オールザキングスメン 1949
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ナオミ・クラインによると、ルイジアナ州元知事 ヒューイ・ロングをモデルとしている。
●演説会場
ナオミクライン#12
But attributing the abandonment of Russia to a bout of collective laziness in Washington offers little by way of explanation. Perhaps a better way to understand the episode is through the lens favored by free-market economists: competition in the market. When the Cold War was in full swing and the Soviet Union was intact, the people of the world could choose (at least theoretically) which ideology they wanted to consume; there were the two poles, and there was much in between. That meant capitalism had to win customers; it needed to offer incentives; it needed a good product. Keynesianism was always an expression of that need for capitalism to compete. President Roosevelt brought in the New Deal not only to address the desperation of the Great Depression but to undercut a powerful movement of U.S. citizens who, having been dealt a savage blow by the unregulated free market, were demanding a different economic model. Some wanted a radically different one: in the 1932 presidential elections, one million Americans voted for Socialist or Communist candidates. Growing numbers of Americans were also paying close attention to Huey Long, the populist senator from Louisiana who believed that all Americans should receive a guaranteed annual income of $2,500. Explaining why he had added more social welfare benefits to the New Deal in 1935, FDR said he wanted to “steal Long’s thunder.”6
6. “Roosevelt Victor by 7,054,520 Votes,” New York Times, December 25, 1932; Raymond Moley, After Seven Years (New York: Harper & Brothers, 1939), 305.
サックスだったが、けっきょくは誰も肩をすくめるだけだった。本格的な調査も行なわれなければ、重
大な決定に関する論議も行なわれないことに、サックスはあきれ果てたという。「私に言わせれば、努
力するという姿勢に欠けていた。この論議にせめて二日間は費やそう、ということすらなかった。「さ
あ本腰を入れてなんとか問題を解決しよう、 何が起きているかをしっかり把握しよう」 といった真剣な
取り組みはまったく見られなかったんです」
「真剣な取り組み」について熱をこめて語る際、サックスの脳裏にはニューディール政策や「偉大な
る社会」 [六〇年代にジョンソン政権が掲げた政策〕、マーシャル・プランといった時代が甦っていた。あの
頃はアイビーリーグを卒業したての若者が政策作りの現場に加わり、うずたかく積まれた書類や空にな
ったコーヒーカップを前に、腕まくりをしながら金利や小麦価格についての熱い議論を交わしたもので
ある。ケインズ主義華やかなりしあの当時の政策立案者は、そのようにして問題解決に真摯に向き合っ
た。危機に瀕したロシアにもまたそうした〝真剣さ〟が必要だった。
しかし、ロシアを見捨てた理由をワシントンの怠惰のせいだと言うだけでは、説明としてはまったく
不十分だ。事情を理解するには、おそらく自由市場主義のエコノミストの視点、つまり市場競争という
レンズを通して見ることが必要だろう。ソ連がまだ健在だった冷戦たけなわの時代、世界の人々は資本
主義か共産主義かどちらのイデオロギーを取るか-少なくとも論理上は-選択することができた。
対極に位置する二者の間にはさまざまな立場があった。したがって資本主義のほうはなんとしても消費
者を惹きつけ、人々の刺激を駆り立て、魅力的な製品を送り出す必要があった。ケインズ主義は常に、
資本主義が共産主義との競争に勝つ必要性と結びついていた。ローズヴェルト大統領がニューディール
政策を導入したのは、大恐慌に対処するためだけではない。自由市場の暴走に振り回されてどん底に落
とされたアメリカ市民は、これまでとは異なる経済モデルを求めていた。ケインズ主義に基づくニュー
ディール政策は、市民から沸き起こるそうした激しい運動をなだめる意味もあったのだ。 一部の国民は
極端に異なる経済モデルを求めていた。一九三二年の大統領選挙の際には、一〇〇万人の市民が社会主
義もしくは共産主義の候補者に票を投じた。また、ルイジアナ州選出上院議員のヒューイ・ロングに対
する注目も高まっていた。ポピュリストのロングは、すべてのアメリカ市民が二五〇〇ドルの年収を保
証されるべきだと主張した 〔ロングは「誰もが王様」というスローガンを掲げて富の再分配を提唱した人物で、
その生涯は『オール・ザ・キングスメン」というタイトルで映画化もされた。一九三五年にニューディール政
策にさらなる社会保障項目を加えたのも、ロングの影響があったからこそだった。ローズヴェルトは
「ロングのアイディアを借用」したと自ら述べている。(6)
アメリカの産業界がニューディール政策をしぶしぶ受け入れた理由も、こうした社会動向から読み取
る必要がある。その背景にあったのは、公共事業の雇用促進によって市場の暴走を抑制し、誰一人飢え
ることのない社会を目指す必要がある、そうでないと資本主義そのものの未来が危ういという危機
感だった。冷戦時代には、どの自由主義諸国でもそうした危うさを認識していた。事実、二〇世紀半ば
の資本主義(サックスが言うところの「通常の」資本主義)は、北米で労働者の権利擁護、年金制度、公的医
療制度、貧困層への公的援助などを誕生させたが、これらはいずれも強大化する左翼勢力を前にして、
大幅な譲歩をするという実質的必要性から生まれたものなのだ。
マーシャル・プランはこうした経済の最前線に投入された最終兵器だった。第二次大戦後、危機に瀕
したドイツ経済は、西欧経済全体に悪影響を及ぼす恐れがあった。 一方、少なからぬドイツ人が社会主
義に傾いたことで、アメリカ政府はドイツが崩壊するかあるいは左翼に渡るかして丸ごと失ってしまう
第12章 資本主義への猛進
映画『オール・ザ・キングスメン(All The King’s Men)』
先日2008年・第80回アカデミー賞が発表されました。受賞作品の上映を楽しみにされている方、作品賞は毎年欠かさずに観ているという方、多くいらっしゃるのではないでしょうか。今日はアカデミー賞にちなんで、「オール・ザ・キングスメン」をご紹介します。
皆さんがタイトルをご存じだとするとそれは、ショーン・ペン、ジュード・ロウ、アンソニー・ホプキンスというアカデミー賞俳優陣による2007年上映作品ではないでしょうか。
それでは、この映画が
- 実話に基づく物語で、原作はピューリッツァー賞に輝いていること。
- 1949年にも映画化されており、その作品はアカデミー賞 作品賞・主演男優賞・助演女優賞を受賞していること。しかし当時、衝撃的な内容ゆえに日本では上映が許可されなかったこと。
皆さんはご存じでしょうか。
ロバート・ペン・ウォーレン著の 「オール・ザ・キングスメン(邦題:すべて王の臣)」は、1946年に発表され、翌1947年、ピューリッツァー賞小説部門(※)を受賞しました。
実在する政治家、ルイジアナ州元知事 ヒューイ・ロングをモデルとした、主人公ウィリー・スタークの人生が、ジャーナリストでウィリーの参謀であった、ジャック・バーデンの視点で描かれた物語です。
ロングは、貧しい一訪問販売員から高い志を掲げて身を起こし、1928年にルイジアナ州知事となり、その後、上院議員やルーズベルト大統領の支援者として活躍、さらには自ら大統領となる計画までした政治家です。世界恐慌下に苦しむ貧しい人々のために、タイトルのモチーフともなったキャンペーン「Every Man a King(誰もが王)」を掲げ、所得再分配制度を実現し、大衆から厚く支持されました。しかし半面、富裕層や大企業の敵も多く、汚職やスキャンダルで批判され、強いリーダーシップは“独裁者”と呼ばれることもありました。そして1935年、志半ばにして、州議会議事堂で知人に射殺され最期を遂げます。
小説「オール・ザ・キングスメン」は、ロバート・ロッセン製作・監督・脚本で映画化され、1949年の第22回アカデミー賞で、3部門(作品賞、ウィリー役のブロデリック・クロフォードが主演男優賞、ウィリーの秘書役を演じたマーセデス・マッケンブリッジが助演女優賞)を受賞しました。
腐敗した政治を暴露する内容で、しかも実話に基づくこの作品は、当時、小説・映画ともに、大変衝撃であったことは間違いありません。その内容ゆえに、戦後占領軍の指揮下にあった当時の日本では、上映が許可されなかったといいます。上映が実現したのは実に27年後といいますから、アカデミー賞受賞作が制作国とほぼ同時に観られる今からは驚く時間です。
約50年を経て、小説は再度映画化されました。物語は、ショーン・ペン演じるウィリー・スタークが、州知事に立候補し、当選して活躍した後、汚職で弾劾決議にかけられるまでの5年間が、ジュード・ロウ演じるジャック・バーデンの回想によって、語られています。
映画のひとつの見所は、ウィリーの演説です。
知事選に立候補するウィリーは、はじめ、対立候補の票割り工作に利用されただけの存在でしたが、その事実こそ庶民が馬鹿にされている、虐げられている証拠だと目覚め、立ち上がります。
「誰も田舎者を助けない。自ら目覚めるしかない。」「君たちから道路や橋や学校や食べ物を奪う者は一人残らず叩き潰せ。私にハンマーをくれたら、私が叩き潰す。」
ウィリーは、自身の貧しい生い立ちを語り、労働者や農民の視点に立った演説を繰り返し、ついには大衆の支持を得て、知事に当選します。人を動かすリーダーは、言葉からイメージを描かせ、目標を共感させる力を持っている、と言われますが、ウィリーの演説は、まさにその具体例であり、大変見ごたえのある場面です。
知事となったウィリー。彼の理想と確固たる信念は、知事という地位と権力をもって次々と実現されます。しかし一方で彼は、お金でこそ、人々が動き物事が実現できる現実も思い知らされるのです。ウィリーは、彼自身が最も嫌っていたはずの賄賂に手を染め、目的達成のためには手段を厭わない、傲慢な政治家へと変わっていきます。ジャックもまた、ウィリーと彼の理想実現化のために、大切な人々を深く傷つけ失っていきます。正義の名のもとに、多くの犠牲が払われ、美しかったはずのものは醜く豹変してしまう。後半で綴られる人間模様は映画のもう一つの見所でしょう。
果たしてウィリーは、権力を握ったことで自分は誰もがひれ伏す“王”であると思い込み、堕落してしまったのでしょうか。ジャックは王の家臣の一人、オール・ザ・キングスメンに成り下がってしまったのでしょうか。それとも誰もが、権力の家臣なのでしょうか。
そうかもしれません。社会においては、権力やお金とは誰もが逆らうことの難しい、ダイナミズムとも言える力を持っているのは事実でしょう。ウィリーやジャックも、その力にただ圧倒され巻き込まれていったのかもしれません。
しかしだからといってそれが、彼らが信念や正義すべてを諦めてしまったことにはならないと、私は信じたいのです。もちろん、善と信じる目的のためであっても、人を欺き、法を犯し、略奪することは決して許されることではありません。ただ時に私たちは、理想を実現するために、理想ではない方法をとらざるを得ないことが、あるのではないでしょうか。「知事は“悪”でも、病院は“善”だ。」とは、ジャックが友人に言う、強く印象に残っている台詞です。ウィリーやジャックは、善と悪をわかっていながらも選択すること、志を失わないからこそ選択したことがあったのではないでしょうか。
さいごに、タイトル「オール・ザ・キングスメン」の由来に触れて終えたいと思います。
ロングのキャンペーン「Every Mas a King(誰もが王)」と、小説の邦題が表す「すべて王の臣」はご紹介しましたが、言葉の由来は、マザーグーズの詩「ハンプティ・ダンプティ」にあります。
卵男のハンプティ・ダンプティ。塀から落ちて、割れてしまい、王様の馬を集めても、王様の家臣(all the King’s men)を集めても、ハンプティ・ダンプティは元には戻せない。皆さんもきっとご存じのこの詩です。
一度壊れてしまった信頼、一度失った過去の幸せは、どんな力をもっても前の状態に戻すことはできないという、ウィリーとジャックの思いが作品に綴られているのではないでしょうか。
皆さんはどう思われますか。映画「オール・ザ・キングスメン」はお近くのレンタルショップでもきっと、新作・準新作、あるいはアカデミー賞受賞俳優出演作の棚に並べられています。皆さんも一度ご覧になってみませんか。
(湯川真理)
映画「オール・ザ・キングスメン」 2006年制作、2007年日本上映
監督:スティーヴン・ゼイリアン、原作:ロバート・ベン・ウォーレン
主演:ショーン・ペン、ジュード・ロウ
http://www.so-net.ne.jp/movie/sonypictures/homevideo/allthekingsmen/
http://pt.afl.rakuten.co.jp/c/01272a43.86f206a3/?url=http://item.rakuten.co.jp/book/4449061/
映画「オール・ザ・キングスメン」 1949年制作
監督:ロバート・ロッセン、原作:ロバート・ベン・ウォーレン
主演:ブロデリック・クロフォード、ジョン・アイアランド
1949年第22回アカデミー賞 作品賞、主演男優賞、助演女優賞 受賞作品。
http://pt.afl.rakuten.co.jp/c/01272a43.86f206a3/?url=http://item.rakuten.co.jp/book/4214126/
小説「すべて王の臣(原題:All The King’s Men)」
ロバート・ペン・ウォーレン著、鈴木重吉翻訳、2007年(新装版)、白水社
1947年、ピューリッツァー賞小説部門 受賞作品。
http://pt.afl.rakuten.co.jp/c/01272a43.86f206a3/?url=http://item.rakuten.co.jp/book/4324325/
※ピューリッツァー賞小説部門は、1948年よりフィクション賞と名称が改められました。この小説・フィクション賞を受賞し、映画化された名作には、「老人と海」(アーネスト・ヘミングウェイ著、1953年受賞、1958年映画化)、「シッピング・ニュース」 (E・アニー・プルー著 、1994年受賞、2001年映画化)、「めぐりあう時間たち(The Hours)」(マイケル・カニンガム著、1999年受賞、主演のニコール・キッドマンが本作で第75回アカデミー賞主演女優賞を受賞)などがあります。
http://www.worldfolksong.com/kids/song/humpty_dumpty.htm
歌詞の意味・和訳(意訳)
Humpty Dumpty sat on a wall
Humpty Dumpty had a great fall.
ハンプティ・ダンプティ
壁に座ってたら
ハンプティ・ダンプティ
勢いよく落っこちた
All the king's horses,
And all the king's men,
Couldn't put Humpty together again.
王様の馬や家来でも
ハンプティを元に戻せない
https://www.bobdylan.com/songs/handy-dandy/
Handy Dandy
He been around the world and back again
Something in the moonlight still hounds him
Handy Dandy, just like sugar and candy
Handy Dandy, if every bone in his body was broken he would never admit it
He got an all-girl orchestra and when he says
“Strike up the band,” they hit it
Handy Dandy, Handy Dandy
You say, “What are ya made of?”
He says, “Can you repeat what you said?”
You’ll say, “What are you afraid of?”
He’ll say, “Nothin’! Neither ’live nor dead.”
Handy Dandy, he got a stick in his hand and a pocket full of money
He says, “Darling, tell me the truth, how much time I got?”
She says, “You got all the time in the world, honey”
Handy Dandy, Handy Dandy
He’s got that clear crystal fountain
He’s got that soft silky skin
He’s got that fortress on the mountain
With no doors, no windows, no thieves can break in
Handy Dandy, sitting with a girl named Nancy in a garden feelin’ kind of lazy
He says, “Ya want a gun? I’ll give ya one.” She says, “Boy, you talking crazy”
Handy Dandy, just like sugar and candy
Handy Dandy, pour him another brandy
Handy Dandy, he got a basket of flowers and a bag full of sorrow
He finishes his drink, he gets up from the table, he says
“Okay, boys, I’ll see you tomorrow”
Handy Dandy, Handy Dandy, just like sugar and candy
Handy Dandy, just like sugar and candy
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