https://freeassociations2020.blogspot.com/2026/06/blog-post_168.html @
https://www.blogger.com/blog/post/edit/102781832752441205/4720513780053215928 黒澤明はチャンドラーよりマクドナルドの方が好きらしい
自分は『ウィチャリー家の女』が好きだ
トリックが陳腐だという人もいるが、この人違い(ネタバレごめん)
は人間(男)に本質的な人違いだから気にならないし逆に凄い
5つ星のうち5.0ミステリーの最高傑作
2004年11月15日
この作品は、ドストエフスキーの愛好者などにこそ勧めたい作品だ。
現代アメリカ(ロサンゼルス)の孤独感をこれほど適確に表現している作品を他に知らない。
資本主義の分析、心理学の分析の両者を横断しているという点で、現代文学の傑作とさえ呼び
たいし、この作品でマクドナルドが描く人間関係は先に述べたドストエフスキーやギリシャ
悲劇のそれと比肩しうる域に達している。私立探偵(比喩的に述べれば映画作家のゴダール
もそのひとりだ)が主人公であることが現代の闇を描く上で一種の必然であるということも
この作品が証明している。
同じ作者の『さむけ』や、少し意匠が似ている『幻の女』などよりもあらゆる面で優れている
と思う。
この作品を前に、純文学(あまりいい言葉ではない)、ミステリーといった分類は無意味だ。
8:32 午前
yoji said...
ウィチャリー家
#2-41頁
love (愛)のeの字が、行からすこしズレていた。ひょっとすると、それが手がかりなのかもしれない。
思い返す度に震える一行…
12:49 午前
yoji said...
Never argue with a witness.
I got up and turned the chair back toward the typewriter. It held a half-filled sheet of typescript, headed “The Psychic Origins of Juvenile Delinquency,” by Dorothea S. Lang, and ending in a half-finished sentence: “Many authorities say that socio-economic factors are predominate in the origins of anti-social behavior, but others are of the opinion that lack of love” …
The e’s were out of alignment. Maybe it was a clue.
3:40 午前
yoji said...
Never argue with a witness.
I got up and turned the chair back toward the typewriter. It held a half-filled sheet of typescript,
headed “The Psychic Origins of Juvenile Delinquency,” by Dorothea S. Lang, and ending in a
half-finished sentence: “Many authorities say that socio-economic factors are predominate in the
origins of anti-social behavior, but others are of the opinion that lack of love” …
The e’s were out of alignment. Maybe it was a clue.
3:41 午前
yoji said...
I got up and turned the chair back toward the typewriter. It held a half-filled sheet of typescript,
headed “The Psychic Origins of Juvenile Delinquency,” by Dorothea S. Lang, and ending in a
half-finished sentence: “Many authorities say that socio-economic factors are predominate in the
origins of anti-social behavior, but others are of the opinion that lack of lov ” …
e
The e’s were out of alignment. Maybe it was a clue.
3:44 午前
yoji said...
“…others are of the opinion that lack of lov ” …
e
The e’s were out of alignment. Maybe it was a clue.
3:46 午前
yoji said...
“… opinion that lack of lov ” …
e
The e’s were out of alignment. Maybe it was a clue.
3:47 午前
yoji said...
“… opinion that lack of lov ” …
____________e____
The e’s were out of alignment. Maybe it was a clue.
3:51 午前
yoji said...
Never argue with a witness.
I got up and turned the chair back toward the typewriter. It held a half-filled sheet of typescript,
headed “The Psychic Origins of Juvenile Delinquency,” by Dorothea S. Lang, and ending in a
half-finished sentence: “Many authorities say that socio-economic factors are predominate in the
origins of anti-social behavior, but others are of the opinion that lack of love” …
The e’s were out of alignment. Maybe it was a clue.
ウィチャリー家
#2-41頁
love (愛)のeの字が、行からすこしズレていた。ひょっとすると、それが手がかりなのかもしれない。
思い返す度に震える一行…
3:52 午前
yoji said...
684 衛星放送名無しさん[sage] 2019/03/16(土) 17:47:00.72 ID:bnzWk/FX0
コロンボ三大逆転名作
・二枚のドガの絵
・R2-D2の壁
・さらば提督
1:49 午前
yoji said...
ギリシャ語通訳
思い出新潮社より
「ワトスン君 、僕は謙遜を美徳の一つに数える人には同意できないね 。論理家は 、すべての物事をあるがままに見なければならない 。自分の価値を法外にひくく見積るのは 、自分の力を誇張するのとおなじに 、はなはだ事実に即さない 。だから僕がマイクロフトは僕よりも優れた観察力をもっているといったら 、まったくのところそれが正真正銘の事実だと思ってくれていい 」
アローが経済学を変えた七人で引用
7:31 午後
yoji said...
“Always money. Haven’t you learned it isn’t that important?”
“You can say that because you’ve had it.”
Ross Macdonamd
“The Wycherly Woman”#27
「またお金ね。お金にそれほど意味なんかありゃしないってこと、まだわからないの?」
「きみには金があるから、そう言える」
ロス・マクドナルド『ウィチャリー家の女』#27
389頁
(quated from novel,not film.)
3:08 午前
yoji said...
“Always money. Haven’t you learned it isn’t that important?”
“You can say that because you’ve had it.”
Ross Macdonald
The Wycherly Woman#27
「またお金ね。お金にそれほど意味なんかありゃしないってこと、まだわからないの?
「きみには金があるから、そう言える
from novel,not film
3:18 午前
yoji said...
ウィチャリー#25
her unconscious urges, as well as the fact of her pregnancy.” “You’re going too fast for me.” “Deliberately putting on weight, as Phoebe has been doing, can be an expression of anxiety and self-hatred. The self feels itself as heavy and gross and tries to invest itself with a gross, heavy, body. I’m simplifying, of course, but the general idea is recognized in the literature—in Binswanger’s classic case-history of Ellen West, for example. Lindner’s more popularized study of bulimia in The Fifty-Minute Hour is an even closer parallel, since Ellen West was psychotic, and Phoebe almost certainly is not.”
8:43 午後
yoji said...
The Fifty-Minute Hour (English Edition) Kindle版
Robert Lindner (著), Jonathan Lear (序論) 形式: Kindle版
5つ星のうち4.1 32個の評価
8:44 午後
yoji said...
ameqlist 翻訳作品集成(Japanese Translation List)
ロバート・リンドナー
Robert Lindner
1914-
Authors List
Collection
『心の秘密 -精神分析医の記録』
translator:川口正吉(Kawaguchi Shōkichi) Publisher:弘文堂(Kobundo)/フロンティア・ブックス(Frontier Books)
1963
『宇宙を駆ける男 -精神分析医のドキュメント』 The Fifty-Minute Hour
translator:川口正吉(Kawaguchi Shōkichi) Publisher:金沢文庫
cover:S・堀内 commentary:川口正吉(Kawaguchi Shōkichi) 1974/ 6
「宇宙を駆ける男」 The Jet-Propelled Couch
translator:川口正吉(Kawaguchi Shōkichi) 新人物往来社(Shinjinbutsu OhraiSha) editor:荒俣宏(Aramata Hiroshi)/他 『怪奇幻想の文学7 幻影の領域』 Tales of Horror and the Supernatural: Madness and Deseases
8:46 午後
yoji said...
宇宙を駆ける男―精神分析医のドキュメント (1974年) - – 古書, 1974/1/1
ロバート・リンドナー (著), 川口 正吉 (翻訳)
8:47 午後
yoji said...
心の秘密―精神分析医の記録 (1963年) (フロンティア・ブックス) - – 古書, 1963/1/1
ロバート・リンドナー (著), 川口 正吉 (翻訳)
Lindner’s more popularized study of bulimia in The Fifty-Minute Hour i
8:56 午後
yoji said...
ハードボイルド・スクール|ロス・マクドナルド邦訳リスト
ロス・マクドナルド【Ross Macdonald 1915-1983】
本名ケネス・ミラー、カリフォルニア生まれ。夫人であるマーガレット・ミラーの影響で作家を志したといわれる。作風は華やかさには欠けるものの、それまでのハードボイルド小説とは一線を画す複雑なプロットを前面に押し出して独自の路線を確立した。事件の背景にある社会問題や家庭の悲劇などをテーマとして深く掘り下げる一方、探偵をあくまで傍観者と定義しているのも特徴で、「インタビュー小説」と揶揄されることも。
リストの枠の色は■青■は短・中篇小説を、 ■赤■はリュー・アーチャーを主人公とした長篇 小説を、■緑■はそれ以外の長篇小説を表し ています。尚、邦訳の確認されていないものやエッセイなど小説形式でないものは掲 載しておりません。また、グレーで表記されている ものは現在絶版 となっていると思われる刊行物です。
[和書] ロス・マクドナルド [洋書] Ross Macdonald
1944(昭和19年)初の長篇小説を発表。当時29歳、予備役海軍少尉
The Dark Tunnel
暗いトンネル 菊池光訳/創元推理文庫
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1945(昭和20年) 日本がポツダム宣言受諾。二次大戦終わる
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1946(昭和21年) 「女を探せ」が第一回EQMM誌短編コンテストに入賞
Find the Woman
女を探せ 小鷹信光訳/創元推理文庫『ミッドナイト・ブ ルー』
女を探せ 中田耕治訳/早川ポケミス『わが名はアーチャー』
Trouble Follows Me
トラブルはわが影法師 小笠原豊樹訳/ハヤカワ文庫
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1947(昭和22年)
The Blue City
青いジャングル 田中小実昌訳/創元推理文庫
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1948(昭和23年)
The Bearded Lady
ひげのある女 中田耕治訳/早川ポケミス『わが名はアーチャー』
The Three Roads
三つの道 井上勇訳/創元推理文庫
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1949(昭和24年)中華人民共和国成立
The Moving Target
動く標的 井上一夫訳/創元推理文庫
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1950(昭和25年)朝鮮戦争勃発
The Drowning Pool
魔のプール 井上一夫訳/創元推理文庫
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1951(昭和26年)
The Way Some People Die
人の死に行く道 中田耕治訳/ハヤカワ文庫
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1952(昭和27年)
The Ivory Grin
象牙色の嘲笑 高橋豊訳/ハヤカワ文庫
象牙色の嘲笑 小鷹信光・松下祥子訳/ハヤカワ文庫
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1953(昭和28年) 日本でテレビ放送が開始される
The Imaginary Blonde
逃げた女 中田耕治訳/早川ポケミス『わが名はアーチャー』
The Guilty Ones
不吉な女 中田耕治訳/早川ポケミス『わが名はアーチャー』
The Suicide
自殺した女 中田耕治訳/早川ポケミス『わが名はアーチャー』
Meet Meat the Morgue
死体置場で会おう 中田耕治訳/早川ポケミス
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1954(昭和29年)
Guilt-Edged Blonde
追いつめられたブロンド 小鷹信光訳/創元推理文庫『ミッドナイト・ブルー』
罪に悩む女 中田耕治訳/早川ポケミス『わが名はアーチャー』
Wild Goose Chase
雲をつかむような女 中田耕治訳/早川ポケミス『わが名はアーチャー』
Find a Victim
犠牲者は誰だ 中田耕治訳/早川ポケミス
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1955(昭和30年)
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1956(昭和31年)
The Barbarous Coast
凶悪の浜 鷲村達也訳/創元推理文庫
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1957(昭和32年)
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1958(昭和33年)
Bring the Kuler to Justice
運命の裁き 小鷹信光訳/創元推理文庫『ミッドナイト・ブルー』
The Doomsters
運命 中田耕治訳/早川ポケミス
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1959(昭和34年) レイモンド・チャンドラー逝去、享年70歳
The Galton Case
ギャルトン事件 中田耕治訳/早川ポケミス
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1960(昭和35年)
Midnight Blue
ミッドナイト・ブルー 小鷹信光訳/創元推理文庫『ミッドナイト・ブルー』
The Ferguson Affair
ファーガスン事件 小笠原豊樹訳/ハヤカワ文庫
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1961(昭和36年) ダシール・ハメット死去。享年66歳
The Wycherly Woman
ウィチャリー家の女 小笠原豊樹訳/ハヤカワ文庫
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1962(昭和37年)キューバ危機
The Zebra-Striped Hearse
縞模様の霊柩車 小笠原豊樹訳/ハヤカワ文庫
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1963(昭和38年)
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1964(昭和39年) 東京オリンピック。「さむけ」がCWAシルヴァー・ダガー賞を受賞
The Chil
さむけ 小笠原豊樹訳/ハヤカワ文庫
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1965(昭和40年) MWA(アメリカ探偵作家協会)会長に就任
The Sleeping Dog
眠る犬 小鷹信光訳/創元推理文庫『ミッドナイト・ブルー』
The Far Side of the Dollar
ドルの向こう側 菊池光訳/ハヤカワ文庫
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1966(昭和41年) 「動く標的」がポール・ニューマン主演で公開される。探偵の名はルー・ハーパー
Black Money
ブラック・マネー 宇野輝雄訳/ハヤカワ文庫
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1967(昭和42年) ベトナム戦争が泥沼の一途
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1968(昭和43年)
The Instant Enemy
一瞬の敵 小鷹信光訳/ハヤカワ文庫
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1969(昭和44年)アポロ11号で人類月面に到達
The Goodbye Look
別れの顔 菊池光訳/ハヤカワ文庫
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1970(昭和45年)
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1971(昭和46年)
The Underground Man
地中の男 菊池光訳/ハヤカワ文庫
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1972(昭和47年) 沖縄返還
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1973(昭和48年) オイル・ショック
The Sleeping Beauty
眠れる美女 菊池光訳/ハヤカワ文庫
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1974(昭和49年) MWAグランド・マスター賞を送られる
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1975(昭和50年)
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1976(昭和51年) 最終作発表。アルツハイマー病と闘いながらこの7年後に他界
The Blue Hammer
ブルー・ハンマー 高橋豊訳/ハヤカワ文庫
9:30 午後
yoji said...
暗いトンネル 菊池光
ドルの向こう側 菊池光
別れの顔 菊池光
地中の男 菊池光
眠れる美女 菊池光
9:57 午後
yoji said...
https://odamitsuo.hatenablog.com/entry/20100816/1281884475
19 ロス・マクドナルドにおけるアメリカ社会と家族の物語
2010-08-16
ゾラからハードボイルドへ
ここでようやく「ハメット・チャンドラー・マクドナルド・スクール」と称された三人目のロス・マクドナルドを登場させることができる。この命名はミステリー評論家アンソニー・バーチャーによるもので、アメリカの正統的ハードボイルドの系譜を表象している。
この系譜に示されているように、マクドナルドも確実にハメットやチャンドラーの影響下に出発してきている。だがマクドナルドは先行する二人よりもはるかに長き年月にわたって多くの作品を書き続け、それは長編二十四作に及んでいる。ハメットが五作、チャンドラーが七作だったことに比べれば、その数はマクドナルドの作品の多層性、及び作家として時代と社会を凝視する持続性を物語るものである。またこれらの長編は一九四四年から七六年にかけて、すべてが書き下ろしであり、ハメットやチャンドラーが『ブラック・マスク』でデビューしたことと異なっている。だが版元は共通していて、同じくアルフレッド・A・クノップ出版社である。
これらの作品群を、マクドナルドは一貫して第二次大戦後のアメリカの社会と家族の悲劇に焦点を当て、様々に描いてきたといえるだろう。その執拗なまでの一貫性は、第一次大戦後のアメリカ社会や上流階級の腐敗をクローズアップさせたハメットやチャンドラーとも陰影を異にしている。それはひとえにマクドナルドの個人史の投影と見なすことができよう。
マクドナルドは小説以外の二十一編のエッセイ、論文、インタビューを収録したSelf‐Portrait (Capra Press,1981)に、Ceaselessly Into The Past というサブタイトルを付している。これはエピグラフに掲げられたSo we beat on , boats against the current , borne back ceaselessly into the past から取られたもので、フィツジェラルドの『グレート・ギャツビー』 (野崎孝訳、新潮文庫)のクロージングの一節「こうしてぼくたちは、絶えず過去へ過去へと運びさられながらも、流れにさからう舟のように、力のかぎり漕ぎ進んでいく」にあたっている。この言葉に凝縮され、象徴されているように、マクドナルドの作品群は「絶えず過去へ過去へと運びさられながら」書き続けられてきたのだ。
その「過去」とはマクドナルドの幼年期から少年時代における父の失踪による不在、母の姉妹たちの生活とされていたが、一九九九年に Tom Nolan, Ross Macdonald : A Biography (Poisoned Pen Press)が出され、五九年における一人娘のリンダの失踪とその探索が、これもまた他ならぬ「過去」であったことが明らかになった。この娘の失踪をめぐって、マクドナルドは自らが創造した私立探偵リュウ・アーチャーの役目を果たさざるをえなかったのだ。
Ross Macdonald : A Biography
したがって、一九四九年の『動く標的』 から始まった私立探偵リュウ・アーチャーを主人公とするハードボイルド小説は、『運命』 に至ってロス・マクドナルドのふたつの「過去」を揺曳しながら、書き継がれていったことになる。
前出のノーランのマクドナルドの評伝は、知らなかった様々なこれらの事実が書きこまれているし、彼の読書や研究についても記されているが、残念ながらゾラに関する言及はない。しかし「リュウ・アーチャーシリーズ」と「ルーゴン=マッカール叢書」は多くの共通点が見出されるし、またこれも奇妙な偶然だが、『動く標的』以後のマクドナルドの長編は二十作であり、これは「叢書」の数とまったく一致している。その二十作を挙げてみよう。
1 『動く標的』 (井上一夫訳、1949)
2 『魔のプール』 (井上一夫訳、1950)
3 『人の死に行く道』 (中田耕治訳、1951)
4 『象牙色の嘲笑』 (高橋豊訳、1952)
5 『死体置場で会おう』 (中田耕治訳、1953)
6 『犠牲者は誰だ』 (中田耕治訳、1954)
7 『凶悪の浜』 (鷺村達也訳、1956)
8 『運命』 (中田耕治訳、1958)
9 『ギャルトン事件』 (中田耕治訳、1959)
10 『ファーガソン事件』 (小笠原豊樹、1959)
11 『ウィチャリー家の女』 (小笠原豊樹訳、1960)
12 『縞模様の霊柩車』 (小笠原豊樹訳、1962)
13 『さむけ』 (小笠原豊樹訳、1964)
14 『ドルの向こう側』 (菊池光訳、1965)
15 『ブラック・マネー』 (宇野輝雄訳、1966)
16 『一瞬の敵』 (小鷹信光訳、1968)
17 『別れの顔』 (菊池光訳、1969)
18 『地中の男』 (菊池光訳、1971)
19 『眠れる美女』 (菊池光訳、1973)
20 『ブルー・ハンマー』 (高橋豊訳、1976)
なお5と10は「リュウ・アーチャーシリーズ」ではなく、それぞれ地方監察官と弁護士を主人公とした単発の作品で、あえて「父」ならぬリュウ・アーチャーを不在にするマクドナルドの模索を示しているのだろう。また1、2、7は創元推理文庫、その他はハヤカワポケットミステリ、及びハヤカワ文庫に収録され、年度は原書出版時である。
ここからはまたしても仮説となってしまうけれども、ともに二十作という類似に加えて、マクドナルドとゾラには「父」の不在という共通点もある。そしてゾラの「叢書」が十九世紀後半に書かれているとすれば、「リュウ・アーチャーシリーズ」は二十世紀後半に描かれたアメリカ版「ルーゴン=マッカール叢書」と見なすこともできる。前者は「近代」を描き、後者が「現代」を表象する物語構造において、両者は多くの重なる部分を有している。「リュウ・アーチャーシリーズ」における「叢書」との相似を挙げてみる。
1. 第二次大戦をくぐり抜けてきた戦後文学であること。
2. D・ハルバースタムが『ザ・フィフティーズ』 (金子宣子訳、新潮社)で描いたアメリカの新しいインフラに充ちた社会、すなわち「現代」=郊外消費社会を背景としていること。
3. その戦後と新社会を生きるアメリカの家族の物語であること。
4. ゾラが「近代」を描くためにクロード・ベルナールの『実験医学序説』 (三浦岱栄訳、岩波文庫)やリュカの遺伝子学を援用しているが、マクドナルドは「現代」と家族の物語を解明するために、フロイトから始まる精神分析を応用していること。
5. 私立探偵リュウ・アーチャーを主人公とする作品群も、人物再現法と見なしうること。
6. カリフォルニア州のロサンゼルス周辺を物語の舞台としている。つまりアメリカ西部の「南」ということになり、「南米」へともつながるトポスであること。
7. 物語の下敷きにギリシャ神話などを援用すること。
ザ・フィフティーズ
プルーストの愛読者
10:16 午後
yoji said...
戦後文学、新しい社会の出現、家族の物語、医学思想の応用、人物再現法、「南」を示すトポス、神話の援用など、これらはゾラの「ルーゴン=マッカール叢書」にも共通しているファクターだ。
トム・ノーランの同書にはマクドナルドがプルーストの愛読者だったことは記されているが、ゾラの名前は挙がっていない。しかし少年時代から読書家であり、コールリッジの研究で、ミシガン大学のPh.D.を取得していることから考えても、マクドナルドがゾラを読んでいなかったとは思えない。ましてアーチャーを主人公とする十八作が同時代のアメリカ社会と家族を描くことを意図していたのだから、先行する模範としての「ルーゴン=マッカール叢書」を読んでいたと見なすほうが妥当であろう。
マクドナルドのSelf‐Portrait にthe writer as Detective hero という一文が収録され、これは「探偵する主人公としての作家」とも訳せようが、フランスの第二帝政期を描いたゾラの作家としての立場もまた「探偵する主人公」のようであったことも付け加えておこう。だから両者は同じ視座に位置している。
10:17 午後
yoji said...
ロス・マクドナルド(Ross Macdonald)
https://love-and-theft-2014.blogspot.com/2020/09/hayakawas-mystery-magazine1973-1-no.html2:52 午前
yoji said...
ロス・マクドナルド(Ross Macdonald)
https://love-and-theft-2014.blogspot.com/2020/09/hayakawas-mystery-magazine1973-1-no.html2:53 午前
yoji said...
コロンボ
635 奥さまは名無しさん[sage] 2021/01/29(金) 14:52:10.06 ID:95GbAvkO
テクノロジーの進歩でアリバイの作劇が困難になって行く過渡期
新シリーズの難しさはその辺にある
秒読みの…はうまくやっているがシナリオライターに同情してしまう
9:53 午後コメントを投稿<< HomePREVIOUS POSTS
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