くのダイヤモンド鉱山ではまずこの方法が採用されます。

2-2.坑内掘り(アンダーグラウンドマイニング)

坑内掘りは、ダイヤモンドの鉱脈が地下深くにある場合に、地表からトンネル(坑道)を掘り進めて、直接鉱脈から採掘する方法です。

地下に巨大な空間を作り、そこからダイヤモンドを含む岩盤を掘り出して、地上へと運び上げます。露天掘りが深くなりすぎて非効率になった鉱山でも、この方法に切り替えることが可能です。

高度な技術と、安全管理が必要となる、非常にコストのかかる採掘方法です。

2-3.漂砂鉱床採掘

漂砂鉱床採掘とは、キンバーライトパイプが長い年月をかけて浸食され、川の流れによって運ばれてきたダイヤモンドが堆積した川床や海岸からダイヤモンドを探し出す方法です。

自然の力によってある程度選別されたダイヤモンドを、大量の土砂ごとすくい上げます。そして、水を使って洗い流しながら、比重の重いダイヤモンドだけを選り分けるという流れです。

ナミビアなどでは、海岸の砂だけでなく、海底の砂礫を吸い上げる大掛かりな採掘もおこなわれています。

3.ダイヤモンドの加工方法


鉱山から採掘されたダイヤモンドの原石は、さまざまな工程を経て加工され、ジュエリーに利用されています。ここでは、一般的な言葉を使用しながらダイヤモンドの加工方法を4工程に分けて解説します。

  1. 原石の評価
  2. 分割
  3. 成形
  4. 研磨

一連の流れを見ていきましょう。

3-1.原石の評価

ダイヤモンドの加工は、まず原石を隅々までスキャンし、「どのようにカットすれば、最も価値が高くなるか」という、綿密な計画を立てることから始まります。加工プロセス全体で最も重要な、設計図を作る工程です。

石の重さをできるだけ残しつつ、内部の不純物をいかに取り除き最高の輝きを引き出せるか、その最適なバランス点を見極める必要があります。この最初の評価と計画が、そのダイヤモンドの最終的な価値を決定づけるのです。

3-2.分割

次に、計画にもとづいて、大きな原石をより扱いやすい大きさに分割します。

伝統的な手法は、石の結晶の目に沿ってタガネを当てて叩き割る「劈開(へきかい)」ですが、現在では、より正確かつ石への負担も少ない、レーザー光線を使って精密に切断する「ソーイング」が主流です。この工程によって、一つの原石から、複数の宝石を生み出すことも可能になります。

3-3.成形

分割されたダイヤモンドの原石を、ダイヤモンド同士をすり合わせる「ブルーティング」という作業によって、大まかな形へと整えていきます。

たとえば、最も人気の高い「ラウンドブリリアントカット」にする場合は、この工程でまず大まかな円錐形に成形します。これは、最終的な研磨工程の前に、宝石の基本的な輪郭を作り出す、いわば「下書き」のような重要なステップです。

3-4.研磨

最後に、ダイヤモンドの輝きを生み出す、最も重要な工程である「研磨(ポリッシング)」で、数十もの精密な面(ファセット)を磨き上げます。

ダイヤモンドの粉末を塗した高速回転する円盤に、成形されたダイヤモンドを押し当て、計算し尽くされた角度で、一つひとつのファセットを丁寧に作り出します。この面の角度と配置の精度が、ダイヤモンドの輝きを決定づけるのです。

この工程を経て、ダイヤモンドの原石は初めて、まばゆいばかりの光を放つ宝石へと生まれ変わります。

4.近年「人工ダイヤモンド」が作られるようになっている

近年の技術革新により、天然ダイヤモンドと全く同じ成分と結晶構造を持つ、「人工ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)」が、工業的に作られるようになっています。

人工ダイヤモンドは、キュービックジルコニアなどの模造石とは異なり、科学的には本物のダイヤモンドです。研究所内で、天然ダイヤモンドが生まれる地球深部の環境を再現し、数週間で結晶を成長させます。

天然ダイヤモンドの「奇跡の産物」としての価値とは異なりますが、環境への影響や劣悪な労働環境倫理的な問題が少なく、そのうえ手頃な価格で入手できる新しい選択肢として注目されています。

5.まとめ

この記事では、ダイヤモンドが地球深部のマントルで生まれ、採掘、そして加工を経て、私たちの手元に届くまでの流れを解説しました。

一粒の天然ダイヤモンドは、何十億年という時間と、奇跡的な地球の活動が生み出した、まさに「地球の結晶」です。このダイヤモンドという物質の成り立ちを知ることで、その一粒が持つ、本当の価値と重みをより深く感じられるようになるのではないでしょうか。

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さらば虫歯よ。「歯のエナメル質が生えてくる」ジェル誕生 | ギズモード・ジャパン

さらば虫歯よ。「歯のエナメル質が生えてくる」ジェル誕生 | ギズモード・ジャパン

さらば虫歯よ。「歯のエナメル質が生えてくる」ジェル誕生

20251120TeethEnamelRegrow
たったの2週間で歯のエナメル質がシュッと回復University of Nottingham

2025年12月4日の記事を編集して再掲載しています。

もう虫歯削って詰め物しなくていい。

わたしたち人間の歯は、表面のエナメル質と内側の象牙質でできています。どちらも損傷すると再生はほぼ無理なので(象牙質はちょこっとだけできる)、いままでは虫歯で歯が溶けたら、それらのダメージは金属やプラスチックといった詰め物で埋めるしかありませんでした。

しかし、近い将来、歯医者さんでジェル塗るだけで、象牙質の上にエナメルの膜が再生されて虫歯が塞がる。そんな画期的なたんぱく質ベースのジェルが生まれるかもしれません。

開発したのは英ノッティンガム大学研究班で、視覚過敏や虫歯の予防と治療に役立つことが期待されています。

ジェルを歯のエナメル質の損傷部や象牙質の露出部に塗り付けて唾液に浸す実験では、こんな風に唾液のカルシウムやリン酸が引き寄せられて整然と並んで結晶化し、自然なエナメル質そっくりに化けたんだそう。

研究を率いるAlvaro Mata教授は次のように語り、市販化に意欲満々です。

現場の医療従事者と患者を念頭に編み出された技術だけに喜びもひとしおです。

(新開発のジェルは)安全で、簡単にすばやく塗布でき、大量生産も可能。また、幅広く応用が効くため、エナメル質の喪失や象牙質露出に関連する歯の悩みを抱えるあらゆる年齢層向けの様々なタイプの製品につぶしが効く可能性もあります。

開発にあたってはスタートアップのMintech-Bioと共同で進めており、 最初の製品リリースは来年を予定しています。そう遠くない将来、世界中の患者さんをお助けするイノベーションになるかもしれません。

これだけ読むと狂喜乱舞ですが、米Redditに寄せられたコメントは意外とクール。

「同じような話、過去にも聞いたな…」、「数年に1回は読まされてる気がする」、「歯を溶かす酸が出ない口中バクテリアを遺伝子操作で実現する話もどっかいっちゃったしね」、「そんなものが世に出たら歯医者廃業だからたぶん出ないんだろうなあ」といった半信半疑の声が目立ちます。

もちろん2万3000件も「いいね」票がついてるので期待感はすごくあるんですね。単に、ぬか喜びになることを恐れているんじゃないかと。

私も歯は弱いほうなのでエナメルが再生するなら人生変わるくらいうれしい…。期待し過ぎないようにしながら、ゆるく見守っていきたいですね。

Sources: Nature Communication via SciTechDaily

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連続体仮説 - Wikipedia