「パンダはチベットの動物」チベット亡命政府首相「『パンダ外交』でなくチベット外交だ」
チベット亡命政府のペンパ・ツェリン首相は4日、国会内で記者会見し、中国政府が希少動物のパンダを他国に貸与することで友好関係を演出する手法に疑問を呈した。「『パンダ外交』と呼ばれるものは『チベット外交』という呼び方ではないか。パンダはチベットの東の地域の動物だからだ」と指摘した。
その上で「かつてほどパンダ外交の重要性はないのではないか。早い時期には一定の影響はあった。ただ、米国にも贈っているが、米中関係は改善されていない」と語った。ツェリン氏はチベット問題を話し合う国際会議に合わせて来日した。
パンダが生息する四川省の西部はかつてチベットの領域だった。1911年の辛亥革命以降、中華民国は独立国だったチベットを侵略、多くの中国人が入植してパンダが乱獲された経緯がある。
チベット蹂躙を既成事実化
一方、中国は72年にニクソン米大統領が訪中した際、パンダ贈呈で米国内の対中観を和らげるなど愛らしさで人気の高いパンダを外交に活用してきた。日本では今年4月、和歌山県で飼育される4頭のパンダの中国返還が決まって以降、自民党の森山裕幹事長や政界を引退した河野洋平元衆院議長らが訪中の際、中国共産党幹部にパンダ貸与を訴える。
ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のアリヤ代表は産経新聞の取材に、「日本が中国と良い関係を持つことは良いことだ。良好で友好的な関係があってこそ、平和と発展がある」と述べた上で、「パンダがチベット出身であるという事実を忘れてはならない。(パンダを貸与する際)中国はチベットの名前を出さない。チベットの土地をすべて中国のものにしようとする政策の一端がパンダ外交だ。チベット人蹂躙(じゅうりん)を既成事実化している」と語った。(奥原慎平)
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